福家警部補の挨拶 #05 2014.02.11

(福家)
1888年フランスの画家ポール・ゴーギャンは当時無名だったフィンセント・ファン・ゴッホに熱望され彼との共同生活を始めた
しかし作風の異なる2人の天才は互いに相いれず関係は悪化
ゴッホは精神を病み自らの耳を切り落とした
一説ではゴッホの耳を切り落としたのはゴーギャンであるともいわれている

(立石)どうも京阪のぼりです。
(内海)京阪くだりです。
(立石)え〜ねっ最近はねあの〜冬ですけども何かもうことしは暖冬いわれてましたけど何かやっぱり冬は寒いですね。
(内海)あ〜「寒い」ってまたあんた株でも失敗しましたか?
(立石)いやその「懐が寒い」の「寒い」じゃない。
こう年いったらねあの冷えはやっぱ体にきますねっていう…。
(内海)なるほど〜。
それはあれちゃいますか?
(浜本)あっ社長。
内海のやつ昨日また営業すっぽかしたみたいやな。
(浜本)すんません。
またお酒飲んでたみたいで。
か〜。
(内海)うちの家に来てみてください。
(立石)お〜行きますよ。
どこにあるんですか?あなたの家は。
何がですか?家ですか?
(立石)はい。
あっうちのね家は自慢やないけどもあの…。
どこですか?あ〜もうそないあんたもったいつけるぐらいやからやっぱ相当いいとこに家があるんでしょうね。
はっ!?
(立石)いや「はっ!?」やないがな。
あんた。
(浜本)ネタが飛んでる。
(内海)わっ私の家はあれですわ。
どこですか?
(内海)あのね窓から見る景色も最高ですよ。
(立石)お〜窓から見る景色。
まっ窓を開けたらザーザーという音がして。
あ〜ザーザーいうぐらいやから何かオーシャンビューか何かですか?遠くにのどかなラクダたち。
はい。
それ砂漠やないかい。
(内海)はい?砂の音がザーザーいうてんねんそれは。
いやそれにね私の住んでる町の名前も暖かい。
お〜どんな名前ですか?んっ?いや町の名前は何ですか?はっ!?いや「はっ!?」やないがな。
(内海)はい?あなたの町の名前は…。
(浜本)何年もやってるネタやのに。
キレも何にもあらへん。
天才内海も過去の人間や。

(拍手)
(男性たち)お疲れさまでした。
(浜本)しっかりしてくださいよ内海さん。
また酔っぱらってるんじゃないでしょうね?うっさいボケ!わしの勝手やろ!あのボケ勝手過ぎるぞホンマ!ご迷惑掛けてすいません社長。
いやいやお前は何にも悪うないねや。
今日はあいつ気分が乗れへんかったみたいで許したってください。
すいません。
優し過ぎるで立石のやつ。
ホント仲いいっすねあの2人。
立石個人には仕事のオファーは幾つも来とるんや。
はい。
(社長)けどどうしても「内海との漫才しかやる気はせん」ちゅうてな。
いや問題は内海さんですよ。
仕事もどんどんなくなってるっていうのに。
(社長)それでも立石は別れようとせえへんねん。
あいつは天才にほれてしもうてんねやろな。
(内海)おうお疲れさん。
(立石)何やねんさっきのは。
あっあれか。
アドリブやアドリブ。
アドリブってな…。
いつもいつも好き勝手なこと言いやがって。
ええかげんにせえよ。
(内海)あ〜怖い顔して。
(立石)内海頼む解散してくれ。
あ〜またその話かい。
ピンでテレビの仕事も来てんねや。
返事も待ってもろてる。
なっ。
それやったらいつもみたいに断ったらええがな。
まあどうしても解散してほしいのやったらあと半年待ってくれや。
「半年」て…この前もおんなじこと言うてたやないか。
そうやったかな?これ以上続けて何の意味があんねん。
目標も何にもない。
仕事がゼロになるだけや。
それやったらそれでええがな。
「死ぬまで漫才師」師匠もそう言うとったやんけ。
なあ立石死ぬまで俺と漫才やろうや。
共倒れになるだけや。
はっ?何や?お前俺を脅してるつもりか?脅す?何のことや。
もうええ。
そない言うんやったらもっと漫才にこだわったらどうや。
そんなスニーカーとかバッジしょうもない物にこだわらんと。
(内海)ファッションやがなファッション。
今の俺ら師匠が見たら何て言うやろな。
「死ぬまで漫才師」言うんやったらもっと漫才頑張らなあかんのちゃうんか?まあ師匠には逆らえんな。
今晩空いてるやろ。
いつものとこ10時な。
(内海)あそこも久しぶりに行くな。
(立石)誰にも言うなよ。
ベテランが必死なって稽古してる思われたら恥ずかしいからな。
分かった分かった。
分かりましたよ相棒。
(内海)でもやね大阪から離れましたよ。
(立石)まあ確かに大阪から離れたよ。
そんな報告はええねん別に。
(内海)あきませんか?
(立石)ローマに行ってみたいんですやっぱりね。
ローマ。
何を言うてんねん君それ。
それはあかんわ。
僕はね言うておくけどねそんなおばあちゃんに興味ないわ。
若い子がええわ。
弾力があるもん。

