火災調査官・紅蓮次郎3 2014.02.14

(紅蓮次郎)ストーカー!?
(鴇田早苗)ええ!ちょ…ちょっと待ってください。
ストーカーってこいつがですか?そうよ!学校の行き帰り塾の行き帰りずっとうちの円のことつけ回してたのよ。
本当なのか俊介?お前本当にそんなことしたのか?
(紅俊介)違うよ。
誤解だよ。
誤解ってことはつけ回したことはつけ回したのか?それはね…。
ほら…。
それじゃお前ストーカーって言われてもしょうがないだろ。
先輩たちが円のことからかってやろうぜって言ってるの聞いたんだ。
何!?だから俺強くないけど守りたいって…。
よくそういう嘘がつけるわね。
人のせいにして。
偉い!でかした!それでこそ俺の息子だ。
というわけですのでこいつはねお宅のお嬢さんを守ろうと思って必死だったんですよ。
褒めてやってくださいこの勇気ある若者を。
何言ってるんですかあなた!?この子の言うこと鵜呑みにするんですか!?当たり前じゃないですか。
親が真っ先に子供のこと信じなくて誰が信じるんですか?アハハ…あきれた。
もういいですもう結構です。
子供が子供なら親もバカ親だわ!はい!?
(鴇田円)本当なの紅君?ごめん怖がらせて。
私こそごめんね。
誤解して。
紅君ありがとう…。
何言ってんのあなたまで!?この子嘘ついてるのよ。
だまされちゃダメよ。
じゃ帰るね。
ちょっと…まだ話が…。
いいから行こうよほら。
お邪魔しました。
どうも〜。
何なんだあの母親?バカ親はお前だっつうの!どうでもいいけどいいよな〜円…。
「紅君ありがとう」。
病気にかかりましたね紅君。
恋の病…アハハ…!ねえ父さん!うん?あの子どこか死んだ母さんに似てない?似てません。
お母さんはお前最高だったよ!ボンッキュボンッで肌なんかぬけるみたいに白くって触るとな大福みたいにモチモチしてるんだよ…。
やっぱあんたバカ親だわ…。
痛っ!このやろう!サイドスープレックス!と見せかけてラリアット!コブラクラッチ!あっ痛っ!痛っ…マジ頭にきた。
このやろう!
(電話)電話…。
はいもしもし紅です。
おお白井か。
どうした?
(白井勇一)主任美津原3丁目4の2の302号室で火災です。
マル4が1名です。
そうかマル4が出たか。
わかったすぐそっちに行く。
出動の準備をしとけ。
(消防車のサイレン)今回の火災現場の家では1か月前にも石油ストーブを点火したまま給油をしようとしてボヤ火災を起こしてます。
今回もそれですかね原因…。
白井…俺たちの仕事で一番のタブーは先入観を持って調査にあたることだ。
先入観捨てろ。
真実は必ず灰の中にある。
(一同)はい。
的場と高橋は現場付近の聞き込みおよび写真撮影。
白井と則武は俺と一緒に来い。
行くぞ!
(一同)了解!
(桜木一真)衿子…ううっ…。
衿子!衿子…。
(小紫)旦那だ。
奥さんまだ32だそうだ。
かわいそうに…。
衿子…。
順子…。
衿子…。
行くぞ。
衿子…。
衿子!衿子!!
