「シリーズソチパラリンピック」。
3月に開幕するソチパラリンピックで活躍が期待される選手をご紹介していきます。
今日注目するのはこの選手です。
アルペンスキーの鈴木猛史選手です。
昨日は高速系の狩野選手をご紹介しましたが今日ご紹介する鈴木選手は技術系。
(吉木)技術系?それはターンの技術が優れているという…。
そうなんですよ。
こちらアルペンの種目なんですが鈴木選手が得意にしているのが回転です。
ポールの数が多く素早いターンが求められるんですね。
最も高いテクニックが必要とされる種目なんです。
なるほど。
でもチェアスキーで細かい動きをとるというのは非常に難しい事ですよね。
バランスが難しそうですよね。
さあ鈴木選手一体どんな選手なんでしょうか。
こちらをご覧下さい。
アメリカ西部コロラド州。
3,500mの高地で日本代表チームの合宿が行われていた。
金メダルに最も近いといわれる男…両足を交通事故で切断しているが一たびゲレンデに出れば動きは一変する。
たった一本しかない不安定なスキーを巧みに操り100分の1秒のタイムを争う。
鈴木が最も得意とするのは…ポールの間をバランスを崩さず細かいターンを繰り返していく。
このスラロームで鈴木は昨シーズンの世界チャンピオンだ。
強さの秘密は世界で鈴木にしかできないといわれるある技術だ。
通常チェアスキーでは…しかし鈴木は腕を振り上げバランスをとるための道具アウトリガーでポールをなぎ倒して滑るのだ。
これは逆手と呼ばれ健常者の競技スキーでは一般的なテクニック。
手でポールを倒していくこの技術を鈴木は初めてチェアスキーに取り入れた。
逆手を使う事でポールから受ける衝撃を減らすと同時に直線的なラインをとる事ができる。
鈴木とほかの選手の滑りを比べると逆手は手を前に出すため体より早くポールに到達する。
その分次のターンの体勢に素早く移行できるのだ。
ポールを倒すとすぐに次のターンへの切り替えができている。
しかし手を上げる事で不安定になり転倒などの危険と常に隣り合わせでもある。
僕らコーチから言っちゃなんですけど…誰にもまねできない圧倒的なテクニック。
その背景には幼い頃から培ってきた豊富なスキー経験が生かされている。
初めてチェアスキーに出会ったのは小学3年生の時。
5歳からふるさとの福島でスキーに慣れ親しんできたが衝撃を受けたという。
チェアスキーに乗れば友達と対等に遊べる。
鈴木はいつの間にか自由自在にスキーを操っていた。
やがて本格的に競技に打ち込むようになり手本にしたのはオリンピック選手の滑りだった。
何度も映像を見返し逆手のテクニックを自分のものにしようと努力を重ねた。
才能はすぐ開花し一気に世界のトップ選手へと上り詰めていった鈴木。
パラリンピックの代表に初めて選ばれた17歳でメダル有望といわれた。
そして迎えたトリノ大会。
得意のスラロームは12位。
ほろ苦い結果だった。
パラリンピックで勝つには持ち味の逆手に磨きをかける必要がある。
取り組んだのはバランス感覚の強化だった。
ボールに乗り不安定な状態で体を動かし続ける。
更に左右に振られたボールをキャッチする事で徹底的にバランス感覚に磨きをかけ体幹も鍛えていった。
そして前回のバンクーバー大会。
滑りには絶対の自信を持っていた。
しかし結果は15位。
大舞台でのプレッシャーが重くのしかかった。
そのあとは国際大会で勝てない試合が続いた。
そんな鈴木を支えたのはチームメートの森井大輝だった。
これまでパラリンピックで3つのメダルを獲得。
日本人で初めてワールドカップの年間チャンピオンにも輝いたトップ選手だ。
長年同じチームで苦楽を共にしてきた仲。
頼りになる兄貴的存在でもありよきライバルでもある。
森井は鈴木になんとか自信を取り戻させたいと試合の度に声をかけた。
更に森井の影響からおろそかにしていた筋力トレーニングに本格的に取り組むようになった。
滑りのバランスをより確実に保つために腹筋背筋腕の筋肉と徹底的に鍛え抜いた。
横に行くんじゃなくて下に。
OKです。
了解です。
手首曲げないようにして。
筋力強化は滑りの技術を格段に向上させた。
過去の滑りと比較してみると現在は上体で板をしっかり踏み込めているのが分かる。
力強く雪面をとらえる事ができるようになりスピードが増しかつ安定した滑りへと進化したのだ。
そして昨シーズン。
鈴木は目標だったワールドカップの年間チャンピオンとなりソチでの金メダル最有力となった。
今日はスタジオに鈴木猛史選手にお越し頂きました。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
ふだん使っているチェアスキーとそしてアウトリガーを持ってきて頂きました。
この手に持っているものとストックどう違うんですか?ストックと違う部分になるんですけどそれはこのスキーの部分になります。
今これを滑走状態にしてみます。
この状態で…?この状態でこういうふうに手を入れてこういうふうに使って滑ります。
ちょっと触ってみてもいいですか?どうぞ。
アウトリガー軽いですか重いですか?意外と軽いです。
軽いですか。
はい。
ふ〜ん。
