「皆さんおはようございます。
今朝も寒い朝となりましたがいかがお過ごしですか?気仙沼の7時現在の気温はマイナス2.9℃」。
「晴れている分今朝も冷え込んでいますね。
乾燥注意報も出ています。
空気が乾燥していますので火の取り扱いには十分注意して下さい。
夕方からはまた雪という予報も出ていますので洗濯物は午前中のうちに取り込んでおいた方がよさそうですね」。
(優里)お母さんおはよう。
(真佐子)おはよう優里。
手伝おうが?いいがらいいがら。
さっさど座って食べちゃって。
は〜い。
おはよう!
(行雄)おはよう。
おかあさんほれこいづ。
あら長芋!立派なの出来だごと。
(行雄)とろろにしてけろ。
あっはいはい。
ねえ見だ?何を?お兄ちゃんのあれ。
見でない。
何?新作出来だって。
どれ。
指輪が?
(優里)400ポンドっていぐら?
(行雄)5万円ぐれえでねえが?へえ〜。
んで元気にしてんのね。
(優里)フフフッ何その生存確認!ほかに確認のしようがねえでねえの。
はっぱり帰ってこねえんだがら。
(行雄)しょうがねえべ。
遠いし嫁こだって向こうの人だべし。
それはそうだげど…。
「気仙沼公民館で思い出の…」。
優里。
おかあさんいねえ間に陣痛起ぎでも慌てねえで病院さ連絡すんだよ。
分がってます。
・「いつのことだか」・「思いだしてごらん」・「あんなことこんなことあったでしょう」・・「うれしかったこと」「かわむらゆうたくん」。
・・「おもしろかったこと」・・「いつになっても」・・「わすれない」・・「春のことです」・・「思いだして」「あべちひろちゃん」。
(つつじ)真佐子先生。
・真佐子先生!つつじ先生。
ごめんなさいね作業中に。
卒業アルバム?んだ。
もうあさってだよ卒園式。
そいづは大変だ。
うちは来週。
その事で頼みでえ事があって来たの。
何?オルガンをね貸してもらえねえがなと思って。
オルガン?壊れでしまったのさ。
もしかしておとといの地震で?んだ。
大きがったねあ。
震度4だっけが?あれだけふだんから避難訓練してんのにいざとなったらうろたえてしまって。
私も。
毎日覚悟して来てるもんねやあ。
所長やってるうちは大きいのは来てほしぐねえな。
右に同じ。
(秀雄)けしからん。
共に山砲兵連隊で戦いあの戦争を生き延びた戦友の俺を置いて自分だけさっさと逝きおって…。
(アイ)まだ言ってんですか。
長生きなんかしたってろくな事ねえっちゃ。
俺もさっさど召されでえ。
(アイ)そんな事言わねえで…。
(てる子)あの…すみません。
あのかまぼこ屋さんはまだありますか?かまぼこ屋さん。
細工かまぼこの…。
ああはちまるさん。
ええありますよ。
あ〜よかった!いえね私ねこのお葬式のために久しぶりに気仙沼まで帰ってきたんですよ。
(アイ)あらそうなんですか。
もう長い事横浜に行った娘と暮らしてましてね。
せっかくだから孫に買ってってあげようと思うんですよ。
まあそりゃいいごと。
あれはよそでは珍しいそうですから。
(てる子)あらホント!葬式の場で何を…。
けしからん!んで佑太君また明日ね。
(佑太)うん。
幸子先生好恵先生お疲れさまでした。
みんな来たよ〜!やった!オルガンだ!
(オルガン)
(恵子)ありがとうございました。
みんなホームの園長先生さお礼言って。
(一同)ありがとうございました!どういたしまして!ウフフフッ。
今年はひかりも「おもいでのアルバム」にしたんだね。
んだ。
何だかんだ言って一番グッと来んだよね。
過ぎ去った日々がいとおしくなっちゃってね。
座って。
今お茶っこ入れっから。
ありがとう。
んでも…遠慮しとくから。
何だべやもう仕事終わったんでしょ?今ね娘が帰ってきてんのさ。
あっそうか。
優里ちゃんもうそろそろだっけ?もうね今日産まれるか明日産まれるかってとこで。
えっそれ早ぐ言えっちゃ!ほらとっとと帰って!んでまたね!んでね!・「秋のことです」・「思いだしてごらん」
(小泉)細工かまぼこが出るのはどういう時ですか?
