消費税8%:スタート 社会保障の充実掲げ

毎日新聞 2014年03月31日 21時31分(最終更新 04月01日 00時13分)

消費増税を前に、値札を確認するスーパーマーケットの店員=千葉市美浜区のイオン幕張新都心店で2014年3月31日午後11時29分、武市公孝撮影
消費増税を前に、値札を確認するスーパーマーケットの店員=千葉市美浜区のイオン幕張新都心店で2014年3月31日午後11時29分、武市公孝撮影

 4月1日から消費税率が5%から8%へ引き上げられた。増税は1997年4月以来、17年ぶり。4月以降、消費税増税に加え、国民年金など社会保険料の引き上げなどで国民負担は年間約8兆円重くなる。駆け込み需要の反動減も重なって消費が冷え込めば、安倍政権の目指すデフレ脱却は遠のきかねない。一方、2015年10月に予定通り税率を10%に引き上げたとしても、少子高齢化時代の社会保障費をまかなうにはほど遠い。景気回復と財政再建をにらみ、安倍政権の経済政策「アベノミクス」は難しいかじ取りを迫られる。

 安倍晋三首相は31日の参院決算委員会で、消費税率8%引き上げについて「景気、経済に打撃を与えるのは事実だ」と認めた。そのうえで「4〜6月の反動減の影響をなるべく緩和しながら、7月から成長軌道に戻れるよう全力を尽くしたい」と述べ、経済対策に万全を期す考えを示した。

 消費税率が引き上げられると、大半のモノやサービス、公共料金の値段は上がる。第一生命経済研究所の試算では、夫婦と子ども2人の4人家族の場合、増税により平均で年間9万円負担が増える。年収500万〜550万円の世帯では現在より7万1000円、年収750万〜800万円の世帯では10万8000円の負担増になる。

 「景気に打撃を与える」にもかかわらず、税率引き上げに踏み切るのは、国の借金が1000兆円を超え、先進国で最悪の水準である一方、少子高齢化が急速に進んでいるためだ。消費増税分は毎年1兆円ずつ増える社会保障費用に充てるとしている。首相は「社会保障制度を次の世代に引き渡していくため、国民に負担いただく。そのことによって年金や医療や介護の給付は守られる」と、引き上げの意義を改めて強調した。

 打撃を和らげるため政府は、5.5兆円の13年度補正予算と、一般会計総額で過去最大の96兆円の14年度予算を組み、駆け込み需要後に予想される4月以降の反動減を最小限に抑える考えだ。

 価格表示については、分かりやすさから04年に税込み表示が義務づけられたが、今回の増税を機にスーパーなどの小売店では税抜き表示が復活する。消費税は8%引き上げ後、15年10月に10%への再引き上げを予定しているため、税込み価格のままでは再度、値札を替える必要があり、特例措置として17年3月末まで税抜き表示が認められる。【葛西大博、影山哲也】

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