この事が医療の進歩とともに可能になってきました。
大学の事務員として働くこの女性は唾液や涙が出にくくなる難病を患っています。
そのため定期的に水を飲み目薬をさす必要がありますが働く事に何ら問題はありません。
採用が決まるまで8か月。
毎週のようにハローワークへ通いました。
ところが難病だと明かすと面接すら受けられない企業がいくつもあったと言います。
まあ難病っていう言葉が多分イメージが膨らむじゃないですか。
ちょっとそういう方の…みたいなニュアンスがあってハローワークの方も「ちょっと無理みたいだね」みたいな…。
難病のある人たちの相談窓口にも最近就職に関する問い合わせが増えています。
働きたいけど仕事が見つからないといった切実な声です。
病気があるイコール働けない。
難病イコール寝たきりと思われがちで。
このセンターでは全国に先駆け難病のある人と企業を結び付ける独自の就労支援を行っています。
線が…ちょっと何も分からなかったらこのままこう行きそうかなと。
家にいても何か仕事したいってずっと思いますし。
どうすれば難病のある人が社会の中で生き生きと働く事ができるのか。
今日は「就労」について考えます。
「シリーズ難病と向き合う」2日目の今日は難病のある人の「働く」というテーマについて考えていきます。
いつ誰がなるのか分かりません。
しかし今医療の進歩によって適切な治療を続ければ日常生活を送る事ができる人が増えています。
それに伴って難病があっても働きたいと考える人が増えています。
厚生労働省の調査によりますと難病のある人の7割の人が「働きたい」と答えているんですね。
しかし難病がありながら仕事を続けるのは簡単な事ではありません。
こちらご覧下さい。
難病になった事でそれまでの仕事にどのような影響が出たかを調べたものです。
影響が出た人のうち7割の人が自主退職をしたりもしくは解雇されたりしているという調査結果でした。
難病のある人が社会で働こうとした時にどんな困難があるのかまずこちらからご覧下さい。
難病患者とその家族の相談の場としてこうしたセンターは各都道府県に設置されています。
はい難病相談・支援センター三原でございます。
10年以上難病の人の相談に乗ってきました。
三原さんが今深刻な問題と考えているのが仕事に関する相談の急増です。
相談のおよそ3割が就労に関する悩みです。
家族を抱え仕事に就けず生活が苦しいという切実な声。
職場の理解がないため退職せざるをえなくなったというケースも目立つと言います。
こちらが以前営業職で着用してたスーツですね。
センターに相談を寄せた一人…去年11月に退職するまで営業マンとして全国各地を飛び回っていました。
営業職っていう仕事柄毎日当然ネクタイは替えますし。
まあ今見るとよく頑張ってたなっていうのは思い出されますね。
中島さんは3年前心臓が肥大していく難病特発性拡張型心筋症と診断されました。
それでも毎日8種類もの薬をのむ事で症状を抑え働き続けてきました。
しかし処方されている薬の一つが利尿剤のため仕事中に何度もトイレに行かざるをえなくなりました。
まあ別に「トイレに行かせて下さい」って言えば「もう全然行っていいですよ」っていう具合には当然ながら言って頂けるんですけどもまあ一回中断した話をまた再度始めて…。
でそれこそ15分なり20分したらまたトイレに行かせてくれってなるとなかなか話が進まないというんですかね。
中島さんは次第に取引先との商談や大事な会議がある時利尿剤をのまなくなっていきました。
その結果全身のむくみがひどくなり症状が悪化。
1か月入院を余儀なくされました。
当時医師から出された診断書です。
利尿剤による治療が必要でトイレ休憩への配慮を求める内容でした。
中島さんは退院後どうにか会社に残れないかとトイレに行きやすい事務職への配置転換を訴えました。
しかし事務職に空きはなく今後増やす予定もないと断られ退職せざるをえなくなりました。
現在妻と小学4年生の娘と暮らしている中島さん。
来年4月まで受け取れる傷病手当と妻のパート代を頼りに暮らしをつないでいます。
ジャンケンポイ。
最悪。
娘の将来を考えると一日でも早い再就職は切実な願いです。
やはり一番は家族のためですかね。
早く安定した仕事に就いて。
娘が二十歳になるまでは平凡ぐらいでいいんですけども人並みの生活が送れるように育ててあげたいし。
中島さんは今事務職としての採用を目指してパソコンのスキルを上げようと日々勉強されているそうです。
ではスタジオのゲストをご紹介します。
昨日に引き続き作家であり難病当事者でもある大野更紗さんです。
感染症を防ぐためにマスクをつけて日々生活していらっしゃいます。
よろしくお願いします。
よろしくお願い致します。
そして難病のある人の就労の実態に詳しい春名由一郎さんです。
