■金子一義・元国交相

 袴田死刑囚の無罪放免(再審開始決定)を受けて、国家権力の怖さを改めて感じている。特に地裁が述べた「捏造(ねつぞう)」という言葉は、国家の権力に対して、極めて慎重さ、謙虚さがいるなと思った。

 そのなかでの集団的自衛権の議論だ。今日の高村正彦自民党副総裁の(憲法の解釈変更を容認する)話は非常に有力な手がかりの一つだと思う。ただ、漠とした不安があるのは、彼は(集団的自衛権行使を一部認めたとする)1959年の最高裁の砂川判決が「天動説」になっている。

 集団的自衛権行使は認めないという81年の内閣法制局の解釈は、その後だ。本当に(砂川判決が)天動説で、唯一無二で済むのか、もう少し議論していきたいと思う。(党安全保障法制整備推進本部の後、記者団に)