黒柳徹子:なんとお美しいご家族のお写真でしょう。
今日のお客様は、左から2番目の紺のお召し物のお客様でいらっしゃいます。
どうも。
波乃久里子さん、今日のお客様。
黒:よろしくお願いいたします。
黒:今日のお客様は、女優におなりになって50年は過ぎただろうという方でいらっしゃいます。
波乃久里子さん、お客様です。
波乃久里子:どうも。
黒:どうも。
波:50年…。
黒:なんかね、そんなようになるみたいですよ。
いろいろ、お話のある方でいらっしゃいますけども。
何しろ『徹子の部屋』がとてもお好きでいてくださって、ビデオに録って、なんか、3回は見てくださって?波:毎日です、夜。
黒:面白いんですって?波:すっごい面白いです。
あのね、お洋服がまず、私は、いつも。
黒:私の。
波:黒柳さんと、それから、お客様のお洋服が、すごく、ちゃんとコントラストが出来てて。
今日も大丈夫でしょうかね?黒:大丈夫。
すごくいいと思います。
私もお客様の事を考えて…、少しは考えて来るんですけども、そういうのを、あなたは見ていらしたりとか。
波:それとね、黒柳さんのお話がね、速くって、美しいのね、声も。
言ってる…。
黒:言葉?波:言葉が。
黒:本当。
波:あれを私、見習いたい。
私も、おしゃべりで早口なんですけど、言葉が雑になっちゃう。
黒:でも、それは、おうちの皆さんが、そうなんじゃない?お母様は、そうでもないようにお見受けしますけどね。
波:母は、サザエさんみたいな人でした。
普段。
そそっかしくて、面白くて。
黒:でも、お母様が六代目菊五郎っていう方のお嬢様で。
今、向かって白いお召し物の方がお母様。
波:学生服着てるのが、この間、亡くなった哲明という。
勘九郎ちゃんが大きくなった勘三郎。
黒:それで、白いお着物の右のちゃんと、お紋付お召しの方が、あなたのお父様で。
波:十七世勘三郎です。
黒:その右側にいらっしゃる赤いお召し物の方が妹さん。
でも、これ、本当に家族が幸せな時。
まあ、いつだって幸せな時あったでしょうけど。
波:家族って結構、写真撮りませんでしょ。
そろって。
これ1枚ぐらいしかないんですよ。
いつでも、これしかないの。
黒:でも、これ、みんなね、うれしそうに、みんな笑って。
専門の方がね、お撮りになったのかもしれないですけども。
そういうお写真です。
あなたは新派にお入りになって。
新派では、さっきも申し上げたように、水谷八重子のお弟子さんだそうですけど、もう50年になる。
波:50年なんて信じられませんね。
黒:だけど、弟さんが新派にお出になった事があって…。
後の勘三郎さんですね。
勘九郎ちゃんの時代だと思うんですけど。
その時は、イヤだっていうか、なんか言うんですって?舞台、終わると。
勘九郎ちゃん。
波:弟がでしょ?もう、相手役なんて…。
例えば、あの人が女形で出る場合なんかは。
黒:そんな時があったんですか。
波:つい最近も、そうなんですけどね。
亡くなるちょっと前に新派に出てくれたんですけど。
大抵、女形をやってくれるんですよ。
そうすると、私が本妻で向こうが妾さんの場合、乗り込んでくる役なんですよ、弟が。
そうすると、乗り込んでくると…。
本妻の方が強いわけじゃない。
負かされちゃう、最後に。
ワンワン泣いて引っ込んじゃう。
それないんですよ、本には。
黒:あなたが泣くの?波:泣いてね。
もう悔しいからね、ワンワン泣いて帰ってやる、花道を。
そうすると、「あれね、私の姉に似てるんだけどさ、泣き虫だね」とか勝手に作っちゃうんですよ。
黒:みんな、笑うでしょう。
波:笑いますよ。
だから、姉弟とだぶるでしょ。
まあ、喜劇のような芝居ですよ。
笑ったですよ。
