(福家)
1969年世界一有名な詐欺師といわれた男フランク・アバグネイルが逮捕される
医者や弁護士パイロットなど様々な職業に成り済ました彼の人生は2つのことを象徴している
1つはどんな職業であれ簡単になれるということ
もう1つはどんな職業であれ簡単になってはいけないということ
(アナウンス)「間もなく面会時間が終了となります」「館内に残っているご家族の方やご面会中の方はお早めにお帰りの準備をお願いします」「患者さんの安静のために皆さまの…」
(警備員)森本先生お帰りですか?
(森本)ああ。
そうだ。
そういえば捕まったのかな?この間の盗難騒ぎというか…。
(警備員)いえ犯人の方はまだ。
(森本)あっそう。
(警備員)一応戸締まりの方厳重にしておきます。
(森本)うん。
(警備員)お疲れさまでした。
(森本)ご苦労さん。
(バイブレーターの音)
(森本)何だ君は。
(森本)こんな所に何の用だね?
(木原)森本先生こそこんな時間に何してるんです?
(森本)何者だね?出ていきなさい。
警備員呼ぶぞ。
(木原)やめた方がいいですよ。
(森本)何?僕の顔覚えてませんか?
(森本)顔?まさか君は…!待ってくれ!話を聞いてくれ!やめ…!
(森本)やめるんだ!
(森本)あっ!
(木原)あっ…。
・
(物音)
(陽子)先生。
森本先生。
(陽子)あっ先生?先生?あれ?ここだと思ったのに。
あっ嫌だもう…。
何これ。
ちゃんと置かないからこうやってね…。
(バイブレーターの音)
(陽子)えっ?あっ先生?やっぱりいらしたんですね先生…。
あっ失礼いたしました。
(木原)あっどうも。
(木原)え〜…。
(陽子)備品ですか?
(木原)ええ。
え〜…。
(陽子)あの…失礼ですけどお名前は?
(木原)「センジョウ」
(陽子)センジョウ?千条です。
あの数字の「千」に条約の「条」
(陽子)あっ千条先生ですか。
ごめんなさい存じ上げなくて。
(木原)あっいえ。
僕こないだ配属されたばかりですので。
配属?あっですよね。
だと思いました。
そうなんですよ。
この病院って先生とか看護師とかやたら出入りが多くて困っちゃってるんですよ。
ていうか「患者さんの名前覚えるよりもスタッフの名前覚えるのが大変だよね」なんて言われちゃったりなんかして。
先生先生は辞めないでくださいね。
(木原)あっ…。
もしかしたら僕もあしたにはいないかもしれないんです。
面白い先生!ハハ。
ナイス病院ジョーク。
えっとえっと…先生お名前何でしたっけ?あっ千条太郎です。
あっ。
私丸山陽子と申します。
外科で働いております。
どうぞよろしくお願いいたします。
名札はあの…デスクに置いてきてしまってて。
僕は眼科です。
よろしくどうも。
(陽子)あっ。
あっ何かお探しでしたら私お手伝いいたします。
(木原)あっいえ。
ホントにあのお構いなく。
・
(足音)
(荒川)えっ?あの…間違えました。
ちょっと待ってください。
何かご用ですか?
(荒川)だから部屋を間違えただけで…。
そのかばんの中見せていただいてもよろしくて?
(荒川)はっ?何なんですか?急に。
最近院内で盗難が多発しておりますので…。
俺は別に怪しい者じゃない。
(陽子)何をおっしゃるんですか。
どう見ても不審者じゃありませんか。
ねえ先生。
(木原)まあ確かに。
(荒川)あっあんたこそ誰なんだ。
眼科の千条太郎です。
(荒川)千条?聞いたことないぞ。
新任ですので。
(陽子)とにかく中見せてください。
駄目だ!駄目だ!
(陽子)見せてください…。
駄目だって!
(陽子)あ〜!
(荒川)えっ?
(木原)あっ…。
(荒川)んっ?あ〜…。
ハァハァハァハァハァ…。
(福家)あの…。
(福家)すいません迷ってしまったんですが皮膚科の病棟はどちらでしょうか?どうかされたんですか?
(陽子)あっ森本先生〜!!
(木原)あっちょっと!待ってください!死んでます。
(陽子)どいて!先生!先生!
(木原)あのちょっ…。
(木原)もう間に合いませんよ!
(陽子)先生!先生〜!
(木原)ねえ…。
(陽子)先生!