(黒崎一)おう紅。
ああ黒さんどうも。
ああ紹介しよう。
新しく着任された灰田警部だ。
火災調査官の紅蓮次郎です。
火災のことはこいつに訊けば間違いありません。
お前覚えてるだろ?県警の捜査課にいた灰田のおやっさん。
はい。
あのおやっさんのご子息だ。
そうですか。
おやっさんには生前ずいぶんお世話に…。
(灰田修)やめてください黒崎さん。
いちいち親父のことを持ち出すのは。
あっ…どうもすみません。
しかしせっかく火災調査官殿にお出でいただいても何も出ないんじゃないですか?原因は石油ストーブの給油を点火中に行った引火。
バカな女だ。
同じ失敗を2度もしている。
そりゃないんじゃないですか。
仮にも亡くなった人間に対して!?白井よせ。
こっちは忙しいんです。
大きな事件3つも抱えてる。
こんな過失による失火なんかにかまってる暇ないんですよ。
お言葉ですけど警部…。
親父さんは事件の大小を気にするような人じゃありませんでしたよ。
だから親父の話はもう結構です。
とにかくこの事件は解決済み。
何たって火を出した本人が死んでるんですから…。
以上!黒崎さん署に戻りましょう。
わかりました。
キャリアのエリートでな…。
まあ何か出たら連絡してくれ。
わかりました。
じゃあ。
何か…カチンとくる男ですね。
気にするな。
ガス検!はい。
主任灯油です。
間違いありません。
1か月前のボヤのとき消防官からこっぴどく言われたはずだ。
灯油を給油するときはストーブのスイッチを切れってな。
なのにこんなに早く同じ過ちをすると思うか?たしか1か月前のときは酔っぱらってたと思います。
何でもこの部屋は奥さんが旦那さんに内緒で借りたセカンドルームとかでこの部屋でかなり奔放に遊んでたみたいです。
金持ちの有閑…いかん。
よそう仏さんを悪く言うのは。
ファイバースコープ。
はい。
白井鑑識さんに断ってこい。
このストーブテイクアウトだ。
はい。
頼むぞストーブちゃん。
いい子だからおじさんに灰の中の真実聞かせてくれよ。
何なんですか?こんなところに呼び出して。
こっちは忙しいんですよ。
まあそう言わないで。
今からちょっと面白い手品をお見せしますよ。
まずはこちらをご覧ください。
昨日の火災現場で火元とみなされた石油ストーブとまったく同じ型のストーブです。
さてこのただ今点火中のストーブに給油をするためにカートリッジを取り出します。
その際に1か月前のボヤのときと同じように何らかのはずみでキャップが外れて灯油がストーブにかかったとします。
消火!はい!よし。
続いてストーブの熱をよーく冷ましてから解体して中の芯を取り出します。
いいですか?見ててくださいよ〜。
この芯もそして内部も真っ黒に焼け焦げてます。
当たり前でしょう。
あんだけ灯油かけたんだから。
そう。
そうなんですよ!真っ黒になってなきゃおかしいんです。
ところが昨日の火災現場から発見されたストーブの内部と芯は…。
焼けてない…きれいだ。
どういうことなんだ?簡単なことです。
昨日の場合はですね…白井!はい。
さてここからです。
今度はこのストーブのレバーだけを点火にして…。
そしてマネキンのほうに火をつけます。
消火!はい!冷まして解体!もうおわかりですね。
つまり昨日の火災はストーブから火がついたものじゃないということです。
今の実験のようにどこか他から引火してストーブの外側が燃えたんです。
じゃあ…殺人…放火!?バカバカしい。
火災調査官が何言い出すんだ?あんたたちは火のことだけ考えてりゃいいんだ。
(携帯)それを一丁前に鑑識の真似して何が殺人だ?もしもし?ああ俺だ…。
何わかった!?うん…そう。
ありがとう。
紅お前の推測どおりだ。
監察医から連絡があった。
首には扼殺痕があったそうだ。
つまりな死因は扼殺による窒息死だ。
そうですか。
やった…。
(灰田の咳払い)殺しなら殺しで捜査方針変えきゃいけませんね。
行きましょう。
ああ。
ちょっと待てよ灰田君…。
その前に君にはやらなきゃいけないことがあるだろう?君が昨日火元だって断定した被害者に謝るべきなんじゃないのか?バカな女だ。
同じ失敗を2度もしている。