国の難病対策委員として政策への提言をされていらっしゃいます。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
まずは大野さん難病患者の皆さんの就労の実態ですけれどどうご覧になってますか?そうですね。
ま難病とひと言で言っても疾患はホントにさまざまですし一人一人によっても症状の状態もさまざまなんですけれども…。
働ける人がだんだん増えてきたというお話が冒頭にありましたけれども難病という言葉の印象だけで企業の方が過剰に反応してしまったりとか。
それで患者さんたちが就学や就労する時に自分が疾患を持っている事を隠してしまうケースというのがとても多いんですね。
そして隠してしまっているという事もあるので周囲に病気を伝えていないという自責の念もあって周りにサポートを求める事というのもどんどん難しくなっていく。
それで結果として病態が無理をする事で悪化してしまうというケースがすごく多いんです。
そして孤立してしまうという悪循環になってしまうという事なんでしょうね。
春名さん社会的な支援策というのは何かないんでしょうか?まず障害の程度が重度な障害認定のあるような難病患者さんですと障害者雇用を義務づける障害者雇用率制度というのがあります。
ただ最近は難病の方の医療が進歩してきたので今までなら進行して重い障害になってたような人も治療によって症状が抑えられるようになってきたと。
ただ完全にまだ病気が治せる訳じゃないのでそういう病気を抱えながら生活するという状況で障害者の制度も使えないという事でかえって苦労している方がいらっしゃるという状況ですね。
そのはざまの中で…。
(春名)はざまですね。
また治療と仕事の両立という事の…そういう課題がホントに新しい課題なのでまだ社会的な支援も整ってないというところがあります。
という事はまだ支援がないという事…。
ない事はないんですが多くのところはやっぱり難病患者さんの就労支援というと「できません」とか「病気が治ってから就労支援しましょう」とかそういう状況になってしまう。
まだまだ理解もできてない。
知識がまだまだ十分でないという事なんですね。
やっぱりまだ新しい課題ですね。
この辺り大野さんどうご覧になってますか?先ほど谷間の存在だっていう事もあったんですけれどもせっかく働きたいあるいは少しの配慮があれば働けるという状態にあっても支援が不足しているために支援を受けられないために諦めざるをえないという患者さんがすごくたくさんいらっしゃるんですよね。
それはホントにもったいない事だと思います。
諦めてしまうという事ですね。
こうした現状を受けて国は今年の国会で40年ぶりに難病対策を全面的に見直す法案を提出する予定です。
大きな柱ですがこちらご覧頂きましょう。
これまでも対策では難病の研究…一番上。
そして真ん中医療費制度については取り上げられていました。
で今回新しく就労をはじめとした…今光っています。
社会参加ができるような支援をしていくという方針が示されたんです。
これどのような就労支援が行われるんでしょうか?まず職業生活を含めて病気があっても普通の社会生活ができるように社会的に支えていこうという事で就労支援も治療と仕事が両立できるように…。
ホント今までは支援がなくて患者さんが孤軍奮闘試行錯誤でやってるという状況だったんですけれどもそういうのをもっと社会的に体制で支援していくというふうになっています。
まず患者さんも企業も安心して治療と仕事の両立に取り組めるというためにハローワークの就労支援とそれと難病相談・支援センターを中心とした医療とか生活の支援これをもっと密接に連携させていくと。
それと…また難病があっても無理なく働けるような仕事に就けるようにハローワークなんかの職業相談とか職業紹介もちゃんとやっていくし職場の配慮なんかがちゃんとできるように…こうした国が進めようとしている就労支援ですが一方で佐賀県では全国に先駆けて難病のある人たちが中心となってきめこまやかな就労支援を行い成果を上げています。
どうぞどうぞお掛け下さい。
佐賀県難病相談・支援センターにこの日就職を支援してほしいという人がやって来ました。
所長の三原さんは本人の症状と照らし合わせながらどういった事ならばできるのか丁寧に見極めていきます。
立つのも厳しかよね。
立ってここが痛いので…。
18歳の時に神経に腫瘍が出来る難病と診断されました。
手足のしびれやふらつき難聴といった症状が現れます。
プログラマーをしていましたが症状が悪化し退職せざるをえませんでした。
これを持ってみて。
持って歩ける?持っては歩けます。
歩ける。
あ〜でも何かかなりふらつきがあるね。
そうですね少しあります。
三原さんは就職先を見つける時専門家たちを集めチームで支援を行っています。
人のために役立つようなお仕事をしたいというのが川原田さんの思いに…心の底にあられるようです。
