(和也)残ってた…。
(和也)ここでさ親父と進藤先生と河原崎さんが徹夜で患者を治療したんだよ。
(女)あっ大丈夫でしょう。
(女)大丈夫ですか?・
(救急車のサイレン)
(救命士)城丸克男さん56歳。
(葉月)この人…。
(救命士)血圧80の50脈拍120呼吸数30。
バイクで転倒。
(進藤)呼吸と循環の異常による重傷だ。
(克男のうめき声)・
(佐倉)頑張ってくださいねちょっとね。
(克英)イテーッ!
(楓)どうしました?
(救命士)城丸克英さん28歳。
息子さんです。
ここへ。
(佐倉)二人乗りしてて一緒に投げ出されたようです。
(救命士)よいしょ。
(克英の叫び声)ちょっと診せてください。
(克英の叫び声)脚は折れてないようなので処置室へ。
右肺の呼吸音が聞こえない。
(葉月)ライン取ります。
(進藤)右多発肋骨骨折もあります。
(黒木)腹腔内出血なし。
胸部は…よく見えない。
これは皮下気腫あるな。
血圧は?
(昌代)60です。
緊張性気胸だ。
胸腔ドレナージしましょう。
押さえて。
(昌代)はい。
胸腔ドレナージセットお願い。
(葉月)はい。
代わろう。
(昌代)はい。
消毒。
(ゆかり)はい。
(進藤)よし。
(進藤)サチュレーションは?上がりません。
上がらない?黒木先生挿管お願いします。
喉頭鏡。
(昌代)はい。
(進藤)おかしい。
まだ右肺の呼吸音が聞こえない。
サチュレーション下がってますよ。
どうしてこんな空気出るの?チューブちゃんと入ってますよね?はい。
(昌代)サチュレーション下がってますよ。
(黒木)レントゲン撮って確認しましょう。
(昌代)はい。
大きな血管に損傷がなかったので心配ありませんよ城丸さん。
(克英)はい。
(千秋)あの〜これ城丸さんの持ち物ですよね?ちょっと何?それ。
(葉月)レントゲンできました。
(黒木)チューブちゃんと右胸に入ってるな。
どうして膨らまないんだ?チューブもう1本入れてみるか。
いや気管支のどこか断裂してるんです。
断裂?気管支鏡。
(葉月)はい。
ホントだ。
ここ裂けてる。
(昌代)サチュレーション80パーセント切りそうです。
(進藤)このまま気管支鏡を使って片肺挿管します。
お願いします。
よし。
(昌代)サチュレーション戻ってきました。
(黒木)よし気管支修復しよう。
オペ室に運んでください。
(昌代・ゆかり)はい。
とりあえずは大丈夫ですね。
医局長レントゲンの左の肺を見てください。
(黒木)えっ?あっこれは…。
オペが終わったら胸腹部CTを撮りましょう。
・
(テーマソング)
(葉月)どこで見たんだろう?あの患者さん。
(望)誰のことですか?
(千秋)昨日バイクで事故って運ばれてきた城丸さん。
いやテレビかどっかで見たんですよね。
(望)有名人なんですかね?
(千秋)まさか〜。
お疲れさまです。
(葉月)城丸克男…。
(望)この人!あっ!城丸屋の社長だ。
(青木)外された!?
(寺泉)記者会見はもういいから裏方に回れって堀内先生にそう言われたよ。
(青木)官僚の連中ですよ。
先生をコントロールできないもんだから。
(三上)今日の予定だ。
官房長官にお渡しして。
(部下)はい。
ご苦労さまです。
(寺泉)君か俺を排除したのは。
排除?震災後のこんな大変なときでも官僚は主導権を取りたがるんだな。
震災を人気取りのチャンスだとお考えになる政治家の先生もどうかと思いますよ。
親父分かるか?病院だぞ。
(克男)金は?えっ?金はどうした?
(克英)ちゃんとあるよ。
(克男)克英お前何でここにいるんだ?仕入れはどうした?
(克英)仕入れって俺親父のこと心配で。
客は水とトイレットペーパー欲しがってるんだ。
今が勝負だぞ。
商売人の息子ならそのぐらいのこと分かってるだろ!行け。
でも…。
早く行け!僕どこが悪いの?
