(テーマ音楽)
岡山県の笠岡港からフェリーで1時間ほど。
江戸時代から石の島と呼ばれてきた北木島に向かいました
あああれはさ…あれは石を切ったあとの山かもしれないねほら。
自然に崩れた感じじゃないよ。
笠岡市街と島を結ぶフェリーは一日10便です
1,000人ほどが暮らす北木島は良質な御影石がとれる産地として知られてきました
島の石は今も暮らしに息づいています
立派な御影石の門。
60年前家の主が山から切り出しました
島の至る所にある石の鳥居。
人々は海の漁と山仕事の安全を祈ってきました
この辺りはあれだね…階段も石だし家の周りも石が多いね。
ここ石の島じゃけん。
石がやっぱり一番いいですからねセメンより石の方がいいんですよ。
ここ石の島です昔から。
100年にわたって山から石を切り出してきた採石会社です
(石を削る音)ごめんくださ〜い!ごめんください…。
駄目だ。
すごいな。
ごめんください。
(石を削る音)
(石を削る音)石の格好を見るんですよね。
形を。
(笑い声)
3代目の鶴田英輔さんです。
4人の職人を束ねています
ここでは採石場で切り出した巨大な石を細かく割って出荷しています
(石が倒れる音)
腕の見せどころは定規を当てたようにきれいな四角に割る事です
これは100%きれいに割れるわけ。
石には割れやすい線「石目」があります
目に沿って穴をあけ「矢」と言われるくさびを打ち込みます
(くさびをたたく音)
石が割れるのは音で分かります
(くさびをたたく音)
(鶴田)音が変わりますんで。
(くさびをたたく音)あっほんとだ!
(鶴田)あれが割れた音なんです。
あ〜もう割れたんですか?
(鶴田)もう割れたのよ。
あの音がポコッと変わったらもう…。
あ〜っ!
(鶴田)でしょう。
ドーンドーンって音に変わる。
音が変わるでしょ割れたら。
白くて固い御影石北木石の特徴です
周囲18kmの北木島。
島は花こう岩で出来ています
至る所にある深い穴は石を切り出す採石場です
最盛期の昭和30年代には127もの採石場がありました
北木石は水を吸わず耐久性があると重宝され船で東京や大阪に運ばれました
古くは大坂城の石垣
日本銀行本店の壁や装飾
明治神宮に続く神宮橋
多くの建造物に積み上げられ歴史を語っています
渓谷だな切り立った。
最初に石を切り出す採石場です
白っぽい。
ああ!まだ今水面下下へ35mぐらい下がってます。
あの下も掘ってあるの?この水はどうしたの?水はたまってるの。
たまり水。
きれいな水だな。
(笑い声)
100年以上をかけ海面下70mの深さまで掘り進めてきました
(石を削る音)
(石を削る音)
削岩機や火薬でとり出した石を運べる大きさに切っていきます
(石を削る音)
ここからは力仕事です
(くさびをたたく音)
石目が割れ始めました
いよら〜…よいしょ!よいしょ!よら〜…よいしょ!よいしょ!