(八田)結婚式に還暦や米寿の祝い誕生日卒業祝あどえ〜…。
(沙織)あどバレンタインデーなんかも忙しいんですよ。
(シャッター音)この人ひどいんですよ。
おとといの地震の時私の事ほったらかしてかまぼこかばってんですから。
おめえは勝手に逃げりゃあいいんだよ。
津波てんでんこだ。
津波てんでんこ?…って何ですか?津波が来たら人の事構ってねえでともかく自分が逃げろって事。
(沙織)気仙沼じゃ大昔からそう言われでるんですよ。
へえ…。
(春奈)美咲先生9さなったよ。
(美咲)ん?
(春奈)9の所に来たらお昼寝終わりでしょ?ホントだ。
教えてくれてありがとう。
(春奈)どういたしまして。
(地鳴りの音)避難するよ!起ぎなさい!ほら起きて!起きて!起きて!
(美咲)自分でジャンパーさ持ってきて。
外さ出るよ!ほらほら!
(警報)起きて!起きて!誰のでもいいがら!ほらほら起きて!
(警報)津波警報だよ!急いで!
(美咲)できた子から外出るよ!・「大津波警報が出されております」。
サンライズです!帽子かぶって!バカ!早ぐ優里ちゃんとこ帰ってあげて!津波てんでんこ。
そう教えてあっから!・「高台へ避難して下さい!」。
6mの津波が来るおそれがあります!すぐに高台もしくは指定の避難所さ避難して下さい!
(島田)津波が来るおそれがあります!
(哲朗)茂男さんそっち大丈夫か!?
(茂男)バカ野郎哲朗!津波てんでんこだ!さっさと行げ!おやじさん!
(警報)
(佐々木)えらい事になっど!早ぐ早ぐ!
(恵子)園児が通ります!道空けてけさい!お願い!はい!いい子だ!偉えこと偉えこと。
(恵子)さくら組17名ゆり組15名たんぽぽ組18名ちゅうりっぷ組10名すみれ組10名異常ありません。
何があっても子供たちを守る事。
いいか?
(一同)はい。
そ〜ら見ろ。
長生きなんかすっからこんな目に。
おとうさん!私は横浜に帰るとこなのよ!横浜に!かまぼこ買ってねえ!あっ!かまぼこ冷蔵庫さ入れてから来りゃよかった!花ちゃ〜ん。
(涼子)貴志!?あっ貴志!
(加奈子)春奈?
(貴志)お母さん!
(加奈子)ああ春奈!
(望)花!花!ああ!真佐子先生花ちゃんの!花ちゃんの!よしよしよしよしよかったね。
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
どこさ行くんですか?津波のおそれがある時は帰さない。
これはひかり保育所の鉄則です!でも上の子が小学校さ…。
うちもばあちゃんが家で心配してますから…。
いけません!んで上の子連れてきますから…。
それもできません!子供置いでがれても困ります!子供と一緒に帰られでも困ります!駄目だ駄目だ!そんなとこで!
(哲朗)津波来っど!
(どよめき)津波おっきいど!10mあるってよ!
(一同)ええっ!?もっと上さ上がれ!…10m!?
(逃げ惑う声)来て!続いて!早く早く!ちょっと!俺ちょっと見てくる!哲朗!おやじさん!
(悲鳴)今の津波の衝撃が!?
(野村)すぐ下の階さまで届いてます!
(どよめき)2階は沈んだ!水が天井まで来た!所長!子供たちを高い所へ!高い所さ!
(逃げ惑う声)行くよ!
(逃げ惑う声)うわ…何?先生保育所が…!早ぐ子供たちを連れて上さ行くべし!
(一同)はい!早く!急いで!真佐子さん!館長さん!鍵開けてけろ!鍵は…1階の事務室です。
(一同)えっ!?子供をお願い!つつじ先生!つつじ先生!1人ずつよこして!お願いします!茂男さん…。
流されちゃったよ。
全部。
何言ってっけ!哲朗来い!いいがら来い!あ〜!危ねえからどきな!ごめんなごめんなごめんな!
(佐々木)そったら事したら中身が噴き出して!
(哲朗)大丈夫大丈夫!何本か残してあっから!
(茂男)開いたど!貴志!
(貴志)お母さん!お母さん!