この日参加したのは県内のハローワークや就労支援室など雇用と福祉の専門家たち。
どのような仕事が可能なのか本人の希望や症状を聞き取りながら探っていきます。
定時で帰れるようなところを今後は希望していきたいとかいう気持ちがありますか?短い時間帯からそれから本人の状況を見て長く働ける環境を作っていくというのも方法としてあります。
会議の結果立ち仕事が少ない職場また障害者の採用枠で就職先を探すなどの意見がまとまりました。
これを受けハローワークの担当者から条件を満たす5件の求人が紹介されました。
川原田さんはこの中から希望する仕事を選び就職活動に臨む事になりました。
三原さんは難病の正しい理解を広げる活動にも力を入れています。
この日訪ねたのは地元の老舗文具店。
これまで難病の人を一度も雇用した事はありません。
(三原)難病についてはですねまず普通に動けたりするもんですから手帳に該当しない。
でそういう方々についての就労というのがなかなか厳しい状況がある。
万が一命に関わる事とかもある可能性ももちろんあるんでその辺の対応というのがやっぱり正直企業側としては怖いとこではありますね。
そうですね。
それこそ病気の正しい情報を知っておくというのはすごく大事なんです。
そういうところもこちらにご相談頂ければと思います。
三原さんは企業に対し難病を理解し支援する難病サポーターズクラブへの参加を呼びかけています。
企業側の不安を取り除く事で難病の人が働ける職場を増やす事ができると考えているからです。
(三原)そういう感じで皆さんが付けて頂くような…。
去年6月から始めたこの活動。
これまで56の企業が参加。
難病のある人11人が働いています。
三原さんが就労支援に力を注ぐのはひと事ではないという思いがあるからです。
実は私日が駄目なんですよ。
ちょっと日光過敏症というのがあって日に当たるとすっごい疲れてしまうんですよね。
実は三原さんも全身性エリテマトーデスという難病を抱えています。
常にけん怠感がありすぐに発熱してしまいます。
病気が分かったのは2人目の子どもを出産した直後の事。
寝たきりの生活が長く続き子育てや家事がほとんどできませんでした。
その時感じた無力感や自己嫌悪感から働く事の大切さを実感したと言います。
働ける自分というのはホントに今まで寝たきりだったかもしれないけどそういう中で…一生懸命生きる事によっていろんな人たちが元気になっていくために私は生きたいと思ったんです。
働く喜びを自分と同じ悩みを抱えている人たちに実感してもらいたい。
三原さんの活動の原点です。
この日三原さんは川原田さんの職場見学に同行しました。
(三原)おおっ!大丈夫だった今?今大丈夫だった?川原田さんが関心を持ったのはIT企業でのデータ入力をする仕事です。
三原さんは川原田さんの職場での動きを想定しスムーズに作業ができるかチェックしていきます。
データ入力したものをですね出力した場合ですとか例えばファックスで送るとかなりますとあそこにコピー機がありますのであちらまで行ってという形に…。
(三原)あっちに行ってみようか。
フロアの段差や配線の位置。
どういった工夫を行えばこの企業で働いていけるのか丁寧に確認していきます。
線がちょっと…多分何も分からなかったらこのままこう行きそうかなと。
難病のある人が働けないのは社会にとっても大きな損失ではないか。
三原さんの地道な取り組みは続きます。
私はただ川原田さんを側面から支援をするというのが私のスタンスなので。
最終的には川原田さんが決めて川原田さんが前に進む事であって。
まだ若いからこれからだと。
川原田さんの人生もこれからなんで。
頑張るしかないです。
行こう。
大丈夫?ありがとうございます。
その人を見ての就労支援でしたが大野さんどうご覧になりました?難病のある人っていうのはホントに…。
たとえ同じ疾患名が付いていてもですね症状の変動ですとか病態ですとかというのはお一人お一人全く全然違うんですけれどもきめ細かい…個別性がとっても大きくてきめ細かい支援が必要なんですね。
「寄り添う」ってひと言で言うんですけれども三原さんのようなサポーターの在り方を見ていると寄り添った支援っていうのはああいうモデルケースがあると患者としてはもうホントに心強いなと思いますね。
春名さんはサポーターの…VTRにもありましたバッジを付けて…。
難病サポーターです。
付けていらっしゃいますけれども。
どのようにご覧になりました?難病患者さんの就労問題では病気の事や生活の事なんかも非常に複合しているんですね。
でも病院や保健所や就労支援機関行政などが縦割りで結局は患者さんが孤軍奮闘で試行錯誤しているという事が多いんです。
そういう時に先ほどのように支援者側が多職種のチームで支援していけば支援者側も支援ニーズが分かりやすいですしそれぞれの役割なんかも理解しやすくなるんじゃないかと。
