「Perl入学式」卒業生に贈る言葉 2014-03-31 23:54


「Perl入学式の卒業生」というのは, 対極にあるはずの「入学」と「卒業」が混ざっていて不思議ではありますが... 何はともあれ, 一昨日の3月29日に開催した「Perl入学式in東京 #6 補講」をもって, 2013年度のPerl入学式の全カリキュラムを無事終えることが出来ました.

2012年度からスタートしたPerl入学式ですが, 2年目となる2013年度からは遂に東京に進出し, 大阪で6回, 東京で12回(補講6回含む)を開催しました. これに加えて, YAPC::Asia Tokyoの運営スタッフの皆様から声をかけて頂いて, 「Perl入学式 in YAPC」を開催することができました. これまで何度も言っている事ではありますが, YAPC::Asiaは私がPerl Mongerになる切っ掛けを与えてくれた場所なので, そこでPerl入学式を開催できたというのは, 非常に嬉しく, 感慨深いものでした.

参加人数ですが, Zusaarの参加登録者ベースでは, 東京が合計351人(各回平均約30人), 大阪が合計38人(各回約平均6人)という結果となりました. 最も, 特に東京に関しては, いわゆる「無言キャンセル」(キャンセル申請を出さずに出席した人)が毎回2〜3割程度いらっしゃったので, 実際に参加した人はもっと少ないです. ただ, 無言キャンセル率を5割としても, 合計約175人(各回約14人)となりますので, それなりの成果を残すことができたと思っています.

2014年度のPerl入学式

さて, これを踏まえて2014年度のPerl入学式ですが... まぁ, もちろんではありますが, 2014年度もPerl入学式は開催します! そして2014年度は大阪, 東京に加え, 福岡で開催する方向で調整しています.

これに先立って, Japan Perl Associationと協議をさせて頂き, 2014年度からPerl入学式はJPAの事業として, JPAと協力して開催することとなりました. ...という話になると, ぶっちゃけ「Perl入学式はJPAの指示に従う形になるの?」という不安をお持ちになる方もいらっしゃるかと思いますが, そういう事は全くありません. Perl入学式はこれまで通りの方針とやり方で進めていって, それをJPAがサポートする, という形の協力です. 実際, 昨年11月よりJPA理事に就任された肥後理事にPerl入学式のとの窓口(?)になって頂いて, 来年度に向けて様々な相談をさせて頂いています.

これによって, カリキュラムと資料の充実はもちろん, これまで交通費等全てボランティアでご協力頂いていたサポーターの皆さんへの支援なども実現できることになりました. 更に, これまで自費で賄っていた講師派遣費についても, 回数制限を設けた上での支給という方向で調整が進んでいます. これが実現できれば, 札幌, 釧路, 沖縄そして東北(仙台)といった各地方での「Perl入学式 短期出張講座」の開催も現実味を帯びてきます.

言うまでもありませんが, Perl入学式という勉強会は私一人では到底成り立たないものです. コアスタッフとして運営に携わっている皆様や, 毎回手弁当で参加して下さるサポーターの皆様, そして参加者の皆様がいなければ成り立たない勉強会です.

私は紆余曲折あって, Perl入学式の「校長」と呼ばれて, Perl入学式の中心の方で好き勝手に大暴れしたりしていますが, まだまだいろいろと未熟で足りない部分が多いです. お手数おかけ致しますが, 来年度もPerl入学式にご理解とご協力を頂ければ, これに勝る喜びはありません.

「多くの人に, プログラミングの楽しさを, プロダクトを創造する楽しさを知って, 感じてもらいたい」という夢を胸に, Perl入学式の3年目も積極的に取り組んでいく所存です.

謝辞

2013年度のPerl入学式では, 本当に多くの方にご協力頂きました.

in大阪では, 毎回のようにJoe'sさまに会場をご提供頂きました. また東京では, SeesaaさまやGaiaXさまに会場をご提供頂きました.

