(バイクのエンジン音)あぁーっ!あっ…。
(山内鬼一)へい。
おいおいお前またダメだったって?
(渡辺瑛子)うん。
あら〜何回目だ?確か50回いや60回か?99回。
何?99回って言ったのよ!ハハハッ。
こりゃすごいわ!東京中いや日本中探したってな99回見合いをして断られた女なんてそういやぁしねぇよ。
あと1回行け!あと1回。
ちょうど100回なんておめぇ縁起いいじゃねぇかよ。
(泣き声)どうしたの?
(山内加奈子)鬼一ちゃんひどい!!何で?
(山内タツ)ほんとだよ。
あんたはねこんな小さい時からそういう子だったんだよ!おいおいお袋。
どうしたんだその手は。
あぁちょっとくじいちゃった。
ほんとにそそっかしいんだからよ〜。
お前ほどじゃないよ!鬼一酒だ酒〜!今日は厄払いだ。
好きなだけ飲め。
作ってやれ。
ほらよ飲め飲め。
鬼一ちゃん…。
んっ何だい?おいし〜い!うめぇだろ。
酒は上等寿司は極上ってな!穴子。
へい穴子!はいよ〜。
あぁ〜ばかばか飲みやがってこの野郎。
ダメ鬼一ちゃんそんなこと言ったら。
女だってねぇ飲みたい時だってあるのよ。
怖いねぇ…。
あぁこれねぇ。
もう半年以上続いてるんでしょ?そうそう深川浅草…それに吉祥寺もあった。
東京中だもんね怖いねぇ〜。
助けて〜!!まさか!何だ!?助けて〜!
(エンジン音)痛い…。
ああっ…。
何やってんだ!バカ野郎!待て!!お嬢さん大丈夫かよ?大丈夫か?どうした?
(岸本弥生)足が…。
足?鬼一ちゃん!大丈夫大したことはねぇ。
(永楽亭さん菊)弥生さん!
(弥生)菊ちゃん!約束の時間が過ぎても弥生さんアパートに来ないから…。
どうしたのねぇ?弥生さんねぇどうしたの?バイクが襲ってきてこの方が…。
バイク?
(さん菊)けがないの?大丈夫?弥生さんよかった…。
おい菊!何二枚目やってんだこの野郎!はい…。
すみません。
ついにここにも通り魔か。
物騒でたまらねぇなぁ〜。
ほんとだね。
やだねもう…。
弥生さん今のやつに見覚えないの?うん何にも…。
でも何にもなくてよかったですねぇ〜。
ご主人のお陰や思います。
ほんまおおきに。
いやいやそんなぁ…。
あら?
(篠原警部補)あぁ先輩。
あの通り魔事件の被害者の方。
こちら。
篠原どうしてここがわかったんだよ?いやそれはもう…。
(瑛子)私が電話しました!瑛子さん!しっかりしてください。
こう見えても私警視庁向島西署の鑑識官ですから…。
てぇしたもんだよな瑛子は。
それに比べて篠原!はい。
おめぇ遅いんだよこの野郎!いやだってそんなこと言われたって…。
だから日本の警察はダメだって言われんだよお前!堪忍してくださいよ。
先輩だって昔刑事だったんじゃないですか!だから情けねぇお前ら見てるとイライラすんだよ!うまい。
うまいだろ!ちょっといいかげんにしてよ!!おぉお前ら何しに来たんだよ?あっ本田通り魔通り魔!
(本田)あのお名前は?岸本弥生です。
岸本エレクトロンのご令嬢でございます。
岸本エレクトロンってあのパソコンの部品作ってる?そうでございます!菊ちゃん見かけによらず隅に置けないのねぇ〜。
確か昔は京都に会社があったんですよね?はい。
ご存知ですか?えぇ。
おめぇ何でそんなこと知ってんだよ?一応元OLですからね。
一般常識として…。
ふ〜ん。
じゃあ弥生さんももしかしたら京都出身ですか?ほら言葉が…。
はい。
嵯峨野で育ったんです。
京おんなと東おとこのカップルとはね!いきよねぇ〜!あぁ〜どうせ私はダメな東おんなです。
お前の話してねぇよ!ねぇ鬼一ちゃん。
何だようるせぇなぁ。
僕結婚したいんです。
結婚!?大きい声で言わないで。
条件付き賛成だ?えぇ。
弥生さんのお父さん反対なんですけども真打になればオーケーって言ってくれたんですよ。
そんなことだろうと思ってたよ。
万年二つ目の売れねぇ噺家に娘はやれねぇってところだろうな。
ところがそんなおいらにもね今度師匠から真打推薦の話が出てきたんですよ。
出てきたんならいいじゃないか。
文句はねぇなぁ。
それがおおありなんですよ。
まだ続きがあるんですよ。
真打披露の費用を調達できたらっていう条件付きなんですよね。
条件ばっかりだな。
で幾らかかんだよ?400万両…違った400万円。
そんなにかかるのか!?お金は私が用意するから。
弥生さんの気持ちは嬉しいけどそれはできねぇよ。
おしたら真打に昇進でけへんかてええの?いやそういうわけじゃないけど。
行こう。
や弥生さん…?どうするの?えっ?ほら菊ちゃん!400万円。
どうしてお前それ知ってんだよ?だって夫婦じゃない。
鬼一ちゃんのことならね何だって知ってるんだから。
…っていうのは嘘。
さっきね立ち聞きしちゃったの。
何だよ。
私もさぁ菊ちゃんの力にはなってあげたいと思うんだけどさほらお店の改装でお金使っちゃったじゃない。
ハハハッ。
情けねぇこと言うなよ。
俺は江戸っ子だよ。
この向島の生まれだよ!任せとけって…痛っ。
父ちゃん今日も1日私たちを守っておくれよ。
ねっ!家内安全商売繁盛家内安全商売繁盛…。
なぁなぁ母ちゃん頼むよ〜!400万でいいんだよ。
何とかならねぇかよ?ないよそんな金。
またまたあるじゃないほら2000万。
へそくり!どうして知ってんだお前?ほら母ちゃんとはさ俺が生まれた時からの長い付き合いだよ。
母ちゃんのことなら何だって知ってるよ!頼むよ〜400万!頼む都合つけてくんねぇかな?いいかい?その2000万はね二十歳で結婚した時から母ちゃんが父ちゃんの目を盗んでこつこつ貯めてきた汗と涙の結晶なんだよ!誰がお前なんかに!!そういう言い方はねぇだろ?あぁ悪かったね!口の悪いのは生まれつきだい!何だこのくそばばあ!誰がお前なんかに借りるか!冗談じゃねぇよ!!
