徹子の部屋 2014.03.13

黒柳徹子:今日のお客様、左時枝さんです。
本当にお年頃の女優さんで、いい作品にたくさんご出演になっていますが、前にいらっしゃる方は、ご主人でいらっしゃいます。
後ろの絵は、ご自分でお描きになった絵で…。
黒:左時枝さん、今日のお客様。
お元気な方です。
黒:映画ですとか、テレビなどでは、いろんな役をおやりになるんですけど、絵をお描きになるのは知らなかったので、ビックリしましたけど。
左時枝さん、今日のお客様です。
左時枝:こんにちは。
黒:しばらくでございました。
あれですってね、左幸子さんも13年に…、亡くなってからなるので、とっても懐かしく思ってるんだけど。
随分、年が離れていらしたんですってね。
左:そうですね。
姉と私との間に6人おりますから、8人きょうだいで。
黒:そうか。
きょうだい多いって言ってらした…。
ああ、そう。
なんか、19ぐらい離れて…。
左:そうですね。
だから、親子みたいなもんですね。
黒:そんなにいっぱい間に…。
左:いるんです。
黒:お母様、大変でしたね。
左:そうですね。
でも、ほとんど上の子が下の子を育てるみたいな感じで。
母は、少し楽しかったみたいですよ。
黒:いっぱい子どもがいるとね。
左:いっぱい子どもがいて。
黒:幼稚園みたいですもんね。
左:そうですね。
黒:9人?左:1人、養女いっておりますので、9人です。
黒:すごい。
左:だから、私は六女なんです。
黒:六女。
へえー、そうですか。
さてさて、初めにまず、あなたの絵なんですけど。
これがビックリしたんですけど。
これね、すごく大きくて、あなたが立ってらっしゃらないと、大きさ、わからないですよね。
左:そうですね。
こっちのスイートピーは80号ですね。
号数でいうと。
黒:だから、1つ1つの花がものすごく大きいんだけど、よく、あんな風に…。
左の方は、ちょっと…。
左:カサブランカで。
黒:カサブランカなんで、カサブランカってわかりますけど。
右の方の、あの小さな、このぐらいのスイートピーが、1つの花びらがあんなに大きくなると。
でも、花ってわかるのすごいわね、花って。
左:そうですね。
やっぱり、確実に、その花は、その花の顔をしておりますね。
黒:そうね。
でも、ご主人が、そういう絵をお描きになったり、版画…?左:版画家でしたね。
黒:そうですってね。
それでいらっしゃるので、随分、いろいろなお仕事をなさったご主人なので。
いつも一緒にいらっしゃると、ご主人のお仕事、見てらしたの?長い事。
左:そうですね。
もともと、コマーシャルの、CMの美術デザイナーでしたので。
それが、要するにテレビの先駆けというんですかね。
コマーシャルを作っている…。
黒:そうですってね。
CMの世界では、とっても有名な方で。
市田喜一さんとおっしゃるんで…。
セットに絵を描くとか、それから…。
左:セットを作る…。
デザインを描いて、そして作って、そして撮るという。
黒:セットの絵を描くというのは、セットの絵をデザインなさると。
こういう方でいらしたんですよ。
左:はい。
黒:それから、壁紙を選んだり。
左:そうですね。
黒:それから、小道具とかを決めたりとか、そういう事をなさるご主人だったんですけど、なんといっても、版画をお描きになる。
お描きになるっていうか、版画を作る。
左:秩父の人だったので、秩父には、たくさんお地蔵さんがあるので。
そのお地蔵さんを彫ったりなんか、随分してましたね。
黒:そうなの?左:はい。
で、それから、ちょっと病気をしまして。
で、それが今から7年ほど前なんですけど。
病気になった時に、たまたま取材があったんですね。
その時に取材…、家の中で取材だったら、じゃあ、なんか絵を飾ろうっていうんで。
持ってきた絵が、その…、鬼だったんですね。
黒:ご主人の?左:はい。
で、今まではお地蔵さんを彫っていたのに、突然、鬼、どうしたの?っていう感じだったんですけど。
病気が見つかったっていう事で、その病気に勝つっていうか、そういう強い気持ちが持ちたくて。
