(最終回)科捜研の女 #16 2014.03.13

(割れる音)
(衝突音)
(木島修平)石川鱒乃です!
(榊マリコ)救急車!石川さん!石川鱒乃さん!ごめんなさい…。
石川さん!石川鱒乃さん!
(佐伯志信)殺人の可能性が出た!?君が事件性なしと判断した案件だろう。
(藤倉甚一)はい。
所轄鑑識科捜研全ての報告を吟味し私が刑事部長として事件性なしとの判断を下しました。
万一新しい事件でも起きたら私は君の更迭まで考える。
そのつもりでいなさい。
(電話)はい。
うんうん。
えっ?百合根荘?焼死体の出た現場です。
(佐伯)今度は別の住人が転落死したそうだ。
(風丘早月)表皮の剥離状態を見ると落下した場所はコンクリート?はいそうです。
ああ…頭部の外傷から見てかなり脳内出血してそうね。
ええ。
頭から落下したので。
って事は自殺?わかりません。
ただお年寄りですから…。
まあ高齢者の場合自殺じゃなくても頭から落ちる事があるわね。
マリコさんこれ。
新しい傷ですね。
傷口の菌を採取します。
(土門薫)倉林さん。
なぜあなたが鱒乃さんの部屋にいたんですか?
(倉林)鱒乃さんは誤って落ちたんです。
植木に水をやろうとして誤って落ちたんです!
(木島)まさか鱒乃さんも事故死だって言うんですか!?はい。
鱒乃さんも山路も事故です!お前らみんなどうかしてるんだ!うわっ!ああっ…!
(鑑識課長)先日起きた火災事案の遺留品です。
(藤倉)事件性が出たため鑑定をお願いしたい。
ただし鑑定の結果やはり殺人事件だったという事になりさらにそちらの転落死と関連が出れば藤倉刑事部長は更迭されます。
俺は事件性なしとした判断に自信を持っている。
予断を持たずに鑑定しろ。
いいな?はい。

(涌田亜美)お願いします。
(宇佐見裕也)ああ。

(相馬涼)いいね…。
よしよしよし!よし!
(日野和正)焼死体の現場にあったキッチンマットに灯油で付着した足跡があった。
山路さんの足跡ですか?多分ね。
石川鱒乃さんの首の傷どうだった?傷口の菌を分析した結果新しい傷でした。
って事は転落する直前についた傷?…だと思いますが犯人に繋がる菌は出ませんでした。
(相馬)転落死した鱒乃おばあちゃんの髪留めです。
これ今日ついた傷ですね。
木の傷の場合この毛羽立ちの摩耗具合でわかるんです。
落下した植木鉢とその土と植物の水分を調べました。
水分少ないわね。
鱒乃さんはこれで水をあげようとしていたのよね?うん。
目撃者の倉林さんはそう証言したみたいよ。
このジョウロまだ水が残ってます。
この水に空気中から付着した雑菌の繁殖具合を調べていつ汲んだ水かわかりませんか?なるほど。
かなり前に汲んだ水だってわかれば今日植木に水をあげたという供述を崩せるかもしれませんね。
(職員)そこに入りたいと問い合わせがありました。
(木島)その電話山路肇さんに間違いありませんか?
(職員)ええ。
介護つきのホームを探してるって。
最近病気が見つかって介護が必要になるかもしれないからって…。
ほう。
(職員)でもご期待には応えられなかったんですけど…。
応えられなかった?