(佐々木)落ち着いて!ゆっくり!落ち着いて下さい!落ち着いて下さい!ゆっくり!どなたか男の方!この子をおんぶして下さい!んでは俺が!お名前は?…梨緒。
梨緒ちゃん。
大丈夫怖ぐないがらね。
来い!乗っかって!う〜ん…!ゆっくり!気ぃ付けて!
(茂男)おい次!しっかりつかまれよ!しっかりつかまれ!すいませんお願いします!おとうさん上さ行がねえんですか?こんなとこにいたら寒さにやられちまう。
ギリギリまで中にいていざとなったら上ったらええんだ。
早ぐ召されだいなんて言ってたくせに。
あんたここは危ないってよ。
上さ行くべし。
行きたきゃおめえ一人で行けっちゃ。
え?俺はいい。
店も何もかも流されちまって…。
もうどうなったっていい。
あんたが行かないんなら私もここさいっがら。
怖ぐないよ。
大丈夫ですか?はい。
よがったあ…。
・
(優里)もしもし!もしもし和也?よかった…。
みんな無事?ああ…そうか。
うんうちは大丈夫。
でも念のためお父さんと車で外さ避難してんの。
うん…。
うん。
んでそっちも気ぃ付けてね。
和也君と電話つながったのか。
うん。
大船渡もすんごく揺れたけど家族みんな無事だって。
んだが。
あとはおかあさんだな。
ありがとう。
・お母さん無事だって!お母さん公民館さいるって!んだが。
(優里)よがったあ…。
(ラジオ)「宮城県気仙沼市の危機管理局によりますと地震による巨大な津波が…」。
(ラジオ)「7mを超える高さと思われる津波はそのまま市内中心部まで到達。
沿岸部のほとんどが冠水し多くの建造物が水没しているという事です」。
(東北の地震を伝えるニュースの声)
(津波について伝えるニュースの声)
(不通音)
(不通音)
(真行)「大丈夫ですかこちらからは電話は一切つながらないのでせめてメールで安否だけ教えて下さい」。
お兄ちゃん…。
お兄ちゃん!
(優里)「みんな無事です」。
はあ…。
(優里)「父と私は自宅近く。
車の中。
母はホーム近くの気仙沼公民館に避難してます」。
(真行)「了解」。
(真行)「その後母は?ほかに連絡手段なく心配してます」。
あと4段だ。
頑張れ!頑張れ!あと3段!よっしゃ2段!ありがとう。
すいません。
梨緒ちゃん…。
(建物が壊れる音)これ現実かよ…。
どうなっちまうんだや。
これでは船でも助けさ来られねえ。
歩いても来られねえ。
もしもしデスク。
小泉です。
はい無事です。
市民の方々と避難してます。
場所は気仙沼公民館です。
あっはい。
写真今から送ります。
こんなもんで悪いんだけど…雪よけしてけろ。
ありがとうございます。
広げっぺし。
広げて!広げて。
せ〜のおいしょ!よかったね!
(建物が壊れる音)
(笛の音)津波来るよ〜!津波来るよ〜!
(茂男)津波来っど!分かった!津波が来っど!すぐ来っど!気ぃ付けろ!行げって。
(沙織)あんた!行げって。
(沙織)あんた!あっいかん!大丈夫ですか?また大きいの来たんですか!?いや前よりだいぶ低い。
(爆発音)何だべあれ…。
何だあれ。
何だべあれ。
がれきさ火ぃ付いだ!すげえ燃えてっど。
(爆発音)何だべ?見てくる。
暖かくしてここさいろ。
分がった。
(爆発音)「公民館の屋上まわりは海」。
「何もかもない。
暗ぐなって火事が見える」。
「怖い」。
(赤ちゃんの泣き声)
(せきこみ)火が付いたら終わりだ!押し戻すぞ!おう!タンクから重油が漏れてます!
(佐々木)体を低ぐしてマスクをかけて!
(加奈子)マスクなんてありません!何でもいいからぬらして口塞ぐの!はい!
(せきこみ)真佐子先生…。
(せきこみ)まずいなこれ…。
これで終わりって訳?・向こうでは消防艇が燃えたど!愚か者どもが!騒いでる暇があったらどうやって生き延びるか考えろ!さっどいてくれ。
(秀雄)よし!ううっ!よっ!さっここさ座れ。
え?ほかの人が来る前にここ占領すんだ。
せ占領って…。
(茂男)おい哲朗!
