くらし☆解説「震災3年 伝統芸能の復活が住民を結ぶ」 2014.03.12

生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
生放送でお送りしています。
きょうは、震災3年伝統芸能の復活が住民を結ぶです。
担当は菊地夏也解説委員です。
東日本大震災のあと被災地の伝統芸能というのはどういう状況なんでしょうか。
きのうで発生から3年たった東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故では被災地の人々の暮らしと結びついてきた伝統的な民俗芸能や、祭りも大きな被害や影響を受けました。
そして復活の努力が続いています。
映像をご覧ください。
3日前、3月9日に福島市内の仮設住宅で披露された田植踊りです。
福島県浪江町の請戸地区に、およそ300年前から受け継がれてきました。
皆さん手拍子していますね。
農作物が取れない凶作が続いたときに踊ったところ豊作になったと伝えられています。
子どもたちが踊るんですね。
こうした田植踊りは、冬の寒さが厳しい東北地方に数多く伝えられてきました。
そのほかにも鹿のかぶりものの切り絵ですが鹿のかぶりものをして踊る鹿
(しし)踊り獅子舞ならぬ虎舞
(とらまい)など震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島の沿岸部は民俗芸能や祭りなどの宝庫でした。
震災前には、これらの地域で分かっているだけで1480件もあったといわれていますが震災後に復活したのは一部だけで被害実態の把握も十分に行われていません。
民族芸能の数が分かっているだけで1480件もあるんですね。
震災から3年たつ中、復活した伝統芸能は人々を結びつけたり励ましたりする力を持っています。
先ほどの福島県浪江町請戸地区の田植踊りの例を見ながらお伝えします。
まず田植踊りが伝わる浪江町の請戸地区どの辺りなんでしょうか。
福島県の東部浜通りにある浪江町。
田植踊りを伝えてきた請戸地区は海に面しています。
震災で浪江町では151人が亡くなり、今も33人の行方が分かっていませんがその大半が津波で壊滅的な被害を受けた請戸地区の方々です。
また請戸地区は福島第一原発から北側におよそ6kmの近さです。
浪江町の全町民、およそ2万人は今も町から避難する生活を余儀なくされています。
最近の請戸地区の映像をご覧ください。
私は先月28日浪江町に一時帰宅する方を同行取材した際に請戸地区を訪ねました。
立ち入りが制限されているためがれきや打ち上げられた漁船が今も残されたままです。
奥に見えるのが福島第一原発の排気筒や作業用のクレーンです。
とても震災から3年たったとは思えないような光景でしたね。
震災前の請戸地区の田植踊りというのはどんな感じだったんでしょうか。
震災の5年前に行われた田植踊りの様子です。
請戸地区の田植踊りは毎年2月に行われる地区の祭りの際に子どもたちが家々を回って披露していました。
見るだけで明るくなるような華やかな衣装を着て子どもたちが回っていく。
雰囲気のあるお祭りなんですね。
地方の祭りは過疎化や少子高齢化が進む中で全国的に存続が危ぶまれていまして請戸地区の田植踊りは10数年前にも存続の危機を迎えたことがありました。
踊りを見る人が減り3年か5年に1回にしたらどうかという声もあったということですが祭りに関わる人たちから地区の伝統を守っていきたいと反対意見が出まして、存続されました。
そうした中で起きたのが震災と福島第一原発の事故でした。
さらに大きな危機に直面したというわけですけれども、震災後はどのようにして対応したんでしょうか。
祭りの関係者にも津波の犠牲者が出ましたが田植踊りは、ふるさとと住民たちをつなぐ、かすがいだとして避難先から復活に向けて動き出しました。
津波で流された踊りの衣装は民間からの支援を受けて新調しばらばらに避難している踊り手の子どもたちには連絡先を見つけて調べて、声をかけていったんです。
そして田植踊りは、いち早く復活しました。
震災のよくとしおととし2月に福島市内の仮設住宅で披露された田植踊りです。
ことしも例年どおり2月に行われる予定でしたが大雪のため中止を決めました。
ところが仮設住宅の人たちから見たいという要望が強くあり、先日、浪江町の人たちが暮らす福島市と二本松市にある3か所の仮設住宅で披露されることになったのです。
それだけ求められているわけですね。
皆さんどんなふうにご覧になっていましたか。
ことしはあることが、田植踊りを楽しみにしていた人たちを喜ばせました。
映像があります。
それは2歳の安倍歩花ちゃんが、踊り手として参加したことです。
歩花ちゃんは震災の1か月余りあと、避難先の埼玉県で生まれました。
現在は両親それに一緒に踊り手を務めた4歳上の姉と仙台市で暮らしていますが今回の踊りに加わりたいと駆けつけました。
上手に踊っていますね。
一方、仮設住宅で暮らすお年寄りたちは笑顔を浮かべて踊りを見物し、中には自分の子どものころを思い出して歌を口ずさんだり、手ぶりをする人もいました。
お年寄りの方たちも楽しそうに見ていらっしゃいますね。
とても元気が出ました。
ありがとうございます。
次の世代を担う人材も育ってきています。
この春から高校生になる横山和佳菜さんです。
和佳菜さんは津波で祖父と祖母を亡くし、現在は郡山市で暮らしています。
震災後、田植踊りを伝えていくことの大切さを特に感じるようになったということです。
できれば続けていきたいです。
請戸は家もないし何もないけど唯一これだけが残ったものだからです。
私は田植踊りが披露された仮設住宅に先月にも住民の方たちの聞き取り調査に行っていたのですが、そのときと比べて、特にお年寄りたちの表情が、明るく柔らかくなったのが印象的でした。
それに仮設住宅でこんなに笑顔を見たのは初めてのことでした。
踊りがまた表情を変えたわけですね。
代々伝えられてきた田植踊りが仮設住宅で3回目の冬を越したお年寄りたちを励ます力を持っているということを実感しました。
また踊り手の子どもたちが田植踊りを通して請戸地区のことを大切に思う気持ちを新たにしているということも知りました。
そういう大きな役割を果たしているわけですね。
田植踊りは避難を余儀なくされている人たちを結びつけています。
しかし、その一方でお話を聞いていると見通しの利かない将来に対応していかなければならない厳しさふるさとに帰ることのできない子どもたちふるさとを知らずに育っていく子どもたちに地区の伝統を伝えていく難しさも感じました。
何か支援策はないんでしょうか。
研究者や文化団体などで作る無形文化遺産情報ネットワーク協議会が被災した伝統芸能などの情報収集をして支援に結びつけようとしています。
協議会の連絡先です。
今後、支援が増えるといいですね。
震災、原発事故から3年たつ中田植踊りを見ていると地域の人々を結びつけていくことの大切さ改めて感じました。
菊地夏也解説委員でした。
きのうこの時間に紹介した内容について一部誤りがありました。
NHK放送文化研究所が行った調査の方法について「調査票を郵送して返送してもらう」とお伝えしましたが、正しくは「調査員が調査票をお渡しして回答してもらう」です。
大変、失礼いたしました。
次回のテーマです。
担当は、柳沢伊佐男解説委員です。
2014/03/12(水) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「震災3年 伝統芸能の復活が住民を結ぶ」[字]

NHK解説委員…菊地夏也,【司会】岩渕梢

詳細情報
出演者
【出演】NHK解説委員…菊地夏也,【司会】岩渕梢

ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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