(走行音)
(内海)はじくもん水を。
(立石)「はじくもん」やあれへん。
(内海)何?
(内海)あれ?また鍵なくしてもうた。
(内海)まだ来てないんかいな。

(立石)何やあの格好。
(内海)ハァハァ…。
おっ…。
わっびっくりした。
何やおったんかいな。
また合鍵なくしてもうてな。
(立石)鍵なくしたときはいつもこっから入ってくるもんな。
(内海)おっおお。
久しぶりにやったら手痛うて。
ちょっと手貸して。
立石?内海お前がおったらな俺はこれ以上前進まれへんねん。
君とはもうやっとれんわ。

(内海の落ちる音)立石…。
(内海のうめき声)
(内海)待て。
(内海のうめき声)
(内海)捨てな…。
最後の最後まで俺にしがみつきやがって。
ほんならな相棒。
(田所)お疲れさまです。
(石松)ご苦労さま。
(石松)天才漫才師か。
死ぬときの格好まで破天荒とはね。
(田所)マスコミも嗅ぎつけてます。
転落事故という発表でよろしいですかね?・
(シャッター音)
(二岡)ちょっと福家さん写真は僕たちが撮りますから。
(福家)ウイスキーにおつまみずいぶん買ってあるのね。
(二岡)お酒好きで有名でしたからねくだり師匠は。
くだり師匠?
(二岡)漫才コンビ京阪のぼり・くだりですよ。
知性派のツッコミ京阪のぼりと天才肌のボケ京阪くだり。
一時期しゃべくり漫才で一世を風靡したベテランコンビです。
詳しいのね二岡君。
(石松)君が知らな過ぎるんですよ福家君。
日本で仕事をする以上日本の芸能界のことも少しは勉強するべきでは?のぼり・くだりの漫才でも見れば君のその無愛想なしゃべり方も少しはましになるのでは?あとはよろしく。
(田所)はい。
(警察官)はい。
(田所)よしご遺体運ぶぞ。
じゃ僕も仕事戻ります。
鑑識結果。
被害者はくだり師匠こと内海珠雄さん49歳。
死亡推定時刻は所見ですけど昨夜の10時ごろ。
財布の中にタクシーのレシートが入っていて降りたのもちょうどそれぐらいかと。
(二岡)遺体を発見したのはチラシ配りのアルバイトです。
これは?
(二岡)ああ。
そのバイトがおととい入れたものですよ。
今日もチラシを入れに来て表の死体に気が付いたんです。
はい。
(二岡)はい。
この鉢植え前にずらしたような跡がある。
(二岡)はっ?ホントだ。
(二岡)えっ?これってまさか…。
はい。

(田所)あ〜ご苦労さまです。

(浜本)マネジャーの浜本です。
(二岡)あっ!相方ののぼり師匠ですよ。
(立石)内海は?
(田所)こちらに。
ご遺体の確認をお願いできますか?
(浜本)内海さん!
(田所)2階のベランダ辺りから転落したものと思われます。
(浜本)ベランダから?
(田所)それと内海さんの所持品の中に玄関の鍵がなかったんですけどね。
まさか内海さん…。
またやったんかこいつ。
(田所)「また」と言いますと?2階の窓の鍵は開いてたでしょ?
(田所)ええ。
(立石)内海のやつずぼらで合鍵ようなくすんです。
そのときは外から上がって2階のベランダから入るんです。
それじゃあゆうべも外から2階に入ろうとして…。
滑って落ちよったんやこのアホ。
やっぱり転落事故だったみたい…。
福家さん?
(二岡)福家さん?すいません。
ちょっとトイレ行ってきていいですか?
(田所)あっどうぞ。

