地球イチバン「世界一のハニーハンター〜ネパール・ヒマラヤ〜」 2014.02.26

標高6,993m。
ヒマラヤの名峰…ここに世界のグルメが憧れる幻の食材があります。
山に咲く花々が生み出す宝石…世界で一番手に入りにくいハチミツの一つといわれています。
年に2度満月の朝。
断崖絶壁に山岳民族グルン族の男たちが挑みます。
山に命を懸けてきたグルンのハニーハンター。
世界の食通が彼らの帰りを待っています。
彼らをヒマラヤの人たちはこうたたえます。
世界の屋根ヒマラヤ。
目指すのはネパールの中央部です。
キレイ!「どうだ!」って言ってるような感じがしますね。
ヒマラヤ様みたいな感じがしますね。
大高洋夫さん54歳。
ベテラン俳優なのになぜか…。
い…痛い!ホント痛い!う〜!世界の極地が大好き。
今48℃ですね。
お〜キレイだね!マチャプチャレ。
最高の景色ですよね。
こうやって見上げないとてっぺんまで見えないって日本じゃありえないからな。
山の上の山の上の山の上のそのまた山があるという感じですからね。
首都カトマンズから車で7時間。
名峰マチャプチャレの麓にたどりつきました。
着いた〜!はあ〜ここですか。
11月上旬村は稲刈りの真っ盛り。
息をのむような美しい田園風景。
山肌にしがみつくように家々が並んでいます。
ここがハニーハンターの暮らす村…村に入ってまず目についたのはキレイな石の壁。
そして丁寧に舗装された路地。
へえ〜。
石畳もホントに歩きやすい。
ちゃんとキレイに埋められてるし。
それもこれもハチミツと深〜い関係があるんだそうです。
村に暮らすのはグルン族と呼ばれる山岳民族およそ100人。
早速彼らにハチミツとそれを採るハニーハンターについて聞いてみました。
この村でハニーハンティングをしているって聞いたんですけど知ってますか?すごい危険ですよね?神様のようなリーダー。
ミンさん?ミンさんですね。
ミンさんのお宅を聞いてみると…。
もちろんみんな知っていました。
村人の尊敬を一身に集めるハニーハンターのリーダーミン・バートルさんとはどんな方なのでしょう。
ミンさんですか?ハニーハンターのミンさんですか?ちょっとお話聞かせて下さい。
ちなみにネパールの男性の平均寿命は65歳です。
思ったより小柄な方なんでびっくりしましたけどね。
ハニーハンティングを何年ぐらいやってらっしゃるんですか?66歳のミンさんはハニーハンティングのために体を鍛えたりとかはしているんですか?屈強なおじさんな訳ですね。
すごいですね。
幻のハチミツヒマラヤハニーとはどのようなものなのでしょうか。
村から山道を歩く事およそ1時間。