黒:新派の面白さは、そういうところにあるんですよ。
本当の女優さんもいて、女形もいると。
波:歌舞伎に近いですからね。
黒:それで、あなたの弟さんが女になれば、そりゃ強いですよね。
波:そうなの。
それでね、私が笑って話す…。
あ、出てる!懐かしい。
のりが…。
黒:ああ…、哲明さん?波:哲明っていうんですよ。
黒:懐かしいんですってね、ご覧になるとね。
出てて、なんて言う?せりふを。
波:もうね、あんたね…。
「お前さん」って言うの、私の役。
「お前さんね、笑ってるような顔してるけどね、本当はおかしくないんだろ」とかね。
怖いから笑えないじゃないですか、目だけは。
「目が笑ってませんよ」とかね。
黒:そういう事言うの?波:いちいち言うんですよ。
黒:なるほど。
そういうのを見抜くのね、彼はね。
波:全部見抜く。
嘘がイヤなんです、あの人は。
嘘の芝居が。
黒:笑うんだったら、本当に笑ってほしい。
波:本当にお腹から笑わないと、笑わなくていいっていうぐらい。
黒:じゃあ、「顔は笑ってますけど、本当は笑ってませんね」なんて言われちゃう?波:大変に言われちゃうんです。
黒:でも、役はそういう役だからいいじゃないですか。
波:そうそう。
喜劇みたいな役でしたからね。
おかしい人でね。
黒:「あんなとこで泣いちゃって」なんて言われちゃって。
でも、楽しかった?弟さんと出たら。
波:弟と出るのはね、ライオンと一緒に出てるみたいで怖いんですけど、なんていうのかな…、怖いもの知らずで、また出たくなるのね、不思議でね。
楽屋帰ってくると、本当に弟になってくれて。
全く普通になるけど、舞台は…。
黒:でも、謝る時はちゃんと謝るんですって?ごめんね、なんて。
波:弟?すぐ、もう「ごめんなさい!」って言うの。
すごく…、言い方は失礼だけど、そんな大の男に対して。
可愛い人でしたね。
黒:そうなの。
皆さんは、天才、天才って子どもの時から言われてたけど、勉強家ではあったって、すごく。
波:私の見る限りでは、まず勉強家。
私、あんまりよく知らないけど、周りの方は。
あれほど勉強した人って、あんまり見た事がないですけどね。
黒:よく、それ、私、言うんだけど、勘九郎ちゃんって言ってた時、小学生で。
私も同じドラマに出てた時ですよ。
「おはようございます、黒柳さん。
僕はもうご宗家行ってきましたよ」「黒柳さん、行きましたか?」って言うんですよ。
世の中の人が全部、ご宗家ってところ行ってるんだと思ってるのがね、すごくおかしかったです。
波:ご宗家って言うんでも、みんなが知らないじゃないですか。
藤間勘十郎お師匠さんで、それがご宗家っていうのも言わないで、ご宗家に行ってきたとかね。
黒:私、たまたま行ってたので…。
波:そうね。
おわかりになるけどね。
黒:そうじゃないとね、いきなりね、「僕は、もう行ってきましたよ」ってこうね、えばって言ってるけど。
でも、それでも稽古10時とか、本番10時とかいう時にね、「もう行ってきたの、偉いわね」って言うぐらい、やっぱり、ちゃんとやってたみたいね。
波:ともかく休まないで、お稽古は。
黒:偉い。
そのあとね、すっごい太ってたの。
その頃、いっぱい食べててね。
そしたらば、「もう僕はね、ダイエットしますよ」って言ってね。
道で会ったら、「黒柳さん!」って言って、「どうしたの?」って言ったら、「痩せたでしょ、僕、ダイエットしましたから」とかなんとかって。
そういうところ、はっきりしてて、すごく可愛い…。
波:でも、あの人はね、「痩せろ」って言ったら、もう徹底的に痩せられる人なの。
黒:そうなの。
波:「太れ」って言ったら、徹底的に太れる人。
黒:それまた、すごいですね。