(湯川亀太郎)最後の出世払いね〜。
(彦田信)…と言われてもなぁ〜。
おいおい俺だってよなけなしの20万出すんだぞ。
亀ちゃんだって信ちゃんだってそれぐらいなら同じだろうがよ!よし!わかった!10万ってとこだな。
まあそのぐらいだったらな。
よし恩に着るよ。
そいじゃよ後は町内の連中だ。
早速回っちまおうぜ。
よし!じゃあ一本締めだ!
(3人)よ〜お!しかしさその娘さんってのはよっぽど変わり者だよな。
世の中さどこでくっついたかわからないような不釣り合いのカップルってのは多いもんだよ。
娘みたいな女房もらってさニヤけてる変な親父もいるしな。
ここにな!何だと!?まぁ若いっていえばさ加奈ちゃんだけどこの間東橋でかっこいい男と楽しそうに話してたけど聞いてる?え?そういえば加奈子ちゃん最近おかしくないかい?加奈ちゃん寂しかったら俺に言ってくれたらなぁ〜。
こっちはいつでもオーケーよ!私もね〜。
よいしょ!はいわかりました。
ええ…。
あっそれじゃあ。
帰ったよ。
あぁお帰りなさい。
ねぇ鬼一ちゃん。
今から浅草に買い物しに行ってもいいかな?おういいけど。
ありがとう。
じゃあ行ってきます。
おう。
(汽笛)1か月後にはサンパウロに戻っちゃうなんて五十嵐さん随分遠く行っちゃうんですね。
(五十嵐茂弘)ブラジルって日本と違って時間がゆっくりしてるから僕には合うんだ。
そうなんですか?あれいい匂いしないね。
えっ?ほら香水を作るあれ…。
会社で一緒だった時勉強していたでしょ?だからかなぁ?いつもいい匂いがしてた。
何ていったっけなあの仕事。
調香師です。
でも恥ずかしいなぁ秘密にしてたんですよ。
知ってたなんて…。
今は香水とか匂いの強いスプレーとか使わないようにしてるんです。
ほらお寿司まずくなるでしょ。
すっかり寿司屋の女将さんになったね。
幸せなんだ。
さぁどうでしょう?振られたのは痛かったな。
ご主人が現れなかったら今頃俺たちどうなってたかな?これ以上無理だよな。
言いたかないけど頑張ったよな。
鬼一ちゃん聞いてるのかよ!あっあぁ…。
ボーっとしてる場合じゃないよ。
60万か…。
新たに20万しか集まらなかったってわけ。
(亀太郎)いざとなるとケチだよな。
(亀太郎)鬼一ちゃんのもくろみは甘かったんだよ!まあ不景気だしさこんなもんじゃないのかな?あんたお客さん待ってんだよ!わかったよ!信ちゃんもさ鬼一ちゃんも今日はこれで。
あんた早く仕事終わらせてさ9人目作ろうよ。
ボヨヨンボヨヨン。
ボヨヨンボヨヨン。
まあそういうわけでさ菊の方にはうまく言っといてよ。
あぁ。
あれ俺あっちだ。
なんだ。
おう!
(弥生)これ使うて。
これって…。
400万あるから。
用意してくれたの。
これで済むんやったらえぇやないの。
ねっ。
そりゃできねぇよ。
そこまでして真打になりたくないんだよ。
そんな勝手なこと言わんといて!
(ノック)
(さん菊)はい。
鬼一だけどちょっといいかい?
(さん菊)はい。
これしかできなかったんだ。
菊弥生さんすまねぇ。
情けねぇ次第だ。
いや…。
菊ちゃん。
あぁ鬼一ちゃん頭上げてくださいよ。
いやそういうわけにいかないよ。
ありがとうございます!気持ちだけ受け取らせていただきます。
おぉ菊!おめぇこの金受け取れねぇって言うのか?あっいや…ほんとは欲しかったです。
あぁよかった。
これ皆さんにお礼しなくちゃ。
鬼一ちゃんおいら一席やらさせてもらいますよ。
そやねそれがええわ。
無理すんなよ菊。
何言ってんですか。
志ん生もね裸足で逃げ出すって言うね一世一代の噺聞かせますよ。
大きく出たな。
半ちくな芸だったらただじゃおかねぇぞ!はい。
なあに?いやいや…あの2人さギクシャクしてるなと思ってさ。
あぁ菊ちゃんと弥生さんね。
まぁ色々あるんじゃないの?男と女なんだからさ。
えっ男と女?だから何?いや何でもねぇよ!おう加奈子寝るぞ!布団敷いてくれ。
布団だよ!ちょっと待ってよ。
何だよ。
何だよ!?鬼一!鬼一!?何か隠し事してるんでしょ?バカ野郎!隠し事してるのはお前の方じゃねぇかよ!私が隠し事?あぁ!あっもしかして五十嵐さんのこと?五十嵐?私がいた会社の先輩。
私ね昔五十嵐さんにプロポーズされたの。
プロポーズ!?ほらね〜。
何だよ?だから言いたくなかったのよ。
鬼一ちゃんすぐ変な妄想するんだから。
五十嵐さんね今ブラジルで働いてるの。
で日本に帰って来たから私に思い出に浅草案内してほしいって。
はぁ…。
心配しちゃった?おい加奈子!俺はなぁそんなケツの穴の小さい男じゃねぇよ!ほんとに?当たりきよ!私と結婚したくないの?したいに決まってるだろ!そやったらこれ受け取って!それは男としてできねぇんだよ。
私もう待てへんの!どうしても岸本の家を出たいんよ。
もう別れるしかないみたいやね。
そんなこと言うなよ。
(落語)親からもらった命ってのが一つあるんだけどどう?死んでくれるのかい?そんなこと言いましたか?何言ってんだよ今言ったんじゃないか。
じゃあ今夜死んでくれるかい?今夜はダメだよ。
用があるもん。
じゃあ明日だったらいいのかい?いいよ。
明日ね何もないんだよ。
こんちきしょう!こんちきしょうじゃないよ。
じゃあさこの世では夫婦になれないけれどあの世とやらで夫婦になろうよ。
そうだな橋の葉っぱの上で仲良く暮らそう。
アマガエルみたいな了見してるんですけど…。
おっちょっと道開けてくれ。
あれ?どうしたこのヘタクソ!いやいやすみません。
あっ今耳の中にボケ虫が入っちゃって…。
あっ出てきた出てきた!あぁそうだそうだ。
どうしたのかしらね弥生さん。
うん…。
あたしゃねぇしもやけの療養しようって言ってるわけじゃないよ。
後ろの海飛び込もう。
ダメだよ!俺今夜風引いてるんだってんで『品川心中』の序でございました。
(悲鳴)鬼一ちゃん実は俺今日の夕方見ちゃったんだよ。
何を?あいつ弥生さんと別れる別れないって言い争いしてたんだ。
おう後頼むぞ。
えっ?そこで何をしている?おいそこで何をしているんだと訊いてるんだ。
おい!待て!待たないか!!あぁっ…。
えっ?
