(咲子)奈緒子さん。
何が違うんでしょうか?照子さんのおもてなしは。
私には当たり前のおもてなしのようにも見えますが。
(咲子)むしろいつもより手をかけていないようにも。
(奈緒子)それなんです。
(咲子)えっ?
(奈緒子)照子さんはお客さまのあるがままを受け入れてお世話してるんです。
あれが大女将がおっしゃった究極のおもてなし。
(照子)はい。
どうぞ。
(伊川)ああー。
(咲子)究極のおもてなし?うん。
それに比べると私が伊川さまにしたおもてなしは全て余計なことだったのかもしれません。
《伊川さまはお漬物はお好きで?》
(伊川)《あのう》《はい。
何でしょう?》
(伊川)《静かに食べさしてもらえないかな?》私大事なことを見失っていたのかもしれない。
奈緒子さん。
お客さまのお気持ちを一番大切にすることがおもてなしの基本だっていうことを忘れていたのよ。
(志乃)百合の間の斉藤さま20時には戻られるそうです。
(辰夫)承知しました。
(志乃)よろしくお願いします。
(瑠璃子)あっ。
大女将。
伊川さまは?
(志乃)今照子さんと奈緒子さんがお世話しとるところです。
(瑠璃子)ああ。
あっ。
奈緒子さんと照子さんのおもてなしの違いって何なんですか?
(志乃)うん。
(志乃)奈緒子さんは気付いたようや。
(瑠璃子)えっ?さすが奈緒子さんや。
(瑠璃子)えっ?えっ?あっ。
いえ。
(俊平)出ていったり戻ってきたりホント変な客だよな。
そもそも絵描きっていうのが最初っから何か怪しかったんだよ。
(増岡)ほやけどどっかで見たような。
(俊平)まだ言ってんのか?増岡。
(増岡)ボンチ。
ここまで出かかっとるんです。
ここまで。
(俊平)ともかくだなあんな常識のないげた履きの画家を受け入れるような旅館じゃないんだうちは。
うん?そういえば昔いたな。
有名なげた履きの画家が。
確か放浪の画家とか何とかいわれてた…。
(増岡)放浪?
(俊平)うん。
ああ。
あれは山下清か。
でももう向こうは亡くなってるし。
同じ放浪でもうちに泊まってる客とはもう全然違う…。
(増岡)ああ。
(増岡)思い出しました。
(俊平)えっ?ヘヘヘ。
放浪の風景画家伊川正。
(俊平)放浪の風景画家伊川正?増岡ホントか?
(増岡)はい。
間違いございません。
(俊平)じゃあ調べてみるか。
(俊平)えっ!?平成17年に国際芸術文化勲章受賞!?はい。
(俊平)えー?
(照子)板長。
伊川さま全部奇麗にお召し上がりになりました。
(辰夫)ほうか。
ほれはよかった。
(照子)はい。
照子さん。
ありがとうございました。
(照子)奈緒子さん。
照子さんのおかげです。
伊川さまがもう一度戻ってきてくださったのは。
ほんなことはありません。
伊川さまも奈緒子さんが精いっぱいおもてなしをしてくれたことは分かってらっしゃいます。
ほの心が分からないようなお方やありません。
ほやさかい戻ってきてくださったんです。
照子さん。
奈緒子さん。
照子さん。
大女将が母屋の方へ来てほしいと。
えっ?奈緒子さん。
照子さんの伊川さまへのおもてなしはどうでしたか?はい。
とても勉強になりました。
私はいつも一歩先を読むおもてなしを心掛けてきました。
お客さまがこうしたいと思われるこうされたいと思われるその一つ先に気を配り気付くことが大切だと。
それに引き換え照子さんの伊川さまへのおもてなしは一歩先を読むのではなくお客さまのお気持ちを謙虚に受け入れるおもてなし。
照子さんの伊川さまへのお世話を見てそれに気付かされました。
よう分かってくれました。
私たちのおもてなしはどうしても一歩先を読むおもてなし。
前へ前へのおもてなしになってしまいます。
ほやけどお客さまによってはほの心をほのまま受け入れてお世話するだけを好まれる方もいらっしゃいます。
はい。
さりげなさ過ぎて何もしとらんようにも見える。
ほんなおもてなしこそが究極のおもてなし。
まあ言葉を変えれば日陰のおもてなしやね。
日陰?おもてなしにも日なたと日陰があります。
