「自殺を考えてます。
抜け出せていません」。
「死にたい」。
「生きていたくない」。
今回「ハートネットTV」では20代の自殺をテーマに視聴者の皆さんからご意見を募集しました。
その数、およそ300件。
自分も死にたいと訴える若者たちの声で埋め尽くされました。
今、20代の自殺が深刻さを増しています。
1年間に自殺で亡くなる人はおよそ3000人。
自殺が、20代の死因の半数近くを占めています。
ほかの世代の自殺死亡率が減る中で増加傾向にある20代の自殺。
なぜ、死にたいという気持ちを彼らは抱くのか。
番組にメールをくれた人たちに会ってその訳を聞くことにしました。
私が最初に連絡を取ったのは「人生がしんどいし、つらい。
毎日死にたいと思う」という女性でした。
彼女と会ったのは1月中旬。
があ子さん、27歳。
一見、深刻な悩みを抱えているようには見えませんでした。
今回、初めてですか?こうやって話してくれたの。
そうですね、初めて話しました。
あんまり情けない自分は見せられない。
見せられないっていうか情けないんですけどね…。
があ子さんは大学を卒業後非常勤で教育関係の仕事をしています。
月収は13万円。
実家暮らしで生活に不自由はありません。
しかし、自立できていない自分にふがいなさを感じ死にたいと思うようになったといいます。
もう未来が見えないから死にたいですね。
もう、こんなんだったら自分は生きている価値がないなっていうふうに考えてしまうことがあります。
やっぱり社会に出たからには…っていうのに自分は、まだ到達できていないしこれからできるのかって言われると、すごく不安ですね。
冷たいし暗いし先、分からないしここはどこだか分からないし…。
どっちに向かってったらいいのか分からないし。
必死に、もがくんですけど結局、それがいいのか悪いのかも分からない。
だったら、もう…こうありたいと願う生き方ができず、もがく中でがあ子さんは今の自分を否定し生きる意欲を失っているように感じました。
次に訪ねたのは人間関係の悩みから死にたいとメールをくれた男性です。
こんにちは。
あ、こんにちは。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
もものふさん、二十歳。
一人暮らしの大学3年生です。
教師を目指しています。
もものふさんが番組にくれたメールです。
「主に人間関係で悩んでいます。
周りの人たちはみんな優しく独りぼっちというわけではありませんが気持ちの浮き沈みが激しいこともありいつも自分から関係を悪くしてしまいます」。
この先、またほかの人と仲よくなったりするかもしれないですけどそうなったときも…ずっとつらい思いするくらいならもう正直、早く死んでというか…基本的にはその将来の夢と希望…頑張ろうっていう気持ちがいつも上にはあるんですけどなんかふとしたきっかけがあると…。
人間関係うまくいかないことが続くとだんだん、だんだんその差がなくなっていってあるときに、がたんと…私が会った20代の2人は深く傷つき、悩んでいました。
しかし、その原因は一見、ささいなことのようにも感じられます。
なぜ彼らは、死にたいとまで思い詰めてしまうのでしょうか。
若者と自殺について研究している医師に話を聞くことにしました。
一見、ささいなことで死にたいという方たちの多くが小さいときから家族の中であるいは友だちの中でいろんな心の傷つきを体験しそれが積もり積もってるなっていう気がするんですよ。
何か、ものすごいことが一回、あったというよりは本当に積もり積もってるんです。
そのたびにやっぱり自分は、だめなんだ。
やっぱりいないほうがいいんだ。
消えたほうがいいんだっていう確信を強めていく。
彼らの心は、いわばもう水がいっぱい入ってるコップ。
表面張力でかろうじてコップから水がこぼれないでいる状況。
だから、上から目薬一滴垂れてもこぼれちゃうんですね。
自殺対策に取り組むNPO法人ライフリンク。
若者の自殺の背景を明らかにしようと東京都の委託で実態調査に乗り出しています。
自殺の背景には生い立ちの問題が深く関わっているのではないか。
ライフリンクは、実際に自殺未遂をした人たちや遺族に聞き取りをすることにしました。
1月末。
二十歳の女性が調査に応じてくれました。
女性は、これまでに2度大量の薬を飲んで自殺を試みました。
実際に、その…自殺を試みたっていうのは?卒業してからなんだ。
自分は独りぼっちだと話す女性の生い立ちに何があったのか。
幼いころの親子の関係にまでさかのぼって話を聞いていきます。
帰ってこない?9歳のころ?