それで、随分鬼を描くようになりまして。
黒:こういう…。
左:これはですね、2メーター、2メーターの大きさなんです、大きさが。
だから、すごく大きいんですね。
黒:たくさん…、1つの画面の中に、たくさん鬼がいるのがありましたよね。
これですね。
いろんな、ちょっと可愛いのとか、面白いのとか…。
左:結構、ユーモラスなね…。
黒:どこの出身の方ですって?左:秩父です。
黒:あ、秩父。
左:秩父には、やっぱり、いろんな昔話っていうのも、たくさんありまして。
そういうところにも、鬼も出てきたりなんかするし。
黒:なるほどね。
面白い、楽しんでお描きになった。
それから、ご主人は俳句…。
左:俳句を随分、書いておりましたね。
主人のお父様が、俳句を随分やってらした方らしいんですけど。
それが、やっぱり…、本当に、何かっていうと…。
で、つくづく思うんですけど、コマーシャルって、なんか、俳句の世界に近いような気がするんですね。
あらゆるものをそぎ落として、ポンと出して、これだけ、本当の大切なものっていうのを出している。
それが、俳句の世界にすごい近いなって思う事がありました。
黒:なるほど。
その俳句の会の表紙なんかも、ご主人がやってらっしゃるのね。
それ、いくつか持ってきていただいたけど、とってもすてきなの。
左:これがまあ、不思議な事に、高校時代の…、小川高校っていう高校がありましてね、昔は女子高だったらしくて。
男子がほんの数人しかいなかったっていう。
それが、ずっと何十年経って、つい10年ほど前から、すごく…、俳句をやろうじゃないかっていう仲間が集まって、それで会を開いたらしいんです。
で、その表紙を任されて。
黒:すごいのね。
版画で?左:版画で。
黒:すごいですよ。
今のね、お魚やなんかでもね、丁寧な、手抜きをなさらない方なんです、絶対にね。
そういう趣味の…、本当にすごい第一線のお仕事は、CMとかなんかおやりになりながら、趣味のそういうのも、おやりになるそばで、あなた、見てらして。
あなたにも、お描きなさいって、ご主人が勧めてくだすったんですって?絵を。
左:私ね、母が花の先生なんですね。
で、花を…。
本当に生まれた時からずっとそばにいて、はさみの音で大きくなったみたいなところがあって。
花を作ったりとか、生けたりするの、とっても好きだったんですね。
で、落書きで色を塗りたくっていたら、「絵が描けるんだったら、お花の絵を描いたら」って。
「花が好きなんだから」っていうんで、花を描き始めたんです。
そうすると、家で描いてると、仕事行って帰ってくると、玄関入った途端にね、「どこまで描いた?」って言って。
すごい喜んでね、楽しそうにね、見るのが楽しいっていう感じで。
もう、なんていうんですかね。
山登りに行く時にね、誰かが連れていってくれるじゃないですか。
そうすると、あとどれくらいだろう?って、大変だな、大変だなって思うとね、「あと30分だよ」なんて言われると、あと30分歩けばと思って、一生懸命やるでしょ。
それと同じような感じでね、ちょっとハードルをここまで…。
ここまできたら、もうちょっと上げようって。
もうちょっとって。
そしたら、いつの間にか、絵が描けるようになってたって…。
黒:この後ろのはご主人の…?左:これは版画で、主人の。
黒:でも、いいご主人にお会いになってよかったですよね。
左:そうですね。
黒:でも随分、ご主人、年上?左:えっと、8歳上です。
黒:ああ、そうか。
いろんな事、教えておもらいになったでしょうよね、きっと。
左:そうですね。
私は、17年一緒にいたんですけど、なんか、教えられて、育てられたっていうかね。
黒:拝見してるとね、なんか…。
左:夫婦って面白いもんだなって思うんですけど。
なんか、気が付くと教えられて、ここまで、なんか成長しちゃったみたいな。
黒:それで、ましてや、そうやって帰っていらっしゃると、「どこまで進んだ?」って言われると、あなたも、ああ、うれしいと思ってね。
左:そうですね。
またやらなくっちゃって…。
褒め上手って、こういう事なのかしらっていう。