波:でね、一遍、手術する時にお医者様が、「体力付けるために太りなさい」って言った時に、こんなになっちゃったんですよ。
そしたら、「楽しいね、無限に食べられる事はうれしい」って言って。
だから、もう役者辞めたら食べたいって言ってました。
「姉貴と僕は、食べたら太るから、呪われてるんじゃないか」って。
黒:そんな事言ってるの?波:それで、「あんた、痩せなさいよ、痩せなさいよ」って、何度言われたか、わからない。
黒:でも、一緒にお布団の中に入ってビデオ見たりとか…。
波:布団の中っていうより、ベッドに飛び込んでくるんですよ、寒い時は。
それで一緒になって見て…。
面白いテレビをね、見て、一緒に笑ったり泣いたり。
同じところで笑うんですよ。
同じところで泣くから、それがもう、いまだに…。
ああ、この時、いなかった。
寂しいな…。
黒:まだね、いなくなったばっかりだもん。
でも、あの頃、あれですね。
お葬式だとか、なんだとかっていう時、あなた、全然、お顔をお見せになってなかったわね。
私、見てたんですけど。
波:私がね、どうもね…。
なんだろうね、舞台…。
だから、舞台女優を選んだのかもしれない。
もうね、本当に、テレビ出していただいてうれしいんですけど、何しろ恥ずかしいんですよね、見せるのが。
珍しい女優でしょ?黒:そうそう。
挨拶…。
弟はこんな人間でしたなんていう事を、その時におっしゃるのが…。
波:そういうのがダメですね。
だから、しゃべってくださいって言われても…。
だって、一番悲しい時に、そんな事しゃべれないじゃないですか。
しゃべられない。
黒:そうですよね。
あなた、いらっしゃらないなと、ずっと私、見ながら思っていてね。
いくら舞台があっても何しても、こういう時はいらっしゃるものじゃないかしらなんて、ちょっと思ったりしたの。
それがイヤだった?今だったらね、少し時間が経ったから…。
波:でもね、亡くなったと思いたくないし、亡くなってないんです、まだね。
だから、手を合わせられない。
だから、出来るだけ現実からはね、あんまり…。
だから、お墓参りは1人で行くのはいいんですけど、例えば納骨とか、そういう時にも出来るだけ欠席したい方で。
黒:あ、そうなの…。
勘九郎ちゃんだった時ね、まだ勘三郎さんになっていらっしゃらない時に、ここにいらっしゃって。
えっとね、24年前ですね。
勘三郎さん…、後ね、勘三郎さんだけど。
勘九郎ちゃんの時に、お父様との事とか、あなたの事を話してらっしゃるビデオ、ちょっとご覧ください。
十八世中村勘三郎:「自分の感情の赴くままに生きてた人ですから」黒:「お父様?」中:「ええ。
だから例えば、これは、もう何回も話した事があるんですけど、お光っていう、僕が役をやらせていただいた時に、うちの親父が久作っていって、お光の本当のお父さんで、お染、久松が玉三郎さんのお兄さんとうちの兄貴の藤十郎」「これ、2人が…、4人の芝居ですよ」「それで、お光が後ろに、お父さんと手を引かれて入る」「2人が自殺をすると。
かみそりで」「それを久作が止めに入って、悲劇が起こるという風な話で」「パッと入ってきて、着替えしてて」「僕も初日…、新聞記者招待日か」「という事は2日か3日ですわね」「まだ精神的にもドキドキしてて、緊張して座ってたわけですよ。
うちのおやじは、あそこでな、次のせりふはこうでこうで、こうだから、こういう間がいけないんだぞとかって、うるさいわけ」「こっちはもう、なんていうか、テンションっていうか、上げて、こうしてるんですけど…、いちいち答えたくなかったんですね」「でも、これは僕のいけないところだと思う」「これが例えば、歌右衛門のおじ様だとか、紀尾井町のおじさんだったら“はい、わかりました”って言わなくちゃいけないのに、親としての甘えがあったから、“はい、はい”って、こうやってた」「“なんだ、その態度は!”って始まったわけですよ」「“先輩じゃねえか!俺が一生懸命言ってるのに、なんだ、そういうのは!”って言って、パッと、こっちへ歩み寄ってきたら梁があって、頭、角にぶつけたわけですよ」黒:「お父様が」中:「“痛い!”って言って。