Perl入学式のような勉強会を開催する上で, 一番問題となるのは「適切な設備とキャパシティを持った会場の確保」ですが, これらの会社のご協力によって, 会場についてはほとんど困ることはありませんでした. この場を借りて御礼申し上げます.

また, Japan Perl Associationさまには, 「Perl入学式inYAPC」の開催や, 来年度に向けた協力体制の調整など, 様々な場面でお世話になりました. JPAの理念である「Perl技術及び文化の啓蒙・促進」という所に, Perl入学式だからこそできる形で貢献していくことが, 我々にできる御礼だと思っています.

内定先(といっても, 明日から社員になりますが...)であるGaiaXには, 先ほどの会場面を含む様々な面でご配慮とご支援を頂きました. hidehigo(@hidehigo)部長や1つ上の先輩であるsaisa6153さん(@saisa6153)さんには, 会場手配や運営などでお手伝い頂き, 本当に助かりました. ありがとうございます.

GaiaXではpapixと一緒にPerl道を邁進するPerl Monger(とその卵)を募集しています!

運営スタッフの皆様, サポーターの皆様には本当に言葉にならない程感謝しております. 「サポーターによる手厚いサポート」, そして講義途中に突如始まる「講師やサポーターの漫才的(?)やりとり」というのは, Perl入学式の大きな特徴であり, 長所であると思っています. 運営スタッフの一員としては, 講師やサポーターの方々が負担なく, ストレスなくお手伝いしていただける環境づくりが必要不可欠と考えていますので, 引き続きご指導ご鞭撻の程よろしくお願いいたします.

そして最後になりましたが, 1年間にわたって我々の拙い講義に付いてきて下さった受講者の皆様, 本当にありがとうございました. そんな皆様に, Perl入学式の校長として, 卒業式でよくある「贈る言葉」を贈らせて頂きたいと思います. ご面倒ではなければ, 目を通して頂ければ嬉しいです.

(非常にスピリチュアル!!! な内容ですので, そういうのが苦手な方はご注意ください.)

修了生へ贈る言葉

2013年度の「Perl入学式」の受講者の皆様, 全カリキュラムの修了おめでとうございます. 全講義に参加した皆勤賞の方も, 途中から参加した方もいらっしゃるかと思いますが, ひとまず#6に参加した方については, Mojolicious::Liteを利用した, 簡単なWebアプリケーションの開発という所まで到達することができました.

これは, 言い方を変えると, 受講者の皆さんが1つの「プロダクト」を創りだしたということです. それはとてもシンプルで, 実用に耐えるものではないかもしれません. しかしながら, Perl入学式という場所で学んだスキルを活かして創りだした, 立派な成果物です.

そしてこれを以って, 修了者の皆さんは「Webアプリケーションを創造するスキル」の, 最初の第一歩, 第一段階を手に入れたということになります. もちろん, ここから多くの人に使ってもらえて, マネタイズもできる... そんな立派なWebアプリケーションを創りだす為には, Perlの応用やデータベース, そして運用など, もっと多くのスキルが必要になってきます. しかしながら, それらを学ぶ上で必要最低限の基礎となる部分については, 全てPerl入学式のカリキュラムに詰め込んであります.

そう, 今や, 修了者の皆さんの目の前には, 様々な道... 可能性が広がっているのです!

...自分の生活を助ける, 自分用の便利ツールやWebアプリケーションを作っていくのもいいでしょう.

...Perl入学式で得たPerlの知識をより発展させて, Perlで開発を行っている会社への就職・転職を目指すのも, もちろんいいでしょう.

...もっともっとPerlを学び, 多くの人に認められる, 一流のPerl Monger(Perlを使う人)を目指すのもいいでしょう.

...Perlはひとまず置いておいて, RubyやPython, PHPなど, 他の言語にチャレンジしてみるのもいいでしょう.

...多くの人に新しい価値を届ける, そんなWebアプリケーションの開発を目指すのもいいでしょう.