言っとくがな私はあんたの部下じゃない。
あんたの指図は受けない。
すまんな紅。
まあおいおい教え込むからさ。
今日のところはこらえてくれ。
いえいえ…。
ありがとう。
助かった。
こちらこそ。
じゃあ。
(藤川美也子)どうぞ。
はあ〜いやもう最高!あいつガツンと言わせてね。
やめろよ〜。
そんなに目の敵にするなよ。
でもね灰田っていう人はキャリア組ですごいエリートなんですよ。
近い。
ゆくゆくは本部長になるんじゃないかって話なんですよ。
あんなのが県警の本部長になったら県警も終わりですよね。
お前ちょっと飲みすぎなんじゃないか?いいんですよ今日は!痛っ。
エリートやっつけて気持ちいいんだから。
ママもう1杯!はい。
あれ?たしかママのとこの息子さんもエリートだったっけ?どっか一流大学行ってるって…?やめたのようちの息子は!何考えてんだか2年でプツンと。
今市場で働いているわ。
そうなの?じゃあやっぱりあれ拓也君だ。
この間市場で見かけてそうかなと思って声かけたら何か無視されちゃったよ。
本当?ごめんなさいね。
本当愛想がないんだから…。
ママに似たらもっと愛想よかったのに…ねっ!うまいこと言ってくれるじゃない白井ちゃん!よ〜しお酌しちゃおうかなどうぞ。
オットットット…。
アアッ!トットット…。
はあ〜最高…。
ママ最高!ありがとう!ちゃんと歩けしっかりしろ!大丈夫ですよ。
エへへ…何でこんなに酔っぱらっちゃったんだ?今夜は最高なのに。
おい!電車にひかれるぞお前。
大丈夫ですよ。
あっすみません。
こら!ほら…。
どうしたんです?あっまた俺に何か文句言うこと思い出したんでしょう?違うよ。
今の奴灯油臭くなかったか?灯油?うん。
全然。
臭うだろ!?ほら〜あっちから来たんだよな。
ちょっと見てくる。
ちょっと待ってくださいよ。
何だよ?何24時間消防官やってるんですか!?今日は忘れて。
飲むとき飲まないと!まだ飲むのか!?もう1軒もう1軒!しゃうがねぇなあ。
じゃもう1軒だけだぞ。
もう1軒…かわいいお姉ちゃんいるんですから…。
ダメだ。
やっぱり気になるわ。
かわいいお姉ちゃんによろしくな!先輩…。
あっ…気持ち悪い…。
ほら〜何もないじゃないですか。
考えすぎですって。
どうしたんです?何してるんですかこんなところで?美津原消防署の者ですけどちょっと灯油の臭いが気になってるものですから。
灯油?・うわーっ!白井!署に連絡しろ!!はい!正面に立つな!下がれ!白井蹴るぞ!はい。
おーい!おーい!!こっち来い!おーい!!主任!おーい!
(消防車のサイレン)状況は!?要救急者1名!要救急者1名!放水開始!裏に回るぞ!はい!ダメだ…。
そうか…。
拓也君…!?
(小紫)知り合いか?俺たちがよく行く店のママの…息子だよ。
(石橋)どうしてこの空き地に?ここは桜木病院の持ち物なんですよ。
半月ぐらい前にこのプレハブに若い連中が忍び込んでドンチャン騒ぎしたんです。
それ以来毎晩10時の見回りのルートに入れてたんです。
灯油の臭い?それが気になってここまで来たんです。
そのときにすれ違った男…暗かったから男かどうか断定できませんがその人物が何らかの形でこの火災に関わっているのは間違いないと思います。
しかしあなたたちがこの空地に来てウロチョロしてるときにいきなり火がついたんですよね?しかもプレハブには中から鍵がかかっていて他から出入りする人間は誰もいなかった…。
となれば中にいた被害者が自分で火をつけたかあるいは何かのミスで出火したと考えるのが普通じゃないですか?たしかに…。
それに被害者の全身には被ったかのように灯油がかけられていてあそこには灯油の容器が転がっている。
とすればやはりこれは自殺でしょう。
ダメですって!ダメですママ…。
拓也!?ダメですママ!まだ現場検証中ですから!!ママ…白井!はい!拓也ー!拓也ー!拓也…。
ごめんなさい…。
私が裏切ったから…こんなことに…。
ママ…。
ごめんなさい…。
本当にすみませんでした。
もうこれっきりにしてください!はあ…。
