目撃!日本列島「“きざし”を見逃さない〜薬剤師たちの挑戦〜」 2014.03.12

私たちの暮らしを支える薬局。
その数およそ5万5,000。
毎年増え続けています。
医師から処方された薬を正確に調合し手渡す薬剤師。
今新潟ではその薬剤師たちが薬を渡すだけではなく患者の声に徹底して耳を傾けようとしています。
目指すのは…新潟市の調査で処方薬が自殺の手段となっている実態が明らかになってきました。
(畠山)少しほかのお薬の置かれてる様子も見させて頂きたいのですが…。
時には患者の自宅にまで立ち入り薬をため込んでいないか入念にチェック。
水際で自殺の芽を摘み取ります。
動く気になれないんです。
悩みを抱える患者に寄り添い解決の糸口を探る試みも始まりました。
「自殺を食い止めたい」。
模索を始めた薬剤師たちを見つめます。
薬剤師が自殺の防止に乗り出した新潟。
県内およそ100の店舗で取り組みが行われています。
その一つ新潟市内の薬局です。
おはようございます。
こちらへどうぞ。
ありがとうございます。
小さな子どもからお年寄りまで対応する患者は一日およそ70人。
飲み薬はもうやめられました?どうものむとねむくみがするんですよね。
いろいろ薬替えて頂いてるけど。
窓口では薬の種類や量を確認しながらのみ方副作用などを丁寧に聞き出します。
ありがとうございます。
患者が帰るとすぐさまパソコンへ。
表情やしぐさ声色など患者にふだんと違う様子がないか細かくチェックされていました。
見極めているのは自殺につながるサインはないか。
いち早く異変をキャッチし薬剤師全員で自殺防止に向け対処していく事がねらいです。
この薬局で薬剤師たちを指揮するのが社長の向井勉さんです。
知人を自殺で亡くした経験から4年前全国に先駆けて自殺防止のシステムを薬局に取り入れました。
2年後決意は更に強いものとなりました。
新潟市がまとめた自殺未遂者の実態調査。
およそ半数が薬局などで処方された薬を使い自殺を試みていた事が明らかになったのです。
なぜ処方薬が用いられるのか。
自殺を試みた新潟市内の女性です。
うつに悩み一度に130錠の薬をのんだ女性。
睡眠薬など1,000錠以上をため込みました。
薬が命を奪う道具にもなるという現実。
向井さんが力を入れるのが薬をため込ませない事です。
患者と接する際心掛けている事があります。
お掛けになってお待ち下さい。
薬のため込みがないか徹底的に確認をしていきます。
なくなりました?よかったですね。
終業間際突然畠山さんが出かける支度を始めました。
「薬が余っている」とこの日窓口を訪れた男性が漏らしたといいます。
記録を確認すると男性は複数の医院から薬を受け取っている事が分かりました。
自殺のために薬がため込まれていないか。
直接確認しようと畠山さんは男性の自宅を訪ねました。
お世話さまです。
失礼致します。
突然すみません。
お休みのところ。
男性に「薬の保管状況を見せてほしい」と切り出します。
あ〜なるほど…。
失礼します。
ごめんください。
ありがとうございました。
家から出てきた畠山さん。
両手いっぱいの袋を抱えていました。
薬の管理が煩わしかったと話した男性。
2,000錠近い薬をため込んでいました。
余った薬は時に自宅を訪ねて引き取るよう指示している向井さん。
ご自宅までお伺いしてこの分お預かりしてきました。
すごい量だね。
これはずっとため込んで?薬の多くは自殺に用いる危険が薄いものでした。
薬代を負担した患者にとっては持ち出しとなります。
しかし確実に自殺の芽を摘み取るには踏み込む事も重要だと向井さんは考えています。
薬剤師が自ら自殺を防ぐ。
向井さんの呼びかけで県内の薬剤師を対象とした講習会も定期的に開かれています。
学ぶのは徹底して窓口で観察を行い自殺につながるきざしに目を凝らす事。
これまで150人以上が受講してきました。
悩みの原因自殺につながる要素を見つけ出すため日常にも踏み込んでいきます。
更に薬剤師だけで抱え込まないよう解決できる専門機関へのつなげ方も身につけます。
これまで12人の患者から自殺のきざしを見つけ出した向井さん。
悩みに寄り添って初めて自殺は防げるという信念があります。
この取り組みを進める中で分かってきたのは生活に悩みを抱えながらも誰にも打ち明けられず症状を悪化させるという現実でした。
その声に薬剤師が気付き手を携える事で患者の多くが自殺の危機を免れたのです。
今紙に書いてあげるから…患者と向き合う事で救える命がある。
新潟の薬剤師たちはその事を実感し始めています。
薬剤師がどこまで関わるべきなのか今模索を続けている人がいます。
