(ジェイミー・オリヴァー)仕事柄僕は世界中のおいしいものに触れています。
なのに自分の国ではまだ探し当てていません。
イギリスには多様な人々が住み背景となる文化も食べている物もさまざまです。
そこでイギリスの人気シェフジェイミー・オリヴァーが彼オリジナルの伝統料理を作るためレシピのアイデアを求めて旅をします。
イギリスの家庭料理の今とその料理の背後にある歴史を知りたいんです。
実はイギリスの伝統料理の多くはよその国からやって来たものでした。
マーマレードはどこの家庭にもあるイギリス人が大好きな食材です。
でもマーマレードという言葉はポルトガル語の「マーマラーダ」というジャムの一種から来ています。
それに材料のオレンジもイギリス産じゃない。
元はと言えば中国から入ってきたものです。
外国からやって来た人々と文化はイギリスの食生活を激変させました。
この国に移り住んだ全ての人たちがイギリスの新たな料理文化を切り開いているんです。
型にはまらない事こそがイギリス料理の魅力かもしれません。
イギリス人はよそからいいものを取り入れるのが得意なんです。
僕もレシピのアイデアを探しに出かけます。
うわっうまそう。
人気シェフジェイミー・オリヴァー。
彼はキッチン付きの車でどこへでも出かけていきます。
車の中はまるでイギリスのパブのよう。
気に入った場所で車を止めたら旅先で知り合った友人を招いて料理を囲む事ができます。
彼が向かったのはイギリスのちょうど真ん中辺り緑豊かなヨークシャー地方です。
ヨークシャー地方は牛肉料理やビールが有名ですがその他にもこの土地の歴史が育んだ豊かな食の物語が潜んでいます。
産業革命が進んだ19世紀地方の暮らしは大きく変わりました。
ここにはヨーロッパやアジアからの移住者がたくさん住み独特の食文化を発展させてきました。
ヨークシャーに来たからにはヨークシャー・プディングについても紹介しなくちゃね。
彼が最初にやって来たのはヒースという小さな町のパブです。
おおこれだ!はじめまして。
これがヨークシャー流の前菜ですね。
うん。
ああうまい!ヨークシャー・プディングにタマネギのグレービーソースがかかっています。
いわゆる質素な料理の代表みたいにいわれてますよね。
昔は肉を焼いた汁を添えていました。
暖炉で焼いた肉の?ええ。
肉からたれる汁を皿に取ってプディングを添えて出したんです。
肉料理を食べる前の腹のたまる前菜としてね。
いい味です。
ヨークシャー・プディングにグレービーを添えるのは家庭的でいい前菜ですよね。
おばあちゃんのプディングは?こんなに大きかった。
生地は手作りで?これくらいのボウルに小麦粉と水を入れて。
卵と牛乳と…。
塩コショウして手早く混ぜる。
熱いトレーに載せて。
オーブンの中へ。
中に入れて扉を閉じたら焼き上がるまでどのくらいですか?30分かな。
オーブンの中で膨れるでしょう。
ええ上にくっついてた。
扉を開けたら…。
大きすぎて出せない。
ヨークシャーの名物料理の伝統は今も受け継がれていました。
ヨークシャー地方のもう一つの顔といえば織物産業です。
産業革命が進んだ1850年代織物産業は急成長し海外からも膨大な数の工場労働者がやって来ました。
そうした新しい住民によってこの地方に新しい食文化が生まれたのです。
ジェイミーは織物産業で栄えた街の一つリーズを訪ねました。
リーズの街ではかつてほとんどの住民が織物という産業に関わりながら生活していたんです。
遠い国から来た人たちはそれまでこの街になかった多彩な味を持ち込みました。
実に刺激的。
人々とともに新しい料理が続々とやって来たんです。
僕たちが今イギリス的だと思っているものの一部は世界中の国々からやって来たんです。
そしてそれらがイギリスを輝かしい国にしてくれたんです。
1880年代ヨーロッパ大陸からたくさんのユダヤ系の人々がやって来ました。
優秀な職人が多く大半が仕立て屋の仕事をしていたといいます。
リーズの街ではユダヤ系の人々が急激に増えこの町のライフスタイルにもさまざまな影響を与えたはずです。
産業革命の時代ユダヤ系の人々はこの町にどんな料理をもたらしたのでしょうか。
そこに新しいレシピのヒントがあるかもしれません。
この街には今も何千人ものユダヤ系住民が暮らしています。
ジェイミーが訪ねたのはドーリーとサラとマルシアという3人の女性。
彼女たちの祖先が持ち込んだユダヤの伝統料理を今も作り続けています。
こんにちは。
おじゃまします。
はじめまして。
皆さんのご家族はヨーロッパ大陸から?