(笑い声)・
(立石)『ローマの休日』やそれ。
ばばあが休みの日にゲートボールしてんねや。

(内海)ばばあだけか。
じじいは?・
(立石)じじいもやるかも分からんけど。
(立石)ちょっと何してんの?あっこれはどうも。
(立石)あんた誰?あっ私…。
あれ?警視庁捜査一課の福家と申します。
あんたも刑事?すいません。
色々いじってるうちに再生してしまいまして。
思わず見入ってしまいました。
こちら非常に面白い漫才ですね。
嘘つけ。
全然笑てなかったやん。
とんでもない。
大爆笑とはこのことです。
これはね僕らが全盛期のころね。
全国漫才大賞取ったときのやつ。
なるほど。
消すんかい。
ところでこの家はお二人の?ん〜まあ僕らの隠れ家みたいなもんですわ。
もともとは僕らの師匠の家やったんです。
「特急こだま・ひかり」ってご存じですか?こちらのお二人が?もう2人はぽっくり逝ってしまいましたけど。
口癖が「死ぬまで漫才師」いうて死ぬ間際までずっと漫才やってはりました。
今でも頭上がりません。
ほな。
偉大な師匠なんですね。
この家は師匠が亡くなる前に僕らにくれたんですよ。
昔はよう2人でここへ来てネタの練習してました。
では最近はあまり。
(立石)ええ。
僕らが最後に来たのもひとつきぐらい前ですかね。
そうですか。
内海さんは何をしにここに来られたんでしょうね。

(立石)さあ。
俺も何も聞いてないしん〜酔ったついでにふらっと来たんじゃないっすか?気付いたんですがあちらに映っていた内海さんの漫才の衣装亡くなったときの格好とまったく同じものです。

