群馬県と茨城県を結ぶ国道50号線。
道沿いに見覚えのある看板が立ち並ぶ外食激戦区だ。
その中に地元で大評判のレストランがある。
兜のような屋根は…
名前は聞いたことがないが中は順番待ちの人でいっぱい
店内はゆったりしているがどの席も埋まっている
そしてお客さんはみんな同じものを食べてるような…
後ろから失礼いたします!
大きな鍋!これがみそ煮込みうどん
老舗メーカーの3年物八丁味噌を使った本格派。
麺はたっぷり300gで食べごたえ満点!
ガツンとくるおいしさでうまい!
メニューの表紙もこれ。
みそ煮込みの専門店かと思いきやとんかつに刺身いろんな料理を揃えた
人気があるのが寿司とそば
そばの実の中心部分一番粉を使った自家製麺に揚げたての天ぷら。
そしてシャリが隠れるほどネタの大きいお寿司。
うまそう!おばあちゃんが食べていたのは…
お刺身や天ぷら茶碗蒸しなどがぎっしりの…
おいしいものを少しずついろいろ食べたいというおばあちゃんに大人気のメニューだ
ばんどう太郎の客単価は平均1400円と結構お高め。
それでもこの外食不況のご時世に成長を続け…
まさに奇跡のファミレス!なぜ客は集まるのか?改めて店内を観察してみるといろんな世代が一緒の家族連れが多いことに気づく。
こちらも家族連れ。
誰が来ようと言い出したんですか?
子供が好きなんですよ…。
そうばんどう太郎は子供からお年寄りまで家族3世代が利用する都会にはないファミレスだ。
ではどうやってこんな客を呼び込んでいるのか
田んぼの真ん中に建つ
店内には制服や法被姿の店員さんにまじり割烹着の女性が1人
12名様ご案内しますどうぞ!でもなんで1人だけそんな格好を?
確かに女将と書いてある。
実はばんどう太郎には女将さんがいる
6名様でこちら…。
かしこまりました。
すみませんいらっしゃいませ。
女将さんはその店の顔でありきめ細かいサービスを行き届かせる役割を担う
要望があればこんなことも
常に表の駐車場をチェックするのも女将さんの仕事。
車が入ってくればダッシュ
お席ご用意できていますのでどうぞ。
こう迎えられれば客は気分がいい。
そして帰るときも…
バイバイ。
ありがとうございました。
また来たくなるなぁ。
ときには放っておいてくれるのもこの店の特徴だ
(スタッフ)3時間いてもお店は何も…。
それどころか子供がやんちゃしてもOK
こちらはお孫さんと一緒に来たおばあちゃん
(スタッフ)お会計するのは?
3世代それぞれが居心地よく過ごし熱烈ファンになっていく
おいしい感想でいっぱいのばんどう太郎。
その料理はファミレスに多い調理済みの冷凍ではなく…
しかも客席から丸見えのオープンキッチンで作られる
そのオープンキッチンには調理人が8人
調理のほとんどは機械を使わない手作業。
生の素材をいちから仕込み…。
天ぷらは割烹のように芸術的な衣つけ。
店内にはガラス張りのこんなコーナーも。
お米の精米だ
地元のお米をその日使う分だけ精米して炊いている。
これで旨さが一段アップ。
精米で出たぬかは無駄にせずぬか床に
自家製のぬか漬けを出すファミレス。
聞いたことがない。
この手間を惜しまない料理が何より客を呼び込む
その一角で小さな子がケーキを作っていた
ケーキを運んだ先は…
は〜いおめでとうございます。
子供たちのおじいちゃん還暦の誕生日だった
「ハッピーバースデーディアおじいちゃん」
孫たちが手作りケーキで祝ってくれたんですね
おめでとう。
ありがとう。
子供もおじいちゃんもそして実はお母さんも喜んでいる
家族の節目行事の企画は他にもいっぱい。
この家族がやっていたのはお食い初め。
生後100日目の子供にごちそうを食べさせる真似をさせ健やかな成長を願う伝統儀式だ
自分で道具を揃えるのは大変だがこれなら気楽にできる。
こっちの部屋ではなんとファミレスで7回忌の法事だという。
ここで開いた理由は故人が…
まさにゆりかごから墓場までなんでも喜んで!考え抜かれたサービスで家族客を呼び込み今や茨城県を中心に68店舗を展開している
村上龍がこの異色ファミレスで注目したのは経営者
村上のハートをがっちりキャッチしたのはこんな男
これがただ者じゃない
家族連れが押しかけるファミレスばんどう太郎の本社は茨城県・古河市にある
朝訪ねるととんでもない人数が出てきた
(一同)おはようございます!