(木原)やめなさい!先生どうして…!ちょっとよろしいですか?
(木原)はい?
(木原)あっ…。
まだ温かいですね。
(木原)あの何してるんです?死因を調べているんです。
何であんたがそんなことすんの。
離れなさいよ!いえ私は…。
(荒川)警察呼んでくる。
待ってください!その場を動かないように。
現場は保全しなければいけません。
何だあんた。
偉そうに。
私は刑事です。
(荒川・木原)えっ?
(陽子)はっ?警視庁捜査一課の福家と申します。
そっ捜査一課?はい。
あの…あっ。
あっ…。
病室にかばんを置いてきてしまいました。
(荒川)はっ?とにかく警察に連絡します。
あっそちらの電話よろしいでしょうか?
(陽子)それ使えませんけど。
(福家・木原)えっ?
(陽子)先生は新任だからご存じありませんけどもこの救命センターは去年廃止になったんです。
だからそれも通じないんですよ。
(木原)そっそうでしたか。
だから俺が警察呼びに行くって言ってるだろう!いえ。
そのままで。
誰か携帯をお持ちの方は?
(陽子)けっ…。
あっ確か先生電話…。
ええ。
貸してください。
その前にあなたホントに刑事なんですか?もっ…もちろん私は刑事です。
いや「もちろん」って言われても。
全然刑事になんか見えないけど。
えっ…。
ですから私は…。
まだ通報もしてないのにどうして刑事さんがこんな所に来るんです?同僚の見舞いに来た帰りに迷ってしまったんです。
どうやって迷うんだよ。
病棟はあっちの建物だろうが。
とにかくその病室にかばんを置いてきてるんです。
その中に警察手帳などもあります。
すぐに取りに行きますから皆さんそのまま動かないでください。
(木原)あなたこそ動かないでください!えっ?先ほど言ってた病院内の泥棒あの人である可能性もありますよね。
泥棒!?
(木原)どう見たって不審者でしょ。
それも併せて警察に連絡します。
見張っててください。
あっ…待ってください!私が連絡します。
ちょっ…!
(荒川)動くんじゃない!逃げようったってそうはいかないわよ。
(木原)警察ですか?こちら聖南総合病院なんですけど…。
・
(アナウンス)「東京地方は今日は…」
(木原)ええ。
あっあの実は救命センターの方で遺体が発見されまして…。
放してください!あ〜!
(二岡)あ痛っ。
にしても長いトイレだな福家さん。
こりゃ大の方だな。
ですからお手洗いに行って戻ろうとしたら面会終了の放送が流れてそれで帰ろうと思い一度病院を出たんですが病室にかばんを置き忘れたのを思い出して取りに戻ろうとしたら建物自体を間違えてしまったんです。
あのさもっと上手な嘘つきなさいよ。
嘘ではありません!あ痛っ。
今どき漫画でもいねえぞそんなどじっ子。
患者は二岡友成という者です。
連絡してください。
二岡ね。
はいはい。
(木原)警察には連絡しました。
間もなくこちらに来るそうです。
(陽子)不審者を捕まえたことは?
(木原)それも伝えておきました。
ですから私は刑事です!
(陽子)さっきからこればっかりなんですよ。
そうだ…。
ありました!証明するもの!
(荒川)はっ?一課の者が持つバッジです。
サーチ・ワン・セレクト。
「選ばれし捜査一課員」という意味です。
何それ。
そんなの見たことないけど。
えっ?お菓子のおまけか何かか?あなたは見たことありますよね?なるほど。
信じてくれるんですか?どうやらこれは典型的な妄想癖ですね。
はっ?
(木原)漫画やドラマなどを見ているうちに登場人物に感情移入するケースはよくあります。
この方の場合それが非常に極端なものであり自分のことを刑事だと信じて疑わなくなってる。
(荒川・陽子)あ〜。
違います!あ痛っ。
私は本当に本物の刑事です。
警察に連絡して確認してください!うん。
頭打ったからねえ。
先生…。
重症ですね。
・
(ノック)
(田所)警部お待たせしました。
お願いします。
(石松)石松といいます。
お話伺わせてもらいますよ。
窃盗ね…。
ずいぶんといろんなものを盗んだもんだ。
目的は?