(サイレン)何があったんだい?ちょっと入らないでください。
いいんだよどけ!!菊!鬼一ちゃん…。
(篠原)先輩ちょっと困ります!刑事じゃないでしょ。
弥生さんじゃねぇか。
おい通り魔か?いや…。
あら菊…おめぇこれどうしたんだよ?何があったんだよ?わかんねぇんだよ。
篠原これどういうことなんだよ!いや…。
警部補!遺体の側にこんな物が。
(瑛子)これなんだけど。
菊これは弥生さんの物か?いや弥生さんこういうの体につけるの嫌ってた。
女か?どうですかね?最近は男もこういうの付けたりしますからね。
じゃ先輩失礼します。
篠原どういうことなんだよ!じゃ先輩またどうも。
出して!とんちき野郎!
(サイレン)「もしもし岸本さん聞こえますか?もしもし!」
(岸本美由紀)気分転換に走ってきたの。
スカっとしちゃった。
(岸本日出志)弥生が死んだ…。
(泣き声)どういうことだったんですか?弥生さんとは会が終わる午後6時に墨田公園で待ち合わせしてたんです。
だけどなかなかこないんで…近くを捜しに行ったら弥生さん石段の下で倒れてて…。
だったら何で巡査が来たら逃げたんです?恋人のする行動とは思えないですね。
おまわりさん見たらなんか急に怖くなって…。
おいら最低だ!
(篠原)彼女と会ってどうするつもりだったんです?さん菊さん大事なことなんですよ?答えていただけませんか?話したいと思って…。
話したい何を?彼女が別れたいって言い出したんですよ。
さん菊さんは?おいら別れたくなくて…。
ちょっとちょっと来い!何ですか先輩。
まだ取調中なんですから。
死因は何なんだよ?困るんですよ。
署に来てまで先輩風吹かすのは…。
おい誰のお陰で警部補になれたんだよ。
死因は頭蓋骨折石段から転落したためです。
通り魔の手口じゃねぇな。
篠原警部補ちょっとでいいからさ菊に会わせてくんねぇか?そりゃ困りますよ!重要参考人ですんで…。
おい!お前菊をホシだと思ってるのか?いやそれはまだ…。
結婚を考えていた相手だぞ!殺すわけねぇじゃねぇかよ!!どうですかねぇ?別れ話が持ち上がってたってことですから。
何このタコ!何考えてんだ!!先輩どうかしてますよ!昔からの友達だからって赤の他人じゃないですか!何っ!?悲しいこと言うんじゃねぇよ。
他人なんかじゃねぇよ。
菊と俺はよガキの頃からいろんな悪さしてよこの向島でよ泣いたり笑ったりいつも一緒だったんだよ。
だからよ俺はよ…。
先輩わかりました。
篠原警部補恩に着るよ。
ちょちょちょ…。
何だよ?まずいですよ。
部外者を容疑者に会わすのは。
上が知ったら…。
大丈夫だよ〜。
しかしですね…。
この篠原警部補を信用しなさいよ!あの私岸本弥生の父親でございます。
どうぞ。
お嬢さんの遺留品です。
この金は娘が弥生が私の口座から勝手に引き出したものです。
あの男に…あの男にくれてやるためだったんでしょう。
あんなやつに会わなければこんな目には…。
あの金どうして弥生さんから受け取らなかったんだい?知ってたんですか鬼一ちゃん?おう。
あの金は受け取れねぇよ!あれ受け取ったらおいら男じゃなくなっちまう…!おいら弥生さんに会って思ったんだ。
遊び人とかわらなかったおいらの人生をもしかしたらこの女がかえてくれるかもしれないって。
悔しいよ−悔しいんだよ!おめぇさんの気持ちしっかりと弥生さんに伝えておくよ。
(お経)おう来てたのか。
一応目配りしておきませんと。
あの岸本ってやつはどういうやつなんだ?えぇ。
岸本日出志京都生まれの60歳。
たたき上げの立志伝中の人物です。
20代で高速機械の会社を興して軌道にのせると4年前東京のパソコン部品メーカーとして進出して成功し今や業界でも注目の成長企業に育て上げました。
でやり方はどうなんだよ?何て言えばいいんですかねぇ?
(篠原)ひと言で言えば超ワンマン。
目的を達するためには自分の手が汚れることもいとわないってタイプです。
だからこそ今があるんでしょうけどね。
それにしても随分若けぇかみさんだな。
俺も人のことは言えねぇけどよぉ。
ハハハ…。
なんかおかしいかよ?あっ…。
岸本美由紀30歳。
後妻です。
元は岸本が出入りしてた「ゼックス」という高級クラブのホステスです。
岸本の愛人から後妻へと華麗なる転身ってやつですか…。
でもよぉあれじゃねぇか?亡くなった弥生さんとはうまくいってなかったんじゃ…。
えぇそのようです。
あんたなんか最低や!どうせ30億の遺産に目がくらんでお父さん騙しただけなんや!