(哲朗)何!?
(茂男)もうこうなったら俺とおめえで組んで何かうめえ商売始めっぺ!どうせすぐに復興工事が必要になる!板金と水道が組んだらもうかっど!何言ってんのこんな時に!不謹慎ですよ!う〜っ!バカ野郎!慎んで生きてられるかっつうの!
(警報)う…うわっ!
(警報)
(智弘)梨緒!梨緒〜!うわっ!ありがとうございます。
すみません。
あそこさご家族がいらっしゃるんですか?はい。
5歳の娘が。
そうですか。
私は妻が…。
巻いどごね。
大丈夫。
ここさいっがら。
(島田)ここは危険です!すぐに安全な場所さ避難して下さい!消防団の…!あの火消してけさい!あそこさ大勢の人が避難してんです!
(智弘)お願いします!うちの車両は皆鹿折地区の火事の消火さ出てます。
そんな!目の前であんなに燃えてんだど!陸路が確保できなければどうする事もできません!
(智弘)あんた消防団だべ!よくもそんな他人事みでえに!…他人事?私の家族もあの公民館さいるんです。
申し訳ありません!梨緒…。
大丈夫。
お母さん…。
どうか無事でいて…。
(真行)「母から連絡は?水はどこまで?寒さ対策は?気仙沼はどの辺まで水が来てる?母がいる公民館は浸水しないの?」。
「見渡す限り炎が広がり黒煙が上がっているという事ですが気仙沼市内は津波により交通網が断絶しており延焼を食い止める事は難しい状況です」。
(真行)「その後どうですか?気を緩めずにタオルや軍手防寒着毛布水食糧の確保を」。
(机をたたく音)公民館にいる事しか分かんないんだ!何でここにいるんだ!こんな時に!
(町田)JR全線運転見合わせだって。
(広沢)えっ?マジで俺帰れねえじゃん。
(佐藤)いやお前帰れるよ。
(広沢)え?都営浅草線は8時半に再開するから。
何すか?その情報。
ほれ。
(町田)さすが社長情報速いっすね。
「都営再開見込み浅草線は西馬込浅草橋」。
よし!俺帰れるわ!
(町田)どこでこんな情報仕入れたんすか?でもガセとか入ってんじゃないっすか?もとの出どころが都のやつは大丈夫じゃないかな。
しかしこれすごいな。
うわ…。
(佐藤)すげえな。
気仙沼か。
知り合いでもいるんすか?いや…でも昔行った事ある。
バブルの頃俺調子こいててよ。
不動産に手ぇ出してバブルはじけて借金背負って嫁さんに逃げられてな。
死のうかと思って飛び乗った列車が東北行きでな。
でもそれで気仙沼で生まれて初めてさんまの刺身食ったんだよな。
つつじ先生よがった…。
やっと風向き変わったみたいだっちゃね。
うんなったな。
ここは寒いから子供たち中さ入れましょうか。
そうすっぺお願いすっから。
真佐子先生。
え?汚え。
え?アハハ…汚え?みんな子供たち中さ入れましょう。
ゆっくりな。
(ラジオ)「仙台対策本部からの情報によりますと仙台市東部道路の東側沿岸寄りの地域はほとんど冠水しており数か所で避難した人々が取り残されているとの情報も入ってきています。
国土交通省によりますと津波が押し寄せた仙台空港では」…。
あっ園長先生備蓄品流されずに残ってました。
えがったですね〜。
(佐々木)ああ。
皆さん残ってました。
後で配るわね。
毛布何人かで1枚使ってけさい。
ビスケットもあります。
ありがとうございます。
手伝います。
ありがとうございます。
すいません!配りますから。
(歓声)ランタン来たよ!