(山岡)だからむしゃくしゃしてやっただけですよ。
ほう。
(山岡)前の職場の上司が最低なやつだったんです。
人のやることなすことに細かく文句をつけてねちねちと説教。
揚げ句に首にされたんですよ。
なるほど。
気持ちは分からないでもない。
僕の気持ち分かってもらえるんですか?いえ。
その上司の気持ちがです。
僕にも1人非常に面倒な部下がいましてね。
しかし今夜は気分がいい。
今日は珍しくその部下が何も問題を起こさずに帰ってくれた。
久々の平和な夜ですよ。
(警備員)よし。
うん。
(陽子)お手伝いいたします。
(木原)どうも。
あのむやみに遺体に触らないでください。
あんただって触ってただろうが。
ですから私は…。
身元不明の不審者だよ。
(陽子)いかがですか?先生。
(木原)頭蓋骨骨折それに脳挫傷といったところですかね。
おそらく死亡推定時刻は今から1時間ほど前。
(陽子)あっそんなにたってないと思います。
えっ?森本先生こちらにいらっしゃる前に外科の医局にいらしたんです。
お帰りになられたのは15分ほど前でした。
やはり死後ほとんど時間はたっていませんね。
あなたは黙っててください。
現場の様子からみるに先生はおそらく事故死だと思われます。
たぶんこの台に乗って上の方にある備品を取りたかったんでしょう。
その際足を滑らして転倒。
床に頭を打ち付けて命を落とされた。
遺体にはそちらのシーツが掛けられていました。
それは棚のシーツが転倒した際に上にかぶさったんでしょう。
不運な事故死ってやつか。
(陽子)森本先生…。
あのこの電話なのですが…。
(木原)だからそれは使えないんでしょう?この受話器というのは最初からこのように外れたままになっていたんですか?
(陽子)そうだと思いますよ。
見てください。
ごく最近触った跡があります。
この部分ほこりが奇麗に取れているんです。
(陽子)えっ?
(荒川)おいおい。
また何か始まったぞ。
それに森本先生の左手かすかですがほこりで汚れています。
(陽子)あらホントだわ。
もしかして森本先生がこの受話器を触ったのではないですか?それが何なんです?あのそもそもこの部屋に最初に入られたのはどなたなんです?
(陽子)私よ。
それから千条先生。
それから…。
それから?はっ!何してるんですか!何ですか?いきなり。
証拠を消さないでください!
(陽子)汚れてるから軽く拭くだけよ。
それに私我慢できないの。
先生がこんな…。
せめてお顔だけでも…。
鑑識が来るまで触らないでください!
(陽子)結局事故死だったんでしょ?それに一とおり千条先生が検分なさってくださいました。
(木原)ええ。
ですがご専門ではないはずです。
偽者の刑事さんに言われたくないですよね。
(陽子)ですよね。
ちょっとあなたいいかげんにしなさいよ…ってあなたはどこ行くの!先生来て!ほら来て!先生!
(木原)えっ?ちょっ…。
(陽子)先生来て!あんたちょっと!
(荒川)あれ?どうなってんだこれ。
(陽子)逃げられると思ってるの?
(荒川)逃げてなんかない。
そっそんなことよりこのドア何で開かないんだ?
(陽子)えっ?
(木原)開かない?
(陽子)あ〜警備員が気付かずに閉めちゃったんだわ。
(木原)えっ?
(荒川)おい。
まさか出られないのかよ!もうすぐ警察が来るしそのときに出られます。
ねっ先生。
(木原)えっ…ええ。
(木原)何してるんです?
(陽子)嫌〜!森本先生のかばんに何やってんのよ!この…泥棒!あのそちらの方お名前分かったんですか?
(陽子)まだよ。
ホントにどいつもこいつも何なのよ。
突然逃げ出すし。
(荒川)逃げてなんかいない。
私はねこういう者です!「ジェスター製薬第一営業部次長」荒川といいます。
この病院とも取引がありましてね。
今日も営業に来ただけなんです。
こんなに遅くに営業ですか?だから遅くなったから帰ろうと思ったんです。
それで迷ってここに来て閉じ込められたんです。
(木原)迷った?まるでこの人みたいじゃないの。
私は本当に迷ったんです。
はいはい。
あんたもあんたも怪しい。
俺だって本当だ!とにかく俺は何も関係ないんだよ!だいたいこれ事故死なんだろ?いえ事故ではないと思われます。
(荒川)えっ?
(木原)事故ではない?はい。
もしかしたら何者かに殺されたのではないかと。
はっ?おいおい。
今度は何言いだすんだよ!よ〜く見てくださいこちら。
(荒川)見たくないよ勘弁してよ!頭部には打撲痕だけではなく深い裂傷もあります。
(陽子)えっ?
