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第四十七話

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 横島さんの義母様が来ると言うことで盛り上がってしまった事務所だけど、実際、業務自体を止めるわけではなかった。
 というか、その現場がみたいと言うことだったので、私とさよちゃんとともに美神さんのところに同行した。


「・・・横島君のお母様」
「美神さん、お久しぶり」


 にこやかな感じなんだけど、なんというか、とげとげしい。
 私はどちらも良い人なのを知っているので、さよちゃんといっしょに仲を取り持とうと必死。
 そんな私とさよちゃんをみてか、二人とも苦笑いでした。


「アスナちゃん、これは、まぁ、レクリエーションみたいなものだから、ね?」


 そういうことにしときます。


 義母様はこのあと、アキラとユウナのいる六道、そして夏美と千鶴さんのいるエミさんのところに参観に行くそうですけど、大丈夫かしら?

 

 

 

 

 

 

 


 私は今、多分、今までにない注目の中にいると思う。
 タイガーさんやチヅ姉を超えた注目を浴びてる。


 ・・・お母様から。


 ちょっと緊張したけど、心と思いを込めて演奏できたと思う。
 だからエミさんも絶賛。


「夏美、この霊具背負って、うちに嫁に来るワケ!!」


 全身全霊でハグされてしまいました。


 今までの除霊では、霊波の届く範囲に霊を集めるか引き込むかして一斉に消す方法だったんだけど、この「霊具」を使って演奏すると、音の届く範囲に作用する。
 で、効果範囲を限定するために結界でも張れば、その範囲で反響して効果が増幅される。
 つまり、より少ない霊力で効果的に多数を除霊出来るのだ、ということだったと思う。
 そういう説明だったよねぇ?


 今の所、この「霊具」には適正があるそうだ。
 ネクロマンサーの笛ほどの狭い適正ではないにしろ、かなり人を選ぶ道具なのだそうで、「霊具自体」は大量販売されることはないだろうと横島さんの言葉だったけど、でも威力は絶大だと、美神さんの言葉。
 とはいえ、あそこには本家のネクロマンサーがいるんで、あんまり関係ないですよね?
 その点で言えば、さよちゃんがいる横島事務所(うち)も、実はあんまり頑張らなくていいはずなんだけど、横島さんって、こういう趣味には全力だし。


「夏美、次の現場に行くワケ!」
「夏美ちゃん、頑張りましょうね」


 あーん、チヅ姉が二人いるみたいだよーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 この「霊具」、むちゃくちゃ肌に合う。
 アキラもかなり気に入っていて、凄く練習してたし。
 亜子が指の皮がめくれるまで練習する気持ちがわかった。
 それに、この霊具には「追加要素」がある。


「ユーナ、ディスク交換完了だよ!」
「了解、アキラ!」


 二人の霊具のディスクドライバーが同時に回転し始める。


「「ディスクX!」」


 音波を霊波に変え、さらには物理的に干渉できるまでに高められた霊波が私たちから迸る。
 ドクターカオスと忠夫さんの共同開発霊具で演奏しながら、私たちは声を合わせて歌い上げる。
 それは鎮魂でも慰撫でもない。
 それは勇気の歌。
 それは戦いの歌。
 それは心に光をともす為の歌。


「「最高、だっぜ♪」」


 私たちの演奏と冥子さんの指揮によって霊団を分解してゆくオカルトGメン隊員達。
 なぜか髪の毛が短かったり眉毛がなかったりするんだけど、何でかな?


「アキラちゃん、ユーナちゃん。もう一曲お願いね~」
「「了解!」」


 ディスク交換無しで再び私たちは声を上げる。
 そう、勇気の歌を! 勇者達のために!!


「「Powe of Desier!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 事務所の傍で、私は霊具を展開。
 ノドカやネギ先生も聞きに来てくれているです。
 いつの間にかお義母様もいらしていて、加えるならば、ご近所の浮遊霊の皆さんが大集合してます。


 そう、今回は御近所霊の皆さんに向けたコンサートなのです。


 演奏者は私だけ。
 でも、皆さん期待してくれているので気合が入るのです。


 セレクターを切り替えて自動演奏部分とタイミングを合わせます。
 直接演奏部分を鍵盤に設定。
 軽く鳴らした指を這わせます。
 深呼吸の後、私は声を発しました。

 


「あ~♪」

 


