きょうの健康 大災害 命と健康を守る「心を支える」 2014.03.11

(テーマ音楽)皆さんの健康に役立つ情報をお伝えします。
「きょうの健康」です。
東日本大震災から3年が経過しました。
昨日からこちらのテーマでお届けしております。
今日のテーマは…今日お迎えした方をご紹介致します。
岩手県精神保健福祉センター所長精神科医の…黒澤さんは地域住民の心のケアに長年取り組まれ東日本大震災以降は被災された方々の心のケアにも取り組んでいらっしゃいました。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
さて今日お話を伺うのは心のケアでございますがまず東日本大震災の被災地の方々はどういう訴えが多かったと考えればいいんでしょうか?災害当初は眠れない不安こういった訴えが多かったです。
その後被害の状況が明らかになるにつれて特に身内を亡くされた方々はなぜ自分だけ助かったんだろうという自責の思いや悲嘆。
こういった感情を呈する事がありました。
また津波の恐怖のお話もされる人もいましたしそれから復興期以降になりますと生活が再建できない人とうまくいっている人のギャップが出ますのでその苦しみがあります。
また「私の気持ちは分かってくれない」という思いを持たれて引き籠もりがちで孤立してしまう事もあります。
こうしたさまざまな心の訴えがございますが具体的な身体的な健康の面にも大きな影響があるんでしょうね?そうですね。
特に昨年以降は頭痛や食欲がないそれからめまいやけん怠感こういった症状も増えてきています。
それからイライラしやすくなって家庭内の不和などのトラブルそういった行動上の問題も多くなってきています。
そうした体の問題への影響そして大きな心の影響でございますが災害のどういう事がこうした心の問題を引き起こすんだと考えればいいんでしょうか?まず災害以前から精神疾患や身体疾患をお持ちで治療をされていた人そういった場合。
それから災害時にこちらにありますような体験…こういった経験をされてしまう。
それから災害後の要因として避難所などの不慣れな環境…。
大きな変化がありますからね。
これに伴うストレスであったり対人関係のトラブルでソーシャルサポートを得にくい状態も影響します。
こうした震災以前震災時の問題それから災害以後の要因が関係し合って心の問題を呈すると考えられます。
こうした未曽有の体験そしてさまざまな生活の変化が心に問題をもたらしてくるんですね。
災害によるこうした心の問題を引き起こす事はかなり多くの人だと考えなきゃいけませんね。
そうですねとても多いです。
しかしながらそれは災害という異常な事態における正常なストレス反応というふうにも言える訳です。
強いストレスを受けたからこその反応だと?そうです。
ですから大半の人は回復していきます。
数か月を経て回復はしてくるんですが一部症状が長引いてしまう人がいらっしゃいます。
そうしますとうつ病であったりPTSDアルコール依存症。
例えばこのアルコール依存症ですと先ほど眠れないというお話をされる人が多いとお話ししましたが寝酒として習慣化してしまう場合があります。
特にひどい場合には自殺という事もありうる訳です。
こうした事が長引くと起きてくる。
この中でPTSDについて少し詳しくご説明頂きましょう。
PTSDは心的外傷後ストレス障害といいます。
死の恐怖などの重大な体験をしたあとその光景が繰り返しよみがえってきたり生々しく頭の中に浮かんでくる。
それからそれに関連した場所や会話を避けてしまったり不眠を呈したりささいな事に動揺したり集中力が低下するなどの症状が1か月以上続く場合に診断がつきます。
思い出す場所や会話を避ける。
例えば海を見たくないとかそういった事が起きるという事ですか?海外に行く事ができないとか…そういう事になります。
大きな津波に襲われた光景がまた繰り返しよみがえる。
そういった事でございましょうか。
それではここからはもし自分が大きな災害に遭った時に健康を崩しそうになった時にどういった対応をすればいいのかお聞きしたいと思うんですがまず最初にどんな事でしょう?まず1人で抱え込まないで相談して頂きたいと思うんです。
それで大きな災害が起きたあとは災害対策基本法という法律に基づきまして心のケアチームというのが立ち上がります。
これは精神科医や臨床心理士保健師などの専門職4〜5人から成るチームでしてこのチームが避難所を巡回しますのでそういった方々に声をかけて頂きたいと思います。
また電話がつながるようになりますと役所であったり関係団体による心のホットライン専用電話が開設しますのでそういう所を利用されてもいいんだと思います。
こうしたチームが実際に被災地を巡回するという事でございます。
こちらに写真がございます。
岩手県では実際に全国の30の心のケアチームが活動しまして9,681人の人がケアを受けられました。
こうして現場をお歩きになって聞き取りなどあるいはケアにあたられるという事ですから細かな対応でございますよね。
こうした心のケアチームは一体どういう事を被災者の人にしてくれるんでしょうか?まず面接をしまして丁寧にお話をお聞きします。
それによって不安も軽減されます。
また必要な人にはお薬の処方をします。
特に震災以前から精神科の治療をされていた人は治療は中断しない方がいいですからそういう方々は声をかけて頂きたいと思います。
お薬の処方などもして頂くというお話を伺いましたがちょっと気になるんですがこうしたケアにあたられる側の人も長く活動されますからやはり負担になってくるという側面もあるんではないでしょうか?ホントにそのとおりなんです。
実は支援にあたる人例えば役場の職員や自衛隊や救急隊員といった救援活動に従事する人も心の不調を呈します。
ただ彼らは自分がケアを受ける側になってはいけないと使命感をお持ちですからそれでケアが遅れがちになってしまいますので注意が必要です。
特に若い人や経験が浅い人の場合には上司の方の気付きが大事になります。
頑張りをしてしまいますものね。
支援する側だ救援する側だと自分の不調など訴えるべきではないとつい無理をするという事はやっぱり注意すべき点ですね。