“俺は出ねえ”って言うんですよ」「出ないったって、それ、止めに入らないと死んじゃうわけですよね。
その人が止めないと自殺しちゃうという。
その着物を着たまんま、国立劇場の楽屋口まで行ったんですもん」「みんな、お弟子さんが止めて。
それから出たはいいけど…」黒:「あの格好して、国立劇場の楽屋口から?」中:「楽屋口まで行っちゃう」黒:「行っちゃったの」中:「うちの姉ですけどもね、珍しいんですよ」「久里子はね、大変に可愛がられて」「可愛がられて、可愛がられてやって…」「ある踊りがありましてね」「うちの姉がね、えっとね…、鷹かなんかなんですよ」「鷹匠なの、うちの親父が」「そしたらね、またね、生意気な事言ったんですって」「僕がそんな事言ったら破門…、破門っていうか勘当ですけど、うちの姉だから、あのぐらいで済んだんですけどね」「“パパね、しっかりせりふ覚えてよ”って、こう言ったの」「こんな事、私が言ってごらんなさい」「一生、口利いてもらえませんよね」「その点、うちの姉はね、幸せですけども」「どうしたっていったらね、やっぱり、それはカチンときたらしいのね」「だからね、踊り、なんにも踊らなかったんですって」「だから、困っちゃって、うちの姉は、ただ飛んでたって」「舞台を。
ウロウロ、ウロウロ…」波:鷹だからね、飛ぶしかないんですよ。
よく覚えて…。
黒:40分間?お父様なんにもおっしゃらない?波:なんにも。
ただ、囲炉裏で粗朶っていうのの木を折って、こうやって…。
黒:くべてるだけ?波:くべてるだけ。
私、その周りをバタバタバタ…、40分間飛ぶしかない。
しゃべれないですから、鷹だから。
こうやって、全部踊るところがあるんですよ、父と。
なんにもやらない。
あっちへ飛び、こっちへ…。
しょうがない。
花道まで行って、バーッ…。
お客さん、なんだと思ったでしょうね。
黒:その間なさらないの?お父様。
波:なんにもしてくれない。
それで、終わりました。
「やりにくいだろう」って言うから、「今日は踊れて楽しかった」って言っちゃったの。
そういう憎らしい娘だったんですよ。
黒:そしたら、なんだった?「楽しかった」って、あなた、おっしゃったら。
波:そうしたら、「こんな子を産んだ覚えない」って、ワンワン泣き出したけど。
黒:お父様、泣いたの?波:泣きます。
泣いたり怒ったり、激しいんですよ。
弟の輪かけて激しいんですよ、うちは。
黒:でも、すごいわね。
波:私、だから、本当に罰当たりだと思う。
黒:でも、弟さんの場合は、言う事を…、こうだろう、こうだろうって言うのにちゃんと聞いてなかったら、「もう帰る」って。
波:弟は、すごいですね。
黒:弟は、しかられた?波:365日しかられてました。
私、365日褒められてました。
黒:だから違うのね。
女の子の事は可愛がってらしたのね。
波:やっぱり、女優は馬鹿にされてたんじゃないかしら。
厳しく育てなきゃいけないと思ったんでしょうね、歌舞伎役者は。
黒:男はね。
波:だから、遺影を見てね、「こんなに優しい目なの?」って言いましたもん。
黒:お父様の?波:はい。
黒:勘九郎ちゃんがそう言ったの。
波:いつでも、こうやってましたもんね。
本当に怒られてましたもん。
黒:ここにいらした時なんか、本当に勘三郎さん、お優しい、面白い方で。
そんな怖い方って全然思いませんでしたね。