(陽子)あらホントだわ!お気付きになりませんでしたか?ええ。
だからそれも床に打ち付けたときにできた傷だと思ったんです。
傷の種類が明らかに違います。
見てください。
先ほど私が床にぶつけた…。
(陽子)あっ駄目よ!せっかく巻いてあげたのに。
すいません。
あの裂傷おそらく何か硬い棒のようなもので殴られたのではないかと。
(陽子)棒?はい。
ちょっと刑事マニアさんそれっぽいこと適当に言ってんじゃないだろうね。
どう思われます?まっ確かに何かで殴られたとも考えられますが…。
(陽子)えっ?ホントですか?おい森本先生殺されたのかよ!断言はできません。
なぜなら…。
はい。
肝心の凶器が見当たりません。
もうあなた黙っててください。
あとは僕が調べます…。
それより私は一度持ち物を含め皆さん全員の身体検査をお願いしたいのです。
この中に犯人がいる可能性もありますので。
(陽子)あんた何言ってんの?どこかに凶器があるかもしれません。
もちろん身の潔白を示すためでもあります。
自分の潔白は自分が一番よく知ってるよ!でしたら身体検査を。
(荒川)断る。
警察ならまだしも。
(陽子)そうよ。
自分のこといったい何様だと思ってんのよ!警察遅いですね。
もう一度連絡してみます。
では今度は私が。
あなたに任せられるわけないでしょ。
なぜです?仮に森本先生が殺されたというのなら身元の分からないあなたが一番の容疑者なんですよ?
(陽子)そうよ。
(荒川)マニアックなのもほどほどにして不審者としての自覚持てよ!
(木原)あっもしもし。
先ほどお電話した聖南総合病院の者なんですけど。
ええ。
はい。
荒川さんは携帯をお持ちではないのですか?車に置いてんだよ。
どうせ病院の中じゃ携帯の電源オフだからな。
となると連絡手段は千条先生の持ってる携帯のみですか。
いいでしょ。
もうすぐ警察来るんだし。
(陽子)何なのよさっきからそのかばん。
見せなさいよ。
(荒川)別にいいだろ。
凶器隠してるかもしれないでしょ。
とにかく断る。
プライバシーの侵害だ!見せなさいよ!
(荒川)やめろよ!あっ…!はっ!
(陽子)ちょっと1,000万ある!
(荒川)何言ってんだ!そんなあるわけないだろ!900万だ。
(陽子)ほぼ1,000万じゃない!なぜこのようなお金を?
(荒川)言いたくない。
(陽子)やっぱり泥棒だったのね。
(荒川)違う!とにかく説明する義務などない。
(陽子)はあ!?
(山岡)あの話はこれぐらいでいいでしょ。
盗みに手を出したことは悪かったと思ってますよ。
実は僕があなたから話を聞きたかったのは窃盗のことだけではないんです。
えっ?あなたが病院から盗みだしたものの中にこのような2枚のカルテがありましてね。
どちらも同じ筆跡同じ日付。
そして患者さんの名前も同じ木原隆一さんとあります。
違うのは書かれている診断の内容。
(山岡)内容?
(石松)1枚目のカルテの方には「狭心症」と診断されています。
ですが2枚目の方には「大動脈解離の可能性あり」と。
あなたこのカルテどこで手に入れたんです?「どこ」ってそんなのいちいち覚えてませんよ。
簡単に言いましょう。
要するにこの2枚のカルテを書いた医師というのは過去に診断ミスを犯しそれを改ざんした可能性があるということです。
カルテに書かれてある担当医師の名前は森本和弘。
聖南総合病院の外科部長です。
(陽子)さあ白状しなさい。
何なのよこのお金は。
(荒川)黙秘する。
黙ったところでその金見れば明白でしょ。
製薬会社の営業マンが薬を使ってほしいと外科部長に会いに来た。
いわば賄賂ですよ。
そうなのですか?
(荒川)弁護士を呼んでくれ。
(木原)あなたは森本先生を呼び出してここで落ち合う予定だったんじゃないんですか?
(陽子)あんたが先生を殺したの?