(省吾)喘息です。
(せき)おじちゃんも子供のころ喘息だったんだよ。
でも今はこんなに丈夫だぞ。
あっイテテ…。
ヘヘヘ…。
(黒木)ご気分いかがですか?主治医の黒木です。
ああ。
城丸さんお話があります。
何なのあの城丸さん。
息子さん松葉づえついてるのに商売に戻れって。
嘘〜。
どんなときでもお金もうけしか考えない人が世の中にはいるのよ。
(日比谷)たくましくていいじゃない。
俺は嫌いじゃないね。
食べ物の好き嫌い多いですけどねえ。
無視ですか。
ガン。
すでにリンパ節に腫れが見られ肺にも肝臓にも転移があります。
死ぬのか俺は…。
難しいことはどうでもいい。
いつまで生きられるんだ?話ができる状態で生きられるのはいつまでなんだ?
(黒木)半年や1年という単位での生存は難しいかと…。
はっきりしろ!大体どれぐらいだか分かるだろ!?医者なんだから!1か月もたないかもしれません。
ガン!?
(日比谷)末期だ。
ケガが治るまでもたないかもな。
医局長。
省吾君どこかに移したほうがいいんじゃないでしょうか?末期ガンの患者さんの近くに子供たちを置いておくのはどうかと。
そうですね。
空いてる部屋がないかほかの科に聞いてみましょう。
(克男)顔を上げろ。
克英!俺が死ぬって聞いてビビッてるのか?これからはお前が社員300人の先頭に立たなきゃならないんだぞ。
脚をケガしてるなんて言い訳にならないぞ!根性据えろ!札束で問屋の横っ面ひっぱたいて水とトイレットペーパー全部出せってケンカしてこい!城丸さん。
ウチに商品がなかったら客はペットボトル1本1,000円2,000円で売ってるヤツらのカモにされるんだぞ。
震災で物がないことをいいことに客の足もとを見る泥棒みたいなヤツらをのさばらせちゃいけないんだ!城丸屋はどこよりも安く売るから城丸屋なんだ。
俺の命が終わるまであとひとつき。
それまでに仕入れ業者をつかまえてこい。
どんな手使ってでも商品かき集めてこい。
でも…。
俺のことはいいから早く行け。
分かった。
(千秋)誰よ城丸さんのこと金の亡者って言ったの。
(葉月)そんなこと言ってません。
(望)でも…。
(昌代)わたしは言わなかったわ。
(千秋)ええっ?
(佐倉)師長何か言ってたじゃない。
(日比谷)俺は最初から認めてたよ。
城丸さん。
(佐倉)そんな威張らなくても。
(志保・朋美)お疲れさまです。
(一同)お疲れさまです。
(志保)市販のお握りなんですけど包装紙取っておいたので。
(昌代)ボランティアの皆さん気が利く。
(一同)いただきます。
(日比谷)中身何?
(朋美)いくらとたらこマヨネーズです。
(佐倉)うん。
(千秋)すいません。
(朋美)はあ。
(昌代)さあみんないただきましょう。
(千秋)おいしそう。
(志保)じゃあわたしたちこれで。
これで?二人だけ?
(大沢)若い人みんないなくなっちゃって。
マジかよ?
(青木)内閣連絡会までには帰ってきてくださいね先生。
(青木)役職から外されたって臨時内閣にいることが大事なんですから。
(ため息)ああ…。
・
(進藤)バイパスの手術はうまくいきました。
これで口から物を食べることができます。
克英。
克英は?息子さんはまだ帰ってらっしゃいません。
やっぱり商売人には向いてないのかあいつは。
俺は死ぬのは怖くないんだ。
(克男)息子に仕事を任せることができたらすぐにでもあの世へ行きたい。
女房が待ってる。
(黒木)奥さんが?地震で死んだよ。
(克男)女房はいつも言っていたんだ。
地震が怖いから家具を金具で止めてくれって。
でも100万も200万もする高級品にネジなんて打てるかって俺は取り合わなかった。
その食器棚が倒れてきてな。
俺が代わってやりたかった。
末期ガンの患者を子供の隣のベッドに置いておくんですか?
(楓)分かってます。
省吾君が移動できる部屋が空くのを待ってるところです。
千尋たちにもうこれ以上人の死を見せたくないんです。
(寺泉)省吾君のベッドをあの患者さんから離して誰かほかの人に代わってもらってください。
ICUにいるかぎりどこに行っても見えますよ。
いざというときは俺が二人を抱えて出て行くよ。
(寺泉)わたしの言うことは間違ってますか?子供たちにとって死がどれほど怖いものか。
進藤先生。
君は人の死に慣れすぎてる。
だからそうやって平気でいられるんだよ。
・
(足音)すいません。
あの搬入口にあの…。
何だ?