波:芸には厳しいですね。
黒:やっぱり芸だからね。
波:弟を、何しろ本気にさせたかったから。
厳しかったですよ。
黒:でも、あれですよね?弟さんがさ、自分がそんな事言ったら大変だけど、あなたが、お父様に「せりふを覚えてください」っておっしゃったら、むっとして…。
波:今、久里子って言いましたでしょ?もし生きてたら、私が「あなたね、公衆の面前では久里子お姉ちゃまって付けるべきよ」って、私、怒鳴って入ってますけどね。
今日は、もう亡くなってるから言えない。
悔しい。
黒:そうか、悔しいね。
波:今日、お墓に行ってきて、言いつけてこよう。
黒:久里子って言ってたね。
波:久里子って言うんですよ、陰では。
それで、私に会うとお姉ちゃまって言うんだけど。
黒:ここで久里子って言ってましたね。
波:言ってましたよ、もう…。
黒:ちょっとコマーシャルです。
黒:確かに、お父様の勘三郎さんにすると、息子の勘九郎、今の勘三郎さんにとっては、なんていうの…、ちゃんとした俳優になってくれないと困る。
それで厳しかったんでしょうね、きっと。
波:だから、伝授しなくちゃいけないと思って。
私は、八重子先生に預かっていただいてるから、口出ししないっていう風に。
ともかく女優さんはね、ふわっと大きく、キレイだったらいいんだから。
ここはいらないよっていう人なんですよ。
バカにしてますね、女優さんに対して。
黒:でも、勘九郎さんっていう人は手早いって言われて、はしっこくって。
なんか、お菓子が…、あるところに、真ん中に自分の好きなのがあるってわかってると、その下のも、その下のも全部…、どうやって食べるんだかわからないんだって。
波:玄関に、お歳暮の時期だから積んで…。
ごあいさつ行くって、母が積んどくじゃないですか、玄関に。
黒:お家から持って出るもの?波:そうですよ。
家から持っていく…、差し上げるのに、10軒ぐらい積んでる。
そんな中から、そっと…。
「お姉ちゃま、ちょっと僕に味方してくれる?」って言って入ってくるんですよ。
器用にキレイに取ってましたね。
黒:全然わからないの?波:全然わからない。
黒:紙で…。
波:ちゃんと結んで。
夜中に取ったんでしょうね。
黒:キレイになってるの?波:キレイになってるの。
黒:でも、中のそこのところだけ食べてるの?波:でも、キレイに寄せたんだと思いますよ。
だから、そこのお菓子屋さん大変有名な家で、名前が付いてるんですよ。
そこの家、そのお菓子がないから、知ってる方はビックリしたんじゃないかなと。
黒:なんで、あれがないかなと。
でも、一番好きなのは食べちゃう。
波:食べちゃったんです、10個も。
だから、10個取っちゃったんですよ。
それも、「お姉ちゃま、黙っててね」って小学校の時ですよ。
黒:可愛いね。
波:いまだに、それを思い出すの。
黒:なんか、あなたの有名な話であったわ。
なんか、ほとんど裸に近い状態で寝てらっしゃるところに泥棒が入ったって。
あれ、すごいね。
波:あのね、隣が弟の部屋で、私が、夏はね、裸で寝るんですよ、私。
黒:すごいわね。
波:そしたらね、フッと影が見えたんですよ。
家庭教師の先生かと思って、「なんとかさん?」って言ったら、フッとベランダへ出たんですよ。
私、裸だから、シーツを巻いて「待てー!」って追っかけてったの。
それで、ベランダから落ちたんですよ。
落ちたっていうか、ぶら下がったの。
黒:泥棒ってわかったの?波:もちろん、泥棒だって。
アロハ着てました、夏で。
手を取ったの、その…。
黒:すごいわね、あなた。
波:ベランダの、つかんで。
私、事情聴取ってあるじゃないですか。
テレビで、よく見てるから。
よし、なんとか覚えておかなきゃいけない。