(荒川)だから俺じゃない!あの警察には連絡したんですか?ええ。
けど今夜は事件が多発してるそうですぐに来られる警官がいないそうです。
もうしばらくかかると。
(荒川)だいたい俺は凶器なんか持っちゃいないだろうが。
それもどっかに隠したんでしょうが!だったら徹底的に調べればいいだろ!その代わり全員だ。
(陽子)はっ?身体検査を希望する。
全員のな。
いいでしょう。
それで気が済むのなら。
(木原)凶器のようなものはないみたいですね。
(荒川)みろ俺は無実だ。
(陽子)何言ってんの。
あんた私と千条先生の後にここに来たじゃないの。
どこかに凶器を隠してそれからここに戻って来たんでしょうが。
(荒川)違うっつってんだろ。
丸山さんはそもそも何をしにこの部屋に?えっ?それから千条先生も。
僕は備品を取りに来たんです。
こんな時間にですか?
(木原)僕は新任ですので。
最初のうちは体のいい使いっ走りにされるんです。
私もそうよ。
(荒川)何言ってんだ。
あんたは新人ぱしらせる方だろ。
私もたまには自分で備品を取りに来たくなったのよ。
手ぶらで?いやあのだから…かばんは向こうの部屋にあるんだけどその別に何も…。
怪しいな。
(陽子)怪しくないわよ。
ちょっと。
やめてよ何…!
(荒川)だったら調べてもいいだろ。
(陽子)やめてって!何すんの!
(荒川)いいだろ!
(陽子)嫌だもう!
(荒川)離せよ!千条先生は先生は何かスポーツをされていたんですか?えっ?そちらテニス用のシューズではないかと思うんですが。
ええ。
少しばかり。
袖口に血が…。
(木原)ちょっと…。
いやこれはさっき遺体を調べたときに付いたんでしょうね。
白衣というのはそういった下の洋服に血などが付かないよう着るものですよね。
いやそれでなくても付くときだってあります!ホントに刑事みたいなこと言うんですね。
というかホントに刑事ですので。
(木原)もうそれもいいかげんにしてくれませんか?福家さん。
はい。
どういう気分なんです?偽の人格を演じるというのは。
ですから私は偽者ではありません。
(木原)しかし本物だと証明する証拠も何もない。
つまりあなたは何者でもない何の価値もないそういう人間だということなんですよ。
そうかもしれません。
(陽子)嫌もうどこ触って…嫌!
(荒川)いいから見せるんだよ!
(陽子)嫌!嫌!嫌だ〜!
(荒川)見せろほら!どっ…どうしたんですか?
(陽子)気持ち悪い気持ち悪い…!ちょっ何してるんですか!
(荒川)手を離せ!何してるんですか!こら!この女がかばん見せないんですよ。
怪し過ぎだろ。
(陽子)だから何も入ってないって…あ〜嫌!
(荒川)だったら見せろよ。
ほら!
(陽子)あっ!プライバシーの侵害よ!
(荒川)俺のかばん遠慮なく見たくせに。
(木原)もう何やってんですか。
(陽子)あっ千条先生この人ひどいんですよ!
(木原)えっ?かばんの中見せろって言うんです。
(木原)見せればいいじゃないですか。
(陽子)えっ?何もやましいことがないのなら見せても大丈夫なはずですよ。
(陽子)あっ…。
(荒川)そうだよ。
そりゃあや…怪しいものはなっ何もなっないですよ。
ないけどさ。
これとかこれとかこれとかこれとか…。
何これ。
がっつり凶器じゃねえかよ。
(陽子)知らない…私知らない!こんなの入れてないもん!お前が殺したのかよ。
私だから違うって!しっ知らない!千条先生…。
さすがにそんな証拠が出てしまっては…。
えっ…。
丸山さんがこの部屋に来た目的なのですがもしかしたら以前から森本先生とこの部屋でお会いになってたんですか?
(荒川)おいあんた何見てんだよ。
あっいえ…これこそプライバシーですので。
(荒川)ここにきて何言ってんだよ!あっ…あ〜!
(荒川)いまさらここにきて。
(木原)こっこれ森本先生と…。
(荒川)チュウしてる。
お前こんなとこに何ちゅう写真入れてんだよ!嫌〜恥ずかし〜!嫌だ〜!まあ凶器が出てしまった以上犯人は決まったようなもんですね。
(石松)森本先生から話を伺う前にできるだけ裏を取っとこうと思いましてね。
この方について何か知っていることなどありますか?まあ病院をうろついてるときに聞いた噂ではこの人製薬会社から賄賂もらったり看護師に手出したりとか。
(石松)フン。
最低な男みたいですね。
亡くなられた木原隆一さんですがプロのテニスプレーヤーだったそうです。
学生時代には弟さんとダブルスを組んでいた。
こちらが隆一さんでその隣が弟さんです。
(陽子)だから私森本先生と付き合ってましたけど病院の中でそんなことしたことなんかなくてそれに最近ではそんなことする機会もなくて。
(荒川)言うな。
想像しちまうだろうが!先生の奥さまも亡くなっててだから私たち不倫じゃなかったんです。
純粋に付き合ってたんです!それのどこが悪いんですか?だから言うなっつってんだろ!気持ち悪い。
何ですって!
