明日の医療

5割、8割引きは当たり前?
医療界を直撃する問答無用の価格引き下げ悪しき前例となる今回の保険点数改定

2014.04.01(火)  多田 智裕

4月より2年に1度の保険点数改定により医療費の価格が変わっています。「0.73%のプラス改定」「初診料は2700円から2820円に」などと報じられていることから、 「医療費は4月から少し値上がりしている」と受け止めている人が多いのではないかと思います。

 しかし、今回の改定では大幅な値下げが一部で行われています。

 まず、薬局が手にする薬剤調剤料がそれです。個別の調剤薬局によって変動するものの、およそ5~7割のダウンです。医療においても、老人ホームの訪問診療代金は月4万2000円から1万円にと実に8割近くの値下げです。

 これまでも保険点数改定においては、国の施策に沿って優遇されてきた点数が下げられてしまう“梯子外し”のような事例はありました。

 でも、前回のコラムで取り上げた“老人慢性疾患外来総合診療料”(かかりつけ医制度)廃止の際もそうでしたが、価格の引き下げが行われる際には、“半年後の施行”などの緩和措置がついていました。また、眼の白内障手術のように、これから件数が増えて効率化が見込まれる場合に価格が値下げされることもありました。それでも、値下げ幅は1回の改定あたり10%程度で、通算10年で25%ほどでした。

 ですから、医療において80%近くもの大幅な価格の引き下げがいきなり行われるのは、まさしく前代未聞です。このような公定価格変更が公然と行われたことは、医療のみならず他の分野にも影響が及ぶ悪しき前例ができてしまった気がしてなりません。

撤退や閉鎖に追い込まれる薬局が続出?

 今回の保険点数改定で最も打撃を受けるのは調剤薬局とされています。

 改定資料を一見すると調剤基本料が400円から410…
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