(女性)はい。
(清水)その、首絞められてっていうのは、どういうこと?子どものころから親に大切にされていないという気持ちを積み重ねて女性は育ってきました。
その体験が、その後の人生にどう影響しているのかさらに質問を重ねます。
有用感、ご自分がなんか役に立っているとか必要にされてるっていうような感覚が全くないのがゼロです。
満たされてるっていうのが10とすると、どんな感じなの?高校生のとき?
(女性)…だけ。
(清水)…だけ、何?5ぐらい。
あとはゼロ。
その高校生のときっていうのは?なるほど。
生徒会長やってたんだもんね。
(女性)はい。
(清水)そのときは?それ、何年生?じゃあ高2のときが5?
(女性)はい。
(清水)あとは?ずっと?今も?
(女性)はい。
自分を大切にしたいなっていう感情は、どう?うーん…すごく深刻に悩んでるな、彼女。
でも私、すごい気持ちが分かることがいっぱいありましたね、なんか…。
いや、でも、ねえ、一見なんかささいなことっていうナレーションあったけど本当に本人にとったら全然、ささいじゃなくてやっぱり本当にそこが苦しくて、苦しくてしょうがなくて、逃れなくて…。
うーん、私も本当悩んでたなとかうん…今、すごい考えました。
(小島)私も20代のときに自分が大っ嫌いであまりにも自分が大っ嫌いすぎて。
あの…摂食障害だったんですけどその摂食障害な自分も嫌いで。
嫌いで…自分が嫌いすぎて摂食障害になったけど摂食障害になった自分もさらに嫌いで。
でもね一見ささいなことってあったの本当に人が聞いたら、たぶんなんか甘えてるとかあなた恵まれてるのにあなたより大変な人はもっといっぱいいるのよって。
(はるな)言われる。
(小島)言われちゃうことだったと思う。
だから、言えなかったし悩む自分が悪いんだって思ってたんですね。
清水さん、VTRの中でああやって若い人にすごく親身にお話を聞いていらっしゃるんですけど20代の方が自殺を考えるまで追い込まれてしまうのは一体なぜなんでしょう?
(清水)図にするとこういう形になると思うんですけれども人は生きていくうえで生きることの促進要因とわれわれ呼んでるんですけれども自分自身を大切にする気持ちであったりあるいは信頼できる人間関係やあるいは将来の夢だったりやりがいのある仕事だったりってこうした支えが…生きることを支えるものがあるわけですけどそれよりも上回る阻害要因を抱えてしまったときに自殺のリスクが高まるんだと。
若年世代の場合はただ、この阻害要因がそれほど大きくない。
まあ、はたから見ると。
はたから見るとですね。
多額の借金を抱えているとかあるいは失業して、生活苦に陥っているとか、確かにそういう若者もいるんですがそうではない若者の自殺も増えている。
なぜだろうといったときにこの促進要因が実はものすごく小さくなってしまっていると。
削られてしまっているということがあるんじゃないかと思います。
実際にもメールで、死ぬ理由がある、ないではなくて生きる理由がないっていうメールが結構きたんですよね。
(はるな)なんか、よく夢がないとか夢が持てないとか生きてても楽しくないとかって本当、若い世代が言ってるのをよく聞きますけどね。
(清水)若い人たち話、聞いてて感じるのは夢がないというだけでなくってなんとか自分が排除されないように、仲間外れにされないようにするので必死。
(小島)もしかしたら大人からのメッセージが…それは親なのか学校なのか分かりません。
メディアかもしれませんけど聞き分けがよくてよい子でなければ受け入れませんよっていういろんな有形無形のメッセージがあって絶対に受け入れてもらえるポジションに自分をなんとか当てはめないと見捨てられちゃうっていうことで手いっぱいなのかなって。
その促進要因が小さいのっていうのは調査で見えてきたものってあるんですか。
小さいころにやはり虐待を受けていたとかあるいは、いじめを受けていた。
そうする中で最初は、やはりつらい思いをするわけなので最初は助けを求めたりもするんですね。
学校の先生であったりあるいは保護者、親であったり。