(マルシア)ええ。
どこからですか?
(マルシア)ロシアとポーランドからよ。
ロシアとポーランド。
(マルシア)そうです。
彼女たちが得意とするユダヤ伝統料理の一つがチキンスープです
肉は使わないで内臓だけで?
(マルシア)内臓と手羽を少しあとは首の部分もね。
手羽と首はいいだしが出ますよね。
これをニンジンやポロネギセロリの茎タマネギスープストックで煮込むんです
(ドーリー)昔はうちで鶏を飼っていたわ。
うんうまい。
ユダヤ人のスタミナのもとですね。
皆さんの祖先は内臓をきれいに取った鶏肉なんて買う気が起きないんでしょうね。
ええそうね。
「残りかすだ」って。
塩漬けの肉やピクルスなどサンドイッチの定番もユダヤ人が持ち込んだんですね。
スモークサーモンにベーグルなんかもそうだしフィッシュ・アンド・チップスも。
そう。
くん製という画期的な料理技術はロシアから来たユダヤ系の人々がもたらしたものでした。
ロシアから来たある一家がロンドンにくん製工場を立ち上げたんです。
くん製がないと自分たちが困るから?
(マルシア)そうね。
スモークサーモンはスコットランドの代表的な食べ物です。
でもスモークする技術自体はユダヤの知恵だったんですね。
もともとくん製も酢漬けも塩漬けも保存食の知恵なの。
旅先にも持っていけるし。
(マルシア)ええ。
歴史上ユダヤ人は移住する事が多かったからそのためですね。
イギリスのサンドイッチに定番の食材やフィッシュ・アンド・チップスがユダヤの食べ物だったなんてすばらしい発見です。
イギリス人がそれらを自分たちのものと考えているという事は彼らの食文化を称賛している事なんです。
ではヨークシャーの伝統とユダヤの文化をミックスした一皿を作ります。
くん製のマスをパテにしてこの土地の名物ヨークシャー・プディングに添えるんです。
これなら家庭でも簡単にできるしおいしくておなかにたまります。
ただしプディングはミニサイズ。
ハーブを利かせたパテと絶妙な組み合わせです。
クリームチーズ200gを少量のミルクでのばし塩を少々
ホースラディッシュ西洋ワサビは瓶に入ったのでもいいんですが生のものをおろすと辛みがより強くなります。
更にレモン1個分を搾り酸味を利かせます
何見てるの?角砂糖はないよ。
ここからは勢いが大事です。
うわの空で混ぜたりしちゃいけません。
がっしりと握手するように全体がふわっと滑らかになるまで混ぜます。
これはチャイブ。
一握りほどのチャイブを刻んで加えるとその香りが料理全体を引き立ててくれます。
チャイブはヨークシャー・プディングの生地にとてもよく合うからね。
熱々の生地をオーブンから取り出したらこのおいしい歯応えのあるパテをたっぷり塗って頬張るんです。
もう最高。
くん製のマスは歯応えが残るように粗くほぐします
塊を残す方がいいんです。
ほぐし過ぎちゃ駄目。
ムースにはしたくないんだ。
料理を作っているといろんな物語が浮かんできます。
代々この地に住む人たちと海を渡ってきたユダヤの人たち。
この2つの出会いの物語を一皿の料理にしたいんです。
細かく刻んだチャイブとレモンの皮少々そしてコショウと菜種油を少々加えます。
シンプルで手軽でおいしい料理です