(通訳)ハンティングする所あそこ…。
あれ!?え…ええっこんな崖なの!?すげえ〜!それであの黒い塊はハチでしょ?崖にいくつも点在する黒い塊がハチの巣です。
中にいるのは世界最大の野生のミツバチ…毒の量も多く刺されると2日ほど体が動かなくなる事もあるといいます。
ハチミツが採れるのは春と秋の2回。
春はシャクナゲのミツを含み少し苦みがあります。
秋はヒサカキのミツを多く含みます。
濃厚な甘みと芳醇な香りで世界のグルメを魅了してきました。
無事にたくさんのハチミツが採れるようハンティングはグルン族にとって聖なる日に行われます。
春と秋の満月の日。
秋の満月は10日後です。
大丈夫なの?ミンさん。
失敗は許されないですよね?村ではグルン族の男たちがハンティングの準備を始めていました。
ハニーハントのメンバーはミンさんを入れて10人。
平均年齢52歳のおじ様たちです。
若者は一人もいません。
ハチミツを入れる籠。
ハチの巣を狩る鎌。
これらは全てリーダーのミンさんが使う道具です。
長さ100mの縄バシゴ。
このハシゴを伝い崖に上るのはミンさんただ一人。
残りのメンバーはサポートに徹します。
リーダーには高いハシゴの上でハチと闘う技術と勇気が求められます。
ミンさん上から下に下りるの?あそこが崖の上なのね。
ロープを下ろして…。
あ〜そっか。
ロープを垂らしてハシゴを下から上に上げるのね。
あ〜はいはいはい!分かりました。
そして?崖の上の木に縛ると。
それでミンさんは上から下りてくるの?今やるの?やるんだ。
ミンさん私たちのために実演してくれました。
この頼りない縄バシゴで本当に大丈夫なのかしら。
どれぐらい前からこのハニーハンティングやってるんですか?ホントに危険な作業ですからちゃんと準備しないとっていう。
ホントに信頼関係の中で生まれてきてるもんですよね。
ミンさん刺されまくりながらハチの巣をとるんですか?ホホホホホッ。
(鳴き声)小さな村の一大行事ハニーハント。
決行の日を目前にして大高さんはハンターの一人と寝起きを共にする事にしました。
メンバーの中で最年少の…お世話になります。
こちらは長女のロギータさん。
ピダル?日本でいう里芋みたい。
貴重な冬の保存食ピダル芋をスタッフ全員に配り歓迎してくれました。
テイクさんの暮らしは自給自足。
現金が必要な時は近くの村々で土木工事などを手伝っています。
妻のシュサマさんと出会ったのは出稼ぎ先の村。
18年前の事です。
へえ〜スピード結婚ですね。
奥さんのどこに引かれたんですか?
(笑い声)やっぱり笑うよね。
てれくさいよね。
奥さんはハニーハンティングをする事に対してどう思われてるんでしょう?えっ村の開発っていうのは?採れたハチミツはまず村人全員で分け合います。
残りはお金に換えます。
その額は年平均10万ルピー。
およそ10万円。
自給自足の村の人々にとって大きな現金収入です。
それを村の公共事業に使ってきたというのです。
僕が村に来てまず最初にキレイだなあって思ったこの石造りの道。
長年ハチミツで得たお金で手入れをし続けてきた賜物なんだそうです。
俺がやるの?この水場もハチミツのおかげ。
山の湧き水をパイプで引き込みそれまでの水くみの苦労から村人を解放しました。
こちらは村唯一の集会所。
ハチミツで得たお金を3年間コツコツとためたハチミツ貯金で作りました。
バイバイ。
次の目標は水場の増設。
バイバイ。
いつ出来るかはこれからどれだけハチミツが採れるかに懸かっています。
朝5時。
寒っ!寒っ!あ〜!ヒマラヤ山麓の冷たい空気に触れ一気に目が覚めます。
(鶏の鳴き声)あ〜コケコッコ!ナマステ!早っ!何時に起きたんだろうな。
早いな。
キレイですね。
日の出と共に大高さんが目にしたのはハチミツの村ならではの助け合いの光景でした。
テイクさんが大事に育てた2頭の牛を連れて向かったのは…。
よいしょ!自分の土地ではなく他人の田んぼです。