ただ助けを求めたにもかかわらずそれはあなたが悪いんじゃないのとかあるいは気にしすぎじゃないのとかっていうふうに、ちゃんと受け止めてもらえなかった。
せっかく打ち明けたのにそれでも自分が悪いと言われてしまうのか。
自分は悪いのかと。
だったら、こんなことを言われるぐらいだったらもう打ち明けないほうがいいやと思って相談もなかなかできなくなるしづらくなる。
(小島)周りから見たらそんなのどっか自分で相談に行きなさいよっていうことでも本人には、とてもその可能性が見えないってことってきっとあるんだと思うんですよね。
だから、どうにかしてその人にうまく何か助けの手がたどりつけば伸びてくればいいのになとは思う…。
はい。
そういう20代の皆さんにとってもこういう相談窓口はあるんです。
でも、支援を受けるには基本的には本人が相談に行かないとつながらないのが現状です。
そうした中インターネットを使って声を上げにくい若者たちがみずから働きかけて具体的な支援につなげようという試みがあります。
沖縄に暮らすユキさん、23歳。
去年の夏偶然、インターネットであるサイトと出会い自殺を思いとどまりました。
死んでたと思う?
(ユキ)うん…。
以前から友人とのつきあい方に悩んでいた、ユキさん。
大学時代公務員の採用試験に失敗し卒業後、死ぬことばかり考えるようになりました。
毎日のようにインターネットで「死にたい」と検索していたといいます。
そのときたまたま目にした広告であるサイトとつながったのです。
それはインターネットを介しての無料相談、夜回り2.0。
この活動を始めた伊藤次郎さんは精神保健福祉士の資格を持ちこれまで精神科クリニックなどでうつ病の人たちの支援をしてきました。
(取材者)すごいですね。
(伊藤)うん。
これはやっぱり…伊藤さんは声を上げて助けを求められない若者とつながるためにこれまでにない方法を考えました。
それがインターネット広告です。
「死にたい」「自殺方法」など自殺に関連する単語を検索すると伊藤さんのサイトの広告「死にたくなったあなたへ」が自動的に表示されるようにしたのです。
この広告をクリックすると伊藤さんのサイトに誘導され相談のメールが送れます。
人に直接相談をする気力を失っていた沖縄のユキさんはこの仕組みで伊藤さんとつながりが生まれました。
「Jiroさん、はじめまして。
ことしの3月に大学を卒業して今まで引きこもっています。
将来に、なんの希望もありません。
私は、やっぱり死んだほうがいいのでしょうか」。
メールを受け取った伊藤さんはまずユキさんの気持ちを受け止めそのうえでユキさんの状況を判断するための質問をします。
何度もメールを交換し伊藤さんはユキさんが医療機関を受診したほうがよいと判断。
不安に答えながらゆっくりと受診を勧めます。
「男性の先生ばかりで少し怖いです」。
「初診ではいくらくらいかかりますか?」。
伊藤さんはメールでの心の相談だけで終わらせずその人に必要な支援が何かを考え行政や専門家、医療機関など現実の支援へとつなげることが重要だと考えています。
伊藤さんのアドバイスで心療内科を受診したユキさん。
それ以来、メールの内容にも変化が表れてきました。
夜回り2.0の活動に心理学の専門家として協力する末木新さんです。
伊藤さんの活動がこれまで支援につながらなかった人たちを救う有効な手段になると考えています。
インターネットを使って何がよかったかっていうとそういう状態にある人をこちらから情報テクノロジーを使って特定することができるということですね。
そして、こちらからその人たちに近づいて支援を届けようというふうなアクションを起こすことができると。
今までつながれてなかった相談できていなかったそういう人たちと新しくつながってそういう、今まで防げなかったものを防ごうって思ったときにはやっぱり重要な工夫なのかなっていうふうには思いますね。
うーん…先生の言ってた死にたい、死にたい、死にたいが助けて、助けて、助けてって…。
本当にインターネットってすごく便利だけど死にたい方法とか入れればそれも出ちゃうし…。
そうですよね。
たぶん、だからこそ価値があるというか。