いい取り組みだと思います。
しっかり情報共有ができると…。
そして難病患者さんを雇う企業側の配慮のポイントをいくつか挙げてみました。
春名さんこれどんな考え方が大事になってくるんでしょう?難病患者さんの雇用管理がすごく大変だと思われがちなんですけども職場で病人の支援をするというのではなくて…という事で当たり前の事として取り組んで頂ければと思います。
大野さんはどうでしょうか?難病患者さんたちの職場の配慮というのが進んでいくには患者さんの側も自分がどういうニーズがあってどういう配慮が必要かというのはすごくコミュニケーションをとっていかなくてはならないんですけど。
いろんな現場を見ていても自分の事でも思う事は難病患者さんの就労支援のモデルケースがうまくいくとほかの慢性疾患の方とかあるいは高齢の方とかいろんな人にとって働きやすい環境というのが生まれていく可能性があるんじゃないかなと思います。
ちょっとこちらの映像をご覧頂きましょう。
佐賀県内にあるスーパーで働くこちらの難病の男性です。
朝9時に薬をのめる配慮を受けて働いています。
商品の陳列を担当しているんですが丁寧な仕事ぶりで職場で高く評価されているんだそうです。
これはコーヒーの缶を…。
(大野)すごく丁寧ですね。
これは私にはできないです。
こういったところにも気付いて作業しているんですね。
こちらはスタッフ同士で仕事ぶりを評価し合うカードなんですが積極的に仕事をしてくれた事への感謝の言葉が寄せられています。
ありますね「ありがとね。
助かりました」という声が…。
(春名)難病の患者さんへの配慮とか言うと職場の負担になるとか言ってぎすぎすした雰囲気になる事も多いんですけどこうやってホントに当たり前の事としてお互いさまっていう感じで取り組めているというのがすごくいいなと思いますね。
職場全体でこういった男性の働き方を見て見習おうという雰囲気も出来ているそうです。
最後に改めてなんですが難病があっても働きたいという声今増えていますけれども私たちはどう受け止めていったらいいのか。
春名さんからお願いします。
難病だったら無理に働かなくても生活保護だとか働きたいなら作業所でいいんじゃないかというような支援者もあるかと思うんですけどもやはり難病患者さんからすると少しの理解や配慮があれば普通に働けるんだからという事で非常に悔しい思いをしてる方が多いんだと思います。
そういう働く意欲もあるし実際働く事ができる人を切り捨てていくというのはこれから慢性疾患の人も増えていく訳ですからそういう事をやっていては社会としては成り立っていかないと思います。
戦力になる訳ですからね。
社会として全体で考えていかなくてはいけないと。
大野さんはいかがでしょうか?ホントに私自身もそういう経験をしてるんですけども一旦重度化して入院すると社会と切り離されてしまってもう二度と社会に参加できないんじゃないか戻れないんじゃないかというような思いを抱く患者さんたくさんいらっしゃるんですね。
でも今自分はこうして社会に参加している働いている就学している事で自分の生きがいとか生きている実感それはやっぱり今まさしく実感できている。
そういう事がこういう取り組みが今新しい課題ですからどんどん広がっていくといいと思います。
VTRにもありましたけども働くというのは生きるという事につながっていると思うんですよね。
それは誰もが同じだと思います。
寄り添ってみんなで支え合う事ができるかこれからますます大事になってくると思います。
今日はどうもありがとうございました。
2014/02/11(火) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV シリーズ 難病と向き合う 第2回「難病でも 働きたい」[字]
医療の進歩で難病でも働ける人が増えている。しかし、病気に対する周囲の理解が原因で、就職できなかったり、病気の悪化で職を失ってしまう人も。就労支援の最前線を紹介。
詳細情報
番組内容
慢性の経過をたどる「難病」。厚生労働省が把握している56の疾患だけで、およそ78万の患者がいる。近年の医療水準の向上で、多くの難病のある人が、適切な管理をすれば日常生活が可能となっているが、そうした難病への理解は広がっておらず、多くの人が働きたくても働けない状況にある。難病のある人が直面している厳しい就労の現状と、佐賀県で始まった就労支援の活動を紹介する。
出演者
【出演】作家…大野更紗,障害者職業総合センター主任研究員…春名由一郎,【キャスター】山田賢治
ジャンル :
福祉 – その他
福祉 – 高齢者
福祉 – 障害者
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