小さな旅「雪の機(はた)〜新潟県南魚沼市〜」 2014.03.15

(テーマ音楽)
江戸時代に書かれた「北越雪譜」の一説です
雪国の苦労と喜びをありのままにつづりました
ここは越後。
家を覆うほどの雪を下ろしていきます。
「雪ほり」です
木の滑り台「雪とよ」の上を落ちていきます
ろうを塗り滑りやすくした板
屋根の端まで行かずに下ろす事ができる雪国の知恵です
奥は八海山。
周囲を山々に囲まれた新潟県南魚沼市。
日本海からの湿った空気が山肌にぶつかり大量の雪を降らせます
訪れたのは2月の中旬
お〜あらあら…。
きれいだけどこう山になってるとどう進んでいいのか…。
こんにちは。
はいどうも。
結構雪が…。
今はちょっとやみましたけど今年は雪は多い方ですか?いや少ないですね。
これで少ないの?少ない。
どのくらい?例年の…。
半分ぐらいじゃないでしょうかね。
あの棒白と黒の。
あの上が黒。
あれが雪の目安?そうですそうです。
あの黒までいっちゃいますよね。
黒までいくの?ええ。
もっと雪は当然…。
まだあります。
見えなくなっちゃうんだ?なります。
じゃあまだまだいいほうね。

山の中腹。
南魚沼でも雪深い集落栃窪です。
56世帯が暮らしています
昭和30年代まで男たちは冬場出稼ぎに行き女たちは内職をして家を守りました
冬の手仕事に今もいそしんでいる人がいます
栃窪で生まれ育った笛木スイさん。
着物を織る糸を作ってきました
南魚沼に伝わる麻織物の糸作り「苧績み」です
丈夫な繊維が取れる植物苧麻の茎を細く裂いてより合わせ糸にしていきます
苧麻は乾燥するとよりにくくなるため湿度の高い雪国の仕事に適しています
この糸作りで一番難しいのは何?どこが難しい?この裂くの?裂くのも難しいけどよるのも難しいの。
これほら合わして…。
ここをこういうふうによって…よっていく。
それでこっちによりつけるんですって。
それでつながっちゃうの?つながっちゃうの。
えぇっ!?
僅かな糸のムラが反物の質に影響します。
毛筋ほどに太さをそろえる地道な作業です
まあいっぱいだからこれみんな細く裂いてするには大変だなぁなんて思うの。
じゃあいい糸が出来ないといい布は出来ないんだ?そうだね。
そっから始まるんだもんなぁ。
やっぱり癖になってるさね。
手をこう指を動かすあれになるね。

