もしあなたががんと診断され子どもがまだ幼かったらこんな悩みに直面するかもしれません。
家族に自分のがんを伝えるべきか。
多くの人が葛藤しています。
がんは本人だけでなく家族の人生にも大きな影響を与えます。
そんな中医療機関では治療だけでなく家族も一緒に支えていこうという動きが始まっています。
「シリーズがんサバイバーの時代」。
みなさんの声を基に今日は家族ががんとどう向き合うか考えていきます。
(山田)こんばんは。
(小島)こんばんは。
「ハートネットTV」今日は「シリーズがんサバイバーの時代」の最終回です。
今日も昨日に続いて番組に寄せられた皆さんからの意見を基に考えていきます。
今日はがんになった本人だけではなくて家族についての声にも注目していきます。
さまざまな声が届きました。
一部ですがご覧下さい。
(小島)ホントに家族の数だけある訳ですものね。
サバイバーというのは本人だけではなくって家族もまたサバイバーだと思います。
その考え方について今日は話を進めていきます。
ではゲストをご紹介します。
まずはエッセイストでがんサバイバーでもあります岸本葉子さんです。
よろしくお願いします。
そして国立がん研究センターがんサバイバーシップ支援研究部長高橋都さんです。
よろしくお願いします。
まずは「がんという診断を家族に知らせるべきかどうか考えた」という声が届いています。
こちらは…それからがんと診断されたご本人のお声も寄せられています。
お互いにみやもとさんも海さんもそれぞれのお立場でお互いに家族の事を思ってがんになった人とその家族とどうやったら一緒にうまく生きていけるだろうと思った結果ご意見が違うんですけれどもね。
当然の事ながら知らせるべきであるとか知らせない方がいいという答えが出ない問題ですからホント岸本さん難しいですよね。
そうですね。
私もがんになった時に年を取った父親がいてやっぱり悩みました。
ショックで寝込まれたらどうしようとか…。
そうするとそのショックのフォローを自分にする余裕があるかなと思ったり…。
やっぱりどこまで何の情報までをどのタイミングで言うかってすごい悩みましたね。
結局「がんになりました」ではなくて「私はがんになりましたけれどもこれこれこういう治療をここの病院で受けますから大丈夫です」というところまで態勢を整えてまず言って…。
ただまた退院後いろいろ生存率とかそれをまたどう告げるか常に知らせる知らせないの問題ってあるんですね。
やっぱり生存率までは言わなかったりしました。
何を伝えるかそしてどうやって伝えるか口調とかいろんな事考えますもんね。
そうですね。
高橋さんこうした悩み多いんでしょうか?
(高橋)はい。
特に親御さんががんになった時お子さんにどう伝えるかとか岸本さんのお話のようにご高齢のご両親にどういうふうに伝えたらいいか。
いずれはやはり伝わってしまうものだと思うので伝えるか伝えないかというよりはどう伝えるかという事なんですが伝える方にもエネルギーが要るんです。
それで自分がちゃんとそれを分かってこういうふうに伝えようという準備ができないとなかなかうまく伝わりきらなかったりするし1回だけの事じゃないと思うのでやはり何度も時間軸を持って考えていかなくちゃいけないと思います。
どう伝えていったらいいのか。
特にがんになったのが子育て世代で小さい子どもの場合は迷うと思います。
ある親子に話を伺いました。
ご覧下さい。
(取材者)こんにちは。
こんにちは。
5年前に乳がんと診断されました。
当時伊藤さんは夫と離婚し6歳と10歳2人の娘の子育てと仕事に追われる毎日でした。
もしがんで自分が死んだらこの子たちを誰が育てるのか。
伊藤さんは大きな不安に襲われます。
仕事の事生活の事。
次々に湧き起こる不安。
しかし伊藤さんには誰も相談できる人がいませんでした。
乳房を摘出する手術をする事が決まった時その事実を子どもたちに伝える事ができなかったのです。
伊藤さんは子どもたちを両親に預け入院します。
長女はこの時既に母の体の異変に気付いていました。
退院後伊藤さんは自分のうそに追い込まれていきます。
日課だった娘との入浴を手術の傷痕を隠すためにやめざるをえませんでした。
薬の副作用のため寝込む事が多くなった伊藤さん。
