4白熱教室海外版アンコール MIT白熱教室(6)「音に秘められた驚きのパワー」 2014.03.14

僕たちが通うアメリカマサチューセッツ工科大学。
通称MIT。
世界最高峰の理系の大学として知られこれまでデジタル暗号や遺伝子工学など新しいテクノロジーを次々に世に送り出してきました。
科学を学ぶ最先端の環境に身を置き僕たちは日夜世界を変えるイノベーションに挑んでいます。
このMITで46年にわたって物理学の基礎を教えるのが…この講義を受け世界の見方が変わったと学生たちは言います。
この地球を支配する物理の美しさを知るのです。
難しい法則や公式もルーウィン教授の手にかかれば奇想天外抱腹絶倒のエンターテインメントに生まれ変わります。
ルーウィン教授は今回番組のために全8回の特別講義を新たに用意しました。
MITの学生だけでなく地元の市民にも開放し初心者にも分かりやすく物理学の魅力を伝えます。
この講義で物理を学べば世界がこれまでと全く違って見えてくるはずだ。
それは人生をより豊かなものにしてくれるだろう。
これまでは疑問にも思わなかった事を君たちは物理学の問題として考えるようになる。
今回の講義のテーマは…音を出すだけで物体を破壊する実験でその驚くべきパワーの秘密を解き明かします。
(拍手)サンキュー。
物体を振ったり揺すったりするとその物体が示す反応は「振動数」で表す事ができる。
物理学では「振動数」の単位は「Hz」だ。
1Hzとは1秒間に1回振動する事を意味する。
だから100Hzは毎秒100回振動する事だ。
今日はこの「Hz」という言葉も100回以上は聞く事になる。
ある物体にある特定の振動数を与えるととても強く反応する。
それを「共振」あるいは「共鳴」と呼ぶ。
まずは縄跳びのようなひもで考えてみよう。
ひもはピンと張って端を固定する。
これをほんのちょっとだけ振ってみる。
そして徐々に振動する回数を増やしていく。
最初低い振動数ではひもは全く反応しない。
しかしある振動数を与えた途端ひもは突然力強く振れる。
あとで実際に見せるがひもは大きく上がって大きく下がって上がって下がってを繰り返す。
これが「基本振動f」だ。
ひもが共振する最小の振動数だ。
では更に振動数を上げるとどうなるか。
するとひもは共振しなくなる。
ひもの端は固定したままだ。
振動数を更に上げると突然ひもは再び共振する。
そして変わった事が起こる。
ひものこの部分は大きく上がってここは全く動かずそしてここは大きく下がる。
ひもはこんな動きをする。
この動かない点を「節」と呼ぶ。
この時の振動を「2倍振動f」と呼ぶ。
そしてfはf基本振動数のちょうど2倍の振動数だ。
「基本振動数」は「基本周波数」とも呼ぶ。
「振動数」と「周波数」はどちらも1秒当たりに振動する回数の事だ。
更にもう少し速く振るとどうなるか。
最初はやはり反応しない。
でももう何が起こるか予想できるはずだ。
ひもはある時突然に強い反応を示す。
こことここに「節」ができる。
するとここは上に上がりここは下がりこの部分は上がりここで終わる。
これが「3倍振動」の「f」だ。
そして振動数は基本振動数fの3倍だ。
では実演してみせよう。
ここにひもがある。
これで基本振動2倍振動3倍振動を見せる事ができるはずだ。
ひょっとするともっといけるかもしれない。
まずアシスタントが必要だ。
ひもを持って手を離さないでいられるという人は?君がよさそうだ。
名前は?サラです。
サラ。
ではここに立って。
手は動かさないで。
君は固定された点で動いてよいのは私だけだ。
分かりました。
手は絶対に離さないで。
ではひもをピンと張ろう。
まずは低い振動数からだ。
ほらとてもゆっくりだ。
ひもは反応しない。
私が夢に見たとおりだ。
(笑い声)では少し速くしてみよう。
ほらほら。
これが基本振動だ。
はっきりと分かるね。
これがひもが共振する振動数のうち一番低いものだ。
もう少し速くしてみよう。
これは2倍あるいはもう3倍かな?2倍だね。
真ん中の動かない節は1つだけか?節が1つだけなら2倍振動だ。
とても気持ちよく共振している。
手をほんの少ししか動かしていないのにひもが大きく振れているのが分かるだろう。
では3倍振動もできるかやってみよう。
これでどうだ?いやまだ共振に至ってない。
もうちょっとひもを張ってみよう。
これでどうだ?これは3倍振動か?4だって?