(トイレの水を流す音)・
(立石)あ〜!どっかで見たと思たら。
どうして内海さんはあんな格好をしてここに来られたんでしょうか。
僕にも分かりませんよ。
相方はね天才であり変人でした。
何でやねんいうことをあえてやりよるんですよ。
天才の考えてることなんか誰にも理解できません。
そうですか。
だとしても説明のつかないことがあるんですよね。
(立石)ちょっとどういうことですか?あっはい。
何か?いやその説明つかんことって…。
ちゃんとオチまで言うてくださいよ。
オチになるかどうか分からないんですけど…。
玄関にこれがありました。
(立石)チラシ?遺体を発見したチラシ配りのアルバイトが一昨日に入れたものなんです。
はあ。
この玄関の内側には郵便受けがなくこのチラシはそのまま玄関に落ちていたようなんです。
それが何か?この汚れ足跡ではないでしょうか。
昨夜の内海さんを含めここ最近この家には誰も入ってないはずなのになぜかここに誰かの足跡のようなものが。
どうでしょう。
オチになってますでしょうか?悪いけど全然オチてないわ。
それからもう1つ不思議なことがあります。
(立石)ちょっともう1つって何なんですか?こちらですどうぞ。
(浜本)立石さん。
浜本さんの方は?やっぱり覚えがないそうです。
何かあったんですか?実はこちらの植木鉢なんですが下にこれがありました。
はっ?こんなとこに合鍵が?僕も全然知らなくて。
お二人ともご存じなかった。
ということは内海さんがご自分でここに隠されたということですね?なのにどうして内海さんは昨夜この合鍵を使って玄関を開けなかったのでしょうか。
(二岡)失礼します。
懐かしいなあ。
僕もよく見てたなあのぼり・くだりの漫才。
僕ね実は昔お笑いの道を目指したことがあったんですよ。
でも顔のわりにはネタが面白くないとか何とかよく分かんないこと言われて。
福家さんって刑事以外に将来の夢ってあったんですか?報告。
はい。
一応話聞いてきましたけど詳しく調べる必要なんてあるんですか?あの夜内海さんを乗せたタクシーの運転手なんですけど気味悪かったって内海さん。
後部席の方で「午後1時何とか午後4時何とか」ってブツブツ言ってたみたいですよ。
スケジュールの確認?ならメモすりゃいいって話でしょ?玄関の鍵のこととか服装のこととか天才ってのは何考えてんのか分かんないですね。
その運転手さん現場で内海さんを降ろした後すぐに発進したの?あっいえ。
何だか心配になって車の中で見てたらしいですよ。
それでまあ大丈夫だと思って発進したそうです。
どうして大丈夫だと思ったの?えっ?
(社長)内海が死んだのはホンマに残念やった。
けどな立石落ち込んどる場合やないで。
前から言うとるようにお前には仕事の依頼が山のように来とるんや。
実は帝テレの方からお昼の情報番組の司会に立石さんをぜひにという話がありまして。
ああ。
その話はずっと前から言われてて実はお断りしよう思うんですよ。
(社長)何を言うとんねや。
(浜本)これはまたとないお話なんです。
番組も春から始まりますししばらくは喪に服して。
そうや。
落ち着いたら心機一転ばりばり働け。
なっ?分かりました。
内海もそれを望んでると思いますし。
(社長)よっしゃ!これから忙しなるぞ!
(浜本)ですね!何や姉ちゃん。
取材はお断りやで。
あっすいません。
あの取材といえば取材なんですが。
(浜本)あの報告書をまとめるのってそんなにかかるもんなんですか?私の上司は書類に不備があると容赦なく突き返す人でして。
今回のことは特に…あっ開いた。
合鍵や服装のことなど内海さんの行動について説明のつけづらいことが多いんです。
(立石)大変ですね。
僕らの世界やったら一言で説明できますよ。
「なぜなら内海だから」言うて。
そう書きたいところなのですがさすがに。
しゃあない。
お手伝いしましょう。
ありがとうございます。
そういえば立石さんは普段眼鏡を掛けてらっしゃらないんですね。
ああ。
あれは漫才するときにキャラつけるためにね。
ふ〜ん。
キャラづけ…。
(立石)ええ。
あっ。
ところでお二人は内海さんが亡くなった夜それぞれご自宅で1人で過ごされていたんですよね?
(浜本)えっ…ええ。
(立石)警察に言いましたけど。
あっ再度確認なのですがお二人ともあの夜10時ごろにこの家に来られたということはないでしょうか。
はっ?
(立石)どういうこと?もしかしたらですが内海さんはあの夜この家で誰かと会う予定だったのではないかと思いまして。
誰かと?上がって話しましょう。
さあどうぞ。
遠慮なく。
(立石)はい。
お邪魔しま〜す…って俺の家やないかい。
前にチラシの話はしましたよね?ああ。
家に誰かいたってことですか?えっ?それからこちらのこともありまして。
(浜本)何です?あの夜内海さんがここに来る前にコンビニで買っていたものです。
ウイスキーのボトル水柿の種お煎餅あたりめおっとっとサラミチーズなど。
(立石)これが何か?あっはい。
過去の雑誌にあった京阪のぼり・くだりの…あっ特集記事を拝見したのですがお二人について様々なことが書かれてあります。
出身地から好きなスポーツ女性の好みのタイプなど。
こんなんよう見つけてきましたね。
(浜本)フフ。
その中のこちら内海さんの嫌いな食べ物「チーズ類全般」とあります。
