行く手を阻む、思わぬ大雪。
多くの命が危険にさらされました。
東日本を中心に襲った記録的な大雪。
25人が亡くなり孤立状態に陥る集落も続出。
物流も途絶え店先から商品が消えました。
みるみる降り積もる雪。
混乱の要因となったのが車の立往生でした。
いつ解消されるか分からないまま立往生は72時間以上に及びました。
広い範囲で長時間にわたって続いた空前の立往生は、なぜ起きたのか。
予想を超える災害にどう向き合うのか。
立往生に巻き込まれた人々の証言をもとに考えます。
こんばんは。
「クローズアップ現代」です。
大雪に見舞われたときどうすれば主要幹線道路の除雪を迅速に進め車の流れが滞らないようにできるのか。
2月14日から関東甲信に降った記録的な大雪によって高速道路や国道など主要幹線道路は除雪が間に合わず次々と通行不能になりました。
多くの市町村が孤立した状態に陥り物流が妨げられるなど長期化した混乱。
中でも大雪の影響が最も大きかったのが山梨県です。
甲府市では1メートル14センチの積雪を観測し統計のある、この120年間で最も多くなりました。
雪が降りしきる中県外を結ぶ多くの道路が次々と遮断され、山梨県は事実上の孤立状態に陥ったのです。
まず14日、午後6時静岡に通じる国道358号が通行止めになりその30分後には東京に通じる139号、411号がさらに東西を結ぶ中央自動車道そして午後11時には並行して走る山梨県内の国道20号が通行止めになりました。
そのほかの道路も16日の午後9時までには遮断され県全域が孤立化するという異常事態となったのです。
混乱が長期化した大きな要因の一つが車の立往生です。
スリップ事故を起こしたり大雪で冬タイヤを装備しても身動きが取れなくなるなど山梨県では1000台を超える車が立往生し除雪作業の妨げになりました。
車の立往生は、なぜ多発したのか。
主要幹線道路の通行を守るために大雪に対する備えはどうあるべきか。
山梨県の大動脈中央道と国道20号で何が起きていたのかを検証しました。
2月14日国道20号の様子です。
朝から降り始めた雪は夜になると勢いを増し各地で1メートルを超える記録的な積雪となりました。
県内各地で車が立往生し多くの人が巻き込まれました。
当時、国道20号のトンネル内で立往生した水岸富美男さんです。
14日夜から25時間、閉じ込められ死の恐怖を感じたといいます。
立往生によって沿線の住民も命の危険にさらされました。
一体なぜ空前の立往生は起きたのか。
巻き込まれた人たちに取材を重ねました。
山梨県の東西を結ぶ大動脈中央自動車道。
車の流れが大きく変わったのは14日の午後8時。
大月インターチェンジから西側の区間の通行止めがきっかけでした。
中央自動車道を走っていた車は並行して走る国道20号へ流れ、多くの車で渋滞します。
午後10時車が立往生し始めました。
そんな中でも中央道には次から次へと車が入ってきました。
安藤直人さんもどうしても外せない用があり中央自動車道で、東京から山梨方面に向かっていました。
冬タイヤを装着し天気予報や交通情報をこまめに確認していました。
そのあとに入ったサービスエリアで思わぬ光景を目にします。
真っ白でしたね、一面。
雪が強まる中10台以上の車が動けなくなっていたといいます。
大月まではあと僅か12キロ。
安藤さんは先を急ぐことにしました。
30分後大月インターチェンジの2キロ手前で、安藤さんの車は動けなくなりました。
国道20号からの渋滞が中央自動車道にまで広がっていたのです。
しかし、八王子から大月の区間が通行止めになったのは午後10時半。
大月の通行止めから2時間半が、たっていました。
それまでに中央自動車道に入った車は次々と、立往生に巻き込まれていきました。
こうして大月周辺だけでも700台もの車が立往生するという事態に陥りました。
中央自動車道を管理する中日本高速道路です。
通行止めにするまでに八王子を通って山梨方面に向かった車は、作業車を含めて580台余りに上りました。
午後10時半より前に通行止めにしなかった理由について、中日本高速道路は国道20号は通行止めになっていないことから大月インターチェンジからの流出は可能と判断したと説明しています。
立往生は県内各地で長期化していきました。
JAFのドライブレコーダーの映像です。
雪の影響で、JAFには4万件以上の出動要請が来ていました。
しかし、救助の行く手は雪に阻まれます。
立往生したドライバーの中にはガソリンや食料が不足するのではないかという不安に駆られ車から離れていく人もいました。
立往生した車は除雪作業の妨げになりました。
除雪するにはまず車を移動させるスペースを確保しなければなりません。
先頭の車が進めるように周辺を除雪。
このように少しずつしか車を動かせないため作業には時間がかかりました。
うわー、怖いですね。
除雪が進んでも、中には両脇に雪がたまりすれ違うことができない場所もありました。
大きな課題を残した今回の大雪への対応。
立往生の解消には72時間以上を要しました。
今夜は渋滞など、交通障害の問題に大変お詳しい東京大学先端科学技術研究センター教授の西成活裕さんと、取材に当たりました首都圏放送センターの三宅記者と共にお伝えしてまいります。
まず三宅さん、今のリポートで、国道20号への流れが滞っていて、そして午後10時ごろには、立往生する車が出ていたと、そんな中で、サービスエリアにいた安藤さんは、そうやって大月に向かってしまって、立往生に巻き込まれてしまったんですけれども、サービスエリアで、こうしたきちっとした情報、把握することできないものなんでしょうか?