(笑い)1つサービスだ。
(笑い)ではこれから私の限界に挑戦してみせよう。
何倍振動までいく事ができたか数えてほしい。
真ん中に節が2つ見えたら3倍だ。
節が4つ見えたら5倍だ。
理屈は分かるね。
節を数えるんだ。
さあ私の腕の限界に挑戦だ!ほら共振だ!数えて!数えて!早く!ではいくつ見えたかな?6?私には13くらいに見えたんだが。
(笑い)どんな物体にも反応して激しい揺れを起こす固有の振動数があります。
この振動数の求め方は後ほどルーウィン教授が詳しく説明しますが重要なのはその振動数とピッタリ合った振動を与えた時物体が共振する事です。
共振する最も小さい振動数を基本振動と呼び物体はその倍数でも共振します。
例えば基本振動数が50Hzであれば…同じ実験をこれを使ってやってみよう。
これはゴム製のひもでピンと張ってある。
今度は端を機械に取り付けて動かすと先ほどと同じような現象が見られる。
振動数は大体47Hzだ。
スイッチを入れると3倍振動になって共振する設定だ。
では試してみよう。
ほらとてもはっきりしている。
3倍振動だ。
でも速くてうまく目で捉える事ができない。
だからストロボを使って見よう。
ストロボのタイミングはひもの振動数と少しずらしてある。
だから君たちはひもの動きをスローモーションでゆっくり見る事ができるはずだ。
ではストロボをつけよう。
ちょっと実験に一工夫してみよう。
ほらこうすると赤い糸のように見えないか。
どうだ。
少しロマンチックだろう。
(笑い)これで共振が分かったと思う。
(拍手)ひもが共振する固有振動数は3つの要素で決まる。
まずは「張力」。
これは大文字の「T」で表す。
ひもを引っ張る力だ。
そしてひもの長さ。
更にひもの質量だ。
質量は重さだと考えてもらっていい。
張力を上げると固有振動数は高くなる。
ひもの長さを短くしても固有振動数は上がる。
質量を小さくしても固有振動数は上がる。
これは楽器の設計にとって非常に重要な事だ。
娘のエマを覚えているだろうか。
前回冬の寒い日に泣きながら虹を作る彼女の写真を見せた。
エマが4歳の時手作りの楽器をプレゼントしてくれた。
これだ。
このひもの長さを変える事はできない。
質量も一定だ。
変えられない。
彼女はひもをある入れ物に取り付けた。
フライドチキンが入っていた入れ物だ。
(笑い)このひもをはじくとひもの固有振動数を音で聞く事ができる。
ひもを引っ張ると音は高くなる。
大きな音ではないがきっと聞こえるだろう。
張力を変えながら弾く。
変えられるのは張力だけだ。
これで仕組みが分かっただろうか。
この楽器の場合変える事ができるのは張力だけだ。
一方バイオリンには4本の弦がある。
4本とも異なる質量を持つ。
そして張力も4本とも違う。
長さだけはほぼ同じだ。
弦の張り具合は自分で調節できる。
そうやって音を変える事ができる。
バイオリンの演奏は指で弦を押さえてその位置を変える事で弦を長くしたり短くしたりして行っている。
グランドピアノには230本の弦がある。
しかし鍵盤は88個しかない。
だからほとんどの鍵盤には1本以上の弦が対応している。
大体3本の弦だ。
これらの弦の長さは異なり張力も異なり質量も異なる。
ちなみに大きなグランドピアノでは全ての弦の張力を合わせると30tにもなるらしい。
そうしたピアノは30tもの張力を支えられるように頑丈に作られているのだ。
ピアノは音を27Hzから4,200Hzつまりおよそ7オクターブ分鳴らす事ができる。
君たちの耳はもし若ければの話だが一般に耳は20Hzから2万Hzまで聞く事ができる。
しかし年を取ると高い周波数が聞こえなくなる。
私はもう5,000Hz以上は聞く事ができない。
