猫のしっぽ カエルの手 京都大原 ベニシアの手づくり暮らし▽熊野古道・高野山 2014.02.11

神々が鎮座する山と伝えられる紀伊山地熊野。
いにしえの昔から人はこの地を歩きさまざまに祈りをささげてきた。
長い時を経た今もここを訪れる人が途切れる事はない。
なぜ人はこの道に惹き付けられるのだろう。
京都・大原に暮らすベニシアさん。
以前からこの熊野古道に憧れていた。
(ベニシア)結構昔からそういう道があるって聞いて昔から来たいと思って。
世界中いろんな国にこの巡礼の道があるからやっぱり自分の人生で一回ぐらいちょっと大変だけど歩こうかっていう決心して。
熊野詣の中心中辺路から熊野本宮大社を目指す。
ベニシアさんの巡礼の旅。
いつもの旅とはちょっと趣の異なる自分の心と向き合う旅。
あれ?こんにちは。
(森)こんにちは。
この辺に住んでるんですか?はい近くに住んでます。
何か探してるんですか?これ榊っていうんですけど神様にお供えするものなんですがちょっと採ってます。
栄える木のいわれがある榊。
昔からこの場所に自生している。
でもたくさんあるねここだったら。
そうですねこういうふうに自然に生えてるものがね少なくなってきてるんで。
へえ〜いいですね。
持たれますか?はい。
はい。
へえ〜。
ちょっと変わったのでねこちらに香の花っていうのがあるんですよ。
香の花?これちょっと匂い嗅いで頂いたら…。
あっお香だから香。
すごい!そうですこれが自然の香の木っていうものなんです。
昔こちらでは死者は土葬だったんで土葬したらそこを獣たちが掘ったりしないようにこれを周りにぐるっとね敷き詰めて。
シキミというこの植物。
獣が嫌う香りを発する。
こちらにね牛馬童子像ってのあるんですけど。
へえ〜。
ここで生まれ育った森さん。
ベニシアさんに見せたいものがあるという。
これ小さいんですけどみんなおっきな像を思いますけど。
ああこれ。
はいこちらになります。
牛と馬にまたがった花山法皇さんのお姿。
平安時代ここを通った花山天皇を模したといわれる像。
巡礼の旅は馬のように速く牛のように粘り強くという思いが込められている。
牛と馬にまたがってっていう事はありえないんですけどそれがまた神秘的な…。
ああそうやね。
歩いてる方はここへ来るとやっぱほっとするってよくねこの柔らかなお顔と何か…。
顔がすごい優しい形やね。
優しい顔なんでね。
小さな出会いがうれしい巡礼の旅。
熊野信仰の精神を育んできたのは山や森といった自然への崇拝にある。
自然の中では全てが平等。
身分や男女の差別宗派に関係なく誰でも祈りをささげる事ができた。
長く険しい道のりは修行僧にとって修練の場であり時の権力者には繁栄を祈願する道となった。
そして庶民の間では巡礼の旅は行楽の旅でもあった。
途中の宿場町では歌会や舞踏が催され参拝への清めと旅の疲れの癒やしに温泉につかる。
娯楽の少なかった時代熊野の大地は人々に生きる喜びも与えていた。
巡礼という名の心安らぐ旅路。
すごい。
集落があるんやね。
すごいここ何か。
へえ〜きれい。
すごい。
でもこんな集落があると思えなかった。
何かずっと森の中で歩くんかなと思って。
長い森を抜けると現れる山里の集落。
なぜかほっとした気持ちにしてくれる。
熊野古道はこの小さな集落を通って続いていく。
何か空気がいいですね。
何か空気がいい時はもう全然せきが出ない不思議な事でね。
こんにちは。
ああ〜畑やってるおばあちゃんいる。
こんにちは〜。
(平)こんにちは。
おばあちゃんいい野菜作ってるんやな。
はいそうです。
自分の食べる物全部作ってるんです?作ってるんです。
すごい偉い。
だから元気じゃない?そうです。
もう昔からようけ食べてそれで仕事したらええんよ。
結構たくさん作ってるんやね。
タマネギね。
これからまたジャガイモ植えるんです。
一番楽しい事は野菜を作ったり。
米も作ってるし。
これ皆孫やひ孫が食べてる。
あっそう孫のために作ってるの。
孫10人とねひ孫11人。
10人いる…。
私孫2人しかいない。
あっそうですか。
じゃあ今ひいおばあちゃんになってるのかな?ひいおばあちゃんや。
ねえ。
へえ〜。
でもこれ何ですか?これ高菜です。
高菜っていうんです。
高菜?これをお漬物にして。
漬物のために。
うん。