今伺いましたような心のケアチームがそばにいない相談しようにもそういう人に会えない人はどうしたらいいでしょう?心のケアチーム以外にも医療のチームや保健師さんのチームそれから生活支援に関わるチームの人が巡回していますからそういう人に声をかけて連絡をとってもらえばいいんだと思います。
災害時に自分自身で心掛けてなんとか心の健康を保つようにしたいという…心掛けられる事ってどんな事でございましょう?まずこちらをご覧下さい。
大事な事は規則正しい生活をする事です。
最初は避難所を3か所4か所回らなければならない状況の人もいらっしゃいますからなかなか難しいんですがまずもってそういうふうにして頂きたいと思います。
例えば起きる時間とかそういう事ですか?そうですね。
起床時間をできる限り一定にするとかあとは服薬されている人はきちっと続けるとかアルコールは避難所では飲まないと…そういった事は大事だと思います。
食事の回数なども…。
食事もとれる時にはきっちりと3食とるという事です。
そしてこちらは?体を動かすという事は非常に気分の改善につながりますから是非体を可能な限り動かして下さい。
そして腹式呼吸が有効ですか?そうですね。
特に不安な時にはゆっくりとした腹式呼吸をされるといいんだと思います。
不安がとれるんですね?軽減されると思います。
一番最後の行はどういう事でしょうか?趣味を含めた楽しい時間日常の生活というものを是非再開して頂きたいと思います。
皆さん「自分は楽しんではいけない」とおっしゃるんです。
支援を受ける側なのでそういう趣味なんかしている場合ではないとか亡くなった人に申し訳ないとかそういう事をおっしゃるんですがあまり考え過ぎない方がいいと思います。
例えばこういう人がいらっしゃるんです。
男性の方で「うつ」を呈していたんですがもともと空手がご趣味だったんですがやっぱり災害後に家屋も失いましたので中断されていたんです。
それが最近空手を再開する事によって形とかをやり始めたんです。
そうしたら気分も改善してきましたし元気が徐々に回復してきたという事例もあります。
抑うつ気分も改善してきたと。
少しずつそのきっかけになったという事です。
リズムが出来てきたという…。
何て言うんですかね支援を受けている側なので「趣味などの楽しみを再開するなんて」と遠慮するお気持ちをお持ちになるという事は分かるんですがしかし支援をする側にとってもその人が元気になって頂く事が一番の目的ですものね。
是非楽しみの再開を心掛けられる方がいいですね。
さてサポートする側になった場合どんな心掛けがポイントになるのか教えて下さい。
確かに専門家以外の多くの人が心のケアに関わります。
大事なのは常識的な気遣いに基づいて寄り添うという事。
それから何か困難な時には専門家に素早くつなげるという見守る状況を作る。
それから復興期以降になりますとやはり孤立させない。
人との関係を作っていく事が大事だろうと思います。
岩手県では何か具体的な活動がございましたか?岩手県ですと例えば僧侶の方々が岩手の内陸の方から被災地の方に移動されてお茶を飲むサロン「お茶っこサロン」というんですがそういったものを開催して住民の方々の見守りを続けていらっしゃいます。
あとどうしても被災地とのつながりでございますかね孤立させないとありますが東北を離れてしまわざるをえない人はやっぱりいらっしゃいますよね。
ここ問題ですよね。
被災地から外に非難された人それから県外に転居された人そういった人は今申し上げたようなケアが手薄になるのでサポートを得る事ができない状況下にあります。
ですからやっぱり注意が必要になると思います。
寄り添う見守る孤立させない。
キーワードを3つ教えて頂きましたがサポートする側の方々が被災者と具体的に話をする時に注意しておきたい点はございますでしょうか?やはり根掘り葉掘り聞かない無理に体験を語らせないという事だと思います。
それでむしろホントに本人がお話をしたい時に話せる。
そしてそれを聞いてあげられる関係作りをする事が大事です。
根掘り葉掘り聞くという事はなぜよくないんでしょうか?やはりそれは本人が話したくないという事もありますので避けた方がいいと思います。
その人が抱えている心の傷をえぐり出すような結果になってはいけませんという事ですね。
黒澤さんは東日本大震災の被害が大きかった岩手県で心のケアの問題に取り組んでこられた訳ですがここで全国の皆さんへのメッセージがございましたらどうぞお願い致します。
3年たちまして多くの人は立ち直ってきましたが今もなおつらい思いをされている人もおりますしケアが必要な人もいらっしゃいます。
是非相談機関などに相談して頂きたいと思いますしそれから全国の方々には引き続きサポートの程をどうぞよろしくお願いしたいと思います。
まだまだ支援が必要な人が大勢いらっしゃるという事ですね。
どうもお話ありがとうございました。
「きょうの健康」明日はご覧のテーマでお送りします。
明日も是非ご覧下さい。
どうもありがとうございました。
2014/03/11(火) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 大災害 命と健康を守る「心を支える」[解][字]

東日本大震災で心のケアに携わった専門家に聞く。大災害では「心のケアチーム」が被災地を巡回するので、もし将来、大災害で心の健康を崩しそうになったら相談するとよい。

詳細情報
番組内容
東日本大震災で被災者の心のケアに携わった専門家に聞く。震災直後の訴えは「眠れない・不安」が最多。時間の経過に伴い、近親者を亡くした人は「なぜ自分だけ助かってしまったのか」という罪悪感、津波の恐怖がよみがえるPTSD、「生活が再建できない」という訴えが増える。大災害では、精神科医や保健師などの「心のケアチーム」が被災地を巡回するので、もし大災害で心の健康を崩しそうになったら相談するとよい。
出演者
【講師】岩手県精神保健福祉センター所長…黒澤美枝,【キャスター】濱中博久

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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