(藤川拓也)何だよ今のは!?何なんだよ!「うちの人と別れてください」?お袋!そんなことしてたのか!?その男からお金もらって俺を大学に行かせてたのかよ!?拓也…そうじゃない!違うの信じて!!あなたを大学へ行かせたのはお母さんがコツコツお金を貯めて…。
辞めてやる…大学なんか辞めてやる。
ダメよ拓也!私が悪かったら謝るから。
未婚の母で女手ひとつで俺を育ててくれたお袋が自慢だった。
でももういい。
もうたくさんだ。
こんな家出てってやる!あんたとはもうこれっきりだ!!拓也!待って…。
触るな!そんな汚れた手で俺に触るな。
あんたなんか…あんたなんかもう親でも子でもない!死んじまえバカヤロー!拓也!でも…この子がどこへも行かないでこの美津原市で下宿して魚市場で働いてるって聞いたときは…うれしかった。
いつか…いつか許してもらえるって…。
ママ…。
思ってたのに…。
ママ…。
(紺野萌)おばさん…!萌ちゃん…。
拓也…拓也ー!拓也…。
この娘なんです。
拓也に魚市場の仕事を紹介してくれたのは。
いつも本当の弟のようにかわいがってくれて…。
泣き虫だった拓也を本当によくかばってくれたよね萌ちゃん…。
(ノック)どうしたんですか?プレハブのすぐ近くに停めてあった藤川拓也のスクーターの中からこんな写真が見つかった。
誰ですかこれ?昨日殺された桜木病院の院長婦人…桜木衿子だ。
えっ!?どういうことなんですか?何だって拓也君がこんな写真を?うん…。
桜木衿子のマンションの住人に藤川拓也の写真を見せたところ事件のあった時刻にマンションから飛び出して行った若者に間違いないという証言があったんだ。
何ですって?それとな…夫の一真もようやく思い出してくれてな。
妻の衿子はストーカーのような若者につけ回されて怖がっていたっていうんだ。
ストーカー?でまあ何らかのことでトラブルになり藤川拓也は桜木衿子を殺害しその後で火をつけてマンションから逃走した。
そんな…。
まあそのことで追いつめられた藤川拓也はあのプレハブで焼身自殺を図った。
これが今のところの捜査本部の見方なんだ…。
黒さん…。
それとな…。
(美也子)そんなバカな!うちの拓也が人殺しなんかするわけないじゃない!そんなのデタラメよ!まあまあ落ち着いて…。
おばさん…。
萌ちゃんあなたからも証明して。
うちの拓也がそんな子じゃないって…。
おばさん…。
そんな子じゃないって…。
萌ちゃん…!あのプレハブは桜木病院の介護センター建設所に建てられたものだが工事がストップしたため資材置き場として使われていた。
だから中にあったのは建築資材それと病院での古くなった用具なども収納されていたらしい。
探し出すのはその中から発火物となりうるものだ。
俺は俺とぶつかった灯油の臭いのする人間のことがどうしても気になってる。
そいつが遠隔操作あるいは時限装置を使ってプレハブの中にばらまかれた灯油に火をつけたんじゃないかとにらんでる。
発火装置を探し出せ!灰の中から真実を掘り起こすんだ。
行くぞ!
(一同)了解!このドアには鑑識さんが言うようにドライバーか釘でこじ開けた跡がある。
そして中に入り…。
鍵を閉めた…。
ダメですね中は完全な密室です。
そんなものは鍵を閉めたその後で無理やりこじ開けたように見せかけることだってできるだろ?それにしたって主任と俺の目の前で出火したんですよ。
発火装置はどこにも…。
それでその後奥さんをつけていたというストーカーについて何か思い出したことありますか?年齢とかその男の特徴とか?思い出そうとしましたが無理でした。
一時が万事その調子です。
私は仕事に忙しくてあいつのことをかまってやれなかった…。
すべて…私の責任です。
もう一度この若者の写真を見てもらえませんか?何度見ても同じです。
さっきも火災調査官の方に写真を見せられましたが見覚えは…。
火災調査官?どうもありがとう。
何言ってるのよ。
知らないわ私はそんな話…。
何言ってんだよ。
ふざけんなよ。
でも…。
あっ…後で。
すみません。
いいんですか?ええ別に…何でしょう?じつは拓也君のことなんですけど私にはどうしても拓也君がストーカーをしてたとは信じられないんですよ。
あの子のことは小学生のころから知ってるんですが素直で明るいいい子でした…。