黒:だから、ずっと、いつまでも一緒にいられたら、本当によかったんですけど、残念ながら、そのご主人、お亡くなりになったんですけど。
その、お亡くなりになる時も、闘病っていうんですかね、ご一緒にずっといらしたわけだから、おつらい…?左:そうですね。
7年前に、先ほども言いましたけど、がんが見つかって。
それで、とってもいい先生に手術をしていただいて。
7年間、もう何もなくて。
それで、ある日突然、ちょっと様子がおかしいからっていって行きましたら、やっぱり再発してしまったんですね。
黒:そこまででいい?そのあと、続きはちょっと…。
黒:ちょっと話、変わるんですけど。
前に…、ずっと前から何度もお会いしてるんですけど、お会いした時、お子さんいらっしゃったんで。
そのお子さん、おいくつぐらいになったのかと思ったら、ビックリした。
今、いくつですって?左:もう、39になります。
黒:だから、ちょっとしたら40。
左:はい。
黒:すごいわね、でも。
あなた、お若く見えるから、でも、そんな風に見えないんだけど。
でも、あなた、普段、本当にお若いのよ。
だけど、あなた、おばあさんやるの、上手ね。
左:もう、最近ね、おばあさんの役ばっかりなんですよ。
黒:頭の毛なんか白くしてらっしゃると、本当におばあさんに見えるんだけど。
すごいいいおばあさんに見えるんだけど。
本当は、左時枝さんって方は、本当はお若いんだけど、息子さんが、もう39歳で。
やっぱり孫もいる?左:娘さん。
黒:あ、お嬢さんだったの?左:はい。
黒:私、見た時男の子だと思った。
女の子だったんですね。
女の子。
それで、そのお嬢さんの子どもの、あなたの孫が、もう…。
左:3年生です。
黒:あ、そう。
左:ですからね、主人の展覧会に行きますでしょ。
そうするとね、連れていくんですね。
突然、踊るんです。
黒:絵の前で?左:絵の前で。
黒:面白い。
ええ。
左:もう、それはね、足を上げたりね…。
黒:なんか、写真があるとか言ってたけど…。
左:これ。
黒:この子。
あら、こんな格好したりして。
すごいモダンアート。
左:もう、本当にね…。
踊れって言ってないんですよ。
黒:そんなに、鬼を見たらこんなになって踊ってるの?左:突然、踊ったりなんかして。
大笑いなんですよ。
黒:そうよね。
だって、本当にそんな感じがするもんね、なんか。
鬼を見て、子どもって、こんな格好して踊るんだ。
左:ビックリしました。
黒:教えたわけでもなんでもないのに、ああいう不思議な振り付けで踊れるのね、子どもってね。
左:そうなんですね。
黒:面白い。
ま、そういう事があるんですけど、ご主人が、7年前にがんがあって、手術なさったんですけど。
去年ぐらいからですか?そうすると。
左:おととしですね、8月ぐらいに再発っていうのがわかって。
それで、1年半ぐらい闘病っていうか、抗がん治療をずっとやってたんですけど。
全身に回っていて、例えば、このがんだったらこれは効いたんだけど、他のところがダメになっちゃうとか、そういう事で、だんだん、だんだん、むしばまれるというか…。
そうすると、やっぱり、3日とか1週間とか、入院しなくてはいけないんですね。
通院もあったんですけど、だんだん、「病院に行くの、イヤだな」って言い出して。
お医者様に、最終的には「違う治療しますか?」って言われたので。
「違う治療は、もういいから」って、その前から主人と2人で話ししてて、どういう風にしようかって。
「家にいたい」って言うので、じゃあ、「家にいる方法を教えてください」って言ったら、今は訪問診療っていうのがありまして。
それが、がんセンターと連携していて、いくつか教えていただいて。
一気に私は、地域のあちこち見て回りまして。
ここがいいんじゃないかっていうところに、主人を、まず外来で連れていって。
黒:そういうのって、選ぶのって、何パターンとかってあるんですってね。
左:で、本当に自分に合ったっていうか、主人に、もし入院になると、どこがいいだろうみたいな感じの、楽な、気持ちのいいところがいいんじゃないかなって思ったんですね。