(職員)そういう低価格のホームはどこもいっぱいですから。
(木島)だから不満があっても百合根荘にいたんですかね?うん。
百合根荘の大家掘祐子は山路さんだけじゃなく石川鱒乃さんの保険金の受取人でもあった。
えっ!?保険会社に確認した。
また事故なら3倍以上出る保険だった。
でもそれってよくある保険なんですよね?その保険に入っている人が相次いで事故死。
偶然か?大家が保険金目的で入居者を殺すとしてあんなむごい殺し方をしますかね?それに掘祐子金に困った様子はないですよ。
確かにあの女には親が残した不動産がいくつもあった。
そうですよ。
自分の所有する不動産の中で人に火をつけて殺すなんて一歩間違えば全焼ですよ。
あんな儲からない賃貸本当はすぐにやめてマンションでも建てたいわよ!あそこが全焼すればやめられるよな。
知らない?山路さんだけじゃなく鱒乃さんまであなたを受取人とした保険に入っていたんですよ。
それも事故だと3倍近く出る保険です。
そんなのよくあるタイプの保険でしょ?ねえもういい?これから友達と遊びに行くんだけど。
(宇佐見)ジョウロに残っていた雑菌です。
ほとんど繁殖していませんでした。
最近3日以内に汲んだ水という程度しかわかりません。
この時期だとなかなか雑菌は繁殖しないか…。
(相馬)3日以内じゃなくて3日前だって断定出来れば供述が崩せたかもしれなかったんですけどね…。
それで考えたんですが水道水に含まれる塩素の減り方でいつ蛇口から出た水かわからないでしょうか?そんな微妙な成分の変化をどうやったら…。
ん…?ん?ん?ん?ん?ん?失礼します。
あのガラスは?百合根荘の勝手口に落ちていた…。
ああこれです。
これ女が爪につける飾りじゃないのか?え?ああネイルに使うラインストーン。
ああ!「ああ!」ってお前どう思うんだ?マリコ君にファッションの事は聞かないであげて。
こういうやつですよね。
うん。
掘祐子がこれに似たガラスを爪につけていた。
あの女が使ってるこういうものを照合出来ないか?これに付着していた塗料とか接着剤とかそういうものも一緒に合致したら証拠になるかもしれない。
おお。
それは微量すぎて全ての成分がわかっていません。
微量成分の検出か…。
うん!事件性が出て鑑定も許されてるしその塗料もジョウロの水もなんとかなるかも。
あっ比較するから百合根荘の水道水採取してきて。
(ドアの閉まる音)
(倉林)犯人扱いしてるそうですね大家さんを。
我々が加入してる保険の事で。
我々?やはり皆さんも入っていたんですね?
(佐々本清子)もし大家さんが逮捕されたら私らはここを出なあかんようになるかもしれんのです。
なぜでしょうか?なぜって大家さんが刑務所なんかに入ったら…。
掘祐子は刑務所に入るような事をしたんですか?独り身の年寄りに部屋を貸してくれる人は少ない。
手頃な費用のホームは何十人待ち。
我々はここがなくなったら行き場を失うんだ!だから保険に入り大家を受取人にしたんですね?ああ。
それのどこが悪いんですか?そうやってあなた方は大家を守っていたんですね?いやこの終のすみかを守っていたんですね?だから事故にしたかったんですか?山路さんが料理中に事故に遭ったように偽装して…。
皆さんどうかしてますよ!山路も同じ事を言った。
奴は先月心臓の病気が見つかってね。
そのようですね。
心臓の薬でした。
それで奴は精神的に追い詰められて…。
だからどうして保険の受取人があの女なんだよ!?みんな納得してやってる事だろうが!どう考えたって悪質なんだ!人としてやっちゃいけない事だろう!今さら何を言ってるんだよ!お前らみんなどうかしてるんだ!
(ツゲ子・清子)ああっ!そんなに嫌なら今すぐここから出ていけ!直談判してやる…。
直談判?大家にですか?だから皆さんは掘祐子が山路さんを殺したと思って…。
事故にしてください!後生ですから事故にしてください!
(ツゲ子の泣き声)
(倉林)警察がなんと言おうと鱒乃さんも山路も事故だ!俺あの人たちが路頭に迷うのは悲しいです。
木島俺たちはな…。
でもあの女に殺されるよりはいい!彼らを路頭に迷わせても真実を追究するのか?苦しいけどそれが刑事なんだと思います。
二言はないな?はい。
やってもらいたい事がある。
ポリグラフ?簡単に言うと嘘発見器です。
嫌よ。
こんなものやらない。
それとも強制出来るの?いいえ。
人間は緊張すると汗をかき嘘をつけば鼓動が早まります。
これらの無意識に現れる体の変化を記録するのがポリグラフです。
呼吸脳波皮膚電気反応血圧と心電図計5項目を調べます。
仕方がない。
やろう。
え?大丈夫だ。
あなたは山路肇さんを知っていますか?いいえ。
山路さんが焼死した件で話してない事はありますか?いいえ。
山路さんは事故死だと思いますか?いいえ。
鱒乃さんが転落死した件で話していない事はありますか?