(浜本)あっ…そういえば確かに内海さんチーズは駄目でしたね。
どうして嫌いな物をわざわざ買ってきたのだろうかと思いまして。
しかもこの買ってきた品物も1人で食べるにしてはいささか多いような気もします。
あ〜。
もしかしたら誰かと一緒に食べるつもりだったのかもしれません。
(浜本)誰かと?ちなみにこの質問立石さんの方は好きな食べ物「チーズ」とあります。
あえてそう答えたんですよ。
あえて?コンビの答えやから対照的な方がおもろいでしょ。
では内海さんがチーズが嫌いだったかどうかは…。
実際は知りません。
途中で好きになったんかもしれんしあるいは嫌いな物をあえて買っただけかもしれんし。
あえて買った?いやあの人やったらあり得ますよ。
とにかく偏屈でしたから。
天才の行動は僕ら凡人には理解できんのですよ。
気になることはまだあります。
もうみんなおんなじですって。
あの夜内海さんをここまで送ったタクシーの運転手なのですが車内から内海さんが玄関に向かっていくまで見送っていたそうです。
(立石)見送った?内海さんの様子が少し心配だったそうです。
しかし発進しました。
これなら大丈夫だと思って。
(浜本)どうして?内海さんは玄関のチャイムを押したんです。
(浜本)チャイム?それが何や?誰もいないのに玄関のチャイムなんて押しますか?運転手さんもきっと誰かが家の中にいるんだろうそう思って車を発進したんです。
チラシの足跡コンビニの袋の中身そして玄関のチャイム。
それらを考えるとやはり内海さんはあの夜この家で誰かと待ち合わせをしていたのではないかと思うのです。
(浜本)いやですけど…。
ですので再度お伺いしてるんです。
お二人のうちどちらかがあの夜ここを訪れたというようなことはないでしょうか?ない言うてるでしょ。
しかしそうなるとやはり内海さんの行動に説明がつかなくなるんです。
それも言うてるでしょ一言で説明がつくって。
家に誰もおれへんのにあえてチャイムを押す。
1人で食べ切られへんつまみやら嫌いなチーズをあえて買う。
別にそんなん不思議やない。
「なぜなら内海やから」です。
私の上司はその説明では納得しません。
そらお気の毒でした。
もういいでしょ。
もう1つ…もう1つチラシの足跡なのですが鑑識によると革靴の跡のようでして。
不鮮明だったのでメーカーは特定できませんでしたがサイズは26から27くらいだそうです。
えっ?お二人の靴のサイズもその辺りのようですね。
(立石)だから何?普段から革靴を?
(立石)だから何が聞きたいの?誰かがあのチラシを踏んだことは間違いないのです。
そんなんチラシ配りのバイト君か何かが踏んだんちゃうの?バイト君はあの日革靴ではありませんでしたしそもそも靴のサイズが違いました。
それやったら内海が踏んだんかな。
内海さんが?例えばそのチラシももともとは玄関の外に落ちてたかもしれん。
チラシが外に?内海が来て玄関の鍵がないことに気が付くやろ?うろうろしてる間にチラシを踏んで気が付く。
そのチラシを拾うて玄関のポストの中に入れた。
わざわざチラシを拾ってポストの中に?後でじっくり読もう思たんやろな。
アルバイト募集のチラシですよ?興味あったんやろ面白そうなバイトやし。
バイトの中身は女性限定の夜のお仕事です。
別にええがな。
職業選択の自由や。
それ以前に内海さんは男性です。
心は乙女かも分からんで。
よう見たらかわいらしい顔してるがな。
そもそも玄関の外に落ちていたというのならやはりチラシも雨にぬれていたはずなのですがそんな跡はありませんでした。
別にええがな。
チラシなんかどうでもええやろ。
「内海さんがチラシを踏んだ」と言いました。
もうええ。
やめさせてもらうわ。
いえまだオチが…。
オチなんかないねん!お前と漫才なんかする気はないねん。
ボケたかったらここ磨いてこい。
行くぞ。
(浜本)あっ…。
「エジソン級のあれ大発明ですね」「エジソン級の大発明…発明あれへんがな別に」報告書一つにずいぶんと手間取ってるようですね。
確かに漫才でも見て勉強しろとは言いましたが勤務中に見ろなどとは僕は一言も言っていません。
見たのは全て勤務外の時間です。
これは確認のための見直しをしているだけです。
見直し?はい。
まさか全て見たんですか?過去の漫才。
はい。
おかげで勉強になりました。
(立石)「そんな君は車持ってるんですか?」「はっ!?」
(内海)「はっ?」
(立石)「君は車…僕は持ってるけど君は車持っとんのかって…」
(社長)何を調べてんのか知りまへんけども立石は大事な時期なんや。
変な噂とか立てられたら困りまんがな。
いえそんなつもりは。
なっ。
見てみ。
昔はええ時代やったで。
なっ。
あの2人にもずいぶん稼がしてもろたしな。
ですが最近お仕事が激減していたようですね。
原因はな内海や。
いつごろからかな。
仕事の態度も荒れてきてな。
も〜酔うては大事な仕事ほっぽらかすわ好き勝手なことばっかりするようになってな。
それでも立石さんはそれを許してこられた。
おお。
わしは何度もな「解散せえ」言うた。
けどそれを断ったのは誰でもない立石や。
どうして断られたんでしょう?あ〜…そら天才にほれたんやろな。
うん。
まっ「内海以上の相棒はおらへん」ちゅうてな。
まあ仲のええ2人やった。
うん。
ホントに仲が良かったんですか?はっ?過去にお二人がケンカをしたことなどはありませんか?どちらかが一方的にあるいは2人ともが手を出すような大ゲンカを。
