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第五十二話

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 GS協会から使者がきたのです。

 

 今回の騒動で身動きがとれなかった事へのお詫びだそうなのです。
 曰く、雪之丞さんは「仕方ねえだろ、神父は破門されても教会に未練あったしな」とおっしゃってましたが、使者の方は悔しそうでした。
 使者の方は「ピエトロ=ド=ブラドー」というダンピールさんでした。
 エヴァさんとも顔見知りで、手土産持参でしたが、EU出張中と聞いてすごく安心した顔になったのです。


「そんなに怖いですか?」
「怖いというよりも苦手、ですね」


 何でも、年齢的にはエヴァさんの方が下らしいのですが、格は遙かに向こうの方が上なんだそうです。
 ハーフだからですか?


「覚悟の差です。エヴァンジェリン様は、心の底から覚悟の出来た方ですから」


 とはいえ、今は単なる恋する乙女なのですよ?


「・・・実は、それが信じられないんですが、でも、相手は横島さんだからなぁ・・・」


 ああ、人外吸引体質ですね。
 聞いています。
 逆に、麻帆良の魔法使いたちも引かれているのは人外という意識があるからとも聞きますが。


「ええ。横島さんはおもしろいほど人外に好かれますからね」


 苦笑いのピートさん。
 頬を赤らめている、人外・・・。
 ・・・なぜかちょっと離れる雪之丞さん。
 私も少し離れましたが、遊びに来ていたネギ先生は興味深そうに一歩近づきました。


「あ、あの、いろいろとお話聞かせてもらっていいですか?」
「いいですよ、ネギ=スプリングフィールド君」
「あ、あの、僕のことをご存じで!?」
「はい。横島さんがうれしそうに弟分が出来たって話してくれましたから」
「・・・横島さんが・・・」


 なぜでしょう、うれしそうに頬を赤らめるネギ先生に、一級警報を感じるです。
 ベーコンレタス警報です。
 ハルナ警報です!!

 

 

 

 

 

 

 

 横島さんのオカルト活動は、本物でした。
 まさに、「正義の魔法使い」を実践しているような人でありながら矛盾をはらんだ人でもあります。


 10を助けるために1を切れるか?


 よく聞く設問ですが、横島さんたちは悠々乗り越えてしまうと僕は感じてしまっています。
 でも、ピートさんの考えは違っていました。


「美女美少女の多い方を助けるでしょうね、横島さんは」


 もしくは、美女美少女だけ助けるとか。


 その発想はなかったんですが、聞けば正しいことが理解できました。
 よく、横島さんが美女美少女の味方っていいますが、究極的にみれば「レディーファースト」の体現であり、婦女子を守る対象としている騎士道精神ともいえます。
 そういう見方をすれば、横島さんの行動は、普段の発言を無視できれば、本当に格好いい人であり、目指すべき人といえます。
 そのことに気づいた女性は彼を評価できますし、気づかなかった女性は彼を軽くみます。
 つまり、ピートさんの話通りなら、世の大半の女性は彼を軽くみていたわけですが、状況的に追いつめられている怪異の女性や霊能者、そして彼に大きな繋がりを持つ女性が彼を好ましく感じるという流れですね。


 そんな彼だからこそ、横島さんだからこそ、うちのクラスの生徒さん達に好かれているんだと思います。


 あのエヴァンジェリンさんですら、一人の女性として横島さんの隣に立とうとしてますし。


「・・・本当二、すごい人ですよね、横島さん」
「ふふふ、ネギ君は横島さんが好きなのかい?」

 
 あの人は、理不尽で力強くて、そして輝く人。
 まるで、ウェールズにいたときに思い描いた僕の想像の中のお父さんのような人。
 それでいて、実際にみたお父さんと重なるおおらかな人。


 そんな横島さん、そう、僕は大好きでした。


「・・・魔法学校を首席で卒業した僕は、思い上がった子供でした。そんな僕を普通の子供だって教えてくれた横島さんには感謝してます」


 でも、


「そんな横島さんが大好きです!」


 あれ、なんででしょう?
 事務所にいるクラスのみなさんが険しい顔つきです。
 雪之丞さんはなぜか逃げていきます。
 あ、タイガーさんも・・・
 あれ、なんでみなさん発動体を構えているんですか?
 え、え、え?


 ・・・・・・・・
 ・・・・・・・
 ・・・・・・
 ・・・・
 ・・・ 


 ・・ 


 ・

 

 

 

 

 

 

 

 なんやろ、背筋がむちゃくちゃさむいんやけど?


 思わず寒気を覚えた。


 逆天号の中に備え付けられた各人の個室で、ちょっとくつろぎタイムだった俺だが、なぜか恐ろしいまでの寒気を感じた。


「ん? どうした、忠夫」


 こんなときは必ず俺の膝の上に乗ってくるエヴァちゃんが気遣わしげ。


「所長、お茶でもいかがですか?」
「ん、ありがとな、茶々まるちゃん。あと、エヴァちゃんもありがとな。なんか霊感にさわる何かを感じただけや」


 そう、俺は思いこもうとしていたんだけど、事務所からしばらく帰らないで遊んでこいと連絡が入ったので、千雨ちゃんの希望を組み入れピンポイント世界一周をして帰ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 綾瀬君の要請を聞き現場に急行すると、そこは血の海だった。


「ち、治療かね!?」
「記憶処置なのです!!」


 え、でも、このふたり、というかネギ君死にそうだよ!?