(倉林)いいえ。
鱒乃さんは事故死だと思いますか?いいえ。
以上で検査を終わります。
土門さん。
その腕時計お借り出来ますか?お願いします。
断れないんですか?その場合令状で差し押さえる事になります。
ポリグラフ検査の結果山路さんの死について3人とも事故だとは思ってない事がわかりました。
やはり山路さんは殺されたと知ってるって事か。
ただ鱒乃さんの死について女性2人は事故だと思っています。
倉林は?倉林さんだけどちらも事故だと思ってない。
じゃあ山路さんと鱒乃さんを殺したのはやっぱり倉林…。
(日野)みんなちょっといいかな。
あっ…。
ああっ!宮前所長!
(2人)所長?昔ここの所長だった宮前さんだ。
榊君土門さんお久しぶりです。
あっそうか!微量成分の検出をスプリング8に依頼したんですね?えっスプリング8ってあの兵庫県にある?
(日野)そう。
宮前元所長は今そこの研究者なの。
超微量成分の分析などをしている宮前守…。
そんな事よりジョウロの水道水とガラスに付着していた塗料の鑑定結果は?そんな事…。
はい水道水の鑑定書。
そしてこっちがガラス片などに付着していた塗料と…。
土門さんやっぱりネイルの塗料と接着剤だった。
掘祐子が通っているネイルサロン調べてあるか?はい。
塗料と接着剤任意提出してもらいます。
相馬君も亜美君も一緒に。
(亜美・相馬)はい。
倉林の腕時計に付着していた塗料の鑑定は?ああそれは私が。
お願いします。
はい。
宮前所長ありがとうございました!いや。
気をつけてお帰りください。
もう帰れないよ。
今夜は京都に泊まります。
じゃあ祇園で一杯やりましょうか。
それぐらいしてくれてもいいんじゃないの?すいません。
事件の最中なんで私は…。
でしょうね。
期待してませんし求めてませんよ。
さあさあさあさあ行きましょう。
土門さん。
全然変わってないじゃない。
あれでも少しは変わったんです。
少し変わった?どこら辺が変わった?微量に。
微量に?鑑定の結果このジョウロの水は3日前に水道から出したものでした。
変じゃないですか?それを昨日植木にやっていたなんて。
石川鱒乃さんの件だけじゃない。
あなた方は山路さんが事故じゃなかった事を知っていた。
ポリグラフとかいうやつでそう出たのか?はい。
今から呼吸脳波皮膚電気反応血圧心電図の順に検査結果をご説明致します。
その前にこれを…。
(倉林)私が通っている病院の診断書です。
「糖尿病の合併症で昏睡状態になったことがあり血圧や脳波に異常反応が出る可能性がある」…。
(ツゲ子)これは私の診断書。
「中枢神経系の血管障害」…。
私も甲状腺の持病があります。
「動悸頻脈手の震え」…。
(マリコの声)ポリグラフはただでさえ証拠採用されるのが難しい。
こういう診断書があるときっと裁判所は採用しない。
はあ〜さすが高齢者。
持病という必殺技使ってきましたね。
だがまだ倉林の腕時計に付着していた塗料がある。
宇佐見君が鑑定中です。
掘祐子さんが行ってるサロンで分けてもらったネイル用品それも今宇佐見さんが鑑定中です。
(木島)そのネイルサロンで彼女がしていたネイルです。
これ似てるわね。
うん。
しかも彼女がこのネイルにしたのは…。
山路さんが殺された日だな。
ええ。
しかもその翌日彼女はまたサロンに来ています。
ネイルの一部がはがれちゃったんで全部やり直してほしいって。
ネイルがはがれた?怪しいな。
ネイルサロンの塗料と接着剤の成分分析の結果です。
それと倉林さんの腕時計に付着していた塗料の照合結果です。
鑑定の結果あなたの腕時計に付着していた塗料と石川鱒乃さんの髪留めの塗料が一致しました。
鱒乃さんは事故じゃない。
そうですね?鱒乃さんは事故だ。
じゃあこれはどう説明するんですか?鱒乃さんが誤って落ちた時…。
(倉林)とっさに触ったのかもしれん。
(ため息)山路さんが焼死した日あなたはサロンでこのネイルにしましたね?塗料や接着剤の成分を調べた結果…。
これに使われた塗料や接着剤と一致しました。
(土門の声)山路さんが死んだ夜現場の勝手口に落ちていました。
あの夜あなたは現場にいた!そうですね?百合根荘には行ったけど入ってはいない。
(祐子の声)入ろうとしたら友達からメールが来て…。
あっ!あ…。
そうですか。
ではなぜあんな時間に百合根荘に行ったんですか?これだけだったなまだ謎が解けてないのは。
それは山路さんが調理中だったと見せかける偽装。
じゃあこれはなんだ?それには山路さんの指紋しかなかったけど。
台所に出したのは山路さん自身って事ですよね。
山路さんはこの茶碗で何をしようとしていたんだ…?その茶碗には水道水がわずかに残されていました。
山路さんは心臓の薬を飲んでいたのよね。
うん。
マリコさんあの台所にはコップや湯飲みもありました。
そうね。
これでわざわざ薬を飲まないわよね。
それ以前に彼が死んだ時薬袋は彼の部屋にあった。
多分山路さんは死んだ日に限って薬を飲んでいない。
え…そうなの?1週間前にもらった1週間分の薬が1日分残っていた。
やつは先月心臓の病気が見つかってね。
精神的に追い詰められて…。
山路さんはこの茶碗で何をしようとしていたんだ…?