(喜ぶ声)
(子供たち)電気欲しい!おながすいたでしょ?ビスケット来ましたからね。
食べて下さいね。
1人…。
3個…。
3個ずつだけど。
(警報)毛布の入ってだ袋。
こんなんで悪いげど巻いどきなさい。
いえ結構です。
大丈夫。
子供と一緒にいれば私は温かいから。
いえ本当に。
僕はたまたまここに居合わせただけですから。
あなただって被災してんのよ!故郷はどちら?静岡です。
まあ…親御さんきっと心配してんでしょうね。
でも記者としてはまたとない機会です。
え?配属されて1年かまぼこやらいかの塩辛やらの取材ばっかりやってましたから。
不謹慎な言い方ですけどやっと最前線での取材ができてます。
親の気も知らねで。
すいません。
あ…ごめんなさい。
ちょっと息子の事思い出してしまって。
息子さん?イギリスのロンドンさ住んでんのよ。
もう随分長い事会ってもないの。
きっとあなたのお母さんだってもう二度と会えないんでないがって心配でたまらないはずだよ。
サンキュー。
きっと今もそうだ。
きっと母は今この公民館で当たり前みたいに子供たち周りの人たちの世話を焼いてる。
トイレ作りました。
誰か行きたい人いませんか?ここさ1人いっど。
はい。
(哲朗)おっばあちゃん。
ちょっと失礼しますよ。
大丈夫か?行くど。
よいしょ。
ゆっくりなゆっくりな。
ゆっくりな。
(哲朗)すいません失礼します。
大丈夫だ。
「ゆっくり」っていっても漏らさねえ程度にな。
(笑い声)
(哲朗)大丈夫か?ばあちゃん頑張れな。
気を付けて。
(哲朗)ゆっくり。
大丈夫が?え?寒ぐねえが?つつじ先生子供たち少し脱水気味です。
寒ぐねえが?大丈夫が?大丈夫が?寒ぐねえが?おい!ほれほれ!
(美咲)いい?みんなゴクゴク飲んで駄目だよ。
ゴックンって飲んだら次の人さ回して。
はい。
梨緒ちゃん。
ありがとう。
(赤ちゃんの泣き声)泣ぐな。
腕疲れたでしょ?代わろうか。
すみません。
ありがとうございます。
(赤ちゃんの泣き声)おながすいたんだね。
はい。
んでもおっぱい出ねくて。
粉ミルクもありません。
どなたか母乳の出る方いねえべか?申し訳ねえけど私たちでは何ともできねえ。
そうが…。
私たちもはっぱりだ。
いねえが。
(赤ちゃんの泣き声)先生こんなものあげてもいいべか?ほれ。
ガムシロップ。
いいの?ふだんは絶対にしねえけど命のつなぎにあげでもいい?
(赤ちゃんの泣き声)お願えします。
ほれ。
そうがそうが。
おいちいおいちいね。
うめえのか?えがったな。
(赤ちゃんの声)つつじ先生一体いつここから出られるんですか!?こんなのいつまでももちませんよ!ずっと所長さんの言う事さ聞いてきたのに!うちの子なんて…。
(涼子)やめなってば。
所長先生は規則さ従ったまでだっちゃ。
何にも間違った事してねえべ。
けど…。
あんたどうするつもりよ?偉そうに仕切ってんじゃないわよ。
水も粉ミルクもないこんな状況で子供たちに何かあったらあんた所長としてどう責任取るのよ!大谷さんやめなって!大谷さん!分かってる…分かってるけど…。
(泣き声)いいがらいいがら。
ごめんなさい。
(泣き声)
(警報)
(せきばらい)しかたないですよ。
この状況じゃ。
分がってる。
大丈夫よ。
これ使ってけさい。
いいがら。
いいがら。
いいがら。
頑張って下さい。
ありがどう。
ありがどう…。
これ岩井製作所ってこのすぐ目の前にあった…。
ホントしかたないですよ。
ばあちゃん終わったか?ありがとう。
(哲朗)おう。
ありがとう。
(真行)「拡散願い。
障害児童施設の園長である私の母がその子どもたち十数人と一緒に避難先の宮城県気仙沼公民館の三階にまだ取り残されています。
下階や外は津波で浸水し地上からは近寄れない模様。
もし空からの救助が可能であれば子どもたちだけでも助けてあげられませんでしょうか」。
・
(爆発音)
(どよめき)峻平君!危ないから!危ないから!いづまで続ぐんだ?これ。
(くしゃみ)
(てる子)寒い寒い…寒い。
大丈夫ですか?壁際は結露が出来て冷たいんですよ。
ちょっとすいません。
大丈夫ですか?もうねとっくに横浜に帰ってるはずだったんですよ。
孫に卒業祝のかまぼこ買って。
ほら切符もここに…。
(小泉)そうですか…。
(ラジオ)「津波が押し寄せた仙台空港では」…。
分がった分がった。
一緒にいっぺ。
「空港の滑走路は完全に水につかっているため外に出られない状況となっていて救助を」…。
すいません!今からこれを回しますので。
「津波の被害を受けており復旧の見込みも立っておらず空からの救助にも時間がかかるもようです。
繰り返してお伝えします」。
(恵子)これ何だべ?名簿を作っておこうと思いまして。
名簿?万が一さの備えってやつかよ。
やめろっちゃ。
だってよ!やめろ。
そういう事ではありません。
人数が確認できますし救助が来た時に必要になりますから。
助けっていつ来んだよ!名簿作る事以外何かする事ねえのかよ!俺たちは一体どうなっちまうんだよ。
消防も警察もここさ俺たちがいる事誰も知らねんだ。
役人はホントに当てになんねえなや。
みんなやめてけさい。
館長さん責めたってしかたねえでないの。
おいみんな書くど!