向井さんの薬局で店長を務める…すみません遅くなりまして。
こんにちは。
お預かりします。
お掛けになってお待ち下さい。
毎月処方薬をもらいに来る60代の女性です。
初めは抗うつ剤が効かないと相談に来た女性。
表情が暗いと感じ思い切って悩みはないか声をかけました。
女性は仕事をやめ唯一の話し相手だった娘が結婚した事で孤独を深めていると告白。
その後徐々に胸の内を話すようになりました。
佐藤さんは薬局の緊急連絡先を教え不安を感じた時にはいつでも話を聞くと伝えました。
程なく女性は自殺したいと打ち明けました。
聞き取りを続けると医師への不信感を口にしました。
「出せる薬はない」と言われパソコン画面ばかり見て目を合わせてくれないといいます。
一向に治療が進まないと不安を抱えている女性。
佐藤さんは薬剤師の立場からどこまで関わればよいのか悩んでいました。
佐藤さんは以前にも自殺を口にする患者と向き合った事があります。
支援を続ける中で失業が原因だと分かりましたがそれ以上関わりを持つ事はありませんでした。
2か月後男性は命を絶ちました。
今自分にできる事は何か。
仲間の情報を基に訪ねたのは新潟市の自殺対策に当たる部署。
悩みの解決策はないか尋ねました。
つなごうっていう話であったんですがそこの部分をちょっと…できればつなげていきたいと思っている最中ではあります。
それは知らなかったです。
医療の見直しについて相談できる窓口を紹介された佐藤さん。
この窓口につなぎ女性の悩みを解消するきっかけにしたいと考えました。
じゃあすいません。
今日はよろしくお願いします。
こちらこそ。
その後いかがです?女性は気分が落ち込んだ状態でした。
外出すらままならず大好きだった歌の教室にも通えなくなったと言います。
それがこちらなんですけど…。
今空いてる所ってありますか?佐藤さんはその場で紹介された窓口に連絡を取りました。
今ちょっと代わりますね。
少々お待ち下さい。
直接ご本人様から。
そうですかはい。
もしもし。
木曜日の9時からお昼まで。
あ〜いやよろしいです。
はい。
早速予約した女性。
今の病院で不満に感じている事を相談しに行くと佐藤さんに約束しました。
自殺の防止に取り組む向井さん。
より多くの薬剤師に広げるために協力してくれる薬局を全国で探しています。
(向井)おはようございます。
この日訪ねたのは全国に200近くの店舗を構える大手薬局の本社です。
「自殺のきざしに気付き解決策へつなぐ」。
この仕組みを取り入れる事ができないか訴えました。
担当者から上がったのは対応した薬剤師が精神的負担を背負う事への不安の声でした。
必要性を訴え続けた向井さん。
この薬局では導入に向け検討を始める事になりました。
自殺をほのめかした女性を支援してきた佐藤さんです。
女性からうれしい知らせが届いたと言います。
窓口での相談を基に新しい医療機関に切り替え外出できるまでに回復。
趣味だった歌の教室に再び通い始めたといいます。
死にたいなって思う人がああ生きていていいんだ生きているのも悪くないと思ってもらえるだけでそれはすごくいいですよね。
一人の命を救おうとかそういう大それたものじゃないですけどまずはそういうところからですよね。
(佐藤)おはようございます。
お預かりしますね。
お掛けになってお待ち下さい。
今日も患者と向き合う薬局。
その数5万5,000。
初めに入ってきた時元気なかったですよ。
どうしたんですか?「きざしに目を凝らし命を守りたい」。
薬剤師たちの模索が続いています。
2014/03/12(水) 11:05〜11:29
NHK総合1・神戸
目撃!日本列島「“きざし”を見逃さない〜薬剤師たちの挑戦〜」[字]

薬局で渡される処方薬。患者の中に自殺を試みるために用いる人が多くいることが分かってきた。新潟の薬剤師たちが始めた、命を救おうとする新しい試みを追う。

詳細情報
番組内容
年間3万人近くが自ら命を絶つ日本。自殺を試みる手段の1つとして、実は薬局で渡される処方薬が多く用いられていることが分かってきた。新潟市の薬剤師たちは、薬が誤って使われることがないように薬局の窓口で患者からのわずかなサインに耳を傾け、時には自宅にも乗り込んで残薬をチェックする。そして、患者からの相談に応じて専門機関へとつなぐ役割も果たす。1人でも多くの命を救いたいと奮闘する薬剤師たちの姿を追う。
出演者
【語り】中越典子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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