ネットで「死にたい」とか「自殺の方法」って検索したときに検索した人がまさに死ぬ方法に早くたどりつけちゃったとしたらたぶん、そっちのほうにこう、引きずられていく。
でも、生きる道を選ぶための情報に先に触れることができたらそちらのほうを選ぶかもしれない。
でも、こうやってネットしかり、直接しかりそういう20代の若者から例えば、死にたいんですという相談を受けたら大人って、われわれってなんて答えたらいいんでしょうね。
死ぬっていう選択は、やっぱり私も何度も頭を打ちつけて…何度目かに死にたい、死にたい、死にたいもっと血がにじむまで打ちつけたりとかなんか、いっぱいしてきたけど死にたいって思う一瞬とあ、生きないとっていう一瞬って本当、一瞬なんですよ。
だからもう一日、生きてみようっていう一瞬のことの切り替えしの一瞬でこんなに、なんか楽しくてつらいことも、もちろん生きてるといっぱいあるけどでも楽しくて…。
うれしい、幸せな時間が増えると思わなかったら、あのときは。
そのときはね。
そう…。
(清水)どうしても子どもや若者たちから死にたいってことを言われるとわれわれもショックが大きくてそんなこと考えないでとか言ってしまいがちなんですけど。
ただ、死にたい消えたいっていうことばの裏にはどこか生きたいっていう気持ちも恐らくあるはずなので100%死にたいっていうようなことではなくてこれはまさに揺れ動いている。
そのときの生きたいっていう気持ちが本人のどこにあるのかそれを一緒に話を聞きながら探してあげて支えてあげられるようなそういう構え方が大事なんじゃないかなと感じてますね。
(小島)自分が摂食障害のあと不安障害になってカウンセラーの先生のところに行ってどうやら家族との関係が自分が生まれ育った原因なのかもしれないとか話を聞いてもらってる途中でそのカウンセラーの方が「あの…慶子さん、それあなたが苦しいなら苦しんでいいんですよ」って言ってくれて。
それを言われたのは初めてだったんですね。
で、スタートって「あなたが苦しいなら、痛いなら痛くていい、苦しくていい。
一緒に考えよう」って言ってくれる誰かが現れることなのかなって。
(清水)本人の状況によっては訴えやすいというかSOSを出しやすい受け皿というのは違うわけなのでだから、そういう受け皿をたくさんつくってしかも、そういう受け皿があるよということをちゃんと子どもたちに伝えていかないと受け皿に、たまたま出会えた人はよかったけれども出会えなかった人は支援を受けられずに追い込まれて自殺で亡くなるというようなことに今、なりかねない状況なので。
本人がメッセージをSOSを発しやすい環境をちゃんと大人がつくっていくっていうことが大事なんじゃないかと思いますね。
(はるな)選べるっていう。
(小島)では、あすは20代の人たちもスタジオに出演して一体どうすれば自殺に追い込まれずに若い人が希望を持って生きていける社会にできるのか。
引き続き、考えます。
きょうはどうもありがとうございました。
2014/02/25(火) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV シリーズ 増える20代の自殺 第1回「私たちが死にたいわけ」[字]
近年、増加傾向にある20代の自殺。20代の死因のおよそ半数を占める。番組に「死にたい」とメールを寄せた若者たちの声や、NPOの実態調査をたどり、自殺の背景を探る
詳細情報
番組内容
近年、増加傾向にある「20代の自殺」。20代の死因のおよそ半数を占める。なぜ若者たちは自殺に追い詰められるのか、その背景は未だにはっきりと分かっていない。番組でメールを募集したところ、「死にたい」「生きるのがつらい」という若者たちの声が200件以上寄せられた。番組ディレクターが声を寄せた人たちを訪ね、NPOが行う実態調査にも同行取材。20代の自殺の背景とその処方箋を考える。
出演者
【出演】小島慶子,はるな愛,NPO法人ライフリンク代表…清水康之,【キャスター】山田賢治
ジャンル :
福祉 – その他
福祉 – 高齢者
福祉 – 障害者
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