(歌声)
(歌声)
(歌声)
(歌声)
(太鼓の音)ハンターのテイクさん一家と暮らすうち僕は村に押し寄せる新しい時代の波を感じるようになりました。
ここはテイクさんの長男ビベク君が通う学校です。
幼稚園児から高校生まで近隣の村々の子どもたちが通っています。
まず驚いたのは小学1年生のクラス。
(英語)なんと英語の授業。
聞くと幼稚園の頃から必須科目だというから更にびっくり!中学生になるとみんな片言でも英語を話せるようになります。
お〜コンピュータールームですね。
こちらはコンピューターの授業。
英語が話せコンピューターの知識があると都会の企業だけでなく海外での就職も可能になるといいます。
将来何になりたいと思ってますか?この上の方のカダルジュン村でハニーハンティングっていうのをしているんですけどもやってみたいと思う人?何でやってみたくないの?怖い?危険だからね。
テイクさんの長男ビベク君も手を挙げませんでした。
若者たちは発展する東南アジアや豊かなアラブの国々への就職を夢みています。
ハニーハンターのなり手も8年前テイクさんが加わったのを最後に一人もいません。
40年もの間ハニーハンティングを続けてきたミン・バートルさん。
妻は20年前に亡くなりました。
息子はハニーハンターを継がず10年前に村を離れマレーシアで働いていると言います。
ミンさんはリーダーの仕事を今年で最後にしようと考えていました。
後継者は一番若いテイクさんがふさわしいと思っています。
テイクさん即答できませんでした。
11月17日。
待ちに待ったハニーハンティングの日。
ミンさんいよいよ出発ですよ!この格好はグルン族の格好なんですか?ほう〜!これ持つよ。
俺が持つ。
ミンさんを先頭に10人のハンターが村を練り歩きます。
つじつじで村の女性たちがお見送り。
あるよあるよハチの巣が!世界一巨大なヒマラヤオオミツバチが一斉に羽を震わせています。
高さ80mの断崖でハチミツを採るミンさん。
それを崖上と崖下のチームに分かれてサポートします。
撮影カメラもそれぞれ配置しその様子を捉えます。
崖下のチームが火をたき始めました。
ハニーハンティング開始の狼煙です。
煙がハチの巣の方に向かっていくよ。
来た来た来た…!ああすごいすごいすごい!暴れ出した暴れ出した!煙でハチを追い出し巣をむき出しにします。
ほらハチの巣がくっきりと…。
ここここここ!ここここここ〜!何もしなければ大丈夫だよね!?あっ手でつかんでるし!テイクさんこれから上に行くの?気を付けてね。
ミンさんと崖の上で作業をするテイクさんのチームが出発しました。
テイクさんハシゴを引き上げるためのロープを準備。
(掛け声)長さ100m重さ70kgのハシゴを崖上のテイクさんが引き上げます。
おっいよいよミンさんが下りる!すごい66歳だなあ。
ミンさんの姿をじっと見つめるテイクさん。
(ハチの羽音)ミンさんの目の前にでっかいハチの巣がある。
くくったという事はあの目の前のハチの巣をやるのかな。
ミンさんの合図でメンバーは一斉に動き出しました。
ここからハニーハンターとハチとの本格的な対決が始まります。
(ハチの羽音)うわっミンさんの脚の周りハチだらけ!うわ〜!
(ハチの羽音)うおっうおっうおっすげえ!切り取った部分にはハチミツはありません。
ミツがたまっているのは巣の上の部分。
うわ〜垂れてる垂れてる!すかさずミンさん籠を差し入れミツを採ります。
(ハチの羽音)うわ〜初めてのハチミツ!この秋初めて採れたハチミツ。
状態はどうなんでしょうか?ミンさんも量の少なさに気付いていました。
次はやぶの中にある巣を狙います。
ハシゴが木に絡みやすい危険な場所です。
仲間全員でミンさんが望む場所にハシゴを移動させます。
すばらしい!すばらしい連係プレー!ミンさんが狙いを定めたのはこの秋一番の大きな巣です。
しかし…。
(ハチの羽音)たとえミツが多くても少なくても巣の半分を残すのがハンターのおきてです。
そうすればまた来年ハチが同じ場所に戻ってくるからです。
これまで採れたハチミツは僅か4ほど。
ミンさんがハニーハンターとなって40年。
この10倍採れた年もあればほとんど採れなかった年もありました。
ハシゴを上り始めたミンさん。
これ以上採る事をやめました。
人生最後のハニーハントが終わりました。
ミンさ〜んお帰りなさい!お疲れさまでした。
すごいですね。
闘い続けた40年。
もしかしたら今年が最後になるかもしれないっておっしゃってましたけど…。
ん?えっ食べていいの?確かにね。
俺食べていいの?うおっ!あっ!甘い!めっちゃ甘い!喉の奥まで甘さがふわ〜って染み通るの。
分かるかな?食べた人じゃないと絶対分からない。
テイクさん今年のハチミツまだ食べてないでしょ?俺先食べちゃった。
な…何を〜!えっそうなの!?そうなの!?今分かるこの事実!好きになって下さい。
村への凱旋です。
ナマステ!
(女性たち)ナマステ!村の女性たちが総出で出迎えます。
額に祝福のティカを塗り白いスカーフと手作りの花の首飾りマラで感謝の心を伝えます。
すごい歓迎だ!テイクさんの妻シュサマさん。
ヒュヒュ〜ッ!
(歓声)村人の前でハチミツをこします。
お〜キレイな色だな!世界で最も手に入りにくいといわれる天然のヒマラヤハニー。
まずはカップに1杯ずつ村人たちが分け合います。
でかっ!でも1杯だからね。
でも1杯だからね。
ミトチャ!グリヨ!ミンさん!ミンさんも並ぶんだ?これミンさんが採ったハチミツだよ。
ミンさんも同じくカップ1杯だけ。
今年は市場に売るほどの量は残りませんでした。
新しく作る計画だった水場は来年に持ち越しです。
テイクさんの家では伝統の揚げパンロティが振る舞われます。
採れたてのハチミツを米粉に入れたお菓子。
切れ目のない円い輪。
おいしそうだ!テイクさんが教えてくれました。
それは村人の絆を示すつながりの輪。
一つの輪をみんなで分け合って食べます。
僕もハチミツの村の一員になれた気がしました。
俺食べていいの?じゃあ食べるよ。
食べるよ。
ああモチモチして甘くておいしい!翌日ハンターたちがミンさんのもとに集まっていました。
隣にはテイクさんの姿が…。
ヒマラヤは次の春を待ちわびています。
2014/02/26(水) 16:05〜16:54
NHK総合1・神戸
地球イチバン「世界一のハニーハンター〜ネパール・ヒマラヤ〜」[字][再]

ヒマラヤの山麓に生息する世界最大のミツバチが生む、グルメ垂ぜんの幻の蜂蜜ヒマラヤン・ハニー。高さ100mの断崖絶壁で、人生最後の蜜採りに挑む山岳民族の古老を追う

詳細情報
番組内容
ネパール・ヒマラヤの山麓に生息する世界最大の野生のミツバチ、ヒマラヤオオミツバチ。食通が愛してやまない幻の蜂蜜「ヒマラヤン・ハニー」を生むことで知られている。それを求めて高さ100メートル近い断崖絶壁に挑むハニーハンター。命がけで蜜を追うのには、特別な理由があった。人生最後のハンティングに挑む名人・グルン族の古老に密着し、その謎に迫る。
出演者
【出演】大高洋夫,【語り】ベッキー

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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