ちょうど月に一度全店長が集まる日。
朝礼は壮観だ
その掛け声の先頭に立っていたのが創業社長…
この日青谷が向かったのは3月に開店する店の建築現場。
そこには砦を思わせる建物が。
敷地は2000坪もある
しかし本当に驚きなのはこの店の造り。
なんと天井の高さを6メートルもとっている
一見ムダで非効率。
しかしこれこそがばんどう太郎のやり方だという
今夜は北関東で家族連れの絶賛を集める異色ファミレスのトップが登場
外食不況をものともしない常識破りの独自戦略を見よ
なんとも見ていて気持のいいウキウキする店内ですね。
龍さんいかがでしたか?おじいちゃんおばあちゃんの誕生日にお孫さんたちがケーキを作るっていうのありましたね。
すばらしいアイデアだと思うんですけどあれは誰が考えるんですか?青谷さんたち経営陣が考えてトップダウンしたわけじゃなくて?お客さんと接するのは現場の人ですもんね。
これがさっきも出てきた…。
ばんどう太郎のメニュー表ですね。
こうやってざっと開いてみても…。
このメニューのデザインとかは青谷さんも考えるんですか?そうですね。
100種類以上メニューがありますけども平均単価が1,400円って結構…ちょっとお高いかなと思いきやこうやって中身の量見るとすごくお得感はありますよね。
そうですね。
これだけの量でって。
実際に食べてみてお得感がなかったらもう来ないですもんね。
そうですね。
新規出店をされるときにどういったことを主に考えられるんですかね?高級感がある。
高級感。
汚すってどういう意味ですか?ちょっとダサくしちゃうんですか?隙をつくるわけですね。
例えばさっきもありましたけどもお米を精米して出すと。
もちろん…。
店で全部作るわけですよね?そうですね。
そういうこと考えていくと成功するためにはただひとつお客さんがたくさん来ないとダメですよね。
そうですね。
お客さんが来るっていう以外の効率化とか合理化で売り上げが上がるっていうことはほとんど求めていらっしゃらないわけですね?非効率化。
いらっしゃいませ。
一代で人気ファミレスチェーンを作り上げた青谷
しかし振り返ればそこには想像を絶する半生が
そして成功の陰に苦闘のドラマがあった
毎年1月ばんどう太郎には欠かさず続けているイベントがある
全店舗を休業しスタッフ2,000人で行う新年会だ。
踊っているのは社員たち。
それをノリノリで楽しむのはパートさん。
そうこれはパートさんをねぎらうイベント。
社長の青谷が率先して仕切れば店長たちがかいがいしく飲み物を運ぶ。
和気あいあいとしたひとつのチーム。
しかしここに至るまでには長い苦難の道があった
青谷は茨城の貧しい農家の生まれ。
小さな頃から農作業を手伝い学校は中学まで。
貧しさから抜け出そうと蕎麦屋に弟子入り。
懸命に働いた。
その甲斐あって夢の一国一城の主となった。
当時はすかいらーくやデニーズなどが開業。
ファミリーレストランという新たな外食文化がすごい勢いで日本中に広がっていった時代。
青谷も営んでいた蕎麦屋を和食ファミレスに変える勝負に打って出る
実際店舗も5店まで増やした
しかしある時期から従業員が次々と辞め始める。
利益を優先するあまり従業員に厳しく接していたのだ
これ以上人が辞めたら店は潰れる。
青谷は従業員を夜の10時までに帰しそのあと妻と2人で片づけや翌日の仕込みをするように。
5つの店を回り終えるのは明け方近く。
毎日ヘトヘトになりながら…。
母親の墓前で助けてくれと手を合わせた。
そんなある日…
青谷は5つの店を休業にし全従業員を集め今までのやり方を謝った
ここが大きな分岐点。
青谷はその後利益や成長ではなく幸せの日本一を追い求めるようになる
そのときに一人ひとりの幸せの実現。
そして従業員との関係も変わった。
今青谷が店舗回りで顔を出せば…
はいご苦労さま。
おはようございます。
お疲れさまです。
おはようございます。
みんな嬉しそうに寄ってくる
はいおはようございます。
おめでとうございます。
青谷も労をねぎらうように一人ひとりと握手して回る
大丈夫か?大丈夫です。
今年もよろしくお願いします。
今日は休みだったの?