で、そこで、これから訪問診療始めますよっていう事の時には、「残念ながら、もう月単位じゃなくて、週単位っていう事を考えてくださいね」って…。
黒:週単位と考えてください?左:うん。
そうすると、それがわからないんですよね。
黒:意味がね。
左:まだまだ元気になれるって、これから、もっとよくなる。
ただ、抗がん治療の間に随分と旅行したんですよ。
黒:あ、そうなの。
そんな事、出来るんですか。
それはよかったわね。
左:あれはね、2週間とかはものすごく苦しいんですけど、2〜3週間。
あと1週間っていうの、すごいハッピーにっていうか、普通になれるんです。
黒:ラッキータイム。
その時、どこかパーッて行った?左:その時をめがけて、四国へ行ったりだとか。
黒:あ、そう。
左:ええ。
もう本当にあちこち、随分、行きました。
黒:よく、がんの治療しながら旅行したっていう方がいらっしゃったけど、どうしてらっしゃるのかと思ったら、そういういい時があるんだね。
左:あるんです。
もう、本当に普通になるんです。
黒:あ、そう。
左:ですから、たとえ抗がん治療していても、大丈夫だっていう気持ちが…、なれるんだろうなって。
黒:それはよかったですね、あなたと旅行なさって。
左:で、自宅で1か月ぐらい治療する…、家で看病するっていう感じで。
ちょうど、その時に全部、仕事が、私も終わりましたので。
それで…。
黒:そうね、仕事があるとね、ロケーションがあったりとかね、いろんな事あると、やっぱり気になるでしょ。
左:そうですね。
だから、「ちょっと、今回はやめるわ」って私、言ったんですよね。
それがちょうど、大林監督の『野のなななのか』っていう映画なんですけど、これはすばらしい映画なんですね。
そしたら、主人が「大林さんの映画を断るなんて、とんでもない」「俺は大丈夫だから行け」って…。
ところが、北海道に1か月近くいるんですよ。
黒:うわー、つらいね。
左:その時は、自分でごはんも作れるような状況でしたので、「大丈夫だ」って言って。
それで、その仕事をやりました。
ところが、その『野のなななのか』って不思議なんですよね。
四十九日の話なんです、亡くなって。
黒:もちろん、何もおっしゃってないんでしょ?あなた、大林さんに。
左:全然…。
『野のなななのか』っていう題名、不思議な題名だな、なんていうぐらいにしか思えなかったんですけれど。
その、自分の…。
黒:7×7=49ですもんね。
左:そうなんです。
で、その映画をやって。
もう心配で、しょっちゅう電話する…。
「大丈夫だ、大丈夫だ」。
で、それがね、前にここへ来た時に、姉がね、私が仕事に行く時に、「命懸けでやってこい」っていう言葉を、私にくれたんですね。
で、その事を主人に、その当時、12年ぐらい前に言ったんですね。
そしたらね、その言葉、ずっと、しょっちゅう言うんですよ。
だから、大林監督の『野のなななのか』の映画に行く…。
「よし、俺はちゃんとしてるから、命懸けでやってこい」って…。
黒:あなたのお姉様っていう方は、そういう方でしたよね。
なんでも、やる時、命懸けっていう感じはありましたよね、いつもね。
左:その言葉を、ずっと今でも、言ってくれてました。
黒:でも、皆さん、ご存じなかったので、あとで亡くなった事がわかった時に、なんか、スタッフの方たちが号泣なさったんですって?なんか。
あなたが黙ってやってらしたので。
左:それは…、ちょうどもう、がんだっていうのはわかってるし、それから…、なんていうんですか、ちょうど、『野のなななのか』も死をテーマにしてるわけですよね。
それから、今、そちらの方の仕事をやっているのも、やっぱり、がん末期の役どころだったんです。
それで、それは、やっぱりスタッフには、とても言えなかったですね。
黒:連ドラかなんかですか?左:はい。
で、黙って…。
ただ、金曜日だけ休ませてほしいっていうスケジュールを頼んだんです。
それは、がんセンターに連れていかなくちゃいけないから。
で、休ませてもらって。
黒:そういうのを皆さんに黙って。