(木原)もう…。
それで痴情のもつれから殺したということですか?私先生殺してません!ここに来たのも帰り際の先生の様子が心配になってもしかしたらここじゃないかなと思ったんです。
(荒川)別れ話でも切り出されて思わず殺したんじゃないの?だからそんなことしてませんって!
(木原)しかしかばんの中から凶器が出てきたんですよ?だからそれは…。
確かに凶器が出てきたのは丸山さんのかばんからですがだからといって丸山さんの犯行だということまでは断定できません。
えっ?今度は何を言いだすんだよ。
誰にでもこのかばんに凶器を入れる機会はあったはずです。
全員が完全にお互いを見張っていたわけではありませんから。
そうだわ!誰かが…誰かがかばんの中に入れたんだわ!あんた初めていいこと言ってくれた!いや誰が入れたっていうんです?もちろん犯人がです。
(荒川)この女がそのまま隠したって方が自然だけどね。
しつこいねあんた!これでまた振り出しですか。
木原さんが救命センターに運ばれた際手術に当たったのは森本先生とそれから研修医。
解離はかなり進行していて開いたときにはもう手遅れだったようです。
あのどうして僕にそんな話するんです?「どうして」とは?
(山岡)とにかくその木原って人が死んだのは森本先生が初療で医療過誤をしたせいなんでしょ?僕に言われても…。
(石松)「初療で医療過誤」専門的な言葉をお使いになりますね。
そろそろ聞かせてもらえますか?本当のことを。
あとはあなたの口から聞きたいんですよ。
3年前何があったのか。
(荒川)だからその電話は使えないんだって。
(陽子)あの本館の当直の人に連絡してみては?
(木原)それもしました。
けど誰も出てくれなくて。
(陽子)あら今夜はどこも忙しいのね。
(荒川)ったく警察いつ来るんだよ!まさか朝まで閉じ込められるんじゃねえだろうなあ。
ホントに来るんですかね。
(荒川・陽子)えっ?ずっと不思議だったんですこの受話器のことが。
それがどうしたんですか?森本先生はなぜ通じもしないこの電話の受話器を手に取ったのでしょうか?
(陽子)犯人から身を守るために武器にでもしようとしたんじゃないのかしら。
それならせめて本体の方を持つはずです。
受話器一つでは何も守れません。
けど通じない電話なんて他に使い道ないだろ。
はい。
しかし通じなくても電話をかけようとするふりはできます。
ふり?自分に近づいてくる相手に対して例えば警備員さんを呼ぼうとするふりなどです。
(陽子)どういうこと?
(荒川)あのなここがもう使われてないなんて俺だって知ってんだぞ。
そうよ。
そんなふりなんかされてもさもし仮に私が犯人だとしても笑っちゃうと思うけど。
ここが使えないということを犯人がまだ知らなかったとしたら脅しになると思いませんか?はっ?いやそれを言うなら僕だけじゃない。
あなただって知らなかったはずでしょ。
私には森本先生を殺す理由はありません。
(木原)いや僕だってそうですよ。
僕はこの病院に配属されたばかりですし先生とは面識すらなかった。
はい。
もしあなたが本当に眼科に勤務する千条先生だとしたらですが。
「ホントに」って?あなたは森本先生を見取られるとき親指で脈を測られましたよね?それが何か?一般的な医師の方は親指ではなく人さし指や中指で測るものではありませんか?
