2014年3月31日23時43分
日本が南極海で実施している調査捕鯨が違法かどうかを日豪が争った裁判で、国際司法裁判所(ICJ)は31日、日本完敗の判決を言い渡した。国内捕鯨の中心を担ってきた南極海捕鯨に幕が下ろされる可能性もある。縮小する鯨食文化を守り、商業捕鯨の再開を夢見てきた業界に衝撃が走った。
1930年代に始まった南極海捕鯨の中心地だった山口県下関市。クジラを「市の動物」と定め、調査捕鯨船団の入港式を市が主催するなど今も関わりが深い。中尾友昭市長は「大変残念な判決。日本の調査捕鯨は正当性があると信じて国の政策をサポートしてきたが、残念な気持ちでいっぱいだ」と話した。
商業捕鯨が一時的に禁止されて約30年。日本は調査捕鯨を続けながら再開を目指してきたが、鯨肉の国内需要は急速に縮小した。
下関市は年12回、学校給食に鯨肉を取り入れるなどの普及啓発にも力を入れる。有志でつくる「下関くじら食文化を守る会」の和仁皓明(わにこうめい)会長(83)は「極めて厳しい判決。ただ、クジラを食べる文化自体が否定されたわけではない」。
「くじらのまちづくり」を進め、鯨食になじみが深い北海道釧路市。市内で消費される鯨肉のうち、冷凍肉は南極海のものが圧倒的という。小中学校の給食にも使われ、市教育委員会は「冷凍肉の在庫がなくなれば、地元の新たな産物を提供することも検討しなければ」と影響を心配する。
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