 マイクを通して意思有る言葉に変換される歌詞。
 染みとおる、突き抜ける意思が空間を占める。
 それは安らぎ、それは安寧、それは慰撫。
 誰かを想い、誰かの安らかを願う意思。
 それは、遍くを愛する心を持った少女の想い。
 その場に集まった浮遊霊ばかりか、音に惹かれてやってきた人々も涙を流す。
 はじめから集まっていた人々も感動させられた。
 いや、感動せざる得なかった。
 心を、魂を、直接揺さぶられたのだから。


 気付けば、万雷の拍手に溢れていたです。
 お義母様も、ネギ先生も、ノドカも、名も知らぬ人々も皆、みんな涙を流して感動してくれているのが嬉しいです。


「・・・では二曲目、聴いて欲しいのです」


 私は思ったのです。
 思いを、心を歌詞に乗せる感動を、もう少し付き合って欲しい、と。

 

 

 

 

 

 

 


 ヤバイやばいと思っていたけど、真っ黒けだった。
 この霊具が世界に広がれば、元々はネクロマンサーの力のはずが、聖歌や信仰の力というふうに名前を変えて猛威を振るうことになるだろう事は間違いなかった。
 GSの有用性によって退魔の分野で明らかな後手に回っていた某宗教がこれを利用しないわけがない。
 悪魔祓いは戒律に合わないが、聖歌で退魔ができるなら問題ない、そんな流れで乱用されるのが目に見えている。
 息子は「これは事務所装備やから、国外にはださん」といっていたけど、実際には海外からの情報照会が激しい。
 背後には「バチカン市国」の某情報管理事務所を兼ねているテンプルナイツが噛んでいるだろう。


 先ほどまで見た演奏除霊は、様々な局面での有用性があり、アキラちゃんとユーナちゃんの演奏はまるで呪曲のように味方の力の底上げをしていた。
 夏美ちゃんの曲は荘厳で壮麗でその力に圧倒された霊たちが粛々と世界から退場したし、ユエちゃんの演奏は霊や人々の意識を覚醒させる何かがあった。


 そして四人が同期すると、それは圧倒的な力となった。


 こんなものを正直に報告すれば、何としてでも手に入れようと手を伸ばすバカが多いだろうし、大国の力というものがどんなものかを息子に味合わせることになるだろう。
 それもそれで良い教育なのだが、息子ばかりか未来の娘たちまで迷惑をかけるのはいやだった。


 ならば、この話は「横島」に仕切らせてもらおうじゃないか。


 うちの馬鹿旦那だって、これだけの数の娘に「お義父様」とか呼ばれれば、鼻息荒くハッスルするに違いない。


 あ、そうだ、忠夫には言っておかないといけないことがあった。


 そろそろ、あんた、お兄ちゃんだよ、って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 あらあら、忠夫さんってば、お義母様の見送りから帰ってきたら倒れそうになって。
 何かあったのかしら?
 そっと支えると、涙目の忠夫さん。
 やだ、ちょっと可愛いわ。
 夏美ちゃんの涙目もいいけど、忠夫さんの涙目もいいわ。


 茶々丸さん、記録記録。


 ・・・OK!


 さて、堪能したので覗き込むと、忠夫さん悲しそうに。


「・・・わい、そろそろお兄ちゃんになるらしいんや」


 まぁ、お義母様、タダオさんにカミングアウトなさったのね。


「って、千鶴ちゃんしっとたんか!?」


 というか、皆わかってましたよ、ね?
 と、私のふりに皆頷きます。


「・・・なんで?」
「女の勘です」


 がっくり項垂れる忠夫さんも可愛いですね。
 ささ、存分に撮影を、茶々丸さん!!


 ・・・GoooD!


「・・・どのへんで解るんやろ?」
「そうですねぇ、たとえばお義母様の肌が若々しいのは女性ホルモンが活発なせいですし、食事にもかなり気を使ってらしゃいましたし、香辛料にも細かな配慮や・・・」
「そっか、決定かぁ・・・、美神さんみたいな問答無用じゃない分ましやな」


 そういえば、美神さんも年齢差がかなり有る姉妹でした。
 ・・・忠夫さん、叔母と姪っ子が年子、なんて興味がありません?


「ち、ちづるちゃん・・・・」


 血の海の中に崩れ落ちたタダオさんを見て、割と純情なんですよねぇ、とか思ってしまった私だった。

 

文字数は3,150文字