しかしピアノは27から4,200Hzまでを出すのでそれは私の耳にもとても聞きやすい音だ。
面白い事を教えよう。
バイオリンの弓で弦を打つと自然と固有振動数で弦を振動させる事ができる。
とても驚くべき事だ。
弦を指ではじいても同じだ。
エマが作った楽器を指ではじいた時も固有振動数の音が鳴った。
ハンマーのようなもので弦をたたいても同じだ。
ピアノの鍵盤を押すと中のハンマーが弦をたたいて固有振動数で鳴らす。
だから最初のひものように基本振動を求めて試行錯誤する必要はない。
自然とそうなる。
管楽器の場合は「気柱」と呼ばれる棒状の空気が共鳴を起こす。
弦や楽器自体ではなく中の空気が共鳴して音が鳴るのだ。
そして楽器ごとの方法で息を吹き込むといろいろな共鳴が起こる。
多くの管楽器は両端が開かれている。
その場合共鳴する固有振動数は…nが1の場合は基本振動だ。
nが2なら2倍振動だ。
3倍振動なら3というわけだ。
νは楽器の中の気体を伝わる音の速さだ。
大抵の場合中は空気だ。
だからνはおよそ秒速340mだ。
ただし気温によっては多少異なる。
Lは長さ。
単位はm。
それほど難しい計算ではない。
長さが長い楽器の場合固有振動数が低くなるのがこの式から分かるはずだ。
あるいはフルートのように短かければ固有振動数は高くなる。
この式の意味が分かれば納得いくはずだ。
片側が閉じている管楽器の場合は少し違った式が必要だ。
そもそも管楽器の場合は管の形が重要になってくる。
その楽器がラッパ型なのかあるいは筒型かが問題だ。
そして片側が閉じている楽器例えばクラリネットのようなものの場合は基本振動を計算で求めるのが難しい。
私の本を持っている人はその中で詳しく楽器の仕組みについて解説してあるのでぜひ読んでみるといい。
本をまだ買っていない人は一体何をモタモタしているんだ?
(笑い)では慣れるためにこの式を使っていくつか計算してみよう。
長さ「L」を1mだとしよう。
例えばパイプオルガンを想像すればよい。
筒型でLは1mだ。
すると式によれば…基本振動は170Hzだ。
となるとfは2倍の340Hzだ。
このように原理が分かれば固有振動数を求め共鳴させるための値が計算できる。
ちなみに世の中には長さ19.5mものパイプオルガンがある。
6階建ての構造で基本振動数は8.7Hz。
だから人間には聞こえない。
耳は20Hzからしか聞こえないからだ。
なぜそんな楽器を作ったのかさっぱり理解できない。
(笑い)では木管楽器の仕組みを実演してみせよう。
これは原理的にはフルートと一緒だ。
2つの穴を塞ぐと楽器の長さはこれだけになる。
この長さの場合の基本振動で鳴る。
指を1本離すと長さは短くなり基本振動数は上がる。
指を全部離すと更に短くなる。
では3つの基本振動の差をお聞かせしよう。
まずは一番低いやつだ。
では次。
そして3つ目。
誤解しないでほしいが今聞かせたのは2倍振動3倍振動ではない。
それぞれが別の基本振動だ。
なぜなら楽器の長さを毎回変えているからだ。
そして原理が理解できればきっと演奏だってうまくできる。

(拍手)長さが重要である事が分かる別の例もお見せしよう。
物理学者にとってこれは立派なトロンボーンだ。
中は当然空気で満たされている。
こうすると筒はこれだけの長さになる。
基本振動はこんな感じだ。
短くすれば振動数つまり周波数は高くなる。
すると音が高くなる。
この原理さえ分かれば音楽家になれるはずだ。
もちろんプロではないが。
(笑い)
(「ジングルベル」)
(拍手)何の曲だか分かっただけでもうれしいね。
(笑い)さてこれも楽器の一種だ。
長さ91cmだ。
という事はこの式を使って基本振動を計算で求める事ができる。
それはおよそ187Hzだ。