従業員たちに気持よく働いてほしいと青谷はバックヤードの環境改善にも取り組んだ。
古くなった店舗の休憩室を次々に改装
和式だったトイレもこのとおり
手を入れたのは労働環境だけではない。
仕事を通じて幸せを実感できるそんな仕組みも作った
これがばんどう太郎流…
楽しく仕事に打ちこんでもらおうと始めたのが従業員の個人表彰
ばんどう太郎学園南店庄山由紀さん!はい。
(拍手)
普通の会社なら表彰されるのは売り上げナンバーワンなどだが…
この女性がもらったのはお客様アンケートで最も褒められたという賞
売り上げ以外の努力もちゃんと評価してくれるから嬉しい!笑顔や一生懸命さなどの賞もあり5,000円の金一封がつく
このパートさんはみんなの前で店長から感謝の手紙を贈られた
(拍手)店長から感謝の言葉とか手紙をもらったことがないのでとても嬉しいです。
すみませんおはようございます。
(笑い声)すみません申し訳ございません。
こんな取り組みで仕事をおもしろくし働く幸せにつなげているのだ
一方本社には割烹着の女性たちが集まっていた。
接客を仕切る女将さんたちの研修会だ。
実は彼女たちも全員パートの主婦
この女将さんも青谷がどうすれば働く幸せを感じてもらえるかと考え作った制度だ
その実例を見てみよう。
小山50号店で働く安達は女将になって2年。
ホールの責任者として接客の先頭に立っている。
この日やってきたのは安達との会話を楽しみにしているおばあちゃん
ちょっと段差ありますので気をつけてください。
自治医大の先生があと20年生きられるって…。
100になっちゃうの。
あらいいじゃないですか。
安達は女将になる前からずっと話相手になってきた
こうしたお客さんとどんな気持で向かい合うのか?その答えがこれ
客を親と思えば話は明快
女将として懸命に働き客に感謝され心が熱くなる。
これが青谷の考える仕事が生む幸せだ。
その一方でこの男ときには社員の厳しい親父になることも
新入社員には初任給をもらったら正座して親に報告しろと命じている
入社4年目の青木はそのときのことが忘れられない。
青谷に言われたとおり正座で報告すると母親が感謝の気持を手紙に書いてくれた。
彼女はそれをお守りのように持ち歩いている
会社を大きくするのではなく幸せな人間を増やす。
これがばんどう太郎の経営だ
龍さんちょっとジーンとしてしまいましたね。
まぁそんなに大きな農家でもないですし進学もなかなか難しかったんですよね。
そうですね。
そのあとまた朝から農業でしょ?もちろん。
睡眠時間3〜4時間じゃないですか?そうですね。
体とか壊したんじゃないですか?妹が教師になりたいと思われてたらしいんですよね。
で私に…。
退学してきちゃったんですか?退学して…。
すごい妹さん。
その妹さんは今…
本社隣の製麺工場で働いている。
ばんどう太郎があるのもこの人がいたから
役職なしのいちパートとして陰から兄を支えている
会社の転機となったのはお墓の前で聞こえたお母様からの声だということですが…。
具体的にはどういうことをやられたんですか?まずそこから始められたわけですね。
みんなが何を望んでるかと。
何かいろいろ出ました?そのとき。
それぐらいの思いだったってことですよね。
でもすごい…。
でも非常に印象的ですよね。
従業員の幸せを考える会社にしようってしたときにまず従業員の人たちの意見を話を心の内を聞いたってのが非常に象徴的ですね。
そしてばんどう太郎の企業理念は今親孝行っていうことでこれは初めて聞くとどういうことなんだろうってちょっと戸惑ってしまうんですけども…。
どういうふうに受け止めたらいいんでしょうか?