江戸時代にベストセラーになった「北越雪譜」著者の鈴木牧之は南魚沼の織物問屋に生まれました
商いで江戸を訪れた際雪を珍しがる人々に驚き雪国の苦労と喜びを知らせたいと書きました
詳しく描いたのが「越後縮」。
今は「越後上布」としても知られる麻織物です
薄くて軽い越後上布。
当時一反織れば南魚沼の米農家の年収の半分ほどになりました
越後上布の美しさにひかれ織り子になった人がいます
石神雅子さんです。
12年前に新潟市から南魚沼に移り住みました
いってらっしゃい。
(2人)いってきます。
防寒着で向かうのは静かに機を織る仕事場です
(機の音)
足で糸の高さを変え腰で微妙に糸を引っ張って織る「地機」
一日8時間座り続けます
先染めした糸で織っていきます
染めの位置を細かく合わせ繊細な模様を生み出します
麻糸は乾燥すると切れやすくなります
湿度を保つため暖房はつけません
寒いですね〜。
何℃ですか?ここは。
ここは…う〜んと…。
今は0℃かな。
0℃。
吐く息が白いもの。
じゃあいつもこの格好ですか?そうですね。
朝は大体冬はマイナス2℃とかマイナス4℃ぐらいで。
まだ暖かいんだこれ。
まだ暖かいです。
かなり暖かいです。
はぁ〜。
デザイナーを夢みて専門学校で学んでいた石神さん。
多くの布に触れる中で素朴な深みを持つ越後上布に魅せられました。
29歳で南魚沼に移り住み結婚しました
一日に織る事ができるのは10cmほどです
雪中に織る冬の日々です
楽しい。
こんなにしばれる寒くても?ああそれね…。
しばれる寒いけどでも好きですね。
このキンと冷たい所で気温の低くて湿度が高い所で織ると糸がピンと張って…糸が威張ってというか糸の方が威張っていい機が…いい織物が出来上がるんだと思います。
町の南部にそびえる巻機山です。
頂で天女が機を織り機の神が宿ると言い伝えられてきました
その麓の神社にかつて織り子たちは腕の上達を祈願し布の一部を奉納しました
全部で24点…。
奉納された布が残っています
いやぁ見事なものですね。
「奉納幟」です
反物に使った糸をほんの少し取っておき願いを込めて織りました
これは…ここに書いてある。
安政5年で…。
この「細矢おりよ」さん。
う〜んおりよさんっていかにも…。
ほんとにそうです。
織物のおりよさんというような。
神社の鳥居をあしらい「機織りがうまくなるように」との願い
紅葉や鶴の模様などさまざまな技を身につけられた事への感謝
社殿に掛けられた奉納幟は多くの人の目を引き付けました
腕のいい織り子には仕事や嫁ぎ先が紹介された事もあったといいます
機神が宿る巻機山の山伏です。
夏は山で修行し冬は里で祈とうを行います
(ほら貝の音)
(錫杖の音)
年明けから雪解けまで集落の200軒を回ります
(祈とう)
人々は「良い布が織れますように」「良い米が作れますように」と祈ります
女性たちが集まってきました
麻糸を績む笛木スイさんのお宅です
かつては機織りをしていた女性たち。
年を重ね機をやめても織物に関わっていたいと苧績みを続けています
互いの手先を見せ合う事で技術を伝えていきます
若い世代にも…
もうちょっと真ん中?いやそんなに…ここでいいよ。
ここでいいんですよね?うんここでいい。
ちょっとほらぬらしててさ。
乾くとやっぱり…。
それでいいよ。
あら上手。
ありがとうございます。
男たちが出稼ぎに行っていた時代機仕事の合間に集まるのが楽しみでした
支え合い乗り越えてきた冬の営みです
ただいま!おかえり。
ただいま。
近くのスキー場で遊んでいた孫たちが帰ってきました
(三郎)いただきます。
(一同)いただきます。
スイさんは三男の三郎さん夫婦と2人の孫と暮らしています
50歳で夫を亡くしたあとは苧績みをしながら工事現場やスキー場で働き暮らしを立ててきました
「外に出られなくなっても手を動かし働き続けたい」スイさんの思いです
長生きする。
して困るかもしれないけど。
(笑い声)でも一生と大生が中学卒業するまでな頑張らなくっちゃ。

織り上がった越後上布が完成間近でした
布を仕上げるさらし職人古藤政雄さん
水で洗った布を雪の田んぼに敷き漂白させます
「雪さらし」です。
雪が解け汚れと共に蒸発し模様を際立たせます
越後上布は晴れ間が出るごとにさらし5日ほどで仕上がります
はいこんにちは。
(笛木)はいお願いします。
笛木スイさんの元に織物会社の人が訪ねてきました
績み上げた麻糸を受け取るためです
宝物のように丁寧にはかりに
420gだね。
ああそう。
大変だったねこれ作るまでは。
少しずつふた冬かけました
これが次の苧麻ですのでこれでひとつ頑張ってくんないかね。
頑張ります。
それで…非常に裂けがいいと思うから。
この苧麻が。
いい色だね。

(テーマ音楽)
雪と折り合い雪にほほ笑む冬です

(テーマ音楽)2014/03/15(土) 05:15〜05:40
NHK総合1・神戸
小さな旅「雪の機(はた)〜新潟県南魚沼市〜」[字]

豪雪の新潟県南魚沼市。麻織物「越後上布」を受け継ぐ若い主婦。麻糸をつなぐ「苧績み(おうみ)」にいそしむ女性。「雪ほり」などの風景と共に、暮らしの輝きに触れる旅。

詳細情報
番組内容
豪雪の新潟県南魚沼市。深い雪が生む湿気の中で織る麻織物「越後上布」は、越後の女性が継いでいく伝統の技だ。一方、材料の麻糸をつなぐ「苧績み(おうみ)」をするのは、86歳の女性。女性たちの傍らには、機の神が宿るという「巻機山」がそびえる。越後上布を漂白する「雪晒し」や、江戸時代の書物「北越雪譜」にもつづられた「雪ほり」などの風景とともに、雪国の暮らしの輝きに触れる旅。
出演者
【語り】国井雅比古

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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