石目をそれないようにまっすぐに切り出します
20代から現場に入っている藤井篤さんです。
2年前の東京駅改築の石も切り出しました
石はおよそ4t。
ワイヤーでつり上げられ工場に運ばれます
藤井さんの家は代々石切りで暮らしを立ててきました。
藤井さんが切り出し父親隆さんがクレーンでつり上げ母親のアサノさんが指示を出していました
隆さんは75歳まで現場に立ち3年前に亡くなりました
アサノさんは今も命懸けの現場を鮮明に覚えています
あれで巻きよったん。
へぇ〜怖くなかった?もう慣れたね。
慣れたら別に…。
親子3人で汗を流していた頃一緒に歌った石切唄があります
昭和27年に削岩機が導入されるまで金づちを打ち込む呼吸を合わせるために歌いました
石に立ち向かった職人たちの心意気です
多くの島々と浅瀬が入り組んだ北木島周辺は昔から底引き網漁が盛んです。
今島の漁師は60人ほど
かつて石の加工職人だった奥野雅彦さん。
安い外国産の石に押され注文が激減する中5年前から海に出るようになりました
底引き網漁にとって海底の石はやっかい者。
網が引っ掛かったり破れたりするからです
一方で採石場の近くは運搬船から転げ落ちた石が魚礁となって多くの魚たちを育てています
石の魚礁ギリギリまで網を引き多くの獲物を狙う
北木島の漁師のだいご味です
石材も面白いけど漁師もすればするだけ入ってくるけ漁師するんも面白いね。
「あそこに石があるから気い付けよ」とか「あそこの採石場を覚えとけ」とかやっぱ石の島じゃけ海やろうが陸じゃろうが石だらけみたいなもんじゃ。
島のただ一つの小学校に立つ二宮金次郎
戦争で石の搬出が少なくなった昭和15年から子供たちを見守ってきました
今全校児童は10人。
学芸会などで披露する石切唄の練習に励んでいます
「ふるさとの歴史を知って欲しい」と藤井さんたちが保存会を作り学校で教えてきました
切り出した石を最後に加工するのが石材店です。
島に24軒あります
北木石はダイヤモンドの歯の切断機で切り取られ墓石や建築材として全国に送られます
石の質が硬く粘りがあるため加工しやすい北木石
米田雄樹さん。
29歳。
8年前に島に戻り新たな夢に挑戦しています
父の龍治さんのもとで墓石の加工技術を学んでいます。
取り組んでいるのは墓石の台座を飾る蓮の花
花びらの微妙な曲線を手に伝わる振動と音の高低を頼りに加工します
一回ポロッといっちゃうとまた一からいう形で。
すごい時間もやっぱりかかりますし。
一つ一つがすごい大事ですね。
自分が作ろうとしたもんと少しずつ…花びらが開かなかったりとんぎったとこがとんぎらなかったりとかいう感じで。
言ってもなかなか言いよる事が分からんと思うんでもうだんだんだんだん数作っていくしかないんかなと思います。
米田さんはかつてプロ野球の選手を夢みて中学卒業後島を出ました
栃木県の強豪校から甲子園に出場。
そして将来を期待されて入学した大学で腰に大けがを負います。
大学は中退。
失意の中島に戻ります
なかなか帰りにくいなというのはあったんですよね。
だけどその逆で「よう帰ってきてくれた」と。
帰ってきた当時も若い子も島には少なかったもんで。
でも僕…恩返しにはならんかもしれんですけどやっぱり島で育ったんで何かこう何でもあったらすぐ行ける状態にして恩返しできればなという事で。
ボールに向かった青春から石と向き合う今。
島に生きる確かな手応えを感じています
島に戻って8年。
米田さんはふるさとで結婚。
家庭を築いてきました
100年にわたって受け継いできた北木石の石臼です
この日はひと月前に生まれた三男雄馬くんのお祝いです
(餅つきの音)
結婚や子供の誕生めでたい時の石臼の餅つきは島の習わしです。
ついた餅は近所にお裾分けします
(餅つきの音)
いつもそばにある妻と子供たちの笑顔
もう一人加わりました
雄馬くんはい!雄馬くんのお餅です。
ありがとうございます。
すごいうれしそうな顔しとるっすか?
(くさびをたたく音)
響いてくるのは人と石が向き合うふるさとの調べです
(くさびをたたく音)
(テーマ音楽)2014/03/29(土) 05:18〜05:43
NHK総合1・神戸
小さな旅「石切り 心意気が響いて〜岡山県笠岡市北木島〜」[字][再]
岡山県、瀬戸内海に浮かぶ北木島は、島全体が花こう岩でできた「石の島」。石切り場に息づく職人の技。伝統の石切唄。加工を担う親子の物語。石とともに暮らす人々を訪ねる
詳細情報
番組内容
岡山県、瀬戸内海に浮かぶ北木島は、島全体が花こう岩でできている「石の島」。島でとれた御影石は、大坂城の石垣や日本銀行本店などに使われ、江戸時代から上質な石「北木石」の産地として知られてきた。100年間を超えて掘り続けられる石切り場に息づく職人の技。島の小学校で歌い継がれる伝統の石切唄。石の加工を担う元高校球児の物語。瀬戸内の漁の風景を交えながら、島の誇りである石とともに暮らす人たちを訪ねる旅。
出演者
【語り】国井雅比古
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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