そんな, 様々な可能性を秘めた修了者の皆さんに, 3つの「お願い」をしたいと思います. このお願いを「守る」も「守らない」も皆さん次第で, 守らなかったからといって別段何かが起きるという訳でもありませんが... この「お願い」を参考にして, 修了者の皆さんの「エンジニアとしての行き先」を考えて頂ければ嬉しいと思います.


学ぶことを辞めないで下さい

この世にある様々な技術は日進月歩で進化していますが, これはプログラミングやそれに関係する分野でも同じことです. 学ぶ事を止めてしまうと, あなたの持っている知識はすぐに陳腐化してしまいます. もちろん, 我々には日常生活や仕事がありますから, 朝から晩まで, 必死になって学ぶというのは無理ですし, そこまでする必要はありません. ただそれでも定期的に, 例えば1日30分だったり, 週に1回だったり, 最悪, 月に1回でもいいので, 最新の技術や知見に触れ合い, 実践する習慣を持つようにしましょう. これが, Perl入学式で得た知識を陳腐化させない方法の1つです.

間違って欲しくないのは, 「Perlを学ぶことを〜」ではない, という事です. プログラミング言語1つとっても, Perl以外に文字通り無数のプログラミング言語が存在しています. Perl入学式を修了したから... といって, Perlだけにとらわれないでください. 機会があれば, いろいろな言語を触ってみて, その中で「これが自分に合う!」という言語を見つけ出して頂ければと思います. そして, いろいろな技術や知見を学ぶ中で, 「自分はこれが得意だ!」という分野, スキルを身につけて下さい. それは, きっとあなたの武器になるはずです.

さて, 一言で「最新の技術や知見」といっても, それらはどこで見つければいいのでしょう? ひとまず, ここでは「Perlに関する, 最新の技術や知見」を例にして, 具体的な方法をご紹介したいと思います.

まず, 技術書の購読というのは一つの手です. ただ, 技術書は技術書の良し悪しを判断しなければならないという点で, 特に序盤はハードルが高いです. 昔に販売された本は, 言うまでもありませんが既に陳腐化した内容が記述されている可能性が高いです. 更に恐ろしいことに, 近年発売された本であっても, 陳腐化した内容を基準にして記述されている... という例がいくつかあったりします. この点に気をつければ, 技術書の購読は, まだ知らない技術や知見を見つける手助けになることは間違いありません.

次に, インターネットを活用するという手があります. 著名なエンジニアは大抵twitterを活用しているので, 疑問があれば直接質問することもできます. もちろん, 常に回答してもらえるとは限りませんが... Perl入学式の場合, 講師やサポーターが「#Perl入学式」というハッシュタグを監視していますので, このハッシュタグを付けて質問をつぶやく, というのも良いでしょう(このハッシュタグは, 修了後もジャンジャン使って頂ければと思います!).

そして最後に, 勉強会への参加というのは「王道」と言えるのではないでしょうか. Perlの場合, 関東であれば初級者向けの「Perl Beginneres」に加え, 「Yokohama.pm」や, 飲み会に近いスタイルの「Hachioji.pm」など, いくつかのPerlの勉強会が開催されています. 特にHachioji.pmでは, 主催者が百戦錬磨のPHP使いということもあって, 常にPerlにとらわれない, 様々なジャンルの情報が飛び交っています.

Perl入学式にサポーターとして参加して, 来年度の新たな受講者にアドバイスをする, というのも良い選択肢でしょう. ...これが, 次の「お願い」に繋がってきます.


教えることを恐れないで下さい

これは私の意見なのですが, 「自分で理解できて3流, 他人に理解させて2流, 他人が他人に教えられるレベルまで理解させて1流」と思っています. つまり, 何かを学んだ時に, 「なるほど! こうやるのか!」というのを, 自分で理解できるレベルというのは, 実はまだまだなんだということです. その何かを, 他の人に教えることができるレベルまで理解できた段階で, ようやく2流. そして教えた人が, また更に他の人に教えられるレベルまで理解できれば, やっと1流... と思っています. それで言うと, まだまだ自分はPerlを教える先生としては2流にも至ってないな... と痛感する日々だったりしますが.