一歩先を読むおもてなしは日なたのおもてなし。
ほれに比べて照子さんの伊川さまへのおもてなしは日陰のおもてなしや。
ほれは照子さんの生き方にも通じることや。
照子さんは大女将の私をほのまんま受け入れてくれて陰になってずっと支えてきてくれました。
ほんな。
支えるやなんて。
私は大女将のおそばにいてただお手伝いをしとっただけで。
照子さん。
今の私がこうしてかぐらやの女将でおられるがも照子さんがずっとそばにおってくれたおかげや。
大女将。
私は心からそう思うとるんや。
もったいないお言葉です。
私なんかにほんなお言葉を頂けるやなんて。
ホントにもったいなあて。
照子さん。
私は今恥ずかしい思いでいっぱいです。
そういうおもてなしをされていた照子さんをずっとそばで見ていたのに気付かなかったなんて。
奈緒子さん。
照子さんの伊川さまへのおもてなし。
もっと学ばせていただけませんか?しっかりと覚えたいんです。
照子さん。
ほうしてあげてもらえるか?はい。
最後のお勤めのつもりで一生懸命お世話させていただきます。
ありがとう。
(瑠璃子)ふーん。
そういうことだったんですか。
受け入れるおもてなしか。
(幸)おもてなしにも色々あるんだね。
ただ一歩先を読むだけじゃないんだ。
うん。
自分なりのおもてなしを頑張りたいと思ってたけどそうじゃなくお客さま一人一人に合ったおもてなしをすることが大切なんだって。
そんな分かりきったことが実は分かってなかった。
今回のことで初めて気付かされたんだもの。
私も奈緒子さんよりもずっと照子さんの近くにいたのにその違いに気付いていませんでした。
大女将がおっしゃってた。
日なたのおもてなしと日陰のおもてなし。
(幸)日なたのおもてなしと日陰のおもてなし?照子さんのおもてなしは日陰のおもてなし。
目立たないけれど一番大事な縁の下のおもてなしよ。
(幸)ふーん。
何となくだけど分かるような気がする。
両方とも大事だけどきっとその両方が揃って初めて一人前なのかもしれない。
そうかもしれませんね。
でもさすが大女将よ。
ちゃんと気付いてたのよね。
私の何が足りないか。
やっぱりすごいわね。
あっ。
奈緒子さん。
おばあちゃんのこと褒めてる。
大女将としては心底尊敬してるのよ。
目指せ大女将なんだから。
でも姑としてはそれはまた別。
(辰夫)奈緒子さんも照子さんがおらんようになる前に気付いてよかったやないか。
はい。
大事なことやさかい。
うん。
ほんでも自分で気付くやて。
照子さんのおもてなしは人によってはどこが違うかさえ分かりませんさかい。
うん。
ほれを自分で気付くやて。
フフフ。
やっぱり奈緒子さんはなかなか大したもんや。
褒めとるな。
はい。
このかぐらやを継ぐ女将としては心底頼もしいと思うとります。
うん。
ほんでも嫁としてはほれはまた別。
ありがとう。
(照子)ゆうべ娘から電話がありました。
ああ。
(照子)大女将にお目にかかれてホントに喜んどりました。
ご家族の皆さんにもよろしゅう伝えてほしいと。
(辰夫)ああ。
ほうか。
無事に東京に着いたんやったらよかった。
(照子)はい。
私もゆかりさんにお会いしたかったです。
お孫さんの結衣ちゃんにも。
ありがとうございます。
今度また来たときにでも会うてやってください。
あっ。
それで伊川さまのお召し物とおむすびは?
(照子)あっ。
ここに持ってきております。
あっ。
すいません。
ありがとうございます。
あれ?アイロンは?
(照子)普段のお服は手でたたいてから干してしわをのばすくらいでいいんです。
(辰夫)うん。
はあ。
それでおむすびの中は何を?コンカイワシやろ?はい。
ようご存じで。
(辰夫)哲と健太が以前ほれを食べさせてもろうたと言うとった。
おいしかったと言うとったよ。
(照子)はい。
コンカイワシってうちにもあるイワシのぬか漬け?ほうや。
この辺りの家やったらどこにでもあるあのイワシや。
へえー。
(瑠璃子)これですね。
ああ。
ほうや。
これを?