(弥生)何よ何笑ろうてんの?世間知らずのお嬢様だなぁ〜と思って…。
なんやって!?世の中はねぇ弥生さんあなたが思っているほどそんな簡単なもんじゃないわ。
もっと大人にならなくっちゃ。
今に大けがするかもね。
(お経)しかし30億ってのは豪勢だな。
はい。
それにしてもよそんなとこのお嬢さんがよく菊なんかに惚れたもんだよな。
岸本社長は会社の有望株と結婚させようと図ったんだがうまくいかなかった。
弥生さんは仕事同様強引な父親のやり方に反発があったんです。
それで会社のパーティーにゲストで来たさん菊さんに惹かれていったようです。
おいあの男は?
(篠原)古賀次郎岸本の腹心です。
美由紀が勤めていたクラブの店長です。
鬼一ちゃん!よお。
何だよ!?人の顔チラチラ見やがってなんか言いたいことあったらさっさと言えよ!いや実はさぁ見たんだよ。
見た?何を?犯人。
ほんとか?ほんとだよ。
チラっと逃げてく影だけだったんで警察には言わなかったんだ。
あっそうだ鬼一ちゃん。
んっ?付き合ってもらいたい所があるんだ。
主人はあなたとは顔を合わせたくないと申しております。
ちゃんと伝えていただけたんでしょうか?お父さんに…。
はい。
それとそのお父さんって言うのやめていただけますか?弥生がああなった以上あなたとの縁もこれっきりだと思いますので。
あんたあんたそういう言い方はねぇだろう!弥生さんが惚れたただ一人の男なんだからさ線香の1本ぐらいあげさせてやったって罰当たんないだろうがよ!それでは私失礼いたします。
なんだその言い方…おい!もういいんだ鬼一ちゃん!弥生さん今のやつに心当たりないの?うん何も…。
鬼一ちゃん…何怖い顔してるの?このバイク…。
気に入らねぇなぁ〜。
おうちょっと出かけてくるぞ。
出かけてくるってどこに?六本木だ。
ちょっと店は!?もう開店だよ!
(タツ)うちの唐変木どうした?六本木ですって。
…ったくもう仕事ほったらかして〜!加奈子さん1発キュっとお灸すえてやんな。
ねっ!よ〜しいっちょやったるか!へぇ〜お客さんお寿司屋さんなんだ。
あぁ向島の「達寿司」だ。
今度よかったら来てくれよ。
うん行く行く!そういえばさ前にこの店に美由紀って人いたな。
あらお客さん美由紀さん知ってるの?あぁちょっとな。
美由紀さん3か月前にお店辞めたのよ。
辞めた?うん。
で今どこの店にいんだよ?玉の輿よ。
玉の輿?なんだいそりゃあ?岸本エレクトロンの社長夫人ってわけ。
へぇ〜そりゃすごいな。
しかしなんであいつがそんな?大きな声じゃ言えないんだけどさうちの店長が岸本社長に世話したっていう噂よ。
なんだそういうことだったの。
初めから言ってよ!言ってなかったっけ?これだもんなぁ〜。
あたしはね鬼一ちゃんあんたの女房なんだからね!全くだよ!父ちゃんそっくりだそそっかしいところが…!でもさぁその古賀って男怪しいね。
そうだろ!そう思うだろ!!もしかして美由紀って女の人をそそのかして弥生さんを殺させたかも!やだよ加奈子さんは殺させたなんて…。
鬼一もう刑事じゃないんだから物騒なことはしないでおくれよ!わかってるわかってるって。
んっ?誰だ!?何だおめぇか!びっくりした〜。
どうした?久しぶりに鬼一ちゃんの寿司食べたくなっちゃって来ちゃった。
そうか!まぁ座れ座れ。
日本一の寿司食わせてやるよ!すみません。
ビールか?あぁビール。
ごちそうさま!すみません。
あぁすみません。
いらっしゃい!いらっしゃい!いらっしゃいませ。
五十嵐さん…!どうしてここを?あぁ近くまで来たもんだから。
あぁ。
あっ鬼一ちゃんあの五十嵐茂弘さん。
あぁあんたですか。
加奈子が世話になったようで。
いえ。
いい男じゃないの。
旦那さんの寿司を味わいたいと思いまして。
そうですかい。
まぁ口に合うかどうかわからねぇけど好きなだけ食べてって。
そうさせてもらいます。
さぁお座りになって。
お飲み物は?ビール。
はい!さぁ何にしましょう?穴子!おぉ穴子。
へい穴子お待ち。
う〜ん最高っすねこの穴子!お待たせしました。
また穴子お願いします!えっまた穴子?ええ!ハハハ…好きだね〜。
ああっ…!ああっ…わぁ!美由紀が弥生殺した?ふざけるな!!帰った?うん。
あの野郎このままにしておけねぇな。
殺しちゃう?悪い女だなぁ〜。
こんな女にしたのは誰?後は岸本のじいさんだけ。
そう思ってんだろう?
(汽笛)へいトロお待ち〜。
(電話)ちょっとすみません。
はい達寿司です。
あっ五十嵐さん?えぇそれはもう…。
はい。
やっております。
じゃあ明日の5時過ぎですね?はいお待ちしております!穴子好きのにいちゃんか?そうなの。
気に入ったからもう一度食べに来たいって…。
そうか。
いらっしゃいませ!無理言いましてどうもすみません。
いやいや口開けの客としてはありがたいね。
さぁどうぞ。
失礼します。
穴子からいきますか?お待たせしましたどうぞ。
あぁすみません。
あかぎれですね。
まぁいやお恥ずかしい…。
水仕事が多いもんですからね。
恥ずかしいことじゃないですよ!それは勲章です!!胸張っていいことですよ!そうですかねぇ?僕の母だって…。
あのお仕事はどんな?えぇ…。
お袋さん元気なんですかい?母は2年前に亡くなりました。
それがきっかけで僕はブラジルへ。
差し出がましいこと訊くようだけど親父さんは?僕には父はいません。
僕の父親だった人は母とは結婚できませんでした。
ごちそうさま。
どうもありがとうございました。
気をつけて!おう穴子好きのにいちゃん帰ったかい?うん。
鬼一ちょっと。
何だよ?明日の休みね熱海の「ゆとりあの郷」行ってくるよ。
ゆと…なんだよそれ?だから「ゆとりあの郷」!有料老人ホームだよ。
老人ホーム?富士のお山の見えるね温泉付き。
おまけにお医者さまも付いてるから安心なんだよ。
お義母さん…。
母ちゃんへそくりはそのためだったの?うん。
だからねちょっと様子を見てこようと思ってるのよ。
昔ね向島で芸者をやってたテル代が入ってるんの。
なんだい早く孫の顔が見たい世話をしたいって言ってたの嘘だったのあれ?だからさぁ店は加奈子さんとお前に任せる。
そりゃあね孫の顔は見たいよ。
だけどあたしゃね年寄り同士で楽しく暮らしたいと思ってんだ。
すみませんいくらください。
ほらやれよちゃんと仕事。
新幹線で行ったのにさぁ…。
いいよ。
どんな所か息子として見とくのは当然だろ?まだね決めたわけじゃないのよ。
テル代さん!わぁよく来てくれたわね!