(社長)ん〜…ちょっと待ちいやあんた。
例えば殴り合いになるような。
いやけど…別にあれはやな…。
あるんですね?
(男性)おはようございます。
(3人)おはようございます。
(立石)では春からよろしくお願いします。
(プロデューサー)こちらこそ。
今色々大変な時期だとは思いますがこちらもいいお返事が聞けてほっとしてます。
いつまでも落ち込んでる場合やありませんよ。
これからは内海の分までばりばり働かせてもらいます。
(プロデューサー)よろしくお願いします。
(立石)こちらこそ。
あっ立石さん僕もうちょっとお話聞いてきますんで。
(立石)おう。
よろしくお願いします。
お二人の過去の漫才ですが全て拝見させていただきました。
(立石)全部?はい。
勉強させていただきました。
(立石)ふ〜ん。
それで幾つか分かったのですが内海さんはおしゃれにもこだわりがあったようですね。
はっ?あなた何勉強してるんですか?内海さんは漫才のときはいつもスニーカーを履いておられますね。
スーツを着ていても足元はスニーカーです。
何や一年中バッジやスニーカーやファッションや言うてこだわってましたよ。
そもそもどうして内海さんがチラシを踏んだと思ったんです?はっ?「足跡は革靴だった」と私は言いました。
あの夜内海さんはいつものようにスニーカーを履いていたとは思われなかったんですか?現場で内海の死体が運ばれていくときに見たんですよ。
そのとき見たのは上半身だけのはずです。
どうして内海さんが革靴を履いていたことまでご存じなんです?いつ見たんです?見んでも分かったんや。
1回だけ内海が革靴履いて舞台に上がったことがあったんや。
全国漫才大賞のときに。
はい。
こちらです。
確かにこのときは革靴を履いています。
死んだときの格好とおんなじ衣装やったから靴も同じかなと思ったんですよ。
なるほど。
ちょっとええかげんにしてくださいよ。
何を勘繰ってはんのか知りませんけど事故調べるにしてもやり過ぎでしょ。
事故ではないと私は思っています。
やはりあの夜あの家には誰かがいて2階から入ろうとする内海さんを待ち伏せし突き落としたのではないかと。
そんなアホな。
だとしたら犯人はかなり絞られます。
内海さんが鍵がないときに2階の窓から入ることを知ってる人物ということになりますから。
私の知るかぎりではマネジャーの浜本さんとそして立石さんしかいません。
だとしたら浜本しかおれへんな。
内海には散々迷惑掛けられとったしコンビ解散させて俺をピン芸人として売り出したいってずっと言うてたし。
でしたら立石さんも動機は同じなのでは?何で俺が内海殺さなあかんねん。
4月から情報番組の司会を担当されるそうですね。
しかし立石さんがそれを引き受けてしまうと内海さんの仕事は一切なくなります。
内海さんにコンビ解散を反対されればこのチャンスもなくなります。
大きな障害となっていたはずです。
根本的なことを言わしてもらいますけど僕はね誰に「コンビ解散」って言われても反対してきたんですよ?反対せざるを得なかったのでは?お二人の漫才を拝見してもう1つ気付いたことがあります。
ある時期を境にしてお二人の立ち位置が逆になってるんです。
大賞を取ったころまでは立石さんが向かって右で内海さんが左。
ですが最近の漫才は全て立石さんが左で内海さんが右です。
別にええでしょ。
おんなじ立ち位置に飽きただけや。
お二人は過去に一度だけ大ゲンカをしたことがあったそうですね。
殴り合いのケンカに。
まあ原因は忘れたけどね。
そのとき立石さんは内海さんの顔を横から殴りつけたと。
先に手出したのは内海です。
ケンカ両成敗いうて社長からもおとがめはなし。
ところが2人の間では両成敗にはならなかった。
そのときのことが原因で内海さんは左の耳が聞こえなくなったんじゃないですか?この映像もそうです。
(立石)「車持っとんのかって聞いてんねん」「はっ!?」何度も聞き返してるというボケになってますが私には実際に言葉が聞き取れなかったように見えます。
そして右の耳をあなたの方に向けています。
このことがあなたには大きな負い目となった。
だから解散を強く迫れなかったのではないかと。
どのコンビもケンカぐらいはするでしょう。
ですが聴力を失わせるほどの障害を負わせたことは大きなスキャンダルになります。
例えばクリーンなイメージを求める情報番組の司会ならなおさら。
内海さんが生きてるかぎりあなたは一生内海さんに従うしかなかったのではないかと。
フフ。
ネタとしてはおもろいな。
ネタで言ってるつもりはありません。
今度1本漫才書いたらどうや。
私が書くのはネタではなく報告書です。
どうして内海さんは解散に応じてくれなかったんですか?内海さんは仕事もいいかげんになっていたと言われています。
それなら解散して辞めればよかったのにどうして内海さんは…。
知らんがな。
あの夜内海さんはどうして玄関の合鍵を使わなかったのでしょうか?知らん。
内海さんはどうしてあんな衣装を着てこられたのか。
知らん言うてるやろ!それこそあんたが考えろや。
内海さんの考えていたことが私には分かりません。
ですが相棒のあなたなら分かるのではないかと。
あんなやつ相棒ちゃうわ。
何を考えてんのか俺には分からへん。
