国際司法裁判所:日本に南極海調査捕鯨の中止を命令
3月31日(ブルームバーグ):国際司法裁判所(ICJ)は31日、日本に対し、南極海で実施してきた調査捕鯨計画の中止を命じる判決を言い渡した。ICJは一審制で、控訴は認められない。オーストラリア政府が2010年に日本の調査捕鯨中止を求める訴訟を提起していた。
ICJは判決で、日本が南極海で行っている捕鯨プログラム(JAPRAⅡ)は国際捕鯨取締条約に沿った科学的調査が目的のためとは認められない、とした上で、これに基づく調査捕鯨の許可を取り消すよう命じた。ウェブサイトで判決内容を明らかにした。
外務省は判決を受け、鶴岡公二・日本政府代理人のコメントを文書で発表。判決が日本の南極海での調査捕鯨について「国際捕鯨取締条約の規定の範囲内ではおさまらないと判示したことは残念であり、深く失望している」と指摘しながらも、「国際社会の基礎である国際法秩序及び法の支配を重視する国家として、判決に従う」方針を明らかにした。
裁判で豪州側は、「日本の南極海における捕鯨の実態は商業目的であり、国際捕鯨取締条約に違反している」と主張。これに対し、日本側は、条約で特別に認められている科学的研究のための調査捕鯨であると反論していた。
環境保護団体「グリンピース・ジャパン」の佐藤潤一事務局長は電話取材に対し、判決について「ICJが科学的でないとはっきり結論づけたことは評価したい」と指摘。日本政府に「南極での捕鯨はやめるべきだろう。新しいプログラムを作るなどの抜け道をつくればできてしまうかもしれないが、それはすべきでない」と求めた。
千葉県流山市のクジラ料理店「くじらや大樹」の須永豊社長(60)は電話取材に対し、「納得いかない。取れなくなるなんて、どう考えても理不尽だ。クジラがかわいそうだというなら、ほかの動物を食べることも同じようにかわいそうだ」と語った。
農水省のウェブサイトによると、国際捕鯨委員会(IWC)は1982年、商業捕鯨の一時停止を決定。これを受け、日本は87年から商業捕鯨を停止する一方で科学的データの収集などを目的とした調査捕鯨を南極海と北西太平洋で実施している。
オーストラリア政府は2010年、このうち南極海での調査捕鯨の中止を求めて日本を国際司法裁判所に提訴していた。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 高橋舞子 mtakahashi61@bloomberg.net
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更新日時: 2014/03/31 21:21 JST