ポイントは出来上がったパテを冷蔵庫でよく冷やす事。
これを熱々のヨークシャー・プディングと合わせたら文句なしのうまさです。
生地の材料は簡単。
新鮮で大きな卵を4個。
よし。
これはジャムの瓶ですが卵の高さを覚えておきます。
これで4個だ。
よく見てこの辺です。
OK。
牛乳をぴったり同じ量だけ加えます。
よし。
それから粉。
これもぴったり同じ量です。
粉を入れる前に泡立てます。
塩を少々加えます。
コショウもね。
塩味を利かせましょう。
生地はよく泡立てて下さい。
それがコツです。
よく泡立ててから粉を入れます
卵4個同じ量の牛乳と同じ量の粉。
これなら忘れる人はいませんよね。
生地に軽くとろみがついたらオーブンで焼きます
型を熱しておいて注ぎ入れます。
型にはうっすら油を引いておきます
うわっ熱々だ。
セ氏250度のオーブンで素早く焼きます
普通のオーブンなら扉を閉めて待つだけ。
途中でする事はありませんがヨークシャー・プディングが膨らんでくるのを見ているのも楽しいかもしれません。
でも暖炉で焼く場合は膨らんできたらひっくり返します。
冷蔵庫からパテを取り出して付け合わせを用意します
クレソンの葉に塩を一つまみレモンの汁を少々。
オイルは必要ありません。
あとは好みでコショウとマスタードをほんの少し入れてもいいかもね。
これが焼き上がりです。
ミニヨークシャー・プディング。
真ん中のくぼみにマスのくん製のパテをたっぷり塗ってまずは味見を。
これはいい!オーブンから出したらすぐに食べましょう。
おしゃべりは禁止。
焼きたてのおいしさを逃がさないようにね。
最高です。
次にジェイミーはパブやペルシャ料理のレストランを訪ねます。
イギリスの人たちにとってなくてはならないものの一つがパブです。
地方のパブはその土地の食文化と密接な関わりがあります。
そこで…ジェイミーはリーズの街のビールにまつわる料理を探る事にしました。
産業革命全盛期リーズの街には工場だけでなくパブが爆発的に増えました。
地元のビール醸造所ではたくさんのアジアの人たちが働いています。
ここでは世界中のホップを使ってビールにまつわる食文化を日々進化させています。
まさかこの中に?何をしてるの?・
(醸造長)ホップをかき出しているんです。
中に人が入れるなんて思ってもみなかった。
これは今朝ビールを醸造したホップです。
毎日掃除を?ええ。
次の醸造の準備です。
君が醸造長?はい。
ボンベイから来たの?ええ。
年は?26歳です。
若いね。
顔を見せてもらえる?ええ。
やあ。
はじめまして。
ようこそ。
この醸造所はパブも経営しています。
パブでは若いシェフたちがビールを使った新しい料理を考案していました。
みんな若いね。
君は26歳?
(サム)ええ。
君は?
(シェフ)27歳。
君はいくつ?19歳です。
そちらは?31。
退場。
年齢オーバーだ。
メニューは全部で何種類?大体20種類くらいです。
その中でビールを使った料理はどのくらいあるの?半分くらいかな。
ワインの代わりにビールを使うんです。
サラダのドレッシングにもビールを使っています。
ビールにハチミツを加えて煮詰めレモンの汁と塩コショウで味を調えます
それはブラック・プディング?