(佐々木)お願いします。
お願いします。
「先ほど宮城県警察本部に入った連絡によりますと仙台市若林区の荒浜の1丁目から2丁目にかけて津波に巻き込まれて死亡したと思われる遺体が200体以上発見されたという事です。
大津波警報が発令されているため警察消防ともに沿岸に近づく事ができず現在状況の確認を急いでいます。
繰り返しお伝えします。
宮城県警察本部に入った連絡によりますと」…。
ちょっと待って。
うるせえぞ!やめろっちゃ。
よその国から来てこんな目さ遭ってんだぞ。
不安に決まってんでねえか!
(てる子)とうに帰ってるはずだったんですよ。
かまぼこ買って。
あれはよそじゃ珍しいですからね孫が喜ぶと思って細工かまぼこ買って帰ろうとしてたんですよ。
(八田)いい加減にしてくれ!もうやめてけれ!うちは全部流されてしまったんだ。
道具も型も出来たてのかまぼこも!大事なもの全部…。
あんた駄目だよ。
何?口さ出して駄目だ…。
おめえ女房のくせに俺の気持ちが…。
うちだけじゃねえだよ…。
(爆発音と叫び声)もう嫌だ。
もうやだよ!こんなの。
(泣き声)貴志君歌歌うべし。
(梨緒)歌おう!何歌う?え〜とね…。
・「いつのことだか思いだしてごらん」・「あんなことこんなことあったでしょう」・「うれしかったことおもしろかったこと」・「いつになってもわすれない」・・「春のことです思いだしてごらん」・・「あんなことこんなことあったでしょう」・・「ぽかぽかおにわでなかよく遊んだ」・「きれいな花も咲いていた」・「夏のことです思いだしてごらん」・「あんなことこんなことあったでしょう」・「むぎわらぼうしでみんなはだかんぼ」・「おふねも見たよ砂山も」・「秋のことです思いだしてごらん」・「あんなことこんなことあったでしょう」・「どんぐり山のハイキングラララ」・「赤い葉っぱもとんでいた」・「冬のことです思いだしてごらん」・「あんなこと」梨緒ちゃん駄目よ。
・「あったでしょう」そいつは今歌っちゃ駄目だよ。
梨緒ちゃん!・「あったかい部屋で」やめで!
(泣き声)ごめん梨緒ちゃん。
(泣き声)真佐子先生。
ごめんなさい。
偉そうな事言っどいてホントにごめんなさい。
まいったねこのタイミングであの歌は。
本当ならうちの保育士たちが止めねえどいけねえとごさ。
ありがとう。
でも…。
初めて見だな。
真佐子先生が子供たちの前で保育士じゃない顔すんの。
見で。
すごいど思わない?すごい…こんなの初めで見だ。
んでもこれが本当の星空なんだっちゃ。
ふだんは地上さも明かりがついてっから見えてなかっただけで…。
怖えと思ってな。
怖え?あったはずのものが無くなった途端に見えてなかったものがこんなにくっきりと姿を現すなんて怖え。
この半日私たち見だぐないものをたくさん見だ。
嫌なもの恐ろしいものをたくさん見だ。
この先もっと恐ろしいものを見る事になっかもしれね。
死にだぐねえ。
人を押しのけてでも助かりでえ。
人や自分の中のそんな気持ちを見っかもしれねえ。
そう思って…。
んでも…。
(泣き声)子供あげるいいですか?あげる。
ありがとう。
甘いよ。
おいしい。
やむをえねえ。
横浜から来たご婦人。
我らの箱舟を譲ろう。
え?は…箱舟?