(黒木)城丸さん城丸さん。
息子さんが帰ってらっしゃいましたよ。
親父。
克英。
親父やったぞ。
水300ケーストイレットペーパー200箱仕入れてきた。
(克英)水とトイレットペーパーだけじゃないぞ。
生活用品食料品。
大阪から毎日直送してもらう契約取ったよ。
親父に言われたとおり札束で相手の横っ面ひっぱたいてケンカしてきた。
克英。
いいぞ。
いいぞ。
(純介)うわあっ…。
・
(ノック)・
(ノック)
(岡部)ああゆうべ明かりがついてたから先生帰ってきたのかと思って。
(純介)膿出したら楽になりますからね。
アイテッ!あっ。
アイテッ。
すいません。
ちょっともうちょっと我慢してください。
ハハ大丈夫大丈夫。
いやしかしあの小さかった坊ちゃんが立派になって。
ウチはね一家全員河野先生に診てもらってたんですよ。
信頼されてたんですね親父は。
ええ腕はいいし目は確かだし。
もともと大学病院にいたんだもんね。
それが助教授の椅子をけって。
えっ?
(岡部)知らなかったの?患者を診たいって町医者になったんだよ。
ありがたいよねえ。
親父が?
(岡部)どうした?そんなすごかったんだ。
うん?ハッハハハそりゃそうだよな。
親父も医局長も日比谷先生もみんなすごいんだよ。
張り合うほうがバカだよ。
何言ってんの?俺まだ研修医ですよ。
ダメダメで当たり前なんですよね。
フッ。
(岡部)アイタッイテテテ。
(楓)省吾君しばらくこっちのベッドで寝てようね。
(千尋)どうして?えっ?ああ…。
ああ…。
(黒木)ここは痛いですか?よしっ。
じゃあパパが何か本読んであげよう。
どれにしようかな。
(黒木)これはどうですか?先生。
はい。
人間てのは欲が深いもんだなあ。
ゆうべの息子の顔見たら一緒に仕事がしたくなった。
半年とは言わない。
せめて1か月時間がほしいよ。
ああ。
じゃあこれにしようか。
なっ。
親父。
(克英)親父。
城丸屋は全店店開けたぞ。
ペットボトル2,000円で売ってたヤツら撤退した。
そうか…。
そうか。
「走れメロス」もう行け。
あしたもあさっても報告に来い。
俺は起きて待ってるから。
「羊飼いのメロスは妹と二人暮らしでした。
間もなく結婚する妹のためにメロスはシラクスの町にやってきました」父はいつまでもつんですか?いつ何が起こってもおかしくない状態です。
(寺泉)「町を歩いていたメロスは辺りの様子が以前と変わっているのに気づきました」あのもしものときはすぐ呼んでください。
はい。
・「春よ来い」「メロスは言いました。
『あきれた王だ。
決して許すことはできない』」
(克男)・「春よ来い早く来い」・
(青木)もしもし内閣連絡会は明日9時からです。
発言の機会はないと思いますがまた一から出発だと思って頑張りましょう。
遅れちゃダメですよ先生
(省吾)千尋ちゃん。
あのおじちゃん死んじゃうの?人はみんな死ぬんだよ。
(省吾)死んだらどうなるの?
(千尋)天国に行くの。
(省吾)天国ってどんなところ?
(千尋)知らない。
(省吾)小島先生の婚約者も天国にいるの?
(千尋)天国に行ってもう戻って来れないんだよ。
戻って来れないの?だから小島先生泣いてたでしょ。
もう寝よう。
(心電図の警告音)えっ。
医局長と進藤先生呼んできて。
はい。
(黒木)城丸さんわたしの声聞こえますか?城丸さん。
硫アト1アンiv。
アンビューバッグも。
(千秋)はい。
佐倉さんカーテン閉めて。
はい。
大友さん点滴持ってきて。
(葉月)はい。
(進藤)息子さんに連絡してくれ。
はい。
(千秋)硫アトです。
お願いします。
(進藤)城丸さん今息子さんを呼んでいます。
しっかりしてください!カテコラミン10ガンマ用意して。
持続投与。
(千秋)はい。
(昌代)頑張って。
(葉月)城丸さん頑張って!小島先生。
もう。
いざというときは子供たちをここから出します。
はい。
(寺泉)「メロスは城に戻るために走りだしました。
友との約束を守るため。
王様に人を信じることのすばらしさを教えるため。
彼は矢のごとく走り続けました。
しかし城まで半分という辺りに来たときメロスは『あっ』と叫びました。
川がゆうべの大雨ではんらんしていたのです」「約束の時間は刻々と迫ってきます」
(望)城丸さんの様子は?もう厳しい。
間に合うのか?息子は。
「メロスは疲れ果てていました。
太陽に照りつけられ何度も倒れました。
ついに立ち上がれなくなってしまいました。
そして地平線にゆらゆらと太陽が沈みかけたときでした。
メロスが…」いらっしゃいました!
