第37回創作テレビドラマ大賞 希望の花 2014.02.25

なんとも思ってないですけど、やはり自分も失敗したくて失敗してるわけではないので、それはちょっと、違うのかなというふうには思ったんですけど。
(大樹)私は…御社によりよい労働力を提供できるよう…。
できるよう…。
杉浦さんちゃんとこちらを見て話して下さい。
はい。
あの…。
あ〜もう駄目だ。
ただの模擬面接でも震えるようになっちゃって。
(舟木)大樹そんなに思い詰めるなよ。
だってもう100社落ちてんだよ。
そりゃ思い詰めるよ。
よ〜し。
気分転換に合コンでも行くか。
無理。
カンちゃんは一流商社マン。
俺は就職浪人だ。
あ〜…もっと自信なくしそう。
情けない顔すんなよ。
何かあったら俺が引っ張ってやるから。
(携帯のバイブ音)舟木です。
はい。
大変お世話になっております。
先日のお見積もりの件いかがでしょうか。

(千鶴)母さんの部屋は2階の和室ね。
(トヨ)今日からお世話になります。
何よかしこまっちゃって。
ただいま〜。
あおかえり。
ああ大樹。
スーツよく似合ってるじゃない。
ばあちゃん…。
どう?就職活動は。
今頑張ってるとこよね。
うん。
暑いから中入ってて。
うん。
あ大樹荷物お願いね。
ばあちゃんの荷物これだけ?みんな差し押さえられちゃったの。
寂しいわね会社が倒産するって。
うわ重っ。
何これ?こんな古いの捨てようって言ったんだけど。
よいしょ。
これいい写真。
旦那の隣にしようかな。
ちょっと千鶴。
そんなとこに飾らないでよ。
いいじゃない。
母さんの会社の記念なんだから。
何か遺影みたいじゃないの。
これからはのんびりしてよ。
趣味で造花でも作ってさ。
造花じゃないよ。
アートフラワー。
はいはい。
それに趣味じゃないよ。
手芸は商売だもの。
じゃあ何であんな道具とか材料とか持ってきたの?母さんまさかここで?ねえ大樹。
商売に興味ないの?ああ嫌だ駄目よ。
大樹に変な事言わないで!変な事?大樹はちゃんとした大きな会社に勤めるの。
ねえ?うん。
ここだってちゃんとした花屋じゃないの。
大丈夫よ大樹なら。
いい大学出てるんだし。
ごちそうさまでした。

(ヘッドホンから漏れる音楽)・大樹お風呂〜。

(ドアの開閉音)何…。
お風呂空いたよ。
うわ〜これちょっと大樹作ったの?まあ器用だね。
あ〜!ごめんごめんごめん…。
ごめんね〜。
「選考結果の…」。
ちょっと…。
そういう事もあるよ。
頑張んなさ〜い。
頑張ってるよずっと。
・ああ!人のもの勝手に捨てようとするからよ。
だって…あんなもん残しといたら母さん何するか。
何よ人聞きが悪い。
早く会社を畳んでおけば全部持ってかれずに済んだのよ。
あれだけ言ったのに母さんが意地張るから…いったあ…。
一旦商売始めたらそう簡単に辞められないもんだろう。
そんなの私だって…!ああ〜…!もう2人とも落ち着いて!どうしよう…。
花が駄目になっちゃう。
私たちが世話するよ。
ねえ大樹。
ええ?駄目…!余計な事しないで…。
やっぱり臨時休業にしようよ。
よしあらかた分かった。
え?ばあちゃん。
今日の予定は…。
え〜と木崎弓子様配達。
木崎…木崎様。
あ木崎様ならこれだ。
ちょっと。
大樹運転して。
ええ〜…。