(シェフ)ええカリカリです。
ベーコンも?脂身を少し。
パブで食べるのに最高のサラダだ。
ビール風味のドレッシングにブラック・プディングときたらもう…。
上にポーチド・エッグを?ええアヒルの卵です。
黄身を崩した方がうまいんじゃない?ええ…。
崩さないの?お客様が崩すんです。
そうか。
お客様の楽しみを取っとかなくちゃ。
さあ出来た。
僕が食べる気になってたよ。
(笑い声)
ビールを料理の隠し味に使うのは面白いアイデアです。
ホップの種類や産地によってビールの風味は異なり料理との相性も当然違ってきます
イギリスのホップの方がまろやかだ。
ええ。
アメリカのホップはエネルギッシュだ。
元気がいい。
そしてこのヨーロッパのは香りが高い。
(シェフ)ビールで貝を蒸して貝の口が開いたらニンニクとパセリタマネギとクリームで仕上げています。
決め手は東欧産のホップです。
ああ。
ね?ビールの風味が生きているでしょう?フランス料理に負けないね。
ボリュームたっぷりのソーセージオニオンスープそしてサラダ。
これにうまいビールがあればもう天国だ。
うん!近年リーズの街で増えているのがイラン系の人たちです。
祖国を離れた人々にとってお国料理のレストランは情報交換や憩いの場でもあります。
イランの料理はペルシャ料理とも呼ばれスパイスが利いたその独特なおいしさは今シェフたちの間でも大評判となっています。
ジェイミーは一軒のレストランを訪ねました。
こんにちはジェイミーです。
どうぞよろしく。
(モルテッツァ)こちらこそ。
ザクロサフランマルメロなどペルシャの食材にはイギリス人が好きなものがたくさんあります
ナスを皮ごと焼いています。
皮を焦がすんだ。
ええ。
周りを焦がして中の身をいぶすんです。
内側を?ええ。
いぶしたナスはニンニクの風味ととてもよく合います。
焦がした方がいい料理というのは珍しいですよね。
ええ。
たまらなくいい香りだ。
作っているのはミルザガセミというペルシャの伝統料理です
これをもう一度火にかけます。
煮込むんですね。
ええ。
生のニンニクをそんなにたっぷり?永遠に生きられそうだ。
シンプルだがすごい。
ナスとトマトと大量のニンニク。
水は一切加えません。
オリーブオイルと卵を加え味付けの決め手はチリパウダーとシナモン。
温かいうちに食べると最高です
出来た?上出来です。
お酒は飲みますか?いやふだんは駄目です。
でも今日は例外。
私の誕生日でね。
飲みましょう。
特別な日だ。
シャンパン付きのごちそうですね。
みんな来てくれてありがとう。
おめでとう。
(モルテッツァ)これはバーベリーというドライフルーツ入りのピラフです。
特別な時の料理ではありません。
ふだんの?ええいつもの食事です。
それは何?ヒヨコ豆を使った料理でよく混ぜて食べます。
豆の他にラム肉やトマト乾燥したライムなどが入っています。
それ頂いてもいいですか?どうぞ。
許可をもらう前に手が出てました。
遠慮なく。
うんこれまであまり食べた事のないおいしさです。
慣れてきたら親しみが湧いて…病みつきになりそうです。
いい味だ。
スパイシーだけど口がヒリヒリしてビールをがぶ飲みするような辛さじゃない。
エレガントで香り高い味なんです。
煮込み料理の独特なスパイスの香りに惹かれました。
ペルシャ料理のレストランはこれからどんどん増えるでしょう。
10年か20年後にはいくつかのペルシャ料理がフィッシュ・アンド・チップス並みに有名になり誰もが大好きな料理になっているかもしれません。
ビールとスパイスが肉の味を引き立てるペルシャ風の一皿を作ります。
ラムのすね肉6本を時間をかけて煮込みます。
ハーブやドライフルーツをたっぷりそして地元イギリスのビールも使います。
ではこちらへ。
ラムのすね肉に塩とコショウを振って表面を焼きます。
その間に別の鍋でソースを作り始めましょう。
刻んだタマネギ3個分をオリーブオイル少々で炒めます。
塩コショウを振り弱めの中火に15分ほどかけるとこんなふうに色がついて甘さが引き出されます。
肉を焼きながら更に料理を進めましょう。
ドライフルーツを一握り僕はレーズンを使います。