計算すれば2倍振動はおよそ373Hzだという事も分かる。
このチューブをゆっくり回すと2倍振動を得る事ができる。
実は基本振動はなぜかこれまで一度も成功した試しがないがそれはおよそ187Hzだ。
しかしいつも373Hzの2倍振動から聞こえる。
もっと速く回すと3倍振動で音が鳴る。
うまくいけば4倍まで出せるかもしれない。
あるいは今日は大勢の観客の前で張り切って5倍までいけるかもしれない。
まあ約束はしないが。
これが373Hzだ。
2倍振動だ。
(拍手)弦楽器には必ず「共鳴板」が必要だ。
この音叉で説明しよう。
音叉は440Hzでピアノの真ん中のラの音を出すように作られている。
しかし音叉をただたたいても君たちには音は聞こえないし私にも聞こえない。
音は圧力波だ。
音は空気を押したり引いたりする事で聞こえる。
しかしこの音叉の表面積はとても小さい。
空気と触れる面積が小さいので限られた量の空気しか振動させられない。
しかしここに置いた途端によく聞こえるようになる。
理由を説明しよう。
置いた事でこのテーブルの表面が440Hzで振動するようになったからだ。
テーブルの表面はとても広いので多くの空気に振動が伝わる。
これが共鳴板の機能だ。
例えばバイオリンも同じだ。
ポーリーン見せてくれないか?バイオリンは楽器本体が共鳴板になっている。
ピアノにだって共鳴板があるしどんな弦楽器にも共鳴板がある。
ちなみにエマの楽器の場合はこれだ。
ここに何年も前に買ったオルゴールがある。
小さな金属の筒が回転し音が出る仕掛けだ。
でも音が小さすぎて聞こえないだろう。
私にだって聞こえない。
ところが共鳴板を与えてあげると…。
これで共鳴板がどれだけ重要か分かっただろうか?それに比べると音叉は退屈だ。
音叉は大切な役割を果たすが440Hzに調整された音叉をいくら鳴らしても440Hzの音しか出さない。
「倍音」というものがない。
倍音とは基本振動の整数倍の振動数を持つ音だ。
楽器は同時に複数の固有振動数で共鳴する。
つまり倍音を出すんだ。
これが楽器それぞれの音色が異なる秘密だ。
いわば楽器ごとの指紋のようなものだ。
ある音を演奏する時どのような倍音を生み出すか。
それは楽器ごとに異なりその違いによって私たちは楽器を聞き分けている。
それをこれから目で確認してみよう。
ここにマイクがある。
そしてオシロスコープだ。
上のスクリーンにオシロスコープの波形を映し出す。
まずは音叉が出す440Hzの波形を見てみよう。
そのあとでそれぞれ違う楽器を持った演奏家に登場してもらう。
そして440Hzの音を実際に演奏してもらおう。
するとそれぞれの楽器が440Hzと同時に倍音も出す事が分かるはずだ。
さてさっきからオシロスコープが私のおしゃべりに振り回されているので少し黙るとしよう。
この形をよく覚えていてほしい。
これが440Hzだ。
これから楽器を演奏するがオシロスコープの設定は同じにしておく。
波形の山同士が近づけばそれは周波数がより高いという事だ。
山がそれぞれ離れていれば周波数が低い事を意味する。
例えばもし4,400Hzだとしたら波の山の間隔は10分の1になるという事だ。
ではもう一度音叉の周波数を確認しよう。
この波形をよく覚えていてほしい。
音叉は基準音である440Hz。
つまりピアノの真ん中のラの音を出すように作られています。
どの楽器もこのラの音を出す事はできますがその時440Hzだけではなく…この複雑さが楽器ごとの音色の違いとなります。
これから楽器が出す音を目に見える波形で表し同じ高さのラの音でもどれほど異なるかを実験します。
では音楽家の諸君出番だ!どうした。
前に出てきて。
そうこっちに来て。
最初はショージだ。
クラリネットを演奏してくれる。