娘たちは母親に何が起きているのか分からず不安を募らせていました。
互いの思いが擦れ違い次第に病気の話だけではなく会話自体も避けるようになりました。
「このままではいけない」。
伊藤さんは行動を起こしました。
がん経験者の会合に出向き幼い子どもに自分のがんを伝えた時どんな反応をしたか一人一人に尋ねたのです。
更にがん医療の専門家の講演会にも出席。
子どもにがんを伝える時気を付けるべき事は何かを学びました。
その中で伊藤さんの心を動かしたのは「きちんと説明すれば幼い子どもでも事実を受け止める力がある」という事でした。
手術から1年後伊藤さんは決断します。
長女はこの日を境に料理や掃除など積極的に母親を手伝うようになりました。
伊藤さんはその後抗がん剤治療を始めましたが治療内容の全てを娘たちに伝えています。
自分の大事なお母さんだとか家族が病気になってしかも死んでしまったらどうしようっていうのはきっとお子さんはとっても不安だと思うんですけれどお互いに情報も交換して気持ちも話し合ってという関係が築けたのはよかったなって思います。
やっぱり経験者の方の話を聞いたのって大きかったんですね。
そうですね。
子どもが知った事で家族がチームになったって感じしますよね。
私自分が子どもだったらやっぱり言ってほしいかもって思いました。
子どもに励まされる事もあるし子どもも親に何かしてあげたいってちっちゃくっても思ってるんだったら疎外されたと思っちゃうのはよくないですよね。
今の映像は言ってよかったというケースだったんですけど言わなかったという母親からもメールが届いています。
やはり子どもさんはとても敏感ですしそれぞれの年代なりに感じてるものはあると思うんですよね。
やはり秘密にされると聞いてはいけないんだなとか聞かないのが親への思いやりなのかなとか子どもなりに思ってしまうかもしれないんですけどもその一方で今の方のお話のように子どもさんに伝えるにも親にもエネルギーも準備も必要だと思うんです。
自分自身ががんという事を理解して受け止めてある程度冷静に考えられるようになって初めてじゃあどういうふうにうちの子に伝えてあげようかなと思う余裕も出てくるんだと思うんです。
だからその準備ができる前に伝えろ伝えろって一方的に言うのはどうかなと思うんですがやはり時間も人によってかかるかもしれませんけどちょっと時間がかかりそうな時には周りの大人がサポートしてあげるっていう事も必要になってくると思うんですね。
ご家族のほかのメンバーだったりご親戚だったりその子どもをよく知っている親しいお友達だったり。
そういう人の力を借りてもいいと思うんですよね。
それでお子さんも状況を分かっていけばさっきもVTRの中で「お母さんを助けてあげられるかなと思った」っておっしゃってましたけれども心強いサポーターになってくれると思うんですねそれぞれの年代で。
そうですよね。
そのように子どもに知らせるだけではなくて積極的に関わってもらったという例も届いています。
はい。
言葉ではなくてこういうある種イベントというか。
そうですね。
その中での交流で伝えていった。
やっぱり工夫なさったんですね伝え方のね。
(高橋)それぞれのご家族の工夫がありえますよね。
うちではこうみたいなのがあってもいいと思うんですけれど。
(小島)子どもにとってみると何だか分からないけど隠し事をされてるっていうのが一番不安なのかもしれないですね。
それが一番つらいですよね。
(岸本)孤独ですよね。
どういうふうに知らせるか知らせるべきか知らせたらいいかというので一つ参考になる冊子があります。
こういう冊子が作られていましてですね伝えるべき事としてこの中で挙げられているのは…えっと…この中に書いてあるんですけれども…子どもってもしかしたらお父さんやお母さんが病気になってしまったのは自分のせいかもしれない。
自分が心配をさせたからっていうふうに自責の念に駆られる子どももいるんですよね。
ホントに真面目ですよね子どもって。
ホントに思います接してて真面目な人たちだなって。
だからこういうメッセージを冊子の形でっていうのはがんになった方もそのご家族の人にもいいアドバイスになりますよね。