当時、安藤さんが立ち寄ったサービスエリアでも、情報提供というのは行われていたんですけれども、すでに通行止めになった情報だったんです。
安藤さんは取材に対して、大月インターチェンジ付近が渋滞しているといった情報が事前にあれば、出発しなかったかもしれないと話していました。
これについて中日本高速道路は、今回の改善策として、雪の最新の情報だとか、通行止めの見込みといった情報、こういったものをできるだけ早く提供していきたいというふうにしています。
1台でも立往生する車を減らさなければいけないわけですけれども、今回のケースを見ると、大月から先は、午後8時に通行止めになったと、しかし、八王子から大月間が通行止めになったのは、10時半だった。
2時間半の間、ずっと交通量があって、それによって被害が増えてしまったんではないかとも思えるんですけれども、もっと早く規制すべきではありませんでしたか?
それについて中日本高速道路は、国道、下道の国道20号線が通行止めになっていなかったので、八王子インターチェンジからの流入を規制しなかったというふうに答えています。
中央自動車道が、東京と山梨を結ぶ重要な役割を担っていて、当時は特に金曜日の夜だったということもありまして、中日本高速道路も、ふだんよりも厚い態勢で除雪を行っていたということなんです。
ただこの時間になると、雪の降る量がどんどんどんどん多くなってきまして、除雪が困難だというふうに判断しまして、その時点で八王子インターチェンジからの規制をしたというふうに説明しています。
専門家として、一番何が今回問題だったと思われますか?
そうですね、最大の問題点は、データが共有されていないということだと思うんですね。
道路が通行止めになっているデータは、さっきもおっしゃったように共有されているんですが、実はそこを車が何台、果たして通過しているのか、止まっているのかどうかっていう情報ですね。
車の通行量といいますけど、それは大月から下、降りた下道、国道20号線ですね。
そこを何台、じゃあ通過しているのかというのは、警察が管轄しているデータなんですね。
それは分かるんですか?
そうですね。
センサーがありまして、何台通過したかというのは、ちゃんと捉えられています。
それは警察なんですね。
じゃあ一方、高速道路を走っているデータというのは、高速道路を管理しているネクスコが把握しているデータで、この2つのデータがくっついてないんですね。
なので、下道がどれぐらい混んでいるのか、それが分からずに、上がどんどん動き続けるという、そういう状況になったんですね。
ある意味で、ちょっと縦割りの弊害だったと。
出る車に対して、入ってくる車が多いと、当然、渋滞しますよね。
そうなんですよね。
だから入ってくるのがインだとしたら、それが高速道路の量ですね。
出ていく車、下道の量、これは今回に限らず、高速道路の出口渋滞って、いっぱいありますよね、ですから連携というものが、まだできていないために起こってしまうと。
インとアウトをうまく本当はコントロールすべきなんですけど、それがうまくできていなかったということですね。
そうするとこうした大雪で刻々と状況が変わる中で、判断が遅れがちになるという傾向はありますか?
そうですね、やっぱり今の瞬間だけを見ると、まだ車がこれくらいだと、ですけど、車っていうのは、インとアウトを常にやってますから、時間とともに急に渋滞の長さって延びていきますね。
ですから今の瞬間ではなくて、ちゃんとインとアウトを予測して、予兆、予測をして、それで対策を立てていくと、そういうことで、今の瞬間ではないと。
そういうことがすごく大事かなと思いますね。
ただ、今回の取材を通して、三宅さん、18時、午後6時の段階で、甲府では49センチという記録的な大雪を、すでに記録してしたわけで、ただ、一方で東京から18時半に出発して、甲府に通ろうとしていた家族もいたということも分かっているんです。
やっぱりそうした出発をしないように、なんか情報提供ができなかったのかなぁっていうふうに思ってしまうんですけれども。
おっしゃるとおりで、道路管理者だとか、あと気象庁、こういった関係機関も、ドライバーに対して必要な情報を分かりやすく、そして迅速に提供するという、そして、注意を喚起するという必要は、これからより必要になってくると思います。
ただ一方のわれわれドライバー側も、今回の大雪ではあったんですけれども、雪に対する過信というのが絶対禁物だということだと思います。
今回の雪では、冬用のタイヤを装備した車が、雪で進まなくなったケースというのも非常に多かったんです。
どうしても外出しなければならない場合は、過信をせずに、そして、気象や道路の情報を逐一入手しながら進んで、そして臨機応変に対応していくということが求められると思います。
この大規模な立往生をどうやって未然に防ぐことができるのでしょうか。
今回、立往生が起きた道路周辺で大雪への対応策を事前に作っていた自治体がありました。
都留市です。
都留市では、雪が積もり始めた14日の夕方にいち早く降雪対策本部を立ち上げていました。
その背景には独自に作成したマニュアルの存在があります。