人に教える, というのは非常に難しいです. 生半可な理解では, 支離滅裂な説明になってしまいます. あるいは, 不意打ちな質問, 想定外の疑問が飛んできた時に, 詰まってしまって答えられなくなってしまいます. だからこそ, 人に教える立場の人は, その教える物事について, 深く理解しようという気持ちを持つことができます. そのため, 「人に教える」中で得ることができるものはとても多いですし, 理解してもらえた時の喜びというのは格別です(Perl入学式の場合, 答えられなくても他の講師やサポーターが答えてくれたりするので, その中で僕も多くの事を学ばせて頂いています!).

...そう, 「人に教える」ということは, 「自分が学ぶ」という所に直結しているのです. だからこそ, 教えることに恐怖を感じないでください. 積極果敢にチャレンジしてみてください. 1人で教えるのが怖いのであれば... ここに丁度いい勉強会がありますね. Perl入学式のサポーターで, 「教える事」にチャレンジしてみてください. もし受講者からの質問に答えられなかったとしても, 講師や, 別のサポーターが代わりに教えてくれるでしょう. そうすることで, あなたの技術と知識も増えますし, そこで理解が出来れば, 次に同じ質問が来た時には, きっと答える事ができるでしょう. Perl入学式を修了した皆さんのうちの何人かが, 来年度のPerl入学式のサポーターにチャレンジして頂ければ, 非常に嬉しく思います.

もちろん, Perl入学式以外の場所でも構いません. 息子や兄弟に, 会社の同僚や後輩に, 友達に, 恐らく「プログラミングを学びたい!」と思っている人は, 案外身近にいたりするものです. そういう人がいたら, 「プログラミング, やろうよ!」と声をかけてあげて下さい. そしてその人にプログラミングを教えながら, あなた自信も多くのことを学んでください.

「教える事は学ぶ事」, この言葉を忘れないで頂ければ嬉しいです.


創造する楽しさを忘れないで下さい

...一番大切なお願いが, これです. そもそもの話ですが, プログラミングを含めて, 「自分の手で, 何かしらのプロダクトを創り出す」ということは, とても楽しいことだと思っています.

ブラックな職場では, 劣悪な労働環境で, 興味もないプロダクトを, よくわからないルールで作らされる... ということで, 「プログラミングなんて, 楽しくない!」という現実があったりしますが... ただ, 趣味の領域で, 自分が創り出したいプロダクトを, 自分の好きなように創りだすというのは, 万人にとって楽しいことだと思います. そうでなきゃ, 誰もそんなことに取り組むはずがありませんので.

話は少し変わりますが, 私が好きな漫画に「あまんちゅ!」という作品があるのですが, その中にこのような台詞があります.

「楽しいは最強っ, 楽しいは正義っ, そして楽しいは無限大!」

...そう, 楽しく創造することは最強であり, 楽しく創造することは正義であり, そして楽しく創造することは無限大なのです. 我々が学んだ, プログラミングという技術は, 我々に無限大の可能性を与えてくれるのです.

週末だけでも構いません. 修了者の皆さんが, Perl入学式で手に入れた, その無限大の可能性を錆びつかせないためにも. 創造する楽しさを忘れずに, あなたの手で「何か」を創り続けて下さい. 立派なプロダクトでなくても構いません. 「楽しく創造する」ということを, 実践し続ける事に意義があるのです. そうすればきっと, いつか無限の可能性が花開く日が来ると自分は信じています.

2年前, 私達は大阪から「Perl入学式」という種を撒き始めました. そして今年も, 今年度の修了者の皆さんという, 立派な種を撒くことができました. いつかその種が, 芽を出し, 自由に葉を伸ばし, そして大輪の花を咲かせる事を祈っています.


...私からの「お願い」は以上です.

最後にもう一度となりますが, 改めて修了者の皆様. 修了おめでとうございます! 修了者の皆様のこれからのご活躍を, 心から祈っております.

2014年3月31日 Perl入学式校長? papix

created at
last modified at
2014-03-31 23:54