(タツ)あんたが誉めるからね一度来たいと思ってさぁ…。
そうかい…。
まぁ鬼一ちゃんも若奥さんまで嬉しい!孝行もんでね車で送ってくれたんだよ。
楽しく暮らす?よく言うよもう…。
でもお義母さん生き生きしてる。
そうかい?鬼一!私ね今日泊まるから。
えっ!?せっかく来たんだからさ一泊体験しなきゃいろんなことわかんないだろ?お前たちもねどっかホテルとって羽伸ばしておいで。
おい母ちゃん…。
何だよもう!いいな〜温泉か…。
ねぇそうしよう!そうしようよ鬼一ちゃん!そういう話じゃねぇだろ?ねぇどうしたの?さっきから何も食べてないじゃない。
ねぇこれおいしいよ!なんとか言いなさいよ!どこ行くのよ?ひとっ風呂浴びてくるの!なんだよもう…。
お義母さんのこと心配してるの鬼一ちゃんだけじゃないんだから。
あぁ…。
(電話)はい。
…ああどうも。
よくここがわかったな。
えっ!菊が死んだ!?バカ野郎…こんな姿になりやがって。
おい人が死んでる!
(篠原)昨日の午前8時頃墨田の荒川土手でさん菊さんが死んでいたのを草野球をしてた者が発見しました。
傍らには青酸カリの小瓶がありました。
そうなると死因は青酸カリか?そうでしょう。
死斑が鮮紅色でした。
これは青酸カリ特有の色ですからね。
で死亡推定時刻は?遺体の体温の低下状況から割り出されたのがおとといの午後5時から7時の間です。
おとといの夜な…。
先輩この死に方は自殺の可能性が一番高いですね。
自殺?はい。
遺書でもあんのか?ありませんけど…。
でもこれは弥生さん殺しを自ら告白したようなもんですよ。
おそらく自責の念から死んで罪を償おうと。
そんなやつじゃねえって菊は!あこれ…言い忘れてたんですけどこれなんですけどね現場に落ちてました。
もっとも事件に関係あるかどうかはわかりませんけど。
おい。
この写真ちょっと借りてってもいいか?はあ…。
それとな菊の遺体は俺が引き取らせてもらうぜ。
えっ?やつの葬式はうちで出す。
えっ…あいつがどうして!?まさかあいつあのことを知って消されたんじゃ…!菊ちゃんかわいそうにこんなちっちゃくなっちゃって。
バカヤロあいつ元からこんなちっちゃいじゃねえか。
よせよせいぜいこのぐらいはあったんだからさ。
菊よ…俺は信じねえよ。
おめぇは自殺なんかじゃねえよなあ。
なあ菊…。
おう加奈子か…。
この写真と同じ口紅を買ってきてくれ。
え?あいつだあいつ。
あれが美由紀さんね。
ああ。
加奈子気ぃつけろ。
あの女2人も殺してるかもしれねぇんだ。
大丈夫心配ない。
それにもしもの時は鬼一ちゃんが助けに来てくれる。
ああ。
そうでしょ?じゃ行ってくるね。
ああ頼む。
あら…?どうかしました?ちょっと口紅をなくしちゃって。
あのもしよかったらこれ使ってください。
まだ新品ですから。
これ!…何か?私の使ってるブランドと同じだわ。
へえーっ偶然ですね。
ちょうど良かったわこれ譲っていただけるかしら?あっはい…。
おっ。
どうだった美由紀は?それがさやっぱり口紅なくしてた。
そうかおんなじものか。
ちょっと聞いてよそれだけじゃないの。
あの人ねアリバイないよ。
菊ちゃんの事件があった日19日の午後5時から7時の間いっくら探ってもはっきりしないの。
本当か?本当よ!鬼一ちゃん江戸っ子だろ?自分の女房信じられなくてどうする?あぁ…すまん。
(タツ)いらっしゃい!いらっしゃいませ!岸本社長…。
この前はわざわざさん菊君と自宅まで足を運んですまなかった。
いやいや。
こんな所までよく来てくれましたね。
つまみにしますか?今日は寿司をいただきに来たんじゃないんだ。
さん菊君の遺骨がこちらにあると聞いた。
できれば焼香をさせていただきたいと思ってね。
ああそうですか。
それはやつも喜びます。
ささどうぞ。
私はバカな考え違いをしておりました。
さん菊君が弥生を殺した犯人だなんて…。
社長。
どうぞお茶でも召し上がってください。
どうぞ。
そうだ山内さん。
お願いを聞いてもらえますかな。
はあ。
俺でできることでしたら何でも。
さん菊君の部屋を拝見したい。
娘がただ1人愛していた恋人がどんな暮らしぶりだったかをこの目で確かめてみたいんです。
さむさいとこですがどうぞ。
山内さん。
はい。
1人にしていただけますかな。
え?ここに弥生との思い出を。
あぁ…はい。
じゃカギ置いときますんでどうぞごゆっくり。
今日はどうもありがとう。
いやあどうもご苦労様でした。
(バイクのエンジン音)この野郎てめえ…!やっぱりてめぇか。
ほら立て!美由紀!お前どうしてこんなことを!?