でもやっぱりこのスキー板がある方が滑りは安定するんですか?そうですねスキー板があった方がリカバリーですか…転びそうになった時に支えてくれるのですごく役に立っています。
そもそもバランスをとるための道具なんですけど。
これを鈴木さんどのぐらいの高さまで上げて…。
まそうですね僕がスラロームでやってる高さなんですけども大体この辺りまで手を上げています。
動きとすると…。
こういうふうに。
ちょっとやってみてもいいですか?実際に動かすと吉木さんどうでしょうかね?ここが基本的な高さで…。
このぐらいの高さでいいですか?これ上げる?ちょっと上がり過ぎ…。
もう少し下げて…。
このぐらい?ああそのぐらいですね。
このぐらいをずっと走りながら続けるんですもんね。
そうですね。
そう思うとちょっとつらいと思います。
持っただけだと軽いけれど動かすと…。
動かすと…。
どの辺りの筋肉結構来ます?二の腕のこの上の部分とあと多分背筋とか肩の力とか結構全体に負荷がかかりますよね?そうですね。
なのでそのためにトレーニングをしているので全然僕たちは重く感じないです。
じゃずっと続けていてもあまり疲労感はない…?そうですねないです。
多分私これ10回やったらもう筋肉痛です。
ちょっと弱すぎますね10回…。
バランス感覚って鈴木さんどこから生まれたものなんでしょう?そうですねまあトレーニングにもよるんですけども常にバランスボールの上に乗って常に不安定な状態を続けて乗り続けている。
あれ繰り返せばバランス感覚って相当つくもんなんですよね?…だと思います。
だと思って僕はやっているので。
でもその成果がやっぱりいろいろレースに出ているので。
でもやっぱり逆立ちで…。
あれどれぐらい時間かかったんですか?あそこまでできるのに。
そうですねやっぱり最初はいっぱい転んでいたんですけれども徐々にどの位置で安定するかっていうのが分かってきた…。
感覚的に覚えてきてそれによって実際の試合にも影響しましたか?常にチェアスキーに乗っていてバランスを崩してもこの位置にいれば大丈夫というのが分かるようになりましたね。
吉木さんバランスボールって使った事あります?使った事あります。
よくダイエットとかでも使われるものなんですけどまず座る事自体が難しいんですよ。
座って足を上げるじゃないですか。
その時点で転んでしまうんです。
なので体幹がホントに鍛えられるというか…。
実際使っているチェアスキーって非常に細い一本の板ですからね。
まさに不安定な状況の中でうまく走られるので…。
それはやっぱり無意識に体が反応してバランスをとっているっていう事なんですかね?そうですね。
もう無意識ですね。
は〜。
でもバンクーバーでの敗因というのはやっぱりメンタル面もあったと思うんですけれども試合というのは相当プレッシャーがかかるものですか?やっぱり結果を求められていますのですごくプレッシャーがかかります。
特にオリンピックパラリンピックという大きい4年に一度のイベントではホントにプレッシャーのかかり方が違いますね。
あ〜そうですか。
ふだんのレースはそれほどプレッシャーがかからないんですか?こう言ってしまうと失礼になるかもしれないんですけれども失敗してもすぐに次のレースがありますので次のレースで頑張ればいいやとそういう気持ちを作れるので大丈夫なんですけどもやっぱり4年に一度というパラリンピックでは失敗してしまうと次は4年後かというふうになってしまうのでやっぱりつらいですね。
あ〜。
レースでは2本滑りますけれどもその2本というのは自分の中では得意とか不得意とかってあるんですか?そうですね。
正直言ってしまうと1本目で一番速いタイムではなくてそこそこの順位につけて2本目で逆転するのが今まで好きだったんですけども最近ではそういう感じではなくても1本目から一番のタイムを出して2本目でも攻めるという気持ちを作るようにしました。
という事でいうと今VTRにもありましたライバルでもあり先輩でもある森井さんの存在これは大きいんではないでしょうかね?そうですね。
すごく大きいですね。
まあ…何て言うんですかねやっぱり一番速い選手でもありますしそして憧れてる選手でもありますのでその選手から「お前は速いんだ」って言われたのはホントすごく自信になりました。
は〜。
やっぱりその言葉があったからこそ昨シーズンですか総合チャンピオンにもなれましたし得意な種目でも勝てるようになったのでとても大きいです。
メンタル面が前よりもだいぶ強くなったという事なんですが一番の理由は何ですか?一番は森井さんのアドバイスだったんですけども次にあるのがスタート前に悪いイメージをしなくなったというのがありますね。
悪いイメージ…?いいイメージよりも悪いイメージの方がすごく大きかったのでそれが原因だったのかなと思ったので最近ではいいイメージを持つようにしましたね。
自分がもう勝っているイメージですよね。
ゴールをして一番になっているような。
徹底的にいいイメージいいイメージと集中する事なんですかね。
はい。
アメリカでの合宿中鈴木は思わぬアクシデントに見舞われた。
長年使ってきたチェアスキーのシート部分が破損してしまったのだ。
急きょ日本から新しいものを取り寄せて付け替える事にした。