(照子)はい。
(照子)どうぞ。
いつものです。
(伊川)コンカイワシか?
(照子)はい。
ほうです。
これは普通にうまい。
(照子)はい。
あっ。
いってらっしゃいませ。
(照子)いってらっしゃいませ。
(照子)このお部屋は伊川さまの頭の中なんです。
どこにどんなスケッチがあるんか。
ほれとどれを組み合わせて絵にしようかといっつも考えておられるんやないかと。
はい。
ほやさかい少しでも動かすことは自分の頭の中をいじられたようなお気持ちになるはずです。
何も特別なことはしようとは思わんこと。
ほのままで普通がいいんです。
普通が?はい。
うーん。
おいしい。
何か懐かしい味わいです。
子供のころよく食べたような。
家庭的なおむすびですさかい。
うちでもようコンカイワシで握ってました。
夫がこのおむすびが好きで船の上でいっつも食べとりましたさかい。
照子さんのご主人は能登で漁師さんをされてたんですよね?ええ。
ほの夫が亡くなって娘を夫の姉夫婦に預けてこっちに働きに出てきたんです。
ほれでこのかぐらやで働き始めてしばらくしたころ伊川さまがお客さまとしておみえになったんです。
伊川さまは絵を描き始めると周りが何も見えんようになるお方でお昼を食べるのもお忘れになるんです。
ほやからおむすびをと。
そうだったんですね。
コンカイワシなら手近にあったし。
ほれに私にはおむすびの具はこれしか思い浮かばんかったいうのもあります。
そういうどこにでもある普通の感じがいいんでしょうね。
改まったものではなく。
服の洗濯もアイロンをかけるのではなく毎日の普通の洗濯のように。
翔太坊ちゃまもほうでした。
サッカーの試合の日やからとユニホームを奇麗に洗うてアイロンかけてお渡ししたらこれじゃ普段の調子が出んいうて自分で汚されます。
ほんなもんです。
なるほどねぇ。
伊川さまが描かれる風景の絵はいいなと思います。
どこにでもありそうな自然や町なかの景色を描かれとって。
ああいう絵をお描きになるお方です。
何も特別なことはせん方がいいと思うたんです。
絵からそこまでお客さまのことが分かるなんて。
いや。
分かるというより長年の勘みたいなもんです。
ほれに私は大女将や奈緒子さんみたいに一歩先を読むような気ぃが利かんので。
じっくりお客さまを見て今何を思われとるのか考える癖がついたんです。
ほやさかい何もお話しにならずとも伊川さまの思うてらっしゃることが何とのう分かったんかもしれません。
照子さん。
どうして今までそういう話をしてくれなかったんですか?あっ。
ほんな。
するほどのことでもありません。
当たり前のことですさかい。
そんなことありません。
私は今日今のお話が聞けて本当によかったと思ってます。
奈緒子さん。
はい。
昨日の大女将のお言葉ホントにうれしかったです。
私のことを陰になって支えてきてくれた。
ほう言うてくださって。
ほれに奈緒子さんの言葉もホントにうれしかったです。
私のおもてなしを学びたいと言うてくれたこと。
照子さん。
私がこのかぐらやで長年仲居と…。
仲居としてやってきたことは無駄やなかった。
もう悔いがなくここを出ていけます。
奈緒子さん。
今は心から思うとります。
奈緒子さんのような人がこのかぐらやのお嫁さんにきてくれてホントによかったて。
私も何よりもうれしいです。
照子さんにそう言っていただけることが。
私も照子さんを見習ってこのかぐらやと大女将のことお守りするために精いっぱい務めていきますから。
お願いしますね。
お願いします。
はい。
最後の最後に仲良うああして。
でも奈緒子さんと照子さんはもうずっと前から気心は知れとります。
初めてお互いの思いを口にしたんや。
ほやな。
うん。
別れを前にしてしか言われん本音もあるさかい。
(照子)はい。
食べましょう。
はい。
あっ。
ぐずぐず。
・
(俊平)あっ。
伊川さま。
おかえりなさいませ。
(増岡)おかえりなさいませ…。
(俊平)あっ。
(増岡)あっ。
(俊平)ハァー。
(俊平)拭けばいいことだ。
あんな有名な絵描きの方だ。
足跡の一つや二つ拭いてあげないとな。
(増岡)ボンチ。
あっ。
奈緒子さん。
先ほど伊川さまお戻りになりました。
えっ?お早いですね。
まだお昼を過ぎたばかりなのに。
(照子)ほうですね。
(増岡)何か急いでお部屋の方に。
新しい風景画のアイデアでも浮かばれたんじゃないだろうか?天才というのは急にひらめくらしいからな。
うん。
えっ?