(汽笛)やっぱりあの美由紀さんが…。
篠原の話だと美由紀の野郎あの古賀にそそのかされて岸本の命を狙ったと取調べにそう答えたそうだ。
目的は30億円の遺産。
やっぱり通り魔の犯行に見せかけたってわけだな。
弥生さんはお前がやったのか?違うわ私じゃない。
嘘言うな。
岸本家の30億の財産欲しさに殺したんだろう!確かに弥生を殺したかったわ。
でもどこの誰だか知らないけど弥生を殺してくれて手間が省けたわ。
だが弥生さんが殺された晩美由紀にはアリバイがあった。
バイクで横浜に行ってたらしい。
裏も取れてる。
じゃあ菊ちゃんの時は?菊をやったのもあの女じゃない。
その日は岸本と一緒にいた。
でも…。
古賀か。
なに?いやあ…古賀さ。
どうもあいつが気になってしょうがねえ。
古賀って逮捕されてたんじゃないの?…のはずだったんだがすぐに釈放されちまった。
どうしてなの?だって美由紀さんは古賀にそそのかされて岸本社長と弥生さんを殺そうとしたって証言したんでしょう?だったら教唆犯じゃない!それがさ被害者の岸本社長が古賀の無実を証言したんだよ。
岸本社長が?おかしいじゃないだって自分を殺そうとそそのかした相手なのよ!実はさその岸本社長のことでどうも引っかかることがあるんだよ。
岸本社長が美由紀に襲われた後俺な気になって菊の部屋に行ってみたんだよ。
ありゃあ何かを探していたんだな。
ほんと?岸本社長は菊が大事な秘密を知ってしまったから…。
殺されたと思ったんだ。
でもその秘密って?わからねぇ。
だけどな岸本社長の過去を調べれば何かわかるはずだ。
それに古賀との関係もな。
それなら私に任せてちょうだい。
おいおい強気だな。
そんな安請け合いして大丈夫か?元OLの人脈を信じなさい!間違いなのかその山下電子って。
業界紙に勤める友達に聞いたんだから本当よ。
しかしあこぎな話だな。
4年前山下電子の社長が開発した新製品を奪い取って岸本が会社をあれだけ大きくしたっていうのか。
そう。
そのIC用の画期的な製品を大手パソコンメーカーやアメリカの会社も買い付けたのが理由だそうよ。
うーん…なんだかにおってきたな。
よし行くぞ。
ねえねえここよここ!昔の山下電子よ。
よし。
おい行こう。
山下電子ですか?そうそうここは昔そんな名前だったらしいね。
そうだ。
山下電子の社長さん今どうしてるかわかりませんか。
4年前に死んじゃいました。
えっ!?自殺だったって話だけど城ヶ崎から海へドブンだって。
(叫び声)城ヶ崎で?ええ。
まあ死にたくなる気持ちもわかるよな。
10何年も苦労して開発した製品をパクられちゃったんだからなぁ。
ああ。
奥さんも心労がたたって旦那の後を追うように病気で亡くなったっていう話だからね。
他に身内はいなかったんですかね?娘が1人いるって言ってましたけど。
ほら3丁目の牧田さんあそこに行けば何かわかるんじゃ?あ〜あそこの親父さん昔山下電子に勤めてたって…。
あそうですか。
ええ。
道隆社長の娘さん…。
たしか山下珠美さんでしたよね。
ええ。
今どこに住んでるかご存じないですかね。
いや…。
あでも…。
え?でも何ですか?何でもいいですから教えてくださいよ。
吉祥寺で通り魔にあって死んだって噂聞きましたけどね。
えっ?あっ…これだ!娘…。
あの山下電子の娘さんも殺されていただなんて…。
それも通り魔だなんて偶然すぎるわ!いや偶然じゃないな。
誰かが通り魔を装って…。
考えてみればおかしいんだよ。
他の通り魔事件はみんなこの下町で起こってるのに珠美さんだけは吉祥寺で襲われているんだよ…。
やっぱりあの美由紀さん?いや美由紀じゃねえな。
珠美さんを殺す動機がねえ。
じゃ誰が珠美さんを殺したのよ?それがわかれば苦労しねぇんだよ。
しかしないいか…。
お前が調べてくれたこの岸本エレクトロンが山下電子を乗っ取ったという話な…。
ええ。
珠美さんのお父さん山下道隆さんが苦労して作り上げた製品を岸本社長が奪い取ったっていう。
もしかしてこの珠美さんは岸本社長が自分の父親の会社を乗っ取ったことを知ってしまったんじゃないか?それで父親の無念を晴らすために岸本のことを必死になって調べているうちに…。
邪魔になった珠美さんを岸本は…。
おそらくこの古賀を使って。
でもさ珠美さんの事件と弥生さんと菊ちゃんの殺された事件とどう関係があるの?うーん…。
何かしら繋がりがあるはずなんだがなあ。
・
(タツ)鬼一!鬼一!あ起きてたのかい。
何だよ母ちゃんよ…。
ちょっと。
え…?こんな夜遅くさ…。
いいからいいから。
これなんだけどさ。
なに?ゆとりあの郷?ああこの前の?もう一度ね行ってみたいんだよ。
やめたんじゃなかったのかい?私はそんなことひと言も言ってないよ。
ね行ってもいいかい?ねえ鬼一!知るかよそんなこと。
てめえが勝手に決めればいいだろ。
行きたいなら勝手に行けよ!そうかい!わかったよ勝手にさしてもらうよ!!勝手にしろよ勝手に…。
ったくどこ行っちゃったのかしら。
いいよいいよ。
あんなバカ息子相手にしたって…。
(車のクラクション)乗れよ。
お義母さん!ほらどこへでも好きなとこへ行ってやるよ。
じゃ行ってくるぞ。
いってらっしゃい!私ね友達がどうしてもできなくて寂しかったからあんたに来て欲しかったの!そうだったの。
ここはいい所よ。
年寄りが住むには持ってこい。
でもねみんな一番嬉しい時っていつだかわかる?自分の子供が来た時。
みんな一番いい笑顔で笑ってる。
