« 国際司法裁判所判決 | トップページ

2014年4月 1日 (火)

捕鯨報道のいかがわしさ

 国際司法裁判所の判決を、国内の多くのメディアが大きく取り上げている。ほとんどがまさかの判決という書きぶり。
 それはいいとして、問題をここまで引きずってきてしまった責任の一つは、これまでのメディア報道にあると私は思ってしまう。調査捕鯨が一体どういうものなのか、残念ながらきちんと深堀りした報道はこれまで見た覚えがない。わずかに個人の意見として引用したとしても、大筋の報道が大本営発表をなぞったものばかりで、近年は南極海での環境団体による妨害を取り上げることで調査報告の代わりにしている鯨研をフォローしたものばかり。一部は復興予算の鯨研への流用については取り上げてくれたが、なんでそうなってしまったか、という追求は不十分だった。そこに来て今回の’驚くべき’判決。
 それにもまして驚くのは、判決についての記事に加えて、またしても、わざわざ「食べられなくなる」とか「文化の否定だ」というようなコメントを拾ってきて紙面をうめている事だ。
たとえば毎日新聞。
http://mainichi.jp/select/news/20140401k0000m040127000c.html
毎日:調査捕鯨中止:料理店「死活問題だ」
 「クジラのおかげで商売をし、子供も育ててきた。(国際司法裁判所が)いき
 なり他人の台所にやって来て 『食べるな』と言われても」
というクジラ料理屋のコメントを使っている。
 インタビューする人が、今回の判決内要について全く理解していないのか、それともあえて伏せておいたのか、コメントした相手にも気の毒な記事である。

朝日新聞も産經新聞も負けていない。
https://www.facebook.com/groups/446107615483631/
朝日:鯨の街「食文化失う」 調査捕鯨停止命令に業界衝撃

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140331/waf14033121280016-n1.htm
産経:「鯨は昔から食べてきた」「悲しい」 捕鯨の町・和歌山県太地町 調査
捕鯨判決で

 今回の判決は、単に日本のたてたJARPA IIの計画が、「条約に求められた科学調査に合致していない」というだけの事で、逆に、こうした反応しか出てこないのであれば、日本の調査捕鯨は科学調査ではなく鯨肉獲得が目的と暗に認めたことになる。
 これまでに多少でも国内報道でまともな検証がなされ、共有できていたら恥ずかしくて記者がかけなかった事ではないか、と思うが、今後もこうした傾向が変わるとも思えず。

 

« 国際司法裁判所判決 | トップページ

コメント

この記事へのコメントは終了しました。