16年前、当時観測史上最多の大雪によって市民生活がまひした経験をもとにマニュアルが作られました。
そこで詳しく定めたのは除雪のルールです。
降雪が15センチ以上になった時点で委託している業者が除雪を開始。
除雪の順番は主要な市道から始め、バス路線集落間の連絡道路の順と決められています。
しかし今回、都留市はマニュアルでも解消できない課題にぶつかりました。
除雪が予定どおりに進まなかったのです。
市がまず除雪したい主要な市道は国道139号とつながっています。
その国道の除雪が進まないため市が委託した除雪車がスムーズに移動できませんでした。
国道の除雪は国の管轄。
国も対応に追われいつ除雪が入るか連絡が取れません。
そこで市は独断で国道の除雪を自分たちで行うことにしました。
しかし国道の除雪には丸2日かかり市が優先すべき主要道路の除雪に専念できませんでした。
こうした管轄の違いによる混乱を解消するにはどうすればいいのか。
アメリカ・ペンシルベニア州のアレンタウン市です。
市長のエド・ポロウスキーさんは道路の雪を一刻も早く取り除く体制を作ろうと去年、140ページを超える大雪対策マニュアルを作成しました。
通常、23センチ以上の降雪が予想された時点で市長は速やかに非常事態宣言を発令します。
市長の権限による「主要道路の駐車禁止」「放置車両の強制撤去」などをよりスムーズにできるようにし素早い除雪を可能にしたのです。
24時間以内に主要な道路の除雪を終えることが目標です。
これまで、うまくいっています。
除雪車には一台一台GPSを付けました。
このシステムで市はすべての道路の除雪状況を管理。
優先すべき道路に多くの車両を素早く向かわせることができます。
緊急時は管轄を越えて市が州の道路も除雪するとあらかじめ決めています。
こうした市内の道路の除雪状況は州の交通管理センターにも伝えられます。
高速道路の通行止めなどの判断を行うには、周辺の道路の状況を確認する必要があるからです。
州と市が連携し車の流れを決して止めないという方針を徹底しているのです。
自治体どうしの連携や連絡が最も重要です。
大雪が降る前、予報が出た段階で各自治体がどんな機材を持ちいざというときどんな協力ができるのか話し合っておくことが必要なのです。
今のリポートで、都留市ではあらかじめ除雪のルールを決めて、そして除雪する優先の順番まで決めていましたけれども、それがうまく機能しなかった。
そうですね、やはり、この国道と市道とか、そういったことが影響してたんだと思いますけど、運転手の立場からすれば、道路には色がついているわけがないわけで、一本の道ですよね。
しかしそれが違う所で管轄されていると。
そういうところで、こういう対応が遅れたりですとか、除雪車がうまく動かないとか、そういった情報の共有というのがお互いできていない、あるいはやり取りができてないというところが、問題でしたよね。
例えば市がさっと国道も除雪して、そしてそのあと、かかった費用などが払える、もらえると思ったら、どんどんやれるでしょうね。
そうですね、やはり周りが動けないのも、費用負担がはっきりしてない中で、動くと、あとでこの予算をどうするんだっていう話にもなりますんで、前もってそういうことを決めておくのも必要ですし、情報をとにかく、アメリカの例でもありましたが、一元化して管理すると、そうすると、全体を見渡して、効率のよい、じゃあ、除雪のしかた、効率のいい車の流し方っていうのを、意思決定者、あるいは現場の方が見て、全員が共有して、初めてうまく全体が流れるようになるはずなんですね。
市に権限が集中する仕組みになっているわけですね、情報も。
そうですね、現場に近いほうに、やっぱりすぐ動けるような態勢で、情報が集まれば、皆さん、意思決定が早いですからね、そこではね。
こうした渋滞を解消する、あるいは災害のときの、そうした立往生などを防ぐうえでの、この全体をふかんして見る大切さっていうのは、どういうふうに表現されますか?
そうですね、やはり今、どうしても縦割りで、情報があるんだけど、つながってないと、それを全員が共有する、やっぱりプラットフォームですかね、そういったものが、今、欠けてるので、全員が同じ目で、目線で、現状をリアルタイムで把握できる、そういう情報プラットフォームが今、非常に必要なんじゃないかというふうに私は思いますね。
でも、現場現場では、ベストを尽くしていらっしゃるんですよね?
みんな、よかれと思って、部分最適に走るんですね。
それはもちろん、皆さん一生懸命やってらっしゃる。
2014/02/25(火) 19:30〜19:56
NHK総合1・神戸
クローズアップ現代「大雪の猛威“空前の立往生”はなぜ起きた」[字]
記録的な大雪に襲われた首都圏。中央自動車道や国道などで車が相次いで立往生し、除雪作業を妨げた。“空前の立往生”とはどのようなものだったのか、証言と映像から迫る。
詳細情報
番組内容
【ゲスト】東京大学教授…西成活裕,【キャスター】国谷裕子
出演者
【ゲスト】東京大学教授…西成活裕,【キャスター】国谷裕子
ジャンル :
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:12517(0x30E5)