うちの小僧なんかともよく遊んでくれてね。
拓也変わったんです。
お母さんと喧嘩して家を出てから…。
そうなんですか?でも今市場の人たちに聞いたらみんな口をそろえて一生懸命働く真面目な好青年だって言ってましたよ。
表面上はね。
でも心の中は荒んでました。
昨日はおばさんの前だから言えなかったんですけど…。
本当のこと言うと私知ってたんです。
拓也が一真先生の奥さんのことをつけ回してたの。
一真先生…?ああ桜木先生のことです。
私先生が生涯学習センターで教えてるコーラスサークルのメンバーなんです。
(石橋)紅さん!じゃあ私は…失礼します。
どういうつもりだ!?あんたいつから刑事になったんだ?火災調査官だろ?どうして火災調査官が我々の先回りをして捜査をしてるんだ!?納得がいかないからだよ。
だからって捜査を妨害するっていうのか?あんたを公務執行妨害で逮捕することだってできるんだぞ。
したけりゃすればいいだろ?強気だな。
まあいいこれを見ろ。
このプレハブのすべての窓にも入り口にも鍵はかかっていた。
あんたたちは火が出る直前までこの近くにいた。
中から飛び出して来た人間はいない。
発火装置もない。
つまりこの密室の中で火をつけることができたのは藤川拓也本人しかいないんだ。
だから失火でなければこれは焼身自殺と考えるのが妥当でしょ!?たしかに妥当だよ…。
でもな俺は俺自身が許せないんだ。
紅さん…。
俺は灯油の臭いに気が付いてた。
俺がもう少し早くプレハブに駆けつけてれば藤川拓也を死なさずに済んだかもしれない。
火事を起こさずに済んだかもしれないでも…。
俺はそれができなかった。
酔っぱらってたからだよ。
24時間消防官でいなきゃいけないのに俺は酔ってそれを怠ったんだ。
結局は自分の失態をごまかすための捜査か。
酔っぱらってたとはな…。
消防官失格だな。
ああ…失格だ。
この記事読んだか?ああ読んだよ。
いくら地方紙だからっていってなこんなこと書かしてちゃいかん。
抗議しろ。
俺も一緒に行ってやる。
いやでも事実だからこれ…。
何言ってるんですか!?酔っぱらっていたのは俺じゃないですか!主任はすぐに灯油の臭いに気付きました。
でも俺が止めたから…。
俺も見逃したんだよ。
うかつだったよ。
この記事にあるみたいに俺がもうちょっと自覚を持ってれば出火を未然に防いだかもしれん。
バカヤロウ。
何言ってんだよ。
お前たち仕事明けだったんだろ?じゃ消防官は酒飲んじゃいけないっていうのか?24時間緊張しっぱなしで火事が起きちゃいけない火事はどこだって目を凝らして生きていかなきゃいけないってのか?
(的場)そんなの無理です。
(則武)俺たちだって人間です。
(高橋)お願いします紅主任。
この新聞社に抗議してください!俺からも頼む紅。
これは俺たち消防官の生活権を懸けた闘いなんだよ。
こんなことで非難されてたらな消防官になろうなんて奴は1人もいなくなるぞ。
たしかにそうかもしれないな。
でもなこの記事は俺を非難してる記事なんだよ。
お前らはもちろん24時間消防官なんかでいる必要はないぞ。
でもな俺は…少なくとも俺だけは24時間消防官でいるべきだったんだ。
いなきゃいけなかったんだよ。
何言ってんだお前?お前本気でそれを?本気だよ。
だから俺は抗議には行かん。
すまんな。
バカヤロウ!何言ってんだよ!そういうのをスタンドプレーって言うんだよ。
俺たちはな消防官である前に人間なんだよ!24時間消防官なんかやってられるか!違いますよ。
主任…きっと俺のことかばおうとして…。
はあ…ほっとけ。
知るかあんな奴。
主任…。
この新聞本当なの!?ああ…。
私も飲ませたほうだから偉そうなことは言えないけど…。
でも…でもあのとき飲んでなかったら酔っぱらってなかったらうちの拓也を助けることができたの?かもしれない。
バカ!じゃあ何で助けてくれなかったのよ!!あんた消防官でしょ!?バカ!ママごめん!バカバカ…!本当にごめん。
(美也子)バカ!何でお酒なんて飲むのよ!?あっ…すみません。
《灯油の臭いのする人間はたしかにいた…》《そいつが何らかの形で拓也君を眠らせて…》うわーっ!