まずは音叉と同じ440Hzだ。
そのあとは全員30秒ずつ好きなものを演奏してよい。
ではショージ君からだ。
この楽器の倍音が分かっただろうか?もう一度やってみよう。
440Hzだ。
音叉の波形とはちょっと違う。
ではあとは好きにやってくれ。

(拍手)次のポーリーンは実は私の娘だ。
でも無理に頼んだわけではない。
彼女から言いだした事だ。
彼女が言うには「お父さん覚えてないの?40年前私がまだ11歳の時お父さんが初めて音と楽器について講義した時だって私がバイオリンを弾いてあげたのよ」と。
だから彼女がまた弾いてくれるのはとてもうれしい。
さあ40年でどれだけ上達しただろうか?
(拍手)ポーリーン440Hzだ。
本当に440Hz?もちろんよ。
ほら。
ならいい。
ではもう一度やってみて。
倍音があまりにも強いので440Hzがほとんど分からない。
これがバイオリンの音色の特徴でありいわば指紋だ。
ではお手並み拝見といこう。
上出来だ!
(拍手)随分うまくなったね。
(笑い)それでは次はデボンのエレキギターだ。
まずは440Hzを披露してもらおう。
恥をかかせるつもりはなかったんだがこうなるのは分かっていた。
このエレキギターでは440Hzを確認する事ができない。
だからもう忘れて何か弾いてくれ。
(笑い)
(拍手)最後はモリーがファゴットを演奏してくれる。
この楽器の長さは…2.5mだ。
つまりLが2.5mだ。
この長さにここの長さを足すからだ。
これを式で計算すれば彼女の楽器の基本振動が60Hzである事が分かる。
では始めて。
440Hzよりちょっと高いな。
4つ以上山が見える。
続けて。
大丈夫君のせいじゃない。
そこだ!バイオリンと同じように倍音がとても強くて支配的だ。
それがこの楽器の個性というべき特徴だ。
では何か演奏してくれ。

(拍手)音色の特徴が分かっただろうか?この楽器の長さは2.5mもある。
だからこの楽器は440Hzの音程を出したくない。
もっと低い周波数を出したがるのだ。
彼女の曲を聴いたね?とても低い音色だったのが分かったかな?それはファゴットがあんなに大きいからだ。
楽器はそれぞれ異なる周波数で共鳴しそれが音色の違いとなっていました。
この共鳴という現象は時として恐るべき破壊力を発揮します。
次は音に秘められたパワーに迫ります。
全てのものは共振する特定の振動数を持っている。
古い車を運転しているとしよう。
ある時エンジンの回転が共振を起こしてガタガタというのが聞こえるはずだ。
とても不愉快な音だ。
でも少しスピードを落とすかあるいは逆に上げれば共振は止まる。
古い車ならガタガタと音がする理由は他にもいろいろあるかもしれないがね。
人間の体全体にも共振する振動数がある。
腕だって固有の振動数を持つ。
足にだってある。
病院にあるMRI装置の「R」は「共振」という単語の頭文字だ。
共振がなければ機能しない。
ちなみに恋愛は心の共振だ。
人に何かを言われてひどく取り乱した経験はないだろうか?それは君の神経に共振したんだ。
さてここにワイングラスがある。
これもいくつかの固有の振動数を持っている。
それを一つお見せしよう。
ただその前に手についたチョークの粉をとる必要があるな。
さあこれからグラスの縁を指でこすってみよう。
これはグラスの中の空気が共鳴しているのだと考える人もいるかもしれないがそうではない。
管楽器とは違う。
この場合はグラス自身が共鳴しているのだ。
それはあとで証明してみせよう。
ではこれからこのグラスの基本振動を聞いてもらおう。
聞こえるかい?偶然だがこれは440Hzに近い。
目で見る事は難しいがグラスは毎秒400回このような振動をしている。
それが音の源だ。
ここに金属性の特別な筒がある。