山内鬼一様でいらっしゃいますか?ええそうですが。
東京からお電話が入っております。
ああすんません。
もしもし?もしもし鬼一ちゃん?私。
どうしても連絡したくってごめんね。
今篠原さんに替わるから。
もしもし先輩ですか?半年前の通り魔事件洗い直しました。
ガイシャの山下珠美は岸本エレクトロンに何度か足運んでるようなんですが肝心の用件まではどうにも…。
それで?…うん。
山下電子が岸本エレクトロンに吸収された真相は?わからねえか。
じゃあ山下珠美さんが襲われた理由は何なんだよ?それもわからねぇのかお前…よく調べろ。
また電話する。
鬼一ちゃん。
たしか今山下電子とか言わなかったっけ?ええ。
あぁ言いましたよ。
山下珠美ちゃんって山下電子のお嬢さんだろ?確か吉祥寺で通り魔に殺されたんだよね。
知ってんのおばさん?知ってるどころじゃないよ!珠美ちゃんのお父さん山下道隆さんはお千代さんの恋人だったんだよ。
そのお千代さんてのは?私が一番仲が良かった芸者さん。
でも結局お千代さんと道隆さんあんなに愛し合ってたのに結婚できなかった。
道隆さんの親御さんが結婚に反対したんだ。
それで道隆さんは珠美さんのお袋さんと所帯を持ったってわけですか。
独りじゃ寂しかったろうねお千代さん。
ううん独りじゃないよ。
お千代さん故郷の野沢温泉で道隆さんの息子産んだんだ。
おばさんおばさん!お千代さんの苗字は何て…?五十嵐さ。
五十嵐?でその息子さんの名前は?そうだねえーっと何て…。
ゆっくりでいいからさちゃんと思い出してよ。
ねえ。
ちょっと鬼一。
そうたしかしげ…。
しげ?あーっしげ…。
あっそうだ「しげひろ」とか言ったよ。
…しげひろ?五十嵐茂弘…。
道隆さんが亡くなってもう4年も経つんだね…。
でお墓はどこ?たしか蒲田の龍源寺とか言ってたな。
ねえそこへ行けば何かわかるかもしれないよ。
五十嵐さんのことが。
(鐘の音)どうもお待たせを。
どうもどうも。
五十嵐茂弘さんは確か道隆さんの命日には来られました。
その時これをお見せしたんですが。
五十嵐さんは山下電子の道隆社長の息子だったの…。
待てよ。
五十嵐にも動機はあるな。
五十嵐さんそんな人じゃないわ!菊が死んだ日五十嵐はこの店に来ていた。
そう。
菊ちゃんが死んだ日ここでお寿司食べてたじゃない!遺体の体温の低下状況から割り出されたのがおとといの午後5時から7時の間です。
そうだよなぁ。
五十嵐のアリバイは完璧だよな…。
大変だよ鬼一ちゃん!何だ何だうるせえな。
これを見てくれ。
うちのせがれが拾ってきたんだ。
何だよこれ。
これ…。
おいこりゃおめえさん菊のじゃねえか!確か菊ちゃんが二つ目になった記念に作った物よね?これどこにあったんだよ?ちょっとこっちこっち…。
こっちだよ!どこだよ?ここによこうやって落ちてたんだって。
いつからあったんだよ?知らねえよ!バカ野郎!しょうがねえだろ。
いちいち地面なんか見てねぇんだからよ。
じゃあさ菊ちゃんが殺された日19日とはわからないってこと?菊は自殺なんかじゃねえ。
殺されたんだ。
瑛子!瑛子!鬼一ちゃん!どうしたの鬼一ちゃんそんな怖い顔して。
実はさおめえに大至急教えてもらいたいことがあんだよ。
ただいま。
ねえどうすんだよ急に休んだりしてさ。
それが大変なんですよ!鬼一ちゃんおかしいんです。
えっ鬼一が?鬼一!鬼一しっかりしておくれよ!うるせぇな邪魔するな!何だいその言い方!何してるか教えてくれたっていいだろ!トリックだよ。
トリック?ああ。
五十嵐が菊を殺したトリックの謎がここに隠されてるんだよ。
五十嵐さんが犯人て…どういうことよ!?だってどうして五十嵐さんが菊ちゃん殺さなきゃいけないの?菊はよ弥生さんが殺された現場で…。
犯人。
ほんとだよ。
チラッと逃げてく影だけだったから警察には言わなかったんだ。
五十嵐の野郎菊に弥生さん殺しを見られたと思ったんだ。
だから五十嵐は俺とお前を使って偽アリバイ工作をしたんだ。
だって…!菊の扇子はここに落ちていたんだぞ。
絶対ここに何かがあるはずだ。
もうよしな!ね!この子は子供の時からこうと決めたらテコでも動かないんだから。
亡くなった父ちゃんにそっくりだ。
さあんたもきばんなきゃ!えっ何をですか?下町の女はねこういう時は亭主の支えになってやるもんだって昔から決まってるの!さ帰るよ。
だって!寒いなおい…。
寒かったでしょう〜。
ありがと。
頑張ってよ。
お義母さん手伝います。
ああ。
鬼一ちゃん!朝飯だよ。
いらねえよ!もうやせ我慢しちゃって!お義母さんがねせっかく作ってくれたんだから。
あたしゃ海苔巻いただけだ。
食べないとね罰が当たるよ。
しょうがねえか食ってやるよ。
あっ。
私お茶持ってくるの忘れちゃった。
お義母さんちょっとよろしくお願いします。
いい嫁だね。
あのさ。
ん何なんだ?あたしゃやめたよ。
だから何なんだよじれってぇなあ!熱海へ行くの。
何だよ。
行けばいいじゃねえかよ。
まだまだお前たちに達寿司はまかせらんないんだよ!ははーっしょってやがらぁ!ちょっとあんた!何だよ。
もしかしてこの車誰かに貸さなかったかい?誰に貸したんだ?誰に貸したんだこの野郎!おう加奈子!電話どこだ電話!…あそこあそこ!
(電話)どうしたの鬼一ちゃん。
4年前に死んじゃいました。
自殺だったって話だけど城ヶ崎から海へドブンだって。
城ヶ崎だ。
五十嵐さんのお父さんが亡くなった場所!?急ごう!