(木原)ええ。
もちろん普通はそうですよ。
けど僕は親指派なんです。
(陽子)え〜…。
あなたはホントは誰なんです?変な言い掛かりやめてくれませんか?身元が分からないなんてのはむしろそっちだってそうでしょ。
刑事のふりをしてここにいる全員を惑わし揚げ句に僕に罪を押し付けようとしてる!なぜそんなことするのか。
理由は明白です。
福家さんあなたが犯人なんです!最初から気になってたのですがあなたのシャツのボタン1つありませんね。
それが何か?もしかしたら森本先生ともみ合ったときに取れたのではありませんか?また…また妄想が始まった。
もう…。
しかし見たところそのようなボタンなどどこにも見当たりません。
となると考えられるのはあなたともみ合った際森本先生がそのボタンを引きちぎった。
(木原)へえ。
だとしたらそのボタンはまだ森本先生の手の中にあるはずなんです。
まさか…。
(陽子)開きましょう。
(木原)お二人はこんな人の言うこと信じるんですか?開いてください。
(木原)この女は何者でもない偽者なんです!
(荒川)うるせえよ!本物か偽者かどうだっていいんだよ!
(陽子)ただ確かめたいだけよ!
(陽子)何もないわ!
(木原)ハッ。
だから言ったでしょ。
妄想だと。
ボタンはここですよ。
(木原)ほら。
朝着替えるときにちぎれてしまったんです。
後で縫い付けようと思ってた。
ボタンは最初からここにあったんですよ!これで分かったでしょ?福家さんあなたが犯人なんです。
もういいかげん白状したらどうですか?もしボタンが手の中にあったのならあなたに謝ろうと思っていました。
えっ?私はもともとボタンを見つけていたんです。
はっ?最初ここで見張られてたときその下に落ちていました。
何かの証拠になるかもしれないと思ったんです。
しかし誰も私を刑事だとは信じてくれない状況でしたので一時的に隠させてもらいました。
普通の人なら絶対に開けないような場所。
森本先生の手の中に。
そのボタンはそこになければならなかったのです。
犯人でないのならそれを取り出す理由はありません。
でたらめだ。
そもそも手の中に入れてた証拠もない。
僕に罪をかぶせようとしてるんですよ!荒川さん。
(荒川)ああ。
身体検査したとき徹底的に調べたけどあんたはそんなボタンなんかどこにも持ってなかったよ。
どうして先生殺したの?あなたは誰なの!?森本先生のかばんの中に古い2枚のカルテのコピーがありました。
えっ?同じ日付で同じ患者の名前でした。
患者の名前は木原隆一さん。
ですが診断内容は異なっていました。
(荒川)どういうことだよ。
森本先生は過去に医療過誤を犯しそれを改ざんしようとした。
(陽子)森本先生が?もういいでしょ。
その男は死んだんだ。
金にまみれ欲にまみれ人の命を何とも思わないその男は死んだ!僕はもうそれでいいんだよ!
(陽子)ちょっと…。
(荒川)携帯あったのか。
こちら森本先生の携帯です。
もしもし?
(石松)なぜ君がいるんです?警部!なぜ君が出るのかと聞いてるんです。
森本先生が殺された?福家君君はどこにいるんです?聖南病院の救命センターです。
はい。
確保しています。
(陽子)2枚のカルテ。
どうしてかばんの中に?罪がバレるのが怖かったんだろ。
自分のことしか考えない男だったんだよ。
(陽子)森本先生はそういう人じゃありません。
それからあんた1つ勘違いしてるぞ。
これは賄賂とかそういう金じゃない。
俺が会社の金を使い込もうとしたときそれを知った森本先生が補填してくれたんだ。
絶対罪は犯すなって。
その借りた金を返しに来たんだよ。
ただ先生が死んでしまったから金は返さなくて済むと思って何も言えなくて。
分かりました。
(陽子)そもそもねあんたが殺さなくてもそのうち先生は亡くなってたのよ。
もともとご病気だったの。
食道がんだった。
余命1年もなかったの。
だから私いつもこうやって元気なころの先生の写真を。
先生ねずっと言ってたのよ。
自分には一生をかけておわびしなきゃいけない人がいるって。
あんたのことだね。
死ぬはずだった?わびるつもりだった?だから何だ。
それでこいつの罪が消えるわけじゃないだろ!