上下が開いて筒になっている。
1.5mの長さだ。
そして基本振動数は113Hzだ。
計算で求める事ができる。
この筒の内側には銅でできた金網が入っている。
ありがとう。
重いだろう?さて手を突っ込むと金網に触れる事ができる。
あった。
この辺りだ。
中には金網だけだ。
他には何もない空洞だ。
ではこれからその金網を熱してみる。
十分に加熱して火を止めると冷えながら全体が共鳴する。
どうしてかは神様にでも聞いてくれ。
実際は共鳴する理由は既に解き明かされていてこれは「レイケ管」と呼ばれる実験装置だ。
では次はここにある長方形の金属板に注目してほしい。
中心で支えて浮かせてある。
だから周辺の部分は自由に動く。
中心は振動を加える機械とつながっている。
講義の最初に見たひもはいわば一次元のものだ。
だからひもにできる節は点だった。
しかしこの金属板を共振させると節は点ではなく線になって現れる。
振動する板の表面に静止した線ができるのだ。
それを見るのがこの実験装置だ。
まず表面に粉をまく。
それから金属板に振動を加える。
振動数をいろいろに変えながら共振する振動を探すんだ。
共振して金属板が激しく動くと粉は振り払われ静止している節にだけたまっていく。
それで節の線を見る事ができるのだ。
ではちょっと試してみよう。
おっともう共振だ。
いきなり始まるとは思っていなかった…。
見てくれ今共振している。
この線が節だ。
では振動数をもっと高くしてみよう。
ほら!この模様は面白い!エンジニアというのはこうした複雑な共振を計算しながらものを設計しなくてはいけないから大変だ。
幸い物理学者は楽をさせてもらっている。
(笑い)金属板は四角ではなく丸でもかまわない。
ただ四角と丸では異なる固有振動を持ち異なる線ができる。
三角形の板でも可能だ。
ただ私の経験上四角い板が一番きれいで面白い模様ができる。
共振は時として非常に強く激しい反応を示し破壊的な結果を招く事さえある。
その最たる例として有名なのは1940年シアトル近郊のタコマ・ナローズ橋の崩落事故だ。
風の強い日ではあったが大嵐というわけではない。
風速およそ18mだ。
しかし明らかな設計ミスが災いし橋は風で共振を始めた。
それが原因でついには破壊されてしまったのだ。
これからその有名な映像をお見せしよう。
この映像を学校で見た人もいるかもしれない。
しかし何度見ても風でこんな事が起こるとは驚きだ。
楽器と同じ原理だ。
橋そのものが風で共振をしてしまったのだ。
では始めよう。
「タコマ・ナローズ橋は世界で最も長いつり橋の一つでした。
そして設計者が何かを見落としてさえいなければ今でも恐らくその地位を守っていた事でしょう。
とはいえ当初から設計がいいかげんだったわけではありません。
実際細心の注意が払われて建設されました。
しかし仕上げのどこかの段階で重要な事が見落とされていたのです。
それは共振の持つ破壊力です」。
「橋が完成する前から人々はその奇妙な特徴に気付いていました。
大した事ない風でも大きく揺れ橋が波打つのです。
橋が結ぶシアトルとタコマはスポーツ好きで知られる街です。
当時地元で人気のスポーツは風の強い日にこの橋を渡る事でした。
まるで遊園地の乗り物のようだと喜ぶ人もいれば突然目の前の車が姿を消す事に戸惑う人もいたようです。
しかしこのスポーツがどこまで人気を広める事ができたか今となっては知りようもありません」。
「その日風は風速およそ18mで吹いていました。
その時新たな事態が訪れました。
橋が波打つだけではなくねじれ始めたのです。
風速18mは警戒するほどの強風とは言えません。
それでもこの風をきっかけに橋は共振を起こし激しくねじれたのです。
そして午前11時橋は崩落したのです」。