動きは?動きは問題なく…はい。
これ以上前に行かないんだけど。
うんそうだね。
それか自分から行くんだろう。
そうですね。
角度は変わってない?角度は大丈夫です。
変わってないですね。
当たりは全然いいですね。
体を支えるシートは僅かな違和感があっても滑りに大きな影響を与える。
新しいシートでトレーニングを開始。
少しでも早く慣れておく必要があった。
ソチを占う今シーズン初戦が目の前に迫っていたのだ。
納得がいくまで何本も何本も滑り込みを重ねた。
間に合ってよかったですね。
大会当日。
ワタシハジョンデス!地元アメリカやカナダなど強豪国が参加するためライバルたちの調整具合を知る事ができる絶好のチャンスだ。
この大会の最大のライバルは…国際大会で常に上位入賞する強豪だ。
鈴木本命のスラロームの試合。
2本滑ってその合計タイムで順位を争う。
鈴木の1本目。
やや動きが硬く思ったようにスピードが上がらない。
一方タイラー。
慣れ親しんだ地元のコースで力強い直線的な滑りを見せトップに立った。
逆転を懸け集中力を高める。
2本目。
持ち味の逆手でポールをリズムよく倒し切れ味鋭いターンを繰り出す。
タイラーに競り勝ち見事優勝。
鍛え抜いた心技体。
鈴木は2か月後ソチの舞台に立つ。
(場内アナウンス)タケシ・スズキ!
(拍手と歓声)見事初戦で優勝されましたが手応えはありましたか?そうですね自分の滑りをすれば勝てると思っていたので思ったとおりに勝てたのでよかったなと思います。
2本目で逆転したというのはこれまた自信になるんではないでしょうかね?そうですね。
逆転したという事は2本目は攻めれたという事なので自信にはなりました。
メンタル面でも強くなってきたという証拠なんでしょうかね?そうですね攻めれてるって事はやっぱりメンタル面で強くなったんじゃないかなと思っています。
さあ本番もうあと2か月切ってますけれどもソチのコースというのは実際走った事はあるんでしょうか?昨シーズン3月にプレ大会がソチで行われましてそこで回転ですかね回転で優勝もできていますので。
でもソチのコースっていうのはちょっとほかとはまた違う環境ですか?いえ意外と違うのかなと思ったんですけれども日本と似ていたので少し驚きましたね。
気温だとか雪質だとかその辺りっていうのは…?大体日本に近いのかなと…。
それですとちょっと高いんですかね?気温は。
気温は高いですね。
雨だったりとかも…。
雨だと…そしたら雪が結構荒れてしまう…?コースが荒れていたんですけれども逆に僕は荒れた方がラッキーだなと思ったりします。
それはどういう…?普通荒れるとちょっと不利になりますよね。
僕はバランスが一番武器だと思っていますので荒れてる中でもバランスを生かして滑りきれるのが自信なので自信を持っているというか。
そのソチの舞台で前回のレースでは優勝できたという事でしょうからまあそのコースもやっぱり自信があるんですかね?一度勝っている所なので大丈夫だと思います。
力強い言葉ですけれどもさあ2か月を切って何がこれから大事になってくると思います?一番はやっぱり健康面ですね。
健康管理には気を付けたいと思います。
トリノそしてバンクーバーと今回がVTRにもありました「三度目の正直」と…。
是非意気込みをお願いします。
はい。
3度目という事なので次こそは表彰台の一番上に立ちたいと思います。
そうですねプレッシャーに打ち勝って表彰台に笑顔で立って頂ける事を期待しています。
それとあんまり力を入れずに今度はちょっと気楽な気持ちでいった方が…。
そうですね。
森井選手がおっしゃってたように肩の力を抜いて…。
是非頑張って下さい。
そうですね任せて下さい。
頼もしい。
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
2014/02/13(木) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV シリーズ ソチパラリンピック(2)▽アルペンスキー鈴木猛史[解][字]
3月に開幕するソチパラリンピックの注目選手を紹介するシリーズ。第2回は回転のスペシャリスト鈴木猛史選手。昨季のワールドカップ総合チャンピオンの驚異の滑りに迫る。
詳細情報
番組内容
「ハートネットTV」では、4回連続シリーズでソチパラリンピックの注目選手を紹介。第2回は、アルペンスキー・鈴木猛史選手。17歳でパラリンピックに初出場。以来、回転のスペシャリストとして常に金メダル候補に挙げられてきた。トリノ、バンクーバーと惨敗したが、昨季はこれまで以上に心技体を磨き、ワールドカップ総合チャンピオンに。悲願の金メダルを目指し、世界でも鈴木選手にしかできない技に迫る。
出演者
【ゲスト】鈴木猛史,吉木りさ,【キャスター】山田賢治,【語り】風間俊介
ジャンル :
福祉 – その他
福祉 – 高齢者
福祉 – 障害者
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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