「命よりも思い罪業を背負うところなのです、やばいのです!」


 みれば千鶴君たちがうなずいている。
 かなり本気でまずいらしい。


「聞けば、このピートさんもヤバげなのです」


 なにがやばいのか、と聞いてみると、ずいぶんとまずいことがわかった。
 うん、そういうマイノリティーを否定するつもりはないけど、彼らのような重責にある人間が進む道ではない。


「了解したよ、綾瀬君。ネギ君や彼のレジストレベルは高いから、いろいろと集めておこう」
「お願いするのです」


 さすがにまずいよね、オカルト英雄と英雄の息子にして新世界の王子が「そういう関係」という噂は・・・・。


「・・・ああ、弐集院先生ですか? 申し訳ありませんが記憶処置関係者を全員集合させてください、はい、緊急事態です」


 僕の一言を聞いて、事務所はひとまず安心した空気になった。
 うん、僕も少し緊張していたみたいだね。
 とはいえ、横島君、そこいらじゅうに妙な魅力を振りまかないでほしいものだよ!

 

 

 

 

 

 

 

 なんやろなぁ?
 学校の行き帰りはタマモやら愛子がべったりだし、仕事でも必ずうちの娘(こ)たちがべったり。


 なんでやろ?


 一応、本日は某教会との手打ちがあるので、世間的に大問題にならないメンバーで会場にきてるんやけど、視線が痛いわ。


「横島さん、何で私なんです?」
「夏美ちゃん、超適役や」
「・・・ありえません」


 壁際に手を突いて落ち込む夏美ちゃんだけど、じつのところ、ふつうの女の子としか見えないのがいい。
 加えて、クーフェイと楓が控えているのがさらにいい。
 名付けて「無宗教組」!
 千鶴ちゃんあたりでもありなんだけど、彼女は妙に威圧感を発揮できるしなぁ。
 そういう意味ではコノカちゃんもだめ。
 アスカもエヴァちゃんもだめ。


 そんなわけで、本日の三人は事務所の看板にしてもいいかなぁと思う。


 まぁ、演奏組のなかで連れ出せるのがこの娘だけなんだけどね。


 他の子だと宗教的な吸引力に負ける可能性があるというかなんというか。
 あと、宗教的な仇敵なんて存在もいるしなぁ。
 というわけで、このメンバーだ。


「横島君、なんというか、まじめかね?」


 ひどいですね、唐巣神父、いや、会長。
 俺、本日はまじめですよ?


「とりあえず、信じておこう」


 とまぁ、そんなわけで、某迎賓館にドレスアップしたうちの娘たちをエスコートする形で唐巣神父と西条さんも同行。


 あ、今手を握ってる男には気をつけろや、クーフェイ。


「大丈夫アル。弱い男には興味ないアル」
「・・・実に自尊心が傷つけられる話だね」
「・・・基本、霊力なしならシロに張りますよ、その娘」
「本気(マジ)かい?」
「本気(マジ)っす」


 それに、老師との組み手でほぼ死んで、霊力も鰻登りだし。


「・・・卒業後の進路を・・・」
「そういうナンパに気をつけろと、ユエにいわれてるアル」


 あはははは、ユエちゃんの名前を聞いて固まったぞ。
 さすがだなぁ・・・、剃り魔の恐怖。


 そんなバカな会話があったけど、いわゆる政府関係者が合流したところで、ひとしきり文句を言われた。


 技術供与ぐらいあるべきだ、と。


 つまり、この技術を解放して、外交得点にしろというのですかな?


「そ、そこまでは言っていない」


 ですが、自分の影響力で供与させたと言わせたい、と?


「・・・・」


 これからの政治生命と、失われる生命に対する責任を一族すべてで背負っていただけるなら、考えますが?


「・・・どういうことだね?」


 さすが、国際外交の最前線で戦ってきた官僚だ。引っかかるところを意識できたんだろう。というか、これで引っかからなかったら、まじ日本の危機だって。
 で、諸外国喜々。


「それはですね、あの霊具を持ってすれば、むりやり霊を祓うどころか、オカルト兵士を仕立てることも犯罪転用も容易すぎるのですよ」
「・・・信じられないほど敷居が高い適正と聞いてるが?」
「数十億いる某宗教ですよ? 確率など乗り越えますよ」


 俺には見えるなー、宗教を背景に他宗教を悪霊として弾圧する某宗教。
 はっきり言うと、愛面にだけは持たせちゃいけないと思う。
 主に「○○○○」関係者。
 キーやんもいってたけど、あの手の凶信者は全うに声すら届かないので、どうしようもないとか。
 いいことも悪いことも自分のせいにされてはたまらないって言ってたし。


「・・・そこまで、理不尽なのか?」
「貴方がそこまでお気楽な理由が知りたいっす」


 俺の言葉に顔をしかめるおっさん。


「とりあえず、あそこのトップとは、いや、宗教的なトップとは話が付いてるっすから、妙なトラップにハマらなければ、外交得点稼ぎまくりっすよ?」


 脂汗のおっさんを先頭に、俺たちは会合室に向かったのだった。

 

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