(岸本)何だねこんな所に呼び出したりして。
(五十嵐)4年前のちょうど今日ここで何があったか覚えてるか?さあ…忘れたな。
だったら教えよう。
その夜に僕の親父山下道隆はここから飛び降りたんだ。
(叫び声)あんたか山下の隠し子ってのは…。
じゃあ考え違いしてるぞ私には関係ない!違う!親父はあんたに殺された!!くだらん。
待て!どういうつもりだ!親父と同じことをしてもらう。
どういう意味だ?ここから飛び降りてもらうんだよ。
(笑い)よせ何がおかしい!お前も親父と同じ甘ちゃんだってことだよ!うっ…ああっ!うっ!お前の妹をやったのもこの古賀だ。
そうさ私の命令でな!・古賀!警察だ!岸本さん山下珠美さん殺人事件の件で吉祥寺中央署より捜査協力の依頼がありました。
署までご足労願います。
おい。
あんた菊を殺したな?これが見ていたんだよ。
菊の扇子がすべてをな。
あんたあの冷蔵車を殺人トリックに使ったな。
あの冷蔵車の運転手が全部教えてくれた。
あんた20万円払ってあの夜冷蔵車を借りたんだ。
19日の午後5時あんたはわざわざ俺の店に来て寿司を食った。
午後7時近くあんたは加奈子に送られて俺の店から出た。
これでアリバイは成立だ。
それからあんたは午後11時に菊を駐車場に呼び出した。
弥生さんが殺された秘密を知ってるって本当ですか?そう慌てないで。
コーヒーでも飲んでゆっくり話しましょう。
どうぞ。
すいません。
僕の顔に見覚えはありませんか?えっ?お前が…。
ああっ!!菊の死体は冷却されて翌日20日の午前2時まで置かれた。
死体の体温を調節して…荒川の土手まで運んだ。
菊の死亡推定時刻を19日の午後5時から7時の間に変えることができたってわけだ。
普通ね遺体の温度は死後1時間に1度ずつ下がるの。
でも特殊な環境に保存することによって死亡推定時刻をずらすことは可能よ。
これはあんたの親父さんが自殺する直前に書いたものだ。
あんたこれを読んだんだろ?これにはあんたの親父さんの岸本に対する恨みつらみが書かれてる。
親父さん岸本にどんなひどい仕打ちをされたのか…。
無念だったろう。
悔しかったろう。
残された家族のことを思うと身を引き裂かれるような気持ちになっただろう。
それでそれであんたは復讐を計画したんだ。
悪いのは岸本だ…。
岸本のせいなんだ!バカ野郎!おい。
こんな過ちを犯して亡くなった親父さんが喜ぶと思うか!?僕が親父の道隆と初めて会ったのは6歳の時でした。
でも僕はその時…。
そのおじさんが親父だとは知りませんでした。
ずっと親戚のおじさんだとお袋から聞かされてたまに来てくれては遊んでもらってたんです。
嬉しくて嬉しくて…。
そのおじさんが来るのをいつも心待ちにしていました。
4年前大学を卒業した年そのおじさんが死んだことをお袋から聞きました。
そのおじさんが本当の父親だって教えてくれたのは2年前お袋が死ぬ間際でした。
親父は…僕が大学を卒業するまでずっと金を送ってくれてたんです。
(五十嵐)本当に優しい親父でした。
おとう…おとうさん…。
お袋…お袋!
(五十嵐)僕は親父の命日に寺へ行きました。
そこで珠美に初めて会って…。
(山下珠美)もしかしてあなたお兄さんじゃないですか?そうなんですね!?お父さん私にだけあなたのことを…。
(五十嵐)僕はその後仕事を変えブラジルに行きました。
そんな僕が珠美が殺されたと知ったのはサンパウロでした。
日本人向けの新聞に珠美の事件が載っていたんです。
それから一週間後殺された珠美からの手紙がサンパウロに届きました。
珠美の手紙には「もし私が殺されたら山下の菩提寺に父山下道隆の遺品の中に大学ノートがある。
それを読んでくれ」と書かれてありました。
それで日本へ帰ってきたのか。
…はい。
それで大学ノートを読みました。
その時僕はとっさに思ったんです。
珠美はもしかして僕たちの親父を自殺に追いやった岸本の汚い乗っ取りの証拠をつかんだんじゃないか。
だから…殺された。
あんた岸本のことを調べているうちにそれを確信したんだ。
だけど…だけど何で弥生さんまで!僕は…弥生さんを殺すつもりはなかった!
(五十嵐)待ってくれ!まだ話は終わってないんだよ!離してください!待ってくれよ!そんな話私には関係ないわ!
(五十嵐)僕は岸本を苦しめてやりたかった。
その瞬間弥生さんを殺せば岸本は苦しむと思ったんです。
(悲鳴)はっ!おい!おい!!
(五十嵐)あのブレスレットは美由紀の物です。
そして…僕はさん菊さんに顔を見られたと思ったんです。
それが彼を殺した理由です。
美由紀が岸本親子の命を狙ってると知った僕は美由紀を犯人に見せるためあの女が使っているスポーツクラブから口紅とブレスレットを盗みました。
父を破滅させ珠美を殺した岸本と古賀がどうしても許せなかった!しかしその許しようのない岸本も弥生さんを失った。
そしてこの俺も菊を失ったんだ。
(泣き声)
(泣き声)本当に取り返しのつかないことをしてしまいました。
罪のない弥生さんを殺しさん菊さんまで殺してしまった!あなたを利用してすまなかった。
五十嵐さん…。
さあ。
よくさ菊はこれに乗って噺の稽古をしてたよな。
そうね。
写りがいい?写りがいいですんでよろしくお願いします。
しかしさ…いいやつだったよなあ。
ほら!クヨクヨしないの!菊ちゃんに笑われちゃうよ?ハハハハ…そうだよな。
鬼一ちゃんよう釣りなんかしてる暇があったら早く子供こさえなよ!なんて怒られそうだよな。
何それ。
話全然見えないよ。
え?ジョークでしょジョーク。
でもさほんとに頑張ってみようか?2014/02/12(水) 13:55〜15:46
ABCテレビ1
江戸ッ子探偵殺人案内[再][字]
東おとこに京おんな殺人事件 連続通り魔が仕組んだ罠!中年寿司屋とおさな妻の名推理
詳細情報
◇出演者
地井武男、細川直美、菅井きん、倉田てつを ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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