(木崎)うわ〜すてき。
やっぱりまことフラワーさんにお願いして良かったわ〜。
これからもよろしくお願い致します。
(木崎)はい。
ありがとうございます。
じゃ失礼します。
お気をつけて。
木崎さんすごく喜んでくれたよ。
千鶴もしっかり商売してんだね。
うん。
大樹は店手伝った事ないの?母さんが手伝うなって言うから。
(携帯のバイブ音)こんないい働き手がいるのに。
あ!お待たせ致しました。
奥さん喜ばれますよ。
ビール1本増えますね。
ああそうですかね。
じゃあ1,000円。
ありがとうございます。
じゃあどうも。
またどうぞ。
ありがとうございました〜。
ちょっと出かけてくる!どこへ?面接!今から?いってきます!頑張んなさ〜い。
え〜と…。
おっと。
・もしもしまことフラワーでございます。
周防様?はい。
はあ?ふう〜…。
杉浦大樹と申します。
あの営業部の舟木寛太さんの紹介で面接に伺いました。
はい。
杉浦大樹様ですね。
少々お待ち下さい。
こちら受付です。
舟木寛太さんにお客様がお見えです。
確かに勤務先はカンちゃんの会社と同じビルだけどさ…ガードマンのアルバイトじゃん。
あしたから来てくれって言われて困ったよ。
いい人だろ。
俺好きなんだよなあの警備室長。
もうこういうのもういいから。
来てくれって言われたんだろ。
やってみろよ。
あの警備会社は上場してるし面倒見もいいんだ。
バイトから正社員になるパターンもあるし。
じゃあカンちゃんが会社辞めて入れば。
大樹…。
ばかにしてる。
あおかえり。
ねえ大樹このお花値下げしようと思うんだけど1本250円じゃ安すぎるかな?いいんじゃない。
(ため息)大樹!さっさと食べて片づけといて〜。
はあ〜…。
・お嬢ちゃんのお誕生日だから…うんとかわいいのにしましょうね。
ゆずは良かったねえ。
・はいまことフラワーです。
・結婚式場マリーベルと申します。
周防かれん様のご披露宴の件で何点か確認させて頂きたいのですが。
披露宴?・ええ。
・はいおまちどおさま。
ありがとう!さあパパに見せてあげようね!お天気で良かったね〜。
ありがとうございました。
パパびっくりするかな。
ありがとうございました。
ばあちゃん!ちょっと何これ。
え?結婚披露宴って何?何で勝手に受けてんの。
え〜私メール送るって聞いただけで。
いやこれがそのメール。
「今度の日曜に迫った私たちの結婚披露宴ですがお花の飾りつけを引き受けて下さり感激しております」って。
え〜日曜っていうと今日が…。
4日後だよ!もう早く断んなきゃ。
・ごめんくださ〜い。
いらっしゃいませ〜。
あの昨日メールをお送りした周防です。
周防さん…。
ああ…。
あのこの写真なんですけどこれ両親の結婚式なんです。
まことフラワーさんが飾って下さったんですって。
ええ〜…。
うちがですか?おととい母の思い出話を聞いてたらもうどうしてもこちらでお願いしたくなっちゃって急なお話なのに引き受けて下さってホントにありがとうございます!あのその事なんですけど…。
これ島津農園のカサブランカじゃないですか?あ…ちょっと待って下さい。
これでメインテーブルを飾ったらすっごいゴージャスになりそう。
確かに島津農園です。
いやそれは数を集めるのが難しいんで…。
それ母から聞きました。
あのころ珍しかったカサブランカをまことフラワーさんが一生懸命集めて下さったんだって。
ええ〜…。
お願いします。
どうか私の披露宴も島津農園のカサブランカでゴージャスに飾って下さい!精いっぱいやらせて頂きます。
今週分は出荷済み…あのそこを何とかなりませんでしょうか。
ああ市場か仲卸に。
分かりました。
どうも。
何で断んなかったの。
お客さんにあんなに頼まれて商売してるもんが断れる訳ないだろう。
だからってやった事ないのに。
あるよ!アートフラワーの飾りつけならいくらでも。
それって造花でしょ。
とにかくカサブランカを手に入れなきゃ。
母さんに話してくる。
駄目だよ〜!余計な心配かけるだけじゃない。
でも…。
・こんにちは〜。
あいらっしゃいませ〜。
カンちゃん…。
あお友達?舟木寛太です。
大学の同級生で。
パリッとしたお友達がいるんだね。
何の用?仕事で近くまで来たもんだから。
こんな住宅街に?ちょっと話したい事があって。
忙しいんだけど。
あ…。
手伝ってんだ。
まあね。
大樹カサブランカの花粉摘んどいて。