天才の考えてることなんか俺には分からんのや。
あっ。
「天才の考えていることなど凡人には理解できない」これは関係者の証言?勉強した結果というのがこれですか?もし報告書にこのようなことを書くなら僕は一生はんこを押しませんから。
でしたら別の書類にはんこ頂けますか?はっ?
(二岡)内海さんの遺品の整理ですか?マネジャーさんも忙しいみたいでお願いしたらぜひにって。
身寄りもなかったみたいね内海さん。
(二岡)それにしても天才漫才師がこんな普通のアパートに住んでるなんて意外ですよ。
(二岡)天才の頭の中ってやつですか。
どうぞ。
何だこれ。
(電子音)
(内海)「5日午前10時トロイ演芸場」「5日午前10時トロイ演芸場」
(電子音)
(電子音)
(内海)「京阪くだりで〜す」「『寒い』ってまた株で失敗したん?」何これ。
(内海)「いや君のうちはほら暖房ないから」「暖房やなくて…」
(二岡)何ですか?ドネペジル塩酸。
えっ?
(内海)「これがあなた自慢じゃないけど僕のうちはね窓からの景色も最高でね」「窓開けたらザーザーって音が聞こえてね」「遠くにはのどかに歩くラクダたち」「住んでる町の名前まで暖かい」「カイロ」
(内海)「オウサダハル!」言うてね。
(立石)あと王様の住むねあのバッキンガム宮殿。
(内海)オウさんガムかんだら罰金でっせ!
(立石)昔の王様がつくったアンコールワット。
(内海)アルコールご法度!オウさん試合中酒飲んだらあきませんわ。
終わってからにしましょ。
(立石)万里の長城もええな。
(内海)「バッター退場!」って。
酒飲んだらそらオウさん退場…。
あんたもうええかげんにしいや。
天才の頭の中が少しだけ分かったのでご報告に。
もうええで。
あいつは天才やない。
ただの酔っぱらいや。
いえ内海さんはおそらくここ数カ月お酒を一滴も飲んでいないと思われます。
えっ?解剖の結果内海さんの胃からアルコール類は一滴も検出されませんでした。
いやけど…その日の昼の舞台もあいついつものように酔うてたはずや。
そのときお酒のにおいはしましたか?内海さんのご自宅に行きました。
そこにもお酒はなく代わりにこのようなものが。
(立石)何やそれ。
ドネペジル塩酸。
アルツハイマー病の患者が服用する薬です。
えっ?内海さんはアルツハイマー型の認知症を発症していました。
病院にも通われていたようです。
病気が進行すると記憶の保持期間が短くなり最近のことも思い出せなくなるといいます。
ちょっと待て。
内海さんの様子から見て病状が悪化するのも時間の問題だったはずです。
あと数カ月。
長くても半年。
半年…。
ちょうどお二人の師匠の命日あたりですね。
内海さんの家には幾つもレコーダーがありました。
そこには翌日の予定が吹き込んであったり繰り返し漫才を練習されている音声が残っていました。
何度確認しても仕事の場所や日時を忘れてしまうこともある。
必死に練習しても舞台で記憶が飛んでしまうこともある。
それを内海さんは酔ったせいに見せていたのではないかと。
それでも内海さんはぎりぎりまで漫才師であろうとしたんじゃないでしょうか。
「死ぬまで漫才師」尊敬する師匠と同じように。
だから解散時期を先延ばしにしてきた。
せめてあと半年と!おそらくあの夜内海さんは自分が隠した合鍵の場所も忘れてしまったんでしょう。
それで開いてる2階の窓から入ろうとした。
内海さんが残したメモやレコーダーを全て調べました。
ですがそこにはあなたへの恨み事は一つも残されていませんでした。
嘘や。
そんなわけない。
あいつがおかしなってきたのも全部俺のせいやぞ。
そのこと自体内海さんは忘れてしまっていたのかもしれません。
1つだけどうしても最後まで分からなかったことがあります。
どうして内海さんはあんな衣装を着てこられたのか。
あれは師匠から譲り受けたもんや。
えっ?「死ぬまで漫才師」か。
フッ。
それで?内海の病気が何やねん。
知るか!そんなんで俺が殺したっちゅう証拠になれへんやろ!1つ足りないものがあるんです。
はっ?内海さんは常にレコーダーを持ち歩いてました。
あの夜もタクシーの中でスケジュールを録音していたと思われます。
ですが所持品の中にそのようなものはありませんでした。
だとしたらそのレコーダーはまだこの現場に残っているはずなんです。
落ちる際の衝撃でどこかに飛んでいったのではないかと。
(立石)そんなもんなかったやろ。
あの夜は激しい雨が降りました。
2階の屋根に落ちたレコーダーは雨どいの中に転がり落ち雨と共に排水パイプに流れていった。
ありました。
(二岡)まだ電池も残ってます。
それレコーダーやったんか。
あの夜何があったのかここに録音されてるはずです。
(電子音)
(内海)「おっ…」「わっびっくりした」「何やおったんかいな」「また合鍵なくしてもうてな」
(立石)もうええ。
(電子音)「待て。
捨てな」って言いよったんや。
「待ってくれ。
俺のこと捨てんといてくれ」って言うたと思た。
「これを捨てなければ」と言ったんでしょうね。
(内海のうめき声)
(内海)《捨てな…》でないとあなたが殺したという証拠が残ってしまうから。
何でそんなこと言うたんや。
誰よりも長い間一緒にいたのに結局あなたは最後まで内海さんのことが理解できなかったんですね!内海さんは天才だったわけではありません。
あなたの相棒だったんです。