(灰田)プレハブのすべての窓にも入り口にも鍵がかかっていた。
中から飛び出して来る人間はいなかった。
《しかも発火装置は発見されていない》《やっぱり拓也君は自殺なのか…》うっ…痛え…。
誰だ貴様!?・
(巡査)こらっ!そこ何やってる!?おっ…おい!おい!!どうした!?しっかりしろ!おい!大丈夫か?ああ…痛え!おい!父さん!おお〜俊介。
何だお前来たの?全然大丈夫なのにさ。
鉄パイプで殴られたのにここのところちょっと切っただけで脳波にも何の異常もねえんでやんの。
超合金でできてるんだなお父さんは。
アハハ…!まったく心配したのによ。
痛えな何するんだよ!?バカヤロウ!あっ…。
円ちゃんだっけ?来てたんだ…早く言えよ!家で一緒に勉強してたときに連絡きたから。
そうなんだ。
ごめんね。
心配かけちゃったね。
そんなことより大丈夫なのこんな時間に!?お母さん怒ってるんじゃないか?大丈夫です。
母は今日はコーラスの練習ですから。
あそう…よかった…。
コーラス?「この広い野原いっぱい咲く花を」
(円)桜木先生ってお医者さんが昔コーラス部にいたとかで熱心に教えてくださってるんです。
母その先生の大ファンだから夢中で…。
そう…お母さん桜木先生のコーラスに入ってるんだ。
じゃあお母さんから何か聞いてない?先生の奥さんが殺されたことについて?いえ別に…。
そりゃそうだよね。
ごめんね変なこと訊いちゃって。
ちょっとおかしいんだお父さん頭打ったからな…。
おお白井!ちょうどよかった。
今連絡しようと思ってたんだ。
入れ。
見ろよ。
ほら…襲われたよ。
やっぱり犯人は灯油の臭いのする人間だったんだ。
何だお前その顔は?俊介君…ちょっといいかな?はい…。
お父さん大丈夫?1人で帰れる?おお大丈夫…。
じゃ俺円ちゃん送ってくから。
ああそうだな。
ありがとね。
お大事に。
俊介…頑張れ!何かつかんだのか?襲ったのはあの新聞記事を見てカッとなった男でした。
えっ!?離せこのやろう!俺はなあの不埒な消防士に天罰を与えてやったんだよ!なんでもその男は以前県警の不祥事が続いたときも警察官を襲ったらしく…。
そうか…。
主任お願いです。
あんまり自分を責めないでください。
悪いのは俺なんです。
俺があんなに酔っぱらってなければ…。
違うんだよそうじゃないんだよ。
俺約束したんだよ。
死んだ女房とさ…。
24時間消防官やりますって。
奥さんと?うん。
順子…!順子…俺消防官続けていいかな?悔しいんだよ俺…。
お前が火事で…火事なんかで死んでさ…。
俊介は火を怖がっているよ。
でも続けたいんだ俺!消防官続けて…24時間消防官やってもう誰にも誰ひとりとして俺みたいなこんな気持ちを味わわせたくないんだよ!頼むよ順子…続けさせてくれ。
頼む…。
なのに情けないよ。
あんなに誓ったのに。
24時間消防官でいられなかったんだからな。
そんな無理ですよ。
人間なんですよ。
スーパーマンじゃないんです。
全部の火事をなくそうだなんて火事で死ぬ人間を1人も出さないなんてそんなの…。
でも誓ったんだよ。
もちろん女房は何も言わなかったよ。
でもな俺には何かあいつが笑ってるみたいに見えたんだ。
「あなた頑張りなさい」って…。
思い出しちゃってさ…。
「みやこ」のママが拓也君にすがり付いて泣いてるの見て女房のこと…。
本当につらいんだよ。
大事な人を失うってのはさ…。
小紫さん…。
お前をどやしつけてやろうと思ってここに来た。
あんな新聞記事を否定しないからこんなことになるんだってな。
でもやめた…。
俺も何度も火災現場で愛する人を亡くした人たちを見てきた。
24時間消防官か…。
バカヤロウ。
キザなこと抜かしやがって。
ああ目指してやるよ俺も。
24時間消防官をな。
中隊長…。
早くケガ治せよ。
いいな。
主任…。
バーカ…キザはどっちだよ。
すみません。
はい?ちょっとお訊きしたいんですが3日前の夜灯油臭かった人このあたりで気が付きませんでしたか?いや〜気が付かないねぇ。
そうですか…どうも。
はいどうも。
灯油ねぇ…灯油とかガソリンの臭いするって言ったら俺たち全部そうですよ。
そう言われればそうなんですけど逆に敏感なんじゃないかなと思って。
誰かいなかったですかね?その時間で灯油臭かった人間。
このあたりに?そういえば…。
山吹さんがその時間通ったかな。
山吹さん?この先の自動車修理工場で働いてるんっすけどね。
あの人は工場で使うから確かに灯油臭いしね…。
山吹って人で間違いないんですか?ええ。
山吹さん何かしたんっすか?いいえ別に。
山吹さんいろいろ噂あるからね…女の。
殺された桜木病院の奥さんとも親しかったし。
(山吹浩二)いくらこれ?