ペルシャ料理はドライフルーツの使い方が巧みでフルーツの自然な甘みが滑らかな味と奥深い風味を与えてくれます。
チキンストックでソースを緩め更にマーマレードを小さじ3杯分ほど加えます
この艶やかな色を見て。
さて僕はこれまで自分の店で料理にケチャップを使った事がありませんでした。
でも今回は欠かせない。
大さじ1杯入れるとソースに甘さと酸味が加わります。
更にこのウスターソースも入れましょう。
量は大さじ2杯ほどね。
これを混ぜながら煮立てます。
地元で造られたビールを鍋に注ぎます。
イギリス産のビールエールをおよそ200ccです。
味付けは濃いめに。
肉が焼けたらローズマリーを5本分入れて30秒たったら火を止めます
ペルシャ料理らしくハーブをたっぷり使います。
さあ焼けたぞ。
ではラム肉を鍋へ。
言うまでもなく肉のうまみは骨にあります。
骨付きのすね肉を煮込むと骨髄の部分からすばらしい風味が溶け出すんです。
チキンストック1を加え蓋をしたら更に時間をかけて煮込みます
付け合わせの野菜の一つは僕の大好きなセルリアック。
マッシュルームのようなセロリのような風味があっておいしいんです。
セルリアック1個とジャガイモ3〜4個をおよそ3cm角に切りそろえます
これは後ほど塩ゆでにします。
さて肉が煮えるまで3時間ほど待ちましょう。
ちょっと見てみよう。
うんいい感じ。
汁のかさが3cmほど減っています。
骨付き肉を取り出しましょう。
慎重にね。
なんていい色だ。
弾力があって軟らかく口の中で肉がとろけますよ。
煮込んだソースはそのままでもいいんですが最高に艶やかなソースにするためにひと手間加えましょう。
秘密兵器はこれ。
ミキサーを使います。
家の外でも使えるようわざわざ延長コードを用意しました。
混ぜる時は鍋を傾けて。
滑らかな口当たりのソースにしましょう。
ソースを煮詰め野菜を塩ゆでにして潰します
熱々のところへバターの塊を…。
うん。
軟らかなラム肉と艶やかなグレービーソース。
マッシュした野菜。
こういうこってりとした料理にはパンチを利かせるものが必要です。
そこでミントとネギを刻んで散らします。
これがあると料理全体がキリッと引き締まるんです。
ネギとミントの葉を刻んだものを一握りずつ。
これに塩一つまみとリンゴ酢大さじ6杯をかけます
リンゴ酢はしっかり振りかけて。
更に別の器でミントオイルを作ります
ミントの葉をたたくようにしてしっかり潰すのがコツです。
オリーブオイルか菜種油を大さじ5杯入れます
ほら見てきれいな緑色です。
さあ盛りつけよう。
マッシュした野菜の上にラム肉とソースを
仕上げにウスターソースをちょっぴり加えます。
全体の味をまろやかにする隠し味です。
ミントとネギを散らします。
こうして高い所からたっぷりと美しく。
これなしではいけません。
見た目も味もまるで光を浴びたようにぱっと鮮やかになります。
最後にミントオイルを少したらし極上の一皿の完成です。
軟らかい肉の繊維がほどけるように崩れます。
では一口…。
最高。
次にジェイミーは同じリーズの街の中国料理店を訪ねます。
産業革命の時代リーズには多くの外国人が移り住みこの土地の食文化に大きな影響を与えました。
リーズの街にはおよそ1万4,000人の中国人も暮らしています。
チューさんは1960年代に香港から来ました。
食堂を営むチューさんはイギリスの食材をうまく取り入れながら地元の中国人のために料理をしています。
(チュー)やあいらっしゃい!はじめまして。
ようこそ。
昼どきの忙しい時間ですね。
手伝ってくれるとうれしいんだが。
もちろん喜んで。
イギリスに来てどれくらいですか?え〜と今年で44年目です。
わあ。
中国料理以外のものも食べますか?ええ土地のものをね。
お好きですか?ええ。
日曜日は大概ローストチキンだ。
ああ…。
大好きなんです。
さあ出来た。
これふだんのランチメニュー?ええ定食です。
豪華だな。
(拍手)はいどうぞ。
見て下さいこのランチの豪華さ。
ショウガやネギを添えた大きな煮魚だ。
締めて2.9ポンド。
安いでしょ?2.9ポンド?皆さんはラッキーすぎる。
羨ましい。
そちらもどうぞ。
Thankyou.