バンドね、時計のバンドとか色とか、全部覚えておいたわけ。
でも、誰か来てくれないと困るじゃないですか。
「泥棒だから、早く出てきて!」のりって。
「のり、早く!」。
隣にいるんですよ。
全然出てこないの。
そのうち…、5分ぐらいかしら。
パトカーがきたら、やり持って出てきたの。
「出合え出合え」って言って…。
「なんなの?それ」って言ったの。
黒:もっと早く出てこないと。
波:怖かったんでしょうね。
それかね…、なんで出てこなかったっていったら、やりにしようか、刀にしようか、鎖鎌にしようかって、鏡見て、見てたっていうんです。
出合え出合えって、やり持って出てきた時は笑った。
黒:でも、笑っちゃうけど、普通は、お姉さまがそういう事になってれば、何はともあれ来るでしょう。
波:形を考えてたって。
馬鹿だね、もう。
黒:万が一の時には、ちゃんとしてたって言ってもらいたいっていうところがあるのかしら。
波:それと怖かったのかもしれない。
私は、いつでも、その話をして。
本にも書いたんですけど、ニヤニヤして答えはしませんでしたけどね。
黒:どういう心境だったかは言わないの。
ただ、出てきたのは遅いの。
波:そう。
遅いし、やりを持って、形よく、出合え出合えって出てきたから。
それも半ズボンでですよ。
夏だし。
黒:小さいからね。
黒:でも、それにしても、あなたのお母様は、いわゆる六代目菊五郎の娘という事なんで。
どういうお母様でした?波:これはもう、「厳しい」っていう字は、字引で引いたら「母、波野久枝」って出ると思いますよ。
これは私にも厳しかった。
黒:えー!波:これは、もうすごい。
だから、弟なんかも、母に褒められるために芝居やってたって言ってましたもん。
黒:芝居の事もおっしゃるの?波:芝居が一番うるさい。
弟には、学校の事もうるさくて。
飛行機の中で、外国行くんでも…、こんな揺れてるんですよ。
その中でも勉強させて、鼻血出してもやってましたもん。
私、笑った。
こんなに揺れてるんですよ。
それで鼻血出して。
「そんなもの平気」ってトントンってたたいて。
ここに詰めて。
それで、ここに血がずっと出てるのに、揺れながら勉強させてましたもん。
黒:歌舞伎の事もうるさい?波:うるさいなんて、もう…。
そりゃ、自分の理想ですよ。
菊五郎のおじいちゃまの事を全部教えくるから、それが確かに正しいとはいえませんよね。
黒:でも、つまり、ご自分のお父様の事ですからね、菊五郎っていう人は。
六代目。
波:自分の父が、天下一だって…。
黒:そりゃあねえ。
確かに、天下一の方…。
波:それでも、好き好きがあるじゃないですか。
だから、弟なんかに言わせると、菊五郎は、もしかして出るかもしれないと、六代目は。
勘三郎は出ないよって最後まで言ってくれてました。
黒:そうですか。
波:父が喜んでました。
黒:お父様の、今、お喜びになったと…。
お父様の勘三郎さんが、こちらに本当に何度も出てくださって。
波:大好きでしたから。
無理に出していただいたんじゃないんですか?黒:そうですってね。
私の事も、とっても気に入ってくだすって、うれしかったんですけど、ご覧ください。
いろんなお話。
黒:「勘九郎さんのおうちのお子さん2人は、どうも、まだ小さいんだけど、とても、なんか俳優になりそうな気配なんですって?」十七世中村勘三郎:「まあ、来年あたり初舞台させたいなんて、親のね、勘九郎がそう言ってましたけどね」黒:「今、3つ?」中:「3つ…、来年いくつになるんだろうな」「3つでしょうね、今」「もう1人の子が1年と何か月でしょう」「だから、もう…」「家は別で寝ましてね、もう。
