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日本の調査捕鯨 現状では認められない
3月31日 18時59分

日本の調査捕鯨 現状では認められない
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日本が南極海で行っている調査捕鯨が、国際条約に違反するかどうか争われた裁判で、オランダ・ハーグにある国際司法裁判所は31日、日本がこれまで行ってきた調査捕鯨は条約で認められている科学的な調査には該当しないとの判断を示し、このままの形で捕鯨の許可を与えることはできないとする判決を言い渡しました。
この判決により、日本がこれまでどおり調査捕鯨を継続することはできなくなる可能性が出てきました。

この裁判は、オーストラリア政府が4年前、日本が南極海で行っている調査捕鯨は、実態は商業的な目的を持った捕鯨であり、国際捕鯨取締条約に違反しているとして、捕鯨の中止を求めてオランダのハーグにある国際司法裁判所に訴えを起こしたものです。
これまでの裁判では、オーストラリア側が、捕獲される鯨の頭数が年間数百頭に及んでいることや、鯨肉が市場で売られていることなどを理由に、「実態は商業捕鯨にほかならない」と主張したのに対し、日本側は、捕獲する頭数は調査のために必要なもので、鯨肉の販売は条約で認められているなどと反論し、「科学的な調査が目的で成果を挙げている」と主張してきました。
この裁判で、国際司法裁判所は31日午前(日本時間31日午後5時)から判決を言い渡しました。
判決で、国際司法裁判所は「大きな枠組みで見れば日本の調査捕鯨は科学的な調査だといえるものの、裁判所に示された証拠からは、調査の計画や実施方法が目的を達成するのに妥当なものではないと考える」と述べ、日本がこれまで南極海で行ってきた調査捕鯨は条約で認められている科学的な調査には該当しないとの判断を示しました。
そのうえで、このままの形で捕鯨の許可を与えることは、認められないとする判決を言い渡しました。
今回の判決により、日本が1987年からおよそ30年にわたって続けてきた南極海での調査捕鯨を、これまでどおり継続することはできなくなる可能性が出てきました。

妥当な量とは言えない

オーストラリアが、調査目的であれば鯨を殺す必要はないと主張していたことについて、国際司法裁判所は判決の中で、「鯨を殺すこと自体は条約違反ではない」としながらも、日本が捕獲するミンククジラの数が年間850頭前後に達していることなどをあげ、「調査の目的を達成するためには妥当な量とは言えない」と指摘しました。
さらに裁判所は「提出された証拠を見るかぎり、日本は殺さずに調査する可能性を十分に検討していない」として日本の姿勢を批判しました。
そのうえで、「大きな枠組みで見れば日本の調査捕鯨は科学的な調査だといえるものの、裁判所に示された証拠からは、調査の計画や実施方法は目的を達成するに妥当なものではないと考える」と述べ、日本がこれまで南極海で行ってきた調査捕鯨は「国際捕鯨取締条約」で認められている科学的な調査には該当しないとの判断を示しました。
トムカ裁判所長は判決の理由を説明したあと最後に、「日本が今後、条約に基づく調査捕鯨を行うことを検討する際には、今回の判決の内容を考慮してもらいたい」と述べ、現在の方法を見直せば、調査捕鯨を再開する道は開かれていることを示唆しました。

「深く失望している」

日本政府側の代表を務める鶴岡公二内閣審議官は判決について、「深く失望している」としながらも、「日本は国際法秩序および法の支配を重視する国家として判決に従う」と述べました。
また、判決が北西太平洋で行っている調査捕鯨に与える影響については、「判決にはさまざまな論理構成が含まれている。慎重にまた丁寧に読み込んだうえで、日本の具体的な対応について検討していきたいと考えている」と述べました。

国の捕鯨政策を応援

市内の港を調査捕鯨船団の母港とするよう誘致を進めている山口県下関市の中尾友昭市長は今回の判決について、「調査捕鯨は正当性のあるものだとして今まで国の政策をサポートしてきたので、大変残念な気持ちです。下関市としては、これからも国の捕鯨政策を応援していきたいです」と話しています。

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