(克英)親父…。
城丸さん息子さんいらっしゃいましたよ。
「メロスは人々の前に現れたのです」あなたが呼びかけてあげてください。
親父。
親父!俺だよ。
親父?親父!
(克男)克英…。
親父あのなお客さんに「ありがとう」って言われたよ。
(克英)「城丸屋が開くのをずっと待ってた」って。
みんな喜んでくれた。
(克男)そうか。
(克男)克英俺は…。
俺は母さんと…。
お前は城丸屋の社長だ。
のんびり暮らそう。
うれしいな母さん。
安心して引退できたぞ。
負けるな。
母さんによろしくな。
親父。
(心電図の音)午前9時54分死亡を確認いたしました。
ありがとう親父。
(克英)ありがとうございました。
(青木)「先生今どこにいらっしゃるんですか!もう会議始まりますよ!知りませんよ僕は!」小島先生。
(楓)うん?最後おじちゃん笑ってたね。
寂しくなっちゃったね。
うん。
そうだね。
(楓)寺泉さん。
震災が起こってから千尋ちゃんと省吾君はずっと救命病棟にいていろいろなものを見てきました。
わたしの婚約者もみとってくれた。
(楓)この何十日間でたくさんのものを学んできたんじゃないでしょうか。
自分たちなりに城丸さんの死を受け止めたんじゃないでしょうか。
(佐倉)お疲れさまです。
(千秋)佐倉さん。
(美子)どうぞ。
(望)ありがとうございます。
(一同)いただきます。
(一同)いただきます。
(日比谷)それ中身は何ですか?梅干しと焼き肉みたいですよ。
いただきます。
えっ?向こうに戻らないんですか?官邸か?あそこに俺の仕事はない。
官邸に戻ったほうがいいと思います。
子供たちの未来を考えるのがあなたの仕事でしょう。
(和也)これ今配ったお握りですか?
(大沢)ええ。
ここにあるの全部そうですよ。
(和也)これ…1週間前に期限切れてる。
河野です。
・
(日比谷)河野俺だ。
日比谷先生。
・
(日比谷)すぐ戻って来い!スタッフが何人も倒れた。
集団食中毒だ!えっ!?伊坂さん大丈夫ですか?今いちばんどこ痛いです?
(進藤)大丈夫か?初療室準備してくれ!
(医師)はい!ホスミシンの点滴全部持ってこい。
クラビットもだ!
(葉月)はい!よしっ。
佐倉さん今点滴打つからね。
(医師)うっ…。
(進藤)内科に運んでくれ。
(看護師)前通ります。
(進藤)こっち寝かせてくれ。
(日比谷)どけ邪魔だ!ホスミシンとクラビット!
(看護師)はい!こっちにも点滴ください!
(看護師)はい!
(看護師)大丈夫ですよ。
大丈夫ですよ。
マロリーワイスだ!バイタルチェック。
・『何度でも』2014/02/13(木) 15:53〜16:48
関西テレビ1
救命病棟24時 #10[再][字]【大震災に見舞われた東京が舞台 江口洋介・松嶋菜々子】
「命の終わりを看取るとき」
詳細情報
番組内容
進藤一生(江口洋介)は、バイクに親子で二人乗りして転倒し運び込まれた父・城丸克男(綿引勝彦)の肺に末期の癌を発見する。克男は、ディスカウント商法で儲ける城丸屋の社長。その商魂はたくましく、同じく怪我をして小島楓(松嶋菜々子)の治療を受けた息子の克英(伊崎充則)に、早く商品の仕入れに行くようにとベッドから厳しく指示。だが、克男は木村省吾(広田亮平)たちには優しい笑顔を見せる。
番組内容2
震災後の東京で商売を続ける克男には、ある信念があった。
一方、首相官邸では寺泉隼人(仲村トオル)が記者会見から外された。彼の行動を人気取りと見る官僚たちの差し金だ。また、兄の河野純介(川岡大次郎)と一時帰宅していた和也(小栗旬)は、ボランティアの不足から病院に呼び戻されて…。
出演者
江口洋介
松嶋菜々子
*
香川照之
*
京野ことみ
小栗旬
大泉洋
川岡大次郎
MEGUMI
*
小市慢太郎
鷲尾真知子
*
仲村トオル
原作・脚本
福田靖
監督・演出
【企画】
和田行
【プロデュース】
中島久美子
増本淳
【演出】
水田成英
音楽
佐橋俊彦
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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