(宇佐美)ガスレンジは?
(相馬)内部に少し水が溜まってましたけど。
水…。
水?ガスレンジに溜まっていた水。
ああ消火器の中身ですよね。
もしそうじゃなかったら…。
それがもし水道水なら…。
宇佐美さん塩素の減り具合でいつ水道から出した水かわかるんですよね?え…ええ。
スプリング8の力を借りれば…。
(日野と宮前の笑い声)
(宮前)やっぱり祇園はいいね〜。
(日野)次先斗町行きましょうよ。
いい店いい店ある…。
宮前所長まだいたんですか!?マリコ君言い方!あいさつ回りしてたの!お望みどおりもう帰るよ!待ってください!どっちなの?帰ったらすぐに鑑定してほしいものがあるんです。
え…嫌な予感…。
アハハ…。
あ…。
よろしくお願いします。
はい…。
みんなでお願いしよう。
(5人)お願いします!
(ため息)ありがとうございました。
宮前元所長から鑑定結果の連絡!ガスレンジに溜まっていたのは水道水でこの日の18時前後から翌日6時前後に水道から出た水だって。
山路さんが死亡した夜の可能性が高いって事ですね。
つまりあの夜山路さんは台所に行き茶碗に水道水を汲みガスの火を消した可能性がある。
なんのために?ガスだけが漏れるように。
え…まさかガス自殺!?いやそれで自殺は無理だ。
ええ。
室内にガスが充満すれば酸素欠乏の可能性はありますが大抵は安全装置が働いてガスは止まります。
それをもし山路さんが知らなかったら?知らなかったとしてもガス自殺は出来ないだろう。
あガスが充満した場所で再び火をつければ爆発する可能性は大です。
そういう自殺なら出来ます。
ガスが充満した場所…。
そういえば初めて現場に行った時わずかにガスのにおいがしていました。
でも結局爆発はしてないはずだ。
山路さんの死因は爆死じゃなく焼死。
(相馬)じゃあガスが充満した中で再びガスを着火させれば爆発する危険はかなり高いけど100パーセント爆発するわけじゃないから…。
結果爆発しない代わりに再着火したガスの火が灯油の染みた化繊のパジャマに引火しそのまま焼死してしまった。
そんな…!ほなほんまに事故やったんですか?正確に言うと自殺しようとして事故死した可能性が高いという事です。
だとしたらあなた方はなぜ偽装したんでしょう?あなた方はなぜ偽装したんでしょう?大家の掘祐子が犯人だと思ったから…。
そうですね?見たんです私。
(清子の声)あの夜…勝手口から出てくる大家さんを。
こんな時間に…。
(山路)あっああーっ!!
(火災報知機の警報音)だから山路さんの死に彼女が関わってると思った。
(ツゲ子の声)あの夜大家さんがいたって聞いてだから私たち…!それがまさか本当に事故死だったなんて…。
しかしまだわかっていない事があります。
ええ。
倉林さん。
ポリグラフ検査の結果あなたは山路さんだけでなく鱒乃さんも事故だとは思ってなかった。
鱒乃さんは事故だ!私は何度もそう言って…。
倉林さん本当はどうなん?なんか知ってるの?知らん!