で、役は役として、ちゃんとやってらっしゃるから、みんな、全然、気が付かないでいて。
あとでわかった時に、他のスタッフの方たちもつらかったでしょうね、みんなね。
あれ、黙ってやってたんだ、時枝さんはって思ってね。
左:でもね、多分、こう、言ってしまったら出来なかったと思う。
黒:そうね、そうですよね。
それはわかりますね。
左:言ったからといって、何か治るわけではないんですね。
黒:やっぱり、そういう仕事を選んでるんですから。
左:なんか、役者って、どこかを、スイッチをちょっと、ひねり方っていうの知ってるっていうか、今はこれだけど、この次のシーンは、ここやらなくちゃいけないっていうのがあるじゃないですか。
そうすると、ここはもう、これで終わり。
はい、次はこれっていう切り替えみたいなのが、せざるを得ないところで、生きているんじゃないかなって…。
黒:それか、本当に自分の、今の状況のひどい、誰にも言っていない状況と、やっている芝居とが重なっちゃう時があるでしょ?左:ありました。
黒:それはでもね、やっぱり、そこは、そこで流す涙は本当に実生活の涙とは違う、演技の涙だと思うんですよね。
だけど、スタッフの人やなんかは、あとでそれを聞いたら、あの時、つらかったろうなって、みんなが、きっと思うでしょうからね。
左:本当にね、お葬式に来てくださって、もう、泣いて泣いてね…。
黒:皆さんが。
左:もう、私も…。
自分で、ちょっとビックリするぐらいに、それは私の事だから、私が切り替えているだけなんだからと思っていましたけれども、意外と、やっぱり、みんなでやってる作品なんだっていう気持ちが皆さんにはあるんですよね。
黒:ご主人お亡くなりになった時、70…。
左:75でした。
黒:75。
前の晩、手をお握りになったら、とっても力強かったんですって?左:それがね、自宅で、介護用のベッド…。
で、前の日に廊下で、ふにゃってつぶれちゃったんですね。
それで、寒いですから、引きずって、床暖のあるところにまで、こうギュッと連れてきて、それで、お友達を…、近所の、呼んで。
で、息子さんも一緒に来てくれて。
「悪いけれども、ベッドに上げて」って…。
黒:人間って重たいんですよね。
左:で、上げてもらったんですね。
それで、その時に、すごく小さい時からよく知っている方なんで、手を差し伸べてね、「ありがとう」って、自分から言ったんです。
それで、友達にも「ありがとう」っつって、手…。
で、お別れ、ちゃんとそこで出来たんですよね。
で、もうベッドの横で私が寝ないと、いつ何時、ぶつかったりしたら大変だと思って、下で寝てたんです。
そしたら、もう、ベッドの柵をグーッとやって、ものすごい勢いで立ち上がろうとするんですね。
やっぱり、起き上がりたかったんだけど、静止していられない。
それでバターンって倒れる。
倒れると、どこかにぶつかると危ないから、頭を支えて、こう、横にしてあげる。
で、そういう事を何度も何度もやってて、「あなた、もう遅いよ」「夜中だから、早く寝なさいよ」っつってね。
で、「もう私も寝ないとダメじゃないの」って。
で、手をさすると…、手だけじゃなくて、あらゆるところ、さすってあげると、すごく気持ちがいいらしいんですね。
で、手をさすると、スースーって寝息を立てて。
黒:あ、そう。
気持ちがいいんだ。
左:そうですね。
で、そのまんまっていう感じで…。
あの…、なんか、手、さすってほしかったんだなって感じがしましたね。
黒:でも、最後、さすっておあげになったら、いい気持ちになって、そのまんまっていうのは、あとで…、あなたの後悔が、そんなには…。
いずれにしても、後悔があるそうですけどね。
お友達に会ったんですって?どなたか亡くした方に。
左:そうなんですね。
亡くなって何日か経って、近所にお医者様がいらして…。
私が、よく風邪を引いて伺うお医者様の、そこの奥様がね、ばったり会ったんで、よく知ってる方だし、主人が亡くなりましたって話、したんですね。
そうしたら、「あのね…」って。
