(テーマ音楽)
冬晴れの東京湾に面した南房総。
千葉県の南西部8,900人ほどが暮らす鋸南町です
ノコギリの歯を立てたような姿の鋸山
この山の南に開けた町は冬でも肌着一枚要らないと言われるほど温暖な気候です
町では古くから漁業と農業で暮らしを立ててきました
この季節港に揚がるのは沖合の定置網で取れたスズキやヒラメです
山あいの集落からは対岸の三浦半島と富士山が見渡せます
起伏に富んだ房総丘陵を人々は切り開き温暖な土地の恵みを受けて暮らしてきました
訪れたのは1月半ば。
斜面に咲き誇るのは水仙です
甘く清らかな香り
真冬に花芽を伸ばし12月から2月にかけて小さな花を咲かせます
水仙を栽培する農家はおよそ200戸。
多い時には年間800万本を出荷してきました
代々受け継いできた山で水仙を育てています
水仙は水はけのよい傾斜地が栽培に適しています。
土に水が溜まるとすぐに葉が傷むからです
いいんじゃないですかね。
出荷するのはこれから咲く水仙。
花芽が膨らんだものです
前は水仙を切ると言わなくて水仙を刺すと言ってました。
要するに鎌のここの腹で…こう刺すわけですよね。
より丁寧な感じですね。
小さい鎌で隣の水仙を傷めないように刺すわけですよね。
町の人たちは栽培に適した場所を見つけては球根を植えてきました
冬葉を落とす落葉樹の下が理想的でした。
夏は木陰が球根を守り冬には日ざしが葉や花に注ぎます。
更に落ちた葉が土を肥やします。
長い時をかけて水仙の山へと変えていきました
いい花を切るって事は最高に気持ちがいいですよ。
悪い所の中の花を探すのはやっぱりあんまり気分のいいものじゃないですよ。
これなんか最高じゃないですか。
やっぱりいいものを愛でた方が何というかね心が安らいでいいんじゃないですかね。
一日に3,000本。
山を歩いては水仙を集める日々です
鋸南町の一帯は江戸時代から水仙の自生地として知られてきました。
日本各地の産物を紹介する浮世絵版画にも水仙の里として描かれています
本格的に栽培が始まったのは大正時代です。
開通した木更津線現在の内房線で花の仲買人や種の問屋が訪れるようになりました
その歴史を語るものが鋸山の中腹にあります
高さ31mの大仏。
日本寺です。
1,300年前に開かれました
境内には江戸時代に彫られた1,500の羅漢像が安置されています
水仙の花を手にしている新しい羅漢像がありました。
大正時代この地に栽培方法を伝えた上野の花問屋内田太郎吉をたたえたものです
野にあった花を生活の糧に変えてくれた人への感謝が込められています
水仙を栽培している馬賀忠幸さんが暮らす江月地区です
馬賀さんは毎年7万本を関東や関西の市場に出荷しています
水仙は送られた先で花開き多くが生け花などに使われます
葉は美しく4枚そろっているか。
選別作業は気を遣います
色がよく丈が高く伸びた姿が生け花で好まれる美しさです
葉先の僅かな傷も見逃しません
生け花の主役にもなれる花だから。
花より葉を生けるとよく言われますよね。
だから葉が大切。
これが要するに生命線ですからね。
やっぱりただの花では面白くないじゃないですか。
仕分けた水仙を長さごとにそろえるのは長男の仙夫さんです。
千葉の農業大学で学んだあと6年前から父親と一緒に働いています
葉の色と長さで等級が決まります。
出荷する箱の中でばらつきがあると信用に関わります
ずっといいものを出してきてそれが信用されているので自分が触る事でそういう信用とか品質なんかが損なわれないようにその辺はやっていきたいと思いますけど。
出荷できなかった水仙は家族のために使います
仏壇に供えたり居間に飾ったりいつも身近に置いてきました
こんなもんでどうだろうね。
どんな花も慈しみ大切にする心です