(清子)倉林さん!山路さんは自殺しようとしていた。
倉林さんがそれを知ったのはいつですか?それは鱒乃さんが自殺した時ですね?
(清子)自殺…?山路さんには首を絞められた痕跡がありました。
弾性繊維に乱れがありました。
山路さんは生前首を絞められていたという事です。
首を絞めた凶器は鱒乃さんの寝間着のひもでした。
そんな…鱒乃さんが山路さんを絞め殺したっていうの!?私たちも最初はそう思いました。
鱒乃さんはそんな事はしない。
ええ。
彼女の腕力を考えると難しいかもしれません。
つまり山路さんが自分で自分の首を…。
それを鱒乃さんは知っていた可能性があります。
ごめんなさい…。
それこそ鱒乃さんが自殺した動機ではないですか?倉林さん本当なん?倉林さん!刑事さん!場所を変えてください。
そこで全てを…。
嫌よ!お願い倉林さん知ってる事全部言うて!鱒乃さんの遺書です。
「全て私の責任です」
(鱒乃の声)山路さんは心臓の病気が見つかり今の介護費用とは別にさらに医療費がかかると追い詰められていました。
そんな山路さんに私は手頃な費用で入れる老人ホームをすすめました。
それであのパンフレットには2人の指紋が…。
(鱒乃の声)あの日私は脱衣所に寝間着の腰ひもを忘れたので取りに戻りました。
すると山路さんが私の腰ひもで首を吊っていたのです。
私は無我夢中で助けました。
誰かに来てもらおうとしたけれど山路さんにみんなには黙っててくれそう言われました。
私はただ恐ろしく黙っているしかありませんでした。
でも私が全てを正直にみんなに話していたらその夜山路さんはきっと死ななかったはずです。
この遺書をいつ見つけたんですか?あの日鱒乃さんの体調が心配で…。
(倉林)鱒乃さん!何してる!放して!放して!鱒乃さん!やめなさい!
(植木鉢が割れる音)放して!
(衝突音)
(木島)石川鱒乃です!救急車!石川さん!石川鱒乃さん!
(倉林の声)誰にも見せちゃいけない絶対…。
そう思った。
どうして?その遺書を見て初めて山路さんの死に掘祐子が関わってないとわかったならなんで警察に言ってくれなかったんですか?言えば遺書を見せなきゃならなくなる。
「長生きすると明日の事を考えなきゃならない」「今一番の苦痛は明日を考える事です」
(泣き声)そんな遺書あっちゃいけない!わかるか?明日を悲観して死ぬような人間を許したら我々は生きていけなくなるんだ。
山路の自殺を知ってた鱒乃さんは同じ自殺という道を選んでしまった。
楽な道を選んだんだ…!人はみんな…。
楽になりたいと思って生きている。
特に我々は先に楽になった人のあとに続きやすいんだ。
倉林さん自殺で楽になるという発想は絶対に認められません。
(倉林)人はそんなに強くない。
だから知らせたくなかった。
それならなぜ捨てずに持っていたんですか?この遺書を。
わからない。
けど…俺には鱒乃さんの気持ちが…いや…本当は山路の気持ちだって痛いほどわかる。
そんな…こんな残酷な現実って…。
いいえ。
きっと真実はもっと残酷なの。
何それ…本当迷惑!でもガスで死のうとするなんてバカね。
はい?しかもその前に誤って灯油こぼしてかけちゃうなんて…。
本当に誤ってこぼしたのでしょうか?え?ご遺体の状態から山路さんは急激にやけどを負って焼死した事がわかっています。
防火処理されてない化繊の衣服のせい。
ずっとそう考えていました。
でも現場のキッチンマットには灯油で付着した足跡がありました。
この足跡は山路さんのものでした。
つまり山路さんは足まで灯油で濡れていた。
ちょっと…どういう事!?山路さんはガス自殺をしようとした。
それは現場にあったお茶碗とガスレンジの中の水道水が証明しています。
でもそれが出来ないとわかった時絶望した山路さんには一体何が見えたでしょう。
まさか自分で灯油を…?もしそうならそれをこう言った人がいた。
焼身自殺…?だとすると何か猛烈に抗議したい事でもあったんでしょうか?山路さんは誰にどんな抗議がしたかったんでしょう。
山路さんは亡くなる日にこう言ってたそうです。
だからどうして保険の受取人があの女なんだよ!?どう考えたって悪質なんだ!直談判してやる…。
だから…。
だから?なるほど。
あの夜あなたが現場に行ったのは山路さんに呼び出されたからですね?突然…保険金の受取人を自分に変えたいって…。
でもそんな話面倒だし本当は聞きたくなかった。

(祐子の声)そんな時約束していた友達からメールが来て…。
あっ!あ…。
(山路)あっああーっ!!