違うんだよ大丈夫なんだよ君たちのせいじゃないよっていう事をちゃんとこういう事で伝えるっていうのはホントに。
(高橋)大事ですね。
大事ですよね。
(高橋)大人にもがんイメージってありますよね。
事実と違う独り歩きをしているがんのイメージってあると思うんですけれども子どもさんもそれぞれの年代なりのがんのイメージってあると思うんですね。
ですから多分そこでがんというものを隠さないというメッセージが出ているのはがんを1か0で子どもさんに何かそういうイメージで伝えるというんじゃなくて子どもの誤解を解くようにお父さんのがんはねお母さんのがんはね今はねっていうそういう個別の情報をお子さんに伝えてあげた方がいいというメッセージなんじゃないかと思うんですけども。
私の場合は年取った親だったんですけどもここの所にこういうものが出来て手術で取るの。
こういうできものも手術で取るとがんと呼ぶようになるのとかちょっとレトリックなんですけどもどっかでがんという言葉はお医者さんか周りから聞くだろうからどこかで入れ込んでおかなきゃいけないけどもまず自分の体に何が起きているかを具体的に言って「それの呼び名はがんです」みたいなちょっと工夫しましたね。
そうですね。
先入観として持ってるがんを家族に当てはめるんじゃなくてその人の体に起きてる事を知ってその上でそれはがんなんだっていうそういう順番という事ですね。
まさにそういう事を伝えたい。
子どもに伝えたいという事である病院でこんな試みが始まっています。
どうしたら子どもたちが親のがんを受け止める事ができるのか。
実はね日本人が一番なりやすい病気なの今ホント。
この病院ではおととしからがんと診断された親を持つ子どもたちに向けた取り組みを行っています。
子どもたちが日頃抱えている不安や疑問に医師や臨床心理士が答えます。
参加者の鈴木真央さん。
お母さんががんになっています。
3年前母親が乳がんの手術を受けました。
真央さんはがんが再発しお母さんが死んでしまうのではないかと不安を感じています。
しかし口に出したら本当にそうなるかもしれないと誰にも言わずに過ごしてきました。
プロジェクトではまずがんの正しい知識を伝えます。
がんはどんな病気なのか治療はどう行うのか。
検査や治療に携わるスタッフが分かりやすく説明します。
真央さんが心配している再発を抑える薬についても詳しい説明がありました。
次に親の体調が悪い時の接し方についても教えます。
最後に手紙を書きます。
日頃胸に秘めている思いを伝えてもらうのです。
真央さんは初めてがんの再発を心配している事を伝え笑顔でいてほしいという思いを届ける事ができました。
ハハ…ありがとう。
大丈夫よ。
いい取り組み。
ですよね。
これ配偶者とかほかの家族も連れていきたいぐらいいい取り組みですよね。
子どもだけではなくてね。
子どもだけじゃないですね。
この病院探検のあとのアンケート調査の結果8割以上の子どもの夜泣きや不眠などが減ったという事で何かしら感じていたストレスがなくなっていったという事なんでしょうね。
やっぱり分からないままは不安だしあとできる事があるっていうのはすごく自分自身強くなったような気になるんだろうなと思いましたね。
なかなか家族って「今自分はこう思ってるよ」とか「ホントはこういう事言ってほしいんだ」ってなかなか言えないじゃないですか。
相手を思いやるからこそ。
でもそれでどんどん会話がなくなって壁が出来てしまうっていうのはつらい事なのでやっぱりああやって専門家の方のサポートがあってあなたが心配している事を伝えていいんだよ。
あなたの気持ちをちゃんと言葉にして大丈夫といって実際それをやったらお母さんが喜んでくれたっていうのはホントに得難い体験だったんじゃないかなと思います。
医療側がこのような事をやっていくと。
これ全国的にはどうなんですか。
まだ始まったばかりだと思うんですけれども広がってほしいですね。
この場合はお母さんでしたけれどもお母さんがどういう病院でどういう人たちと一緒に治療しているのかっていうのがお子さんに具体的にイメージとして分かりますよね。
それがすばらしいと思うんですね。
そしてこういうふうにお母さんは頑張っているんだっていう事を実感できますしあと正直なコミュニケーションを促してくれると思いました。