(桜木衿子)家が建つぐらい。
どうも。
よっ!あれがその山吹です。
あいつ…。
紺野萌と?うん…。
桜木…?ああ…あの奥さんか。
知ってるよ。
3日前の夜何してました?どこかから帰って来るあなたを見かけた人間がいるんですけど。
何だいそれ?何であんたらにそんなこと答えなくちゃいけないんだよ!山吹さん…。
山吹さん市場で働いている紺野萌さんのこと知ってますよね?見かけたんですよ。
2人で話してるのを。
どういうご関係なんですか?知らないなそんな萌なんて女。
何かの間違いじゃないのか。
そんなわけないでしょ。
何かもめてる感じが…。
うるさいんだよ!あんたあれだろ?新聞に載ってた火災調査官とか何とかいうの。
また酒でも飲んで酔っぱらって誰かと見間違ったんじゃねえのか?白井君…。
どうもありがとうございました。
行くぞ。
山吹?知らないわそんな人。
山吹さんもそう言ってました。
でもついこの間そこで2人で話してたじゃないですか。
あああの人…山吹さんっていうの?道訊かれたから教えただけよ。
バカなこと言わないでくださいよ。
山吹はここから目と鼻の先に住んでるんですよ。
なぜその山吹があなたに道を訊かなくちゃいけないんです?でも訊かれたんだから仕方がないでしょ。
一体何調べてるんですか?もういいじゃないですか。
事件は終わったんですから。
いいえ終わってません。
あなたと山吹さんに会って確信しましたよ。
拓也君は犯人なんかじゃない。
一体あなたたちは何を隠してるんですか?もう嫌なんです。
事件のこと思い出すのが…。
君は思い出したくないかもしれないけど思い出すことでしか思い出の中でしか拓也君に会えなくなってしまった人がいるんだよ。
拓也君のお母さんだ。
失礼します。
話す気になったらいつでも来てくれ。
待ってるよ!ごめん拓也…。
でもこれでいいんだよね。
これで…。
(携帯電話)はいもしもし紅です。
何だって!?で病院は?わかったありがとう。
どうしたんです?「みやこ」のママが自殺したよ。
えっ!?ママ…。
私死ねなかったんだ…。
バカなこと言うなよ。
はあ…。
ごめんな。
俺が…俺のせいだ。
クソッ…。
いいのよ…。
紅さんのせいじゃないんだから。
私が悪いの。
でもね…夢見てたわ。
夢…?覚えてる?拓也が消防官になりたいって言ったこと。
覚えてるよ。
紅さんあのとき拓也を消防署に連れてってくれて消防車に乗せてくれたじゃない。
よっ…はい!すげぇ!すごいよ!!お母さん僕格好いい?うん格好いいよ!ねえ写真撮ってよ!OK!はいいくよー。
でも夢から覚めたら消えた。
ママ…。
(美也子)私何もなくなっちゃった…何にも…。
空っぽになっちゃった…。
でもね…私は私なりに計画してたんだ。
拓也が大学卒業して自分の好きな職業に就いて萌ちゃんと結婚してくれる…。
そうしたら2人でお店やるのもいいかなって…。
萌さんと?拓也は萌ちゃんのことが好きだったのよ。
えっ?口には出さなかったけど私にはわかる。
でも振られちゃったのかな…?だからあんなやけ起こしてストーカーだなんて…。
・萌さん?あっ…あのすみません。
出直します。
これ…。
萌さん…ここ頼むな。
はい…。
萌さん!ちょっと待ってくれ。
聞いてたんだろ今の話?本当なのか?拓也君が君のこと好きだったっていうのは…。
誤解ですおばさんの。
拓也と私はそんな…。
じゃあ何で逃げたんだ?拓也君の気持ちを知ってたからつらくなって逃げ出したんじゃないのか?頼むよ話してくれ。
何を隠しているんだ?君は何を知ってるんだ!?何も知らないわ!何も知らない…。
拓也は桜木先生の奥さんに夢中だったのよ。
だからストーカーをして…。
違う。