え?手伝ってくれるんだろう?・すみませ〜ん。
いらっしゃいませ。
あ失礼。
はいはい。
昨日は悪かったな。
いいよもう。
やれる事があるっていいな。
カンちゃんが言うと嫌みだよ。
ごめん。
もう行くわ。
俺も仕事しなきゃな。
いつ出るのかな。
そうだねえ…。
あの。
島津農園のカサブランカまだですかね。
(榎本)お宅誰?あまことフラワーです。
今日千鶴さんは?それがちょっと…千鶴の母です。
息子です。
(榎本)で?何が欲しいんだっけ?島津農園のカサブランカ。
島津は競りには出ねえよ。
え?んな事も知らねえのかよ。
はいありがとうございま〜す。
先輩!あのどうしたら手に入るんでしょうね。
ばあちゃん。
お客さんの結婚式で島津のカサブランカが大量に必要なんです。
うちも少ししかないよ。
来週また入るか問い合わせてみるんだね。
その結婚式今度の日曜なの。
ええ?今まで何してたんだよ。
実は…受けたのが昨日で。
何でそんな無茶するんだよ。
お客さんがどうしてもってうちを選んでくれたんです。
先輩なら断れますか?ええ…。
お願い致します。
(周防かれん)わあカサブランカが増えてる!これだけそろうとやっぱりすてき!ああのメインテーブルはこんなふうにもっとゴージャスにしてもらえます?かれんさんが描いたの?
(かれん)夕べ急にイメージが湧いちゃって。
ハート形なのねえ。
いやあんまり直前に変更しない方が。
大丈夫だよ心配性だね。
そうよ。
ちょっとアレンジしたいだけです。
このハートの中にカサブランカを集中させたらどうかしら。
(かれん)いいと思います。
あ大樹。
どう?うん。
これ頼まれたやつ。
ああありがとう。
でもごめんねこんな大事な時期に。
うん?忙しいでしょ就職活動。
まあぼちぼち。
ねえおばあちゃんどうしてる?え?ここんとこ見舞いにも来てくれないのよ。
この間言い過ぎたかな。
いや平気だよ。
ああ見えても落ち込んでんのよ。
家も会社も取られたんだもの。
ず〜っと商売一筋だったのに。
元気だよすっごく。
え元気?うん。
うん。
じゃあ毎日何してんだろ?さあ…。
そろそろ行かなきゃ。
ああもう?じゃああのここにある洗濯物持ってって。
あ…じゃあね。
あねえおばあちゃんに洗濯機使わないように言っといて。
はいはい。
最近ちょっと調子悪いから。
ただいま。
おかえり。
ちょうど良かった。
そのカサブランカケース入れといて。
おお〜一気に咲いたんだ。
これあしたまでもつの?そこ入れておけば大丈夫よ。
ねえ見て。
どう?これ。
へえ〜いいんじゃない。
こういうのお手のもんなんだ。
いいよなあ何でもできて。
え〜?何でもない。
・はい。
まことフラワーです。
あはいお久しぶりです。
え?病院?千鶴?大丈夫なんですか?意識は?どちらの病院ですか?はい。
分かりました。
すぐ行きます。
何?カンちゃんが…自殺しようとしたって…。
ええ…。
何で…。
どうなんですか?
(尚美)大丈夫。
今は眠ってる。
わざわざごめんなさい。
これ大樹君宛てだったから。
どうして…。
(尚美)会社の人の話では仕事うまくいってなかったみたい。
え…。
営業成績も悪くて…居場所がなかったらしいの。
そんな…。
(看護師)舟木さんちょっとよろしいですか。
失礼します。
僕なんかずっと見えてないよ。
カンちゃんがこんなんだったら僕はもっと前に死んでなきゃ。
ばかな事言うんじゃない!どうして希望が見えないのかねえ。
頑張っても認めてもらえない。
何をしても変わらないんだ。
見える訳ないよ。
ホントに変わんないのかい?え?だってさあ何があるか分かんないじゃない。
一緒に泣いてくれる人に出会うかもしんないし子供が産まれるかもしんないしまた笑えるかもしれないじゃない。
そんなの考えられたらこんな事になってないよ。
ばあちゃんとは違うんだよ。
ちょっと寄り道してくれない?ばあちゃん。
ここばあちゃんの会社…。
大樹。
失敗しない人間なんていないよ。
会社が行き詰まってたころ毎日不安でね。
不安?うん。
従業員の事やお給料の事やさっさと諦めて楽になれたらってフフ…思う事もあったよ。
でも諦めなかったんでしょ。
その結果がこれだ。
でもね私…何だかやってけそうな気がするんだよ。
何で?ぜ〜んぶ持ってかれちゃったけど…希望だけは取られてないんだ。
目の前の事を精いっぱいやってうんそれしかないよ。

