改ざんや捏造(ねつぞう)など不正行為が認定された科学論文は、理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダーによるSTAP細胞論文以外にも数多い。多くの場合、論文は撤回され、責任者は免職など厳しい処分を受ける。

 「若い研究者が画期的な成果を上げたが、捏造だった」という流れが今回の事例とよく似ているのが、2000年から03年にかけて、米ベル研究所の若手研究者が起こした事件だ。

 20歳代の研究者が高温超伝導の研究で科学誌「ネイチャー」や「サイエンス」に次々と論文を発表。「ノーベル賞確実」と称賛された。しかし、世界中の誰も再現できず、データに不自然な点も多数指摘された。調査の結果、計63本もの論文はすべて撤回、研究者は解雇された。調査のきっかけになった「再現ができない」「データが不自然」という指摘はSTAP論文と共通する。

 日本では05年、大阪大医学部の6年生が主執筆者となり米医学誌「ネイチャー・メディシン」に発表した論文で、実験データが捏造だったことが明らかになった。論文は撤回された。学生は倫理教育プログラムを受け、教授2人が停職処分になった。