「どんなに一生懸命やっても、なんにもしなくっても、同じように、あれもしてあげればよかった、これしてあげられなかった、どうして私はやらなかったんだろうっていう、自分に、すごく思い…」。
黒:後悔…、後悔みたいな。
左:ええ。
「…ものが残る」って。
「それは誰にでも訪れるんだ」って。
「だけど、そんな事ないのよ」って。
「あなた、一生懸命やったんだから、静かにしてていいのよ」って。
「すごい喜んでらっしゃるわよ」って言われて…。
黒:あなたのご主人が、もうベッドに寝てらしたのかしら。
その時に何?お孫さんが来て?左:そう。
孫がね、私が時々ね、孫にね、悪い事すると、「ちゃんと、これで、そんな事はしませんって書きなさい」って、反省文、書かせるんですよ、私が。
そうしたらね、私がいない時に、じいじに「書け」って言って、書いた…。
黒:はい。
ご主人がお書きになった反省文です。
これがね、すごくすてきなの。
字が、そういうお仕事してらした方だから、すてきなんですけど。
「いま、おじいさんだけどおじさんになってお兄さんになる」「ねてるときに、もう、おにとともだちにならない」「おにに遊ぼうって云われても『あそばない!』と云う」「もしくはやりかえす」ってね、そういう風に…。
左:だから、どんどん、若くなってほしいという願望と…。
黒:孫のね。
左:で、孫が、こう言うんですよ。
そうすると、しょうがなく書かす…。
黒:今にお兄さんになると。
左:お兄さんになるって、若くなっていくっていう。
すっごい絆というか、すごい愛情でつながれて…。
黒:あの踊ってた子?あの子が…。
左:あの踊ってた子が…。
黒:だから踊るんだよ、あんなところでね、きっとね。
左:もうビックリするほど…。
もう、じいじが命のような子ですから。
黒:じゃあ、なんか継いでるものがあるんでしょう。
ちょっと、ごめんなさい。
大林監督の映画、あなたの。
『野のなななのか』。
だから、四十九日のお話。
でも、可愛いわね。
左:ええ。
鈴木冬樹:「これが、つまり家族全員で迎えるって事なのか」清水信子:「芦別の野でなななのかを迎える」「よかったんじゃない?」鈴木カンナ:「母ちゃん」「じいちゃんのなななのかから、また一緒に暮らす?」黒:もう封切りしてる?左:封切りは5月です。
黒:5月ですか、はい。
そうですか。
でも、あの、あなたは女優として行き詰ったみたいな感じの時に、なんかもう、仕事がこないのかしらとかって思ったりなんかしたんだけど、同級生のお友達にお会いになったら…?左:そうですね。
もう本当、だんだん、だんだん、仕事がなくなるっていうのが、確実にあるんですね。
黒:あ、そうなの?左:それでね、それは世の中的にもあれなんですけど、「何を言っても、これからよ」って。
「あなたは、これからやるんだから」って言われて…。
黒:まあね、あなたの演技力でね。
でも、ご主人の事は本当にね、残念だけども…。
いいご結婚でしたね。
左:はい。
2014/03/13(木) 13:20〜13:55
ABCテレビ1
徹子の部屋[字]

〜最愛の夫を自宅で看取り…亡夫の思い出〜左時枝さんが今日のゲストです。

詳細情報
◇ゲスト
女優でありながら大きなキャンバスに大胆な花の絵を描く画家でもある左時枝さんがゲスト。
◇番組内容
映画やCMの美術デザイナーとしても活躍していた左さんの夫・市田喜一さんは、がんを患い昨年11月に他界。夫の希望で最後は在宅看護を選び、そばに寄り添い最期を看取ったという。当時、左さんが演じていた役は終末期医療の患者など「死」にかかわる役…不思議な偶然に複雑なものがあったと語る。
◇おしらせ
☆『徹子の部屋』番組HP
 http://www.tv-asahi.co.jp/tetsuko/

ジャンル :
バラエティ – トークバラエティ
ドキュメンタリー/教養 – インタビュー・討論
福祉 – 文字(字幕)

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日本語
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