(電気をつける音)停電?暑い…。
え〜…。
どうすりゃいいんだよ…。
ああ…。
はあ〜。
ああ〜…。
あらあ…。
ちょっと…ああ…。
何で?よいしょ…。
あ…。
途中で止まってる。
ああ〜…。
ごめん…。
母さんに洗濯機使うなって言われてたのに…。
ちょっと買い物行ってくる。
え?作るのよカサブランカ。
作るって?アートフラワー。
は?造花なんかであの人が納得する訳ないじゃん。
今できる事やるしかないだろ。
ばあちゃん!できる事をやるって…何だよもう!ばかやろう!花屋が花枯らしてどうすんだよ!すいません。
でもあの復活させるとか何か方法があれば教えて下さい!榎本さん!そんなのある訳ねえだろ!ったく!榎本さんの紹介で参りました。
まことフラワーです。
いやあこれだけしかないんだけど足しになるかなあ。
ありがとうございます!失礼します。
(店主)うん気をつけてな。
夜分にすいません!カサブランカの件で伺いました。
すいません!ばあちゃん10本手に入った!ああ!じゃあこっちは20作る。
温度良し。
湿度は…良し。
頼む…いっぱい咲いてくれ。
ああ…どう?榎本さんに教わったとおりやったけど…。
え?これが造花?そう。
アートフラワー。
すげえ…。
何でこんなん作れんの?これから始まったんだ。
え?昔食べるために花を作ってた。
ず〜っと作ってたら会社になってた。
ず〜っと…。
そうだね。
手伝ってよ。
え?プラモデルで慣れてんでしょほら座って座って。
いい?まず花弁。
ボンドをこの根元に横に一筋すっと付ける。
そしたらこの芯を合わせて根元。
こうしっかり接着させる。
でもこんなんじゃ間に合わないよ。
いいから。
まず一つ完成させてごらん。
うん。
やってるうちに手が覚えるから。
しっかり付けてはい。
うん。
あんたも私の血を引いてるね。
僕そんな図々しくないよ。
ハハハ手先が器用なとこ。
ねえ…ばあちゃんずっとこんなふうに働いてきたの?ず〜っと…。
大樹。
止まったら先へ進めないよ。
はい。
やった…。
ばあちゃん!やったよ!
(鐘)あらまことフラワーさん。
本日はおめでとうございます。
ありがとうございます。
今日はよろしくお願いします。
すいません!飾りつけが一部アートフラワーになってしまいまして。
え…アートフラワーって…造花?はい。
だってお店にあんなにあったじゃないですか。
カサブランカ。
すいません!枯らしてしまって…。
申し訳ございません。
どうして…。
何で今日になって…。
必ず本物より豪華に飾らせて頂きます。
・周防様そろそろお支度をお願いします。
お願いよ。
絶対きれいに飾って!周防さん…泣いてたね。
さもう少しだよ。
はい。
やるだけやったよね。
そうだよね。
あ…。
ばあちゃん?喜んでくれたかなあ。
荷物それだけ?
(舟木)いろんなもん捨てたから。
何かカンちゃんさっぱりしたね。
(舟木)そうか?まあいいんだけど。
実家に戻って仕切り直すよ。
うんおばさんによろしく。
うん。
ああ…。
あの…ありがとうございました。
ああ…笑えるようになったんだね。
はい。
似合うなそのエプロン。
え嫌み?んな訳ないだろ。
じゃあな。
うん。
・ちょっと大樹!まだ休んでなよ。
これ何?え?私の留守中に2人で勝手な事して。
はあ…変だと思ったのよ。
大樹は花の勉強したいなんて言い出すし母さんはアートフラワー売るって言うし。
ばあちゃん!ばあちゃん見て。
(かれんの声)「素敵な飾りつけありがとうございました。
トヨさんの花は持ち帰りました。
いつまでも枯れない花一生に一度の記念です」。
これって成功だよね?喜んでもらえてるよね?もう何か言ってよ!初仕事お疲れさんでした。
ばあちゃんもお疲れさまでした。
わあ〜…ついにやりきったなあ。
大樹…。
良く見えるね。
何が?そうだね。
2014/02/25(火) 22:00〜22:45
NHK総合1・神戸
第37回創作テレビドラマ大賞 希望の花[解][字]

就職浪人中の大樹(中村蒼)は会社巡りを続けるが一向に内定を貰えずにいた。そんな折、祖母のトヨ(渡辺美佐子)が家に転がり込んできて、様々な困難を大樹にもたらす…。

詳細情報
番組内容
第37回創作テレビドラマ大賞の受賞作。就職浪人中の大樹(中村蒼)は、花屋を営む母・千鶴(藤田朋子)の期待を背に会社巡りを続けるが、一向に内定をもらえない。そんな折、祖母トヨ(渡辺美佐子)が家に転がり込んでくる。経営していた手芸店が倒産したのだ。落ち込んでいるかと思いきや、千鶴がギックリ腰で入院したのをいいことに、トヨは勝手に花屋の手伝いを始める。そして結婚披露宴の装花を引き受けてしまうが…。
出演者
【出演】中村蒼,渡辺美佐子,中尾明慶,吉田桂子,藤田朋子,宇梶剛士
原作・脚本
【作】藤井香織
音楽
【音楽】丸山和範

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

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