彼は彼で、マンションをね…」「だから、家は少し静かになって、久里子だけです」「久里子が、まあ、やかましいから、ガチャガチャガチャガチャやっております」黒:「久里子さんは、お嫁さんに行ってほしいとはお思いになりません?」中:「ないですね」「自分も行かないんじゃないですか」「絶対…、イヤだな」黒:「そばにいてほしいという」中:「はい」波:イヤだなだって、可愛い。
なんか懐かしい。
黒:面白いのが、何をおっしゃってるのかよくわからない…。
あのうちの家族の事がわかってれば、わかりますよ。
波:弟と一緒です。
それで、今の「イヤだな」っていうのが可愛かったですね。
黒:そう、可愛い、可愛い。
お嫁に行かせたくないってね。
波:弟と父の共通点は、やっぱりチャーミングだったですね。
黒:お父様とご一緒の舞台っていうのは、なんかあるんですか?波:私は、15までは歌舞伎、出していただいてたんです。
子役で。
そうするとやっぱり、ほら、私の事は、とっても褒めてもらいたいもんだから、みんなに。
間がいいっていう事をみんなに植え付けたいんですよ。
全部、私に合図するんですよ。
私が、「いいね」っていうせりふを…。
父は、「あいよ」って答えるんですよ。
「いいね」っていう間を全部つつくんですよ。
そりゃ、いいわけですよね。
父に教わる間なんだから。
だから、「お嬢さんは間がいい」って言われると、「そうでしょ、この子は天才です」。
嘘つけ、自分が教えてるんですよ。
黒:そんな感じなの?波:大変に褒めてましたね。
黒:面白いですね。
波:だから、世の中で褒められないから、一生懸命、褒めてくれたんじゃないかなと思って、父はね。
黒:面白いね。
でも、弟さんはあれですって?病院に入ってらっしゃる時に、あなた、お見舞いにいらしたら、きちんと正装してた時があったんですって?波:いや、あのね、朝6時に行っちゃったんですよ。
黒:病院に?波:駆け付けたの。
そしたら弟は…、来るとは知りませんから。
海の広いところで、海が見える…、一望に見渡せるところに、ちゃんとした洋服着て、ボーッと海を眺めてたの。
だから、「どうしたの?」って言ったら、「いや、悪いらしいんだよ」って言うんですよ。
それで、「どうしたの?」って言ったら、「あのね…、僕は、そんなに長生き出来ると思わなかった」って言うの、自分の事を。
「でも、こんなに早く死ぬって思わなかった」って言うんですよ。
だから、「なんで?」って言ったら、「いや…、がんで駄目らしいよ」って言うからね、「今、あなた、医学が発達してね、死ぬわけないじゃない」って言ったら、そこがおかしいの。
芝居っぽいの。
七之助。
勘太郎…、勘九郎。
黒:息子。
波:「息子2人を頼む」って言うんですよ。
だから、「あんたの息子なんて、伯母をとうに飛び越しちゃってるんだから、私が頼みたいわ」。
その前に、父に弟は頼まれたらしい。
死ぬ前に。
「久里子お姉ちゃんを頼むよ」って。
普通、逆さまじゃないですか。
お姉ちゃんに頼むわけでしょ?息子を。
だから、私がカチンときてね、失礼…、パパもひどい事言ったと思って。
「久里子を頼むよ」って言われて、「お姉ちゃまを頼まれたよ」って言った人なのに。
だから、リップサービスだったんだと思うの。
息子の事、頼むよっていう事は。
でも、自分は亡くなると思ってないんですもん。
黒:思ってなかったの?波:お芝居っぽかったんです、考えたら。
黒:今、思うと?波:いや、今、思うとでも…。
病室出た時から、また芝居したと思ったんですもん、私。
黒:『徹子の部屋』は、お昼12時。
ナレーション:今年で39年目に突入。
延べ1万人ものゲストをお迎えした、『徹子の部屋』が…。
ナ:記念すべき最初のお客様は、俳優、水谷豊さん。