温暖な気候に誘われて毎年この季節にやって来る小さなお客さんがいます
蜜蜂です。
南房総は蜜蜂の越冬地として知られています
岩手県で養蜂業を営む小森満さんです
東北に雪が降り始めると南房総に巣箱を運び込み4月まで越冬させています
蜂は暖かいこの土地で花粉を集め一足早い子育てを始めます
巣箱の中では順調に幼虫が育っていました
花粉も食べるんですよね。
幼虫とかの栄養にもなるし。
うちら蜂の仕事をしてる人たちにしてみればここはもうなくてはならない所ですね。
蜂は仲間を増やし春戻った岩手で蜜を集めて飛び回ります
水仙が満開になると町は観光客で賑わいます
地元の人が公園や道路沿いに観賞用に植えてきました
早春のもてなしです
南房総の暮らしを支えてきたもう一つの花菜の花です。
鋸南町は食用の菜の花の栽培が盛んです
食用の菜の花ナバナは花が咲く前の蕾を摘んで出荷します。
お浸しやあえ物として食卓に春を届けます
山根つや子さんと夫のさん。
春から秋は米を作り冬はナバナを育てています
収穫は手間のかかる作業です
小さな蕾を探し一つ一つ鎌で切り取ります
戦後米の裏作として広がったナバナ。
今243人が栽培し全国一の生産量を誇る千葉県の主要な産地です
花が開くと商品価値がなくなるため出荷の作業は時間との闘いです
房総のナバナには見た目を大切にした出荷方法があります
主役の蕾が美しく見えるように葉は折り畳んでそろえます
木枠に並べて形を整え同じ大きさ重さになるよう手作業で束ねます
手間暇をかけて届けられる春の味です
おいしいって言ってもらうとやっぱりどんどん手が動きますよね。
春を味わってもらいたいですよね。
安心して食べるように皆さん作ってますのでね。
ナバナは一度摘んでも10日ほどで新しい芽が出て2回3回と収穫できます
つや子さんは7年前がんを患い大きな手術を受けました。
それからナバナを見る目が少し変わりました
摘んでも摘んでもまた芽を伸ばして花開こうとする姿に力をもらうと言います
たくましいですよね。
ナバナに負けられない負けちゃいけないってねナバナに思う時もありますし。
このナバナを触っていれば何か楽しくなる。
自分で楽しさに変えていけばこの仕事も楽しいかなと思って。
だからやっているんじゃないかなと思うの。
いろいろあったけどね。
収穫を終えたナバナの畑で花が開きました
やって来たのは地元の子供たちです
畑で花が咲くと農家の人たちから分けてもらいます
隣に咲く水仙も
いっぱいの花を持ち帰り家に飾ります
汗を流した畑で近所の人と花を分け合う時
(テーマ音楽)
一足早い春が始まります
(テーマ音楽)2014/02/15(土) 05:15〜05:40
NHK総合1・神戸
小さな旅「早春 花の便り〜千葉県 鋸南町〜」[字][再]
千葉県の南西部、温暖な南房総の入り口にある鋸南町(きょなんまち)。冬晴れの東京湾に、富士山が鮮やかにのぞめ、水仙や菜の花が美しい花の里。一足早い春を探す旅。
詳細情報
番組内容
千葉県の南西部、温暖な南房総の入り口にある鋸南町(きょなんまち)。冬晴れの東京湾に、富士山が鮮やかに望める。山あいの集落の暮らしを支えてきたのが、冬に花を咲かせる水仙。江戸時代から続く産地の誇りを胸に、栽培に励む。もう1つの特産が、食用の菜の花。つぼみのまま出荷して食卓に春の味を届ける。収穫の終えた畑では、黄色い鮮やかな花を咲かせ、町を彩る。故郷の暮らしを支える「花」と向きあう人々を訪ねる。
出演者
【語り】一柳亜矢子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
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