ランチにはデザートまで付いています
これから作るんですか?サツマイモを使って甘いものを。
デザートに?ええ。
ルバーブも使います。
サツマイモとルバーブか。
中国にある料理?いいえ私がひらめいた料理です。
ルバーブはアジア原産でイギリスの伝統的な料理にも使われていますが中国の人たちにはなぜかなじみがありません。
イギリスでジャムなどにするのを見てチューさんはルバーブを中国風デザートにできないかと考えたようです
見た目は中国の伝統的なデザートですね。
そうですね。
うんみずみずしくて健康的な味だ。
僕はルバーブの酸味が好きです。
でもみんなルバーブを食べた事がないんでしょう?ありません。
何て言うかな?分かりません。
みんなの反応を見るのが怖いけど楽しみです。
気に入るといいな。
中国語でルバーブは何て?
(チュー)聞いた事ないな。
ほんとに。
中国語の名前は分かりません。
ルバーブというものです。
どうです?おいしい?1人気に入った。
駄目だ。
サツマイモだけえり分けてルバーブを残しています。
食べてほしいのに。
チューさんがルバーブのデザートを作ろうと思い立ったのはここヨークシャー地方でルバーブがたくさん栽培されているからです。
そこでジェイミーはチューさんにルバーブを使ったおいしいデザートを紹介する事にしました。
やるからにはルバーブを収穫するところから始めないと。
(チュー)こんなに遠くまで。
大丈夫ついてきて。
キャンプは好きですか?香港ではね。
でもここは寒すぎる。
本当に?ええ。
イギリスでは経験なし?一度でこりごりです。
なぜ?凍えました。
まずはルバーブを柑橘系のリキュールで甘く煮ます。
他にイチゴも加えます。
それにバニラ風味のライス・プディングを添えるとイギリスらしいすばらしいデザートになるんです。
そう。
この米を袋の半分だけ鍋に入れて下さい。
でんぷん質の多い丸い形の米が適しています。
200gの米に1.3の牛乳を注ぎます
弱火で時間をかけて沸騰させトロトロの状態にします。
ライス・プディングの作り方は2とおりあって普通は味付けをしてからオーブンでちょっと表面を焼きます。
でも今日はオーブンでは焼かずにじっくり煮込んで流れるように軟らかいライス・プディングを作りましょう。
香りづけのバニラはたっぷり。
ナイフの先でバニラビーンズのさやを開き…バニラを取り出します。
バニラビーンズは高いが香りがすばらしい。
最高ですね。
嗅いでみて。
ええ。
ね?う〜ん!19世紀のヴィクトリア朝時代には女性はバニラを香水代わりに体にこすりつけたそうです。
砂糖を大さじ山盛り3杯。
甘さは控えめです。
ゆっくりと沸騰させて煮詰めます。
やる事はそれだけ。
そちらの鍋にも大さじ3杯の砂糖を入れてくれますか。
次はフルーツを砂糖とリキュールで煮ます。
OK。
カラメル状にした砂糖と柑橘系のリキュールがルバーブとイチゴにすばらしい風味を与えてくれます
ローリエを2枚入れます。
レモンの皮を剥いてくれますか。
どのくらい?5個。
あとオレンジも5個ね。
よし。
それじゃあルバーブを切りましょう。
幅は3cm程度です。
カラメルが程よく色づいてきたらワイングラス半分程度の柑橘系のリキュールを加えます。
おっと火がついた。
大丈夫火事にはなりません。
チューさんは心配そうですが。
ルバーブを入れましょう。
中華鍋の要領で揺すってみて。
イチゴを刻みます。
香港で「乾杯」は?「ヤムセン」。
ヤムセン。
さてと…ライス・プディングの鍋はバニラが浮かんでくるので時々かき混ぜます。
アチッ!見てた?ルバーブに火が通りました。