(増岡)あっ。
実は伊川さまは…。
・
(男性)ごめんください。
あっ。
はい。
何か?
(男性)もしやここに有名な画伯がお泊まりじゃないですか?はっ?
(照子)画伯?
(男性)ええ。
(俊平)はい。
伊川正画伯ならうちにお泊まりです。
(男性)ああ。
伊川正画伯って?日本で風景画を描かしたら右に出るものはないといわれてるあの伊川正画伯ですよ。
そ…そんなすごい絵描きさんだったの?
(俊平)はい。
今松の間でお休みになってます。
(男性)私たちその伊川画伯を捜していたんです。
先日のパリでの個展も大成功に収められて帰国されたとき一度お会いできたのですがその後行方が知れなくて。
(男性)そしたら金沢で見掛けたという知らせがあって。
(男性)私たちに気付くと一目散に逃げられてしまって。
あっ。
ですが伊川さまに何のご用で?絵を売っていただきたいんです。
あっ。
私たち東京で画廊を経営していまして。
ほうですが一目散に逃げられたということは伊川さまはお会いしたくないということでは?
(男性)いや。
ここで逃したら今度はいつつかまえることができるか分からないんです。
松の間ですね。
お邪魔しますよ。
ちょっと待ってください。
キャー!
(俊平)あー。
お客さまちょっと。
勝手をされては。
(増岡)お待ちください。
(男性)どいてください。
(照子)うちにお泊まりのお客さまです!勝手をすることは断じて許しません!2014/02/26(水) 13:30〜14:00
関西テレビ1
花嫁のれん #38[字][デ]【仲直り 出演:羽田美智子 野際陽子】
照子(烏丸せつこ)の代わりに奈緒子(羽田美智子)が担当になった風変りな客は、なかなか心を開こうとしない。自信喪失する奈緒子だが志乃(野際陽子)にはある思惑が…。
詳細情報
番組内容
奈緒子(羽田美智子)が、どれだけ懸命にもてなしても、意思の疎通が図れなかった伊川(増本庄一郎)に対し、照子(烏丸せつこ)は淡々とした態度で対応する。するとそれが自然かのように、伊川も居心地の良さそうな表情を見せる。
照子と伊川のやりとりを見て、奈緒子は自分がいかに伊川に対し、でしゃばっていたかに気づく。
番組内容2
そんな奈緒子に対し志乃(野際陽子)は、おもてなしには二つの種類、日向のおもてなしと日陰のおもてなしがあると告げる。
日陰のおもてなしこそ“究極のおもてなし”だと教えられた奈緒子は、照子の仕事ぶりから、日陰のおもてなしの極意を学ぼうとする。
出演者
神楽奈緒子:羽田美智子
神楽志乃:野際陽子
松本咲子:田中こなつ
柿沼俊平:鈴之助
藤沢瑠璃子:里久鳴祐果
神楽翔太:草川拓弥
神楽 幸:木村真那月
・
神楽宗佑:津田寛治
谷本照子:烏丸せつこ
神楽辰夫:山本 圭 ほか
スタッフ
原作・脚本:小松江里子
演出:村田忍
プロデュース:市野直親(東海テレビ)
伊藤一尋(テレパック)
沼田通嗣(テレパック)
東田陽介(テレパック)
音楽:富貴晴美
主題歌:Do As Infinity「風花便り」(avex trax)
エンディングテーマ:SOLIDEMO「Next to you」(avex trax)
制作著作:テレパック
制作:東海テレビ
ご案内
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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