(二岡)『福家警部補の挨拶』がパソコンや携帯スマホでいつでも見られるんですか?へ〜。
全部チェックしとけ?福家さん僕だって結構忙しいんですよ?ちょっと…。
2014/02/11(火) 21:00〜21:54
関西テレビ1
福家警部補の挨拶 #05[字]

相棒殺し!天才漫才師に何が起こったか!?被害者が最後に発した言葉と服装の意味は?天才は謎だらけ〜檀れい・稲垣吾郎・柄本時生・ほんこん・板尾創路

詳細情報
番組内容
 ベテラン漫才コンビ、京阪のぼり・くだりは、かつてのような人気を失っていた。原因はボケ担当のくだりこと内海珠雄(ほんこん)が“天才”と呼ばれた精彩を欠いたこと。反対に相方の、のぼりこと立石浩二(板尾創路)には、単独仕事の話も来ていた。酔ったまま舞台に上がる内海の傍若無人ぶりに、事務所社長(笑福亭鶴光)やマネジャーの浜本雅志(福田転球)もあきれ果てている。
 ある日、立石は内海にコンビを解散して
番組内容2
欲しいと頼む。だが内海は半年待てと強い口調で答える。立石は何か内海に負い目がある様子で、それ以上解散を迫れない。すると立石は漫才を続けるのならば練習をしようと内海をある場所に誘う。
 その夜、郊外の一軒家で立石は内海を待っていた。そこに内海がやってくる。内海は玄関を開けようとするがカギがない。立石があらかじめかすめ取っていたのだ。仕方なく、内海は塀を伝い木に移って2階のベランダの手すりに飛び移る。
番組内容3
と、そこに立石がいた。立石は手すりから内海を突き落した。すぐさま立石が様子を見に行くと、内海は虫の息。大きな石をつかみ、とどめを刺そうとする立石に内海は「捨てな」と言い残して息を引き取った。
 翌日、内海の死体が見つかり、警察が状況検分。石松和夫警部(稲垣吾郎)らは事故による転落死と見るのだが、福家警部補(檀れい)は玄関内に落ちていたチラシ、そして玄関先の植木鉢の下に隠してあった合鍵に疑問を持つ。
出演者
福家警部補(強行犯第十三係 主任): 檀れい 
石松和夫警部(強行犯第十三係 係長): 稲垣吾郎 
二岡友成巡査(現場鑑識係): 柄本時生 
田所勉警部補(強行犯第十三係 筆頭主任): 中本賢 

立石浩二(京阪のぼり): 板尾創路 
内海珠雄(京阪くだり): ほんこん 
浜本雅志(京阪のぼり・くだりマネジャー): 福田転球 
京阪のぼり・くだり所属事務所社長: 笑福亭鶴光
出演者2
テレビプロデューサー: なだぎ武
スタッフ
【原作】
大倉崇裕(東京創元社/創元推理文庫) 

【脚本】
麻倉圭司 

【企画】
水野綾子 

【編成企画】
清水一幸 

【プロデュース】
貸川聡子 

【演出】
佐藤祐市 

【音楽】
横山克 

【制作】
フジテレビ 

【制作著作】
共同テレビ

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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