形があるのも潰れたのもあります。
ここでイチゴを入れてすぐに火から下ろします。
さあほぼ完成です。
ライス・プディングをとろ火にかけてしばらく休憩をとりました
よく煮詰まってこの状態になったらOKです。
これはとろ火にかけて20〜25分たったものです。
ここへ更なるおいしさのもとを投入します。
大さじ山盛り1杯のクロテッドクリームが味わいを更に豊かにします。
この色と艶すばらしいですよね。
うんもういいかな。
いや我慢できない。
もう1さじ入れちゃおう。
イギリス的な料理ですが材料は遠くから来たものがほとんどです。
さて勇気を出してこれを混ぜます。
一か八かの勝負です。
失敗すると目も当てられないがうまくいくと天国のように見えます。
どうか天国に行けますように。
うんまずまずだ。
ルバーブとイチゴのリキュール煮とクリーミーなライス・プディングの組み合わせ。
おいしそうでしょ。
さあ食べましょう。
ええもちろん。
これを。
ありがとう。
材料は遠くから来たものでもイギリスらしいデザートになるから不思議です。
これは確かにイギリスの味。
すばらしい。
爽やかな果実の味だ。
うん我ながら絶品。
最後はヨークシャーで知り合った人たちを招いてピクニックです。
ヨークシャー地方のリーズの街はユダヤペルシャ中国など多彩な文化を持つ人々が交錯する場所でした。
それは産業革命以来のイギリスの縮図と言えるかもしれません。
さまざまな食文化が刺激し合い新しい味を取り入れながらイギリスの料理は進化し続けているのです。
ジェイミーはこの旅で出会った仲間を招いてイギリスらしい習慣の一つピクニックを開く事にしました。
週末のピクニックに最高の一品を作ります。
ヨークシャーの伝統料理ではありませんがフルーツたっぷりの素朴な焼き菓子。
イギリスではエクルス・ケーキと呼ばれているものです。
まず砂糖に香りづけをしたいので器に大きなローリエを1枚入れます。
ざらめ状の砂糖100gを入れすりこ木で潰すように打ちつけます。
レモンの皮とオレンジの皮を1個分ずつナツメグ半分をおろします。
スパイスはお好みで
どの材料もイギリス原産ではありません。
オレンジは中国レモンは東南アジアスパイスは大航海時代にアジアから来ました。
ざらめを更に100g加えもう少し打ちつけます
フルーツとスパイスの刺激的な香り。
この香りを嗅ぐと僕はクリスマスを思い出すんです。
食べる前からワクワクしますね。
ペルシャレストランで使っていたドライフルーツバーベリーを一握り
バーベリーの実には爽やかな酸味があるので砂糖の甘みとコントラストが生まれるんです。
ゴールデン・サルタナという黄色いレーズンや普通のレーズンなどドライフルーツを全部で150g用意します。
酸味のあるクランベリーやアプリコットもよく合います。
色もきれいだしね。
手に入りやすいドライフルーツを何種類か用意して刻んで下さい。
僕はもう一つ大好きな材料を加えます。
ショウガのシロップ漬け。
伝統的なお菓子にちょっと新しい風味が加わります。
1cm角に切ったリンゴ75gを加え2時間以上できれば一晩寝かせます
時間がない時は手でよくもんで全体をなじませます。
こうやってね。
昔はどの家庭でもちょっとデコボコしたパイ生地を手作りしていましたよね。
でも僕は今日完全に手抜きをして出来合いのパイ生地を使います。
限られた時間を楽しく生きるためにたまには手抜きするのもいいものです。
使う20分前に生地を冷蔵庫から出します。
生地はバターを含んだものにして下さい。
これを3mm程度の厚さにのばし薄く粉を振ります。
のばす作業は平らな場所で。