(木原)この男のせいで兄貴は死んだんだ。
いえそうではありません。
助けようとしてたんです。
病院を荒らしていた窃盗犯が捕まったそうです。
上司に首にされその腹いせにやったと。
(荒川)窃盗犯?その上司というのは森本先生のことです。
(陽子)えっ?そしてその窃盗犯というのは当時の研修医でした。
本人が全て自白したそうです。
3年前に医療過誤を犯したのは自分であると。
えっ?当時そのことを知った森本先生はその研修医のカルテを自分の名前に書き直したそうです。
「研修医の過失は指導医である自分の責任だ」と言って。
うっ…嘘だ。
そして森本先生は救命センターに駆け付けられた。
お兄さんを助けようとして必死に闘ったんです。
この初療台で全力を尽くしたんです。
先生…。
自分が誰を殺したのかホントに分かってるんですか?あなたを逮捕します。
ではまずお名前を教えてください。
あのさ逮捕ってもさ…。
そうね。
そうね…。
あっあなたところでいったい誰なの?んっ?んっ?・
(ドアの開く音)
(警備員)こちらです。
(田所)警部こちらに。
(石松)福家君被疑者は?彼です。
ちょっとあんた誰?捜査一課の石松です。
じゃあこの人は?福家警部補。
捜査一課の刑事であり私の部下です。
妄想じゃなくて…。
ホントに刑事だったの?木原幸信さんですね?あなたの所に森本先生の弁護士から電話があったはずですが。
えっ?
(石松)森本先生は遺族であるあなたに謝罪をし慰謝料を払おうとしていたそうです。
もしその電話に気付いていればこんなことは起きなかったのではないですか?
(田所)お二人もお話よろしいですか?
(荒川)はい。
いるんだなあんたみたいな刑事。
お金は?遺族に返します。
ごめんね。
そしてありがとう。
ありがとうございました。
警察手帳は常に携帯すること。
警察官の常識です。
はい。
申し訳ありませんでした。
福家君君の経歴を調べました。
2005年から7年間公安部外事第四課でイランイラクシリアエジプトコソボに赴任。
キャリアとしてはエリートコース。
しかし2年前に自ら希望を出し捜査一課にやって来た。
なぜ君はここにいるんです?捜査一課で何をしようとしてるんです?2014/03/11(火) 21:00〜21:54
関西テレビ1
福家警部補の挨拶 #09[字]
福家、密室に閉じ込められ容疑者になる!廃院で遺体を発見した3人と福家。この4人の中で犯人さがしが始まる!▽檀れい 稲垣吾郎 きたろう 室井滋 林遣都
詳細情報
番組内容
ここは聖南総合病院救命センターの初療室。今は稼働しておらず、備品置き場になっている。
ある晩、その場所に入ってきたのは、聖南総合病院・外科部長の森本和弘(長谷川公彦)。しかし、彼はこの後死体となって発見されることになる。
同じ備品置き場にやってきたのは先日、同病院に配属されたばかりと語る眼科医の木原幸信(林遣都)、そして丸山陽子(室井滋)。さらに少し時間をおいて荒川勉(きたろう)が黒い大きな
番組内容2
かばんを持って入ってきた。お互い不審人物ではと疑う中、ふいにその隅に、白い布を被った森本医師の死体を発見する。驚きおののく3人のところへさらに福家警部補(檀れい)が入ってくる。遺体に驚きながらも皆に現場を保持するべく動かないよう指示を出す。しかし、刑事であることを証明するものを福家は持っていなかった。同僚の見舞いに来て手洗いに出た後、迷いこんでしまったと説明するが、警察手帳も持たず、いつも通り全く
番組内容3
刑事らしくないいでたちのため、誰も福家が刑事だと信じてくれない。かばんを置いてきてしまったため福家は携帯電話も持っていない。その場で唯一携帯電話を持っていた木原が警察に連絡をする。しかし、一向に警察は現れない。福家は3人に質問を重ね、推理を始めるが、他の3人は刑事であるとは信じず、福家は妄想の激しい人間と扱われてしまう。
福家はこの前代未聞の事態をどうやって切り抜け、真実に迫ることができるのか。
出演者
福家警部補(強行犯第十三係 主任): 檀れい
石松和夫警部(強行犯第十三係 係長): 稲垣吾郎
二岡友成巡査(現場鑑識係): 柄本時生
田所勉警部補(強行犯第十三係 筆頭主任): 中本賢
木原幸信(聖南総合病院・眼科医): 林遣都
丸山陽子(聖南総合病院・外科看護師): 室井滋
荒川勉(ジェスター製薬株式会社・営業部次長): きたろう
スタッフ
【原作】
大倉崇裕(東京創元社/創元推理文庫)
【脚本】
麻倉圭司
【企画】
水野綾子
【編成企画】
清水一幸
【プロデュース】
貸川聡子
【演出】
佐藤祐市
【音楽】
横山克
【制作】
フジテレビ
【制作著作】
共同テレビ
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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