では明かりをつけてくれ。
例えば人間でも特定の音程を大きな声で出せばワイングラスを割る事ができるという話を聞いた事はないだろうか?私は作り話だと思うがインターネットでそうした動画を見つける事もできる。
どれもうさんくさいが…。
(笑い)しかし考え方自体はとても面白い。
先ほど私はワイングラスをこすって共振させた。
その時の周波数で十分に音量を上げたらグラスは強く反応しやがては粉々に割れる事も可能だという事だ。
この事をMITのある教授は大学院生だった頃に実際に実験した。
ワイングラスを音で割る装置を開発したのだ。
それが今もここに残されている。
というわけでその装置で実験してみたいと思う。
ストロボでワイングラスを固有振動数とは少しずらした周波数で照らす。
そうするとワイングラスの変形をスローモーションで見る事ができる。
重要なのは完全に共振させる事。
そして音量は非常に大きい事。
近くに座っている人たちは注意してくれ。
音が大きいから耳が痛くなるかもしれない。
それでも音量をどんなに耐えがたいほど大きくしても完全に共振しなければグラスは割れない。
その瞬間がいつ訪れるかはやってみないと分からない。
でもとにかくやってみよう。
では音をこのスピーカーから出してみよう。
まだ音量は抑えてある。
この周波数はワイングラスの固有振動数に近づけてある。
でもまだ割れそうにない。
はじめにグラスが変形するのがゆっくりと見えるはずだ。
ではちょうど共振するようにやってみよう。
どうだろうか。
そろそろかな。
さあ注目だ。
実際に割れるかどうかはやってのお楽しみだ。
(ワイングラスが割れる音)
(拍手)私が発する声も基本的には管楽器と同じように考える事ができる。
私のここに空洞がある。
この中の空気が私の声帯の振動に共鳴する。
それが私特有の声をつくり出している。
この声はウォルター・ルーウィンのものだ。
間違いない。
声は秒速340mで伝わっていく。
なぜなら私の気道は空気で満たされているからだ。
ところがもしそれがヘリウムなら音は空気よりも3倍速く伝わる。
すると私の声の周波数も3倍に上がる。
そうするともう誰だか分からなくなる。
(笑い)ではやってみよう。
ヘリウムガスを用意してある。
ちなみにこの中には酸素が全く含まれていない。
だから前やった時は危うく倒れそうになってしまった。
(拍手)2014/03/14(金) 23:00〜23:55
NHKEテレ1大阪
白熱教室海外版アンコール MIT白熱教室(6)「音に秘められた驚きのパワー」[二][字]

今回取り上げるのは、音。音とは物体の振動が波となって空気中を伝わり、耳に届くものです。この原理を教授が、学生達とさまざまな楽器を演奏しながら、解き明かします。

詳細情報
番組内容
ルーウィン教授が今回取り上げるのは「音」。音とは、物体の振動が波となって空気中を伝わり、耳に届くものだ。この原理を教授が、学生とさまざまな楽器を演奏しながら、わかりやすく解説する。音が引き起こす物理現象の1つ「共鳴」。ガラスを割り、橋を崩落させるほどの巨大な破壊力を発揮するこの現象を教室で再現し、音に秘められた驚きのパワーを明らかにする。
出演者
【出演】マサチューセッツ工科大学教授…ウォルター・ルーウィン

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
趣味/教育 – 大学生・受験
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
英語
サンプリングレート : 48kHz

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