私はこれこれが不安心配とかそこを子どもさんが書けるようになっていたんですけれども遠慮して言えない事も書いていいんだなって思うとそこへ書けてそれをお母さんが見てこう思ってたんだなっていうそれがきっかけで別にそれが病院だけで起こらなくてもいいんですけどきっかけでその後のコミュニケーションが正直に進むような背中を押してくれるような気がするんですけれども。
こういうきっかけって大事ですよね。
(岸本)やっぱりタブーにしないとはいえどういう取っかかりでそのタブーを外していくかってなかなか家庭内できっかけが見つけにくいのでこうした取り組みがあるとホントにサポートになるなと思いました。
すぐ何かうまく解決できなくとも家庭の中でちょっと時間軸を持ってみるっていう事は役立つんじゃないかと思います。
一朝一夕で夢のように家族がコミュニケーションできる訳じゃないけど何かきっかけがあると進むかもしれない。
それくらいに思っていた方が気が楽かもしれないですけれど。
気が楽そうです。
親だからとか子だからとか自分の役割を考え過ぎてしまったがために壁を作ってしまうという事はあるでしょうけれどね。
壁は一度出来ても思いがけない事で突き抜けられる事もあるし消えちゃう事もあるし。
さっきの関係を拝見していても家族って助け合いだなって。
その時弱っている人にみんなで手を差し伸べてまた違う人が弱ったら今度はそっちの肩たたいてって家族の中で大人と子どもでも。
そうですね。
私父にがんを伝える伝えないで何か縛られて父はショックから守ってあげなければいけない人みたいに思ってたんですね。
でもそういう私守る人あなた守られる人って思うところが壁の始まりで後になって父と再発や死の話をすると意外と話が…。
父も80年も生きて病気もしてるし戦争も経てるから生き死にの話できる人なんですよ。
自分が守る人守られる人って役割を作っていたなって思いましたね。
私この「サバイバー」っていう事をずっとテーマにしてきて「がんだからこういう人だって見るのはやめましょう。
普通です」って言いながらも自分が家族を守る人守られる人って役割を作ってたなってすごく反省してるんです。
そうしたイメージから来る役割ってところで私たちホントにお互い遠くからグルグルグルグル円を…イメージの外側を回りながらお互いを見ているけどももっとそうしたイメージを取り払って直に話し合えれば変わっていくのかなと思いましたね。
今日本人の2人に1人ががんになるという時代でひと事では考えられない時代になってきました。
がんになっても自分らしく生きたいというそういう声をみんなで社会で共有して何か支え合っていけたらなと思います。
今日は皆さんどうもありがとうございました。
(一同)ありがとうございました。
2014/02/13(木) 13:05〜13:35
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV シリーズがんサバイバーの時代 第5回みなさんの声にこたえて[字][再]
反響編では、家族との関わり方がテーマ。子育て世代のがん患者は、家族に事実をどう伝えていけばいいのか悩むことが多い。そのサポートのあり方をゲストと考える。
詳細情報
番組内容
がんサバイバーの時代・反響編では、視聴者から寄せられた声をもとに、本人と家族の関わり方を考えていく。がん患者の中には子育て世代も多い。本人は、家族にその事実をどう告げたらいいかを悩み、また家族も本人とどう接したらいいのか、戸惑うことに直面する。番組では、先進的な取り組みを行う松山市のケースなどを紹介しながら、どういったサポートを行っていけばいいのか、エッセイストの岸本葉子さんとともに考えていく。
出演者
【出演】タレント、エッセイスト…小島慶子,エッセイスト…岸本葉子,国立がん研究センター…高橋都,【キャスター】山田賢治
ジャンル :
福祉 – その他
福祉 – 高齢者
福祉 – 障害者
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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