(秀雄)かつて中国出征のため下関からプサンさ向かう輸送船で上官から命令されたんだ。
撃沈されたらすぐさま救命いかだに潜り込めと。
いかだ?お…おとうさんこれいかだのつもりだったんですか?んだ。
(小泉)いやそれは絶対に沈みますよ。
高台まで流れ着けねくてもいいんだ。
3分でも5分でもこれが浮かんでいたら何かにすがれる事だってあっぺ。
そう…上官もそう言っていた。
いざとなったらおめえと2人これで脱出を図るつもりだったが…。
許してけろ。
(佐々木)フフフフ…。
あっいや…失礼。
不謹慎でした。
すいません!いいでないですか。
こんな時ぐらい不謹慎でいきましょうよ。
(笑い声)お気持ちだけで。
立派ないかだだ。
(笑い声)こんな状況の中で私たちを支えているのは生き延びだい助かりだいって気持ちでねくて助けだい。
助けだい?人間さはそう思える力が備わってる。
町はさらわれてしまったけど人間の力までは奪えねえ。
奪わせちゃいけねえ。
一緒にふんばっぺし真佐子先生。
ふんばって優里ちゃんの赤ちゃんの顔見っぺしな。
ただいまこちらのロビー無料休憩所としてスペース確保しております。
コーヒーどうぞ。
温かいです。
コーヒーどうぞ。
コーヒーどうぞ。
温かいです。
どうもありがとう。
(着信音)
(ノック)はい。
失礼します。
下に避難していた数百人は皆帰宅または近くの一時避難施設に入ったようです。
そうか。
だいぶ落ち着いたようだな。
ところでこれをどう思う?僕宛てに届いたんだがね。
誰ですか?「オフィス家具さとう」って。
知らない。
(波の音)・
(ヘリコプターの飛行音)
(ヘリコプターの飛行音)来た…?
(ヘリコプターの飛行音)
(喜ぶ声)みんな助けさ来てくれたよ。
(歓声)
(一同)お〜い!避難者446名無事です!446名?はい!え〜と障害児童施設の園長さんはいらっしゃいますか?えっ?園長先生。
園長さんですか?そうですけど…。
息子さんの要請で救助に来ました。
は…息子の?真行が…?はい。
真行が…!ありがとうございます!ありがとうございます…。
(一同)ありがとうございます。
(泣き声)
(泣き声)生きててくれてありがとう。
赤ちゃんを最優先にさせて下さい。
お願いします。
分かりました。
もうすぐですからね。
待ってて下さいね。
大丈夫ですよ。
気ぃ付けてね。
いがったね。
行きましょう。
はい。
頑張っぺ。
(シャッター音)僕が伝えます。
津波の恐ろしさやこの景色のすさまじさだけじゃなくて気仙沼の皆さんがこの危機の中でどう振る舞ってどう助け合っていたかって事を。
僕が伝えます。
ありがとう。
「津波てんでんこ」。
ホントはそういう意味なんじゃないんですかね。
大事な人と離れていても自分の居場所で自分のできる精いっぱいの事をやるっていう。
2014/03/11(火) 22:00〜23:15
NHK総合1・神戸
特集ドラマ 生きたい たすけたい[解][字]
未曾有の被害をもたらした、東日本大震災。その只中で「たすけたい」という思いの連鎖がひとつの奇跡を生んだ。宮城・気仙沼、ロンドン、東京— 人々の勇気と絆の物語。
詳細情報
番組内容
2011年3月11日、東日本大震災発生。宮城県気仙沼市で、着の身着のままで公民館に避難した、446人。避難した人々を容赦なく襲う、10メートルを超える津波。小さな命を守るため、障害児施設の園長を務める真佐子(原田美枝子)や保育所所長・つつじ(余貴美子)をはじめとする大人たちは子供らに優しく語りかけ、身をていして、寒さや火災、そして恐怖と必死に闘い続けた。そんな時、ある奇跡の絆が彼らの窮地を救う。
出演者
【出演】原田美枝子,余貴美子,上地雄輔,菅田俊,山本裕典,北見敏之,中西美帆,温水洋一,広岡由里子,宮地雅子,秋月三佳,鈴木正幸,山本亨,冨澤たけし,松尾れい子,門脇麦,豊嶋花,水野久美ほか
原作・脚本
【作】藤本有紀
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz
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