別に木のまな板がなくても平気だし途中で失敗しても大丈夫。
生地が破れたらもう一度くっつければいいし少々デコボコでも焼けばいい感じになります。
この焼き菓子に失敗作はありません。
生地を型で抜き中に詰めるドライフルーツを真ん中に載せます
ワンちゃん何か探してるの?いびつで不ぞろいな方がいいんです。
12個とも同じ仕上がりじゃ手作りらしくない。
ピクニックというイギリスの習慣は産業革命によって生まれました。
労働者が団結し土曜日に半日休む権利を得た事で週末という憩いの時間が生まれたんです。
人々は家族や仲間と遠出を楽しむようになりました。
それがピクニックの始まり。
すばらしい。
卵を薄く塗ると焼き上がりが金色になります。
最後にざらめを振りかけ切り込みを入れます
こうすると蒸気の逃げ道が出来て見た目もかわいくなります。
さあ出来た。
これを200℃のオーブンで18分焼きます。
金色のすばらしいお菓子になりますよ。
近くの農家のキッチンで焼かせてもらいました
いい色でしょう。
振りかけたざらめが溶けてカラメル状になっています。
底の方にも少し付けておきましょう。
うまそうだ。
中はカラフルなフルーツ外側はサクッとしたパイ生地です。
チーズやハチミツを添えて出すのもいいかもね。
うんいける。
産業革命のおかげで生まれたピクニック。
アウトドアを愛する気持ちはイギリスの人々の心に昔も今も息づいているのです。
サラダも作ったしおいしいパンとお菓子もある。
よしと…。
地元のちょっといいチーズも持ってきました。
チーズを砕いて準備はOK。
そろそろみんなが来る。
来た来た。
醸造所の若者たちだ。
ビールを抱えてる。
いらっしゃい。
いいものを焼いてきたわ。
え?ああありがとう。
昔の料理っぽく肉汁入りのをね。
意外にいけるよ。
周りがカリッとしてるね。
うんおいしいよ。
乾杯しましょう。
ヨークシャーに。
乾杯。
ヨークシャーに乾杯。
ケーキをどうぞ。
チーズと合うんだ。
ヨークシャー地方のいろんな顔を見る事ができました。
ヨーロッパやアジアから来た人々がこの土地の食文化を日々新しくしています。
外から刺激を受けて絶えず変わる事はイギリスの食文化の強みです。
古いものと新しいものが影響を与え合うのは実にすばらしい。
(笑い声)気に入ったみたいだね。
バーベキューに火を入れようか。
さあ…。
うわ貧乏ゆすりだ!すごい人数!2014/03/29(土) 19:00〜19:45
NHKEテレ1大阪
地球ドラマチック「人気シェフが行く イギリス料理をおいしく!」[二][字]
イギリスの人気シェフ、ジェイミー・オリバーが、「おいしくない」と言われるイギリス料理の汚名を返上すべく、イギリス各地の名物料理を紹介。オリジナル料理にも挑む。
詳細情報
番組内容
かつて評判がかんばしくなかったイギリスの料理は、近年、驚くべき味の進化をとげている。そのルーツは、「7つの海を制した」と言われた大英帝国の多様な文化。250年以上前、産業革命が興ったイギリス中部には、ロシアやポーランドのユダヤ人やアジア系の人々が移り住み、彼らの豊かな食文化がイギリス料理を彩った。ジェイミーが、地域の伝統料理の魅力に迫る。(2011年イギリス)*アンコール放送
出演者
【語り】渡辺徹
制作
〜制作:BASE PRODUCTIONS INC〜
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
英語
サンプリングレート : 48kHz
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