(火災報知機の警報音)つまり事件じゃなかったのか!君の見立てどおりだったわけだ。
さすが私の見込んだ男だな。
(佐伯の笑い声)あの大家には法的な罪はなくても道徳的な問題はある。
だが抗議の焼身自殺をされるほどかと言えばそれは疑問だ。
きっと山路さん新たに病気が見つかって将来が不安になって追い詰められていたのね。
だからってみんなに相談出来なかったんですかね?そうね。
あの家ならそれが出来たはずなのに…。
あの家の住人にまだ話してない事が出来たな。
山路さんが事故死じゃなかったって事だ。
それは話さなくてもいいんじゃないですか?彼らが路頭に迷っても真実を追うのが刑事。
あの言葉は嘘だったのか?鱒乃さんの遺書にあったわね。
真実を隠さずに話していれば悲劇は防げたかもしれないって…。
事件性のない案件に踏み込むのは刑事の仕事ではない。
事件性さえなければ自殺でも事故でもいいんですか?いや今回の関係者たちにとっては事故で処理された方がよかったかもしれんな。
真実を曲げてでもですか?何が真実だ?何が真実だ?真実はお前たちが事件性のない案件を調べた結果関係者を追い詰め2人目の自殺者を出したって事だ。
だがお前たちを走らせた責任はその住人たちにもある。
最初に起きた傷害事件の理由を隠したり焼死体の現場を偽装したりさえしなければ…。
そして最終的に捜査を許した俺にも責任はある。
真実をあぶり出したお前たちの腕は認める。
それが2人の情報交換で成り立ってる事も知ってる。
しかし認められないという事ですね?刑事も科捜研も事件を解決するための道具だ。
道具同士が意思疎通するなという事でしょうか?そういう事だ。
以後肝に銘じろ。
本当に意味はないのかしら…。
自殺か事故かはっきりさせる事に…。
だからきっと…山路さんは…。
焼身自殺を…。
私らのせいやな。
私らの1人が…いやほんまはみんなで山路さんの話を聞いてあげられたらこんな事には…。
(ツゲ子)そうやな…。
あの…皆さんにお話があって…。
契約の内容をその…変更しなきゃと思って…。
どんなにつらい真実でもちゃんと聞いてちゃんと話さなければやがてその真実は最も残酷な現実になる。
百合根荘の住人たちがそう言ってたそうだ。
そう…。
だが話し合っても現実は簡単には変わらない。
それでも話し合う事で心は強くなるかもしれん。
そうね。
それにどんなにつらい現実でも人は話している間は絶対に死ねない。
捜査と鑑定は夫婦や親子みたいなもの。
辞職した佐久間部長が言ってたろう。
ああ父から聞いたって。
夫婦や家族はやはり話さなきゃダメだ。
俺はお前との会話をやめるつもりはない。
いいな?
(日野)あっいた!マリコ君!場所は御薗橋いいね。
(宇佐見)行きましょう。
はい。
いってきます。
(日野)うん。
2014/03/13(木) 20:00〜20:54
ABCテレビ1
[終]科捜研の女 #16[字]

第16話(最終回)「逆転の新事実!火災+転落死、偽装工作の罠!!ポリグラフ検査が負ける時…」
【出演】沢口靖子、内藤剛志、若村麻由美、風間トオル、金田明夫

詳細情報
◇番組内容
沢口靖子演じる京都府警科学捜査研究所研究員の榊マリコが、犯罪現場に残された微細証拠を手がかりに、事件の真相を究明する科学捜査ミステリー。
◇出演者
沢口靖子、内藤剛志、若村麻由美、風間トオル、金田明夫、斉藤暁、長田成哉、崎本大海、山本ひかる

【ゲスト】
綿引勝彦、大河内奈々子、長内美那子
◇脚本
櫻井武晴
◇監督