茨城の田んぼの中に突然現れるこんな看板
ばんどう太郎を支える農家たちだ。
このあとはもうひとつの強さの秘密
この夜坂東太郎本社の一室に法被姿の男たちが集まっていた。
祭りか何かの相談?
しかしよく見ると法被には「世話人会」と書いてある。
実はこの人たち前1回あったのは
言いたいことを言いはじめた。
これはあえてクレームを聞くための集まり。
坂東太郎にとってこの人たちは単なる取引相手ではなく仲間なのだ
信頼関係で結ばれた仲間だから買い叩くこともしない。
例えばこの養豚場。
相場より高い豚肉を扱っているが坂東太郎はずっと取引を続けている。
業者の側も期待に応えようと安心安全を徹底している
ばんどう太郎の仲間の姿はこんなところにも
ニコニコ手を振るのはばんどう太郎のためにお米を作っている農家の皆さん
そのお米も相場より高い値段で購入しているという
更に食材などを運ぶ
地元とともに成長していくという青谷の信念のあらわれだ
地域に対し強い思いを持つ青谷。
そこでこんな取り組みも続けている
こんばんは!
(一同)こんばんは!
地域の若手経営者を集めた勉強会を手弁当で開いている。
この日来ていたのは…。
整備工場や和菓子屋などさまざまな業種の2代目3代目たち。
ガソリンスタンドを営む櫻井さんはこの席で経営の厳しさを訴えた
特にスタンド業界は本当にそうなんだろうか?
どうすれば幸せに近づけるのか?考え続けてきた青谷の答えは重い
やる気のある幸せな企業を増やし幸せの連鎖を生み出したい。
青谷の願いだ
ホント地域の農家の皆さんと一緒にともに成長していくっていう。
そうですね。
どうしてそこまでって言うとあれですけど地産地消とかですね地域の共生っていうかそのつながりみたいなものを大事にされるんですか?東京の人が知らないファミリーレストランが北関東でものすごく流行ってるというような現実って僕はすばらしいと思うんですよね。
なんか昔はですねちょっと成功したりすると東京に憧れたりというようなことをやる傾向があるんですけど…。
坂東太郎というか青谷さんの考え方っていうのは僕新しいと思うんですね。
東京にはないけどここにはホントに豊かにあるっていうものを発見してそれを資源としてビジネスをされてるような気がするんですよ。
はい!
このあとは最後に明かす坂東太郎の底力。
従業員の幸せを求め続けた結果パートさんがここまで言う!
青谷が25年かけて探し求めた幸せ日本一の会社。
その結果は…
収録を終えて村上龍はこんなことを考えた
2014/02/13(木) 21:54〜22:54
テレビ大阪1
カンブリア宮殿【地域ナンバー1戦略で勝つ 異色外食チェーンの「幸せ経営術」】[字]
北関東を中心に展開する和食ファミレスチェーン「ばんどう太郎」。祖父母から孫まで、来店する家族の3世代全員が満足する「居心地の良い店づくり」とは?
詳細情報
番組内容
外食不況と呼ばれ、低価格を売りにしたファミリーレストランチェーンが台頭する中、平均客単価1400円と高価格ながら、成長を続ける異色のファミレスがある。北関東・茨城県を中心に68店舗を展開する和食ファミレスチェーン「ばんどう太郎」だ。客の多くが、祖父母から孫まで連れ立った3世代の家族。
番組内容つづき
1番人気の「みそ煮込みうどん」からお寿司まで、100種類以上ある豊富なメニューも人気の要因だが、それ以上にお客を魅了するのが、「3世代全員が満足する居心地が良い店作り」にある。熱烈なリピーターを育て上げてきた知られざるファミレスチェーン。効率化を求めず、競合と競争しない独自経営には、人々を「幸せにしたい」という、創業者の熱き思いが秘められている。
出演者
【ゲスト】坂東太郎社長・青谷洋治
【メインインタビュアー】村上龍
【サブインタビュアー】小池栄子
関連情報
【ホームページ】
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/
【公式Facebook】
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