その他、豪華ゲストが続々登場。
お昼12時の顔、『徹子の部屋』をお楽しみに!黒:『徹子の部屋』お引っ越しまで、あと4日。
黒:私が、波乃久里子さんをうらやましいと思うのは、キレイ好きで、きちっと整理をしてらっしゃるっていうのがね。
波:いや、今度生まれたら、もう汚好きに生まれたいです。
黒:本当に、そうしないと気が済まないんですってね。
波:気持ちが悪いんですね。
ある番組でね、そのお話をして。
私、あんまり自慢するようでイヤだから、出来るだけやりたくないんですけど、ある番組でやっていただいたら…、朝の番組なんですけど。
ちょうど幸四郎お兄さんからお電話がかかってきて、「あなた、あんなにキレイに片付けるなら、家に来て手伝ってよ」って言われて。
ちょうどね、暮れだったものですから。
黒:そう。
でも、だって帯締めなんか、色から、ずっと、こういう風に並べていらっしゃるので、「暗闇の中で取っても着物着れる」っておっしゃいましてね。
波:停電でもね。
黒:帯締めは、こう。
帯揚げは、こう。
もちろん、帯はこう。
お着物はこうってなってるんですけど。
そういう小物まで全部キレイにしてらっしゃるんですってね。
波:1年着なかったり、1年使わなかった物は捨てる事になってるんです。
捨てるか、差し上げるか。
そうすると、もう絶対にたまりませんよ。
黒:だから、あなたは出来る事なら、ホテルの、なんにもないようなところに住みたくて、物を増やさない、そういう生活したいんですって?波:増えるのは、お金だけ。
あとは本当にいらないですね。
黒:すごいわね、でも。
度胸がいいわね、あなた。
今度、またなんかの時…。
波:過去は振り向かないっていうタイプなのかしら。
黒:でも、女優としてさ、今度なんかの時、この着物いるかもしれないとか…。
波:それはね、小道具は小道具で置いてあるんです。
芝居のものは。
黒:あ、そう。
多分、今度使うだろうと思うような物は、とっておおきになるの?波:はい。
黒:そうなの。
思いきりがいいんだわ。
波:また、全然話が違うんですけど、この番組は、4月1日から放送の時間が違うんですって?黒:そうなの。
正午になるんです。
波:ああ、そうですか。
黒:ピン、ピン、ピン、ポン!「ターラタッ、タタタ」ってなりますので。
どうもありがとう。
波:楽しかったです。
2014/03/28(金) 13:20〜13:55
ABCテレビ1
徹子の部屋[解][字]
〜弟・勘三郎のお茶目ぶり〜波乃久里子さんが今日のゲストです。
詳細情報
◇ゲスト
2012年12月に亡くなった歌舞伎俳優・中村勘三郎さんの姉で新派の女優・波乃久里子さんがゲスト。
◇番組内容
57歳の若さで亡くなった勘三郎さんとの年の差は10歳。お互い芝居が大好きで会えば見てきた舞台やビデオの話ばかり。同じ舞台での共演も多く、久里子さんが出演の新派の舞台に勘三郎さんが出演した時はアドリブ連発でやり込められ返すことができなかったと語る。また、お茶目な勘三郎さんのエピソードを。
◇おしらせ
☆『徹子の部屋』番組HP
http://www.tv-asahi.co.jp/tetsuko/
4月1日(火)から、テレビ朝日のお昼が変わります!12時からは『徹子の部屋』。黒柳徹子さんが“お昼の顔”として登場です!
◇解説放送
小松靖(テレビ朝日アナウンサー)
ジャンル :
バラエティ – トークバラエティ
ドキュメンタリー/教養 – インタビュー・討論
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
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