あいつが好きだったのは桜木衿子なんかじゃない君だ。
そうなんだろ?どうしてだ…何でストーカーだなんて嘘をついたんだ?嘘なんかついてないわ。
いいんですこれで。
拓也は許してくれる。
拓也が望んだことなの。
えっ?拓也は許してくれる…。
拓也が望んだこと…?萌ちゃんが決めたことならもう俺は何も言わないよ。
《拓也許してくれるわよね》《私…悪魔になってるのかもしれない…》《でも許して拓也。
お願い…》頑張るから…。
頑張るから拓也…。
何しに来たの!?何怖い顔してるんだよ?わかってるんだろ何しに来たか?一体いつまで待たせるんだよ。
払うもん早く払えよ!今そんなこと言われたって…。
帰ってください。
帰って…。
俺はないらついてるんだよ。
あの調査官にうろつかれて!なぁ?お前もいらついてんだろ。
いや!やめて…。
このやろう!いやっ!やめて…やめて…!うっ…いやーっ!萌ちゃんがどんな娘かって?ええ。
そりゃいい娘よねぇ。
明るくてやさしいし気が利くの!そうなんですか〜。
じゃあこの人知りませんかね?この人?見たことないわよね。
そう…萌ちゃんの友達とかじゃありません?あなた知ってる?知らない…。
気を付けたほうがいいわよその男には。
ストーカー息子の父親なんだから。
(一同)ええ〜っ。
あっ円ちゃんのお母さんどうも…。
円の目はごまかせても私の目はだませないわよ!今日こそこの間の決着…。
すみません。
こんにちは。
先生〜遅かったですわね。
今日はどうなさったんですか?すみません。
ちょっと出がけに急患が入りまして。
まあ…。
紅さんでしたね?はいどうも。
今日は何か?できればお話を伺いたいなと思って…。
すみません。
ちょっと待っていただけますか?遅れた罪滅ぼしに一曲だけリハーサルしたいんで。
ええどうぞ。
じゃあ皆さん始めましょうか!は〜い。
『この広い野原いっぱい』「この広い野原いっぱい咲く花を」「ひとつ残らずあなたにあげる」「赤いリボンの花束にして」「この広い夜空いっぱい咲く星を」「ひとつ残らずあなたにあげる」「虹にかがやくガラスにつめて」「この広い海いっぱい咲く船を」すみませんお待たせしちゃって。
いえ…。
コーラスの指導していると気が紛れるんです。
わかります。
で今日は何の話ですか?あの奥さんからですね山吹浩二という男の名前を聞いたことありませんでしたか?山吹?はい。
いやないですね。
誰なんですかその人?いや…。
じゃあ紺野萌さんに恋人がいるとかそういう話は?コーラス部の連中とはサークルを離れた後は個人的な付き合いは…。
なるほど。
そういえば…。
何ですか?紺野君にいきなり言われたことがあるんです。
先生がちゃんと奥さんをつなぎ止めておかないから私がこんなに苦労するんだって。
そのときは何の話だかさっぱり…。
もしかしてうちの衿子とその紺野君の恋人何か関係があったんですか?いや…それはわかりません。

(早苗)一真先生。
次の曲のレッスンしましょ。
みんな待ってます。
はい。
何かあったら必ず連絡ください。
わかりました。
すみません。
(早苗の咳払い)
(桜木)行きましょう。
(早苗)はい。
(携帯電話)はい紅です。
主任!紺野萌の部屋から出火です。
何!?その部屋からは山吹浩二の死体が発見され紺野萌は重度の火傷で今救急車で。
(救急車のサイレン)水…水を…。
大丈夫ですか?水…水…。
主任!どうなんだ彼女の容態は!?わかりません。
ただ彼女を搬送した救急隊員の話だと非常に危険な状態だそうです。
で運ばれたときはまだ意識はあったのか彼女は!?ええ。
うわ言のようにしきりに水を欲しがってたそうです。
そうか…。
あっ先生…!非常に危険な状態です。