漬けるのにね7%の塩でこれ漬けてそしてお握り作って食べるんです。
ああそう。
お握りと漬物がまたちょっと面白い。
ノリの代わりに自家製の高菜漬けで巻いたお握りをベニシアさんにもお裾分けしてくれるという。
これ昔はこんなに大きいの漬けたんです。
こんな内容になって。
これおいしそう。
漬けただけでこうなってるの?一つ食べて下さい。
う〜んおいしい。
そうですか。
おばあちゃんも食べて。
おなかすいてない?う〜んすごい色がきれいやね。
う〜んホントおいしい。
おいしいですか?すごいおいしい。
めはりずしってねこれ大きいでしょう?それでねこう食べた時に目はって食べたらしいんです。
めはり。
めはりずし?目こうはったらしいんですよ。
食べる時目をはるほど大きく握ったからめはりずしという。
これ塩だけに漬けとくの?そうです。
塩だけですよ。
1週間から半月ぐらい。
これだけですごいおいしいのね。
おいしいですか。
初めて会ったおばあちゃんとお握りを頬張る。
風は冷たくても心はポカポカ。
人里を離れて再び森の奥深くへ。
巡礼の道はその繰り返し。
ああ〜やっと来た。
聖域への入り口を意味する…ベニシアさんも改めて旅の安全を祈願する。
あれ?ああ。
ええ〜すごいやん。
地蔵さんか。
わらが…冬の間に温かくなるために。
私もやろうかな庭で。
いいアイデアじゃないんですか?地蔵さん好きやね何か。
旅人を守ってくれるんやね。
自分の庭にある地蔵をふと思い出した。
ああ〜またあるな。
また地蔵さんがある。
この辺の地蔵さん幸せやね。
温かい。
何かシダが元気ですばらしいよね。
すごいね。
大原だったらまだ枯れてる。
こっち側すごい元気。
シダはダイナソーの時もありました。
すごい古い植物。
人間はいろいろすごい事やってると思ってるけど実は大した事ないかもしれない。
お邪魔してるかもしれない。
もうこのシダがちょっとすごいね。
これちょっとすごすぎるわ。
大きい。
すごいきれい。
へえ〜。
まさに手付かずの自然の道は歩く人を太古の昔へといざなう。
不思議やねこんな美しい場所であんまり誰もいないよね。
実際来ると全然違う。
風の音と風の匂いとかこの全ての光自分の目で見たらホントに幸せと思うのね。
だから昔の人それ知ってたのね。
だから2週間かけて歩いてきてそんで味わったのね直接。
それ味わったら何か感動する。
感動したら感謝するんやね。
歩いた人にしか分からない気持ち。
ここは自分も自然に生かされる身である事を思い出させてくれるそんな場所。
すごいね。
うわ〜すごい。
へえ〜。
鳥居があるのね。
一日歩き続けたベニシアさんの目に飛び込んできたのは自然の中に調和した…ゴールの熊野本宮大社まであと少し。
すごいな。
あっ鳥がいるやっぱりここ。
バックが全部山で何かこういう所見たらもうこれ以上地球…何か…削らないでっていうか何かもうあと残ってるのは自然そのまま次の世代と次の世代。
一番祈りたいのは地球を自分の孫とかひ孫にもっと美しい地球を残したいしね。
翌日ベニシアさんは高野山へ向かう事に。
途中小さな集落を歩く。
天空の里と呼ばれるこの場所は地上とはまるで違う別世界が広がる。
すごい所に住んでる。
何か…毎日楽しみは朝日が出る時とか夕方の時それを山からいろんな色が変わるでしょ?光も変わるし全てがいろいろ変わってるの毎日感じられるっていう事はすごいですね。
どんな所でも人は暮らしていく。
自然に教えを請いながら。
おはようございます。
おはようございます。
おじいちゃんここず〜っと住んでるの?働いてからそのまま。
林業の仕事してた?そう林業。
へえ〜でもすごいいい所。
今畑の準備?そうそう今春の準備。
でもすごい静かでよく動物来るかな?シカが来るかな?動物は毎日来とるでシカからね。
シシはもう毎晩ぐらい来とるよ。
イノシシ?うんイノシシは。
で何か狩りみたいにする…。
そんでこれ引いとる。
ここ入らない。
シシ入られんようにね。
すごい。
ちょっと2階見ます。
ああどうぞ。
すごい。
あの葉っぱ高菜かな?あそこ…あそこは菜種じゃないかな。
厳しい山の暮らしを幸せと思う人がいる。
あっおばあちゃんがいる。
こんにちは。
こんにちは。
おばあちゃん。
御苦労さんです。
すごいいい水やん。
菜っぱって美しいですよ。
菜っぱ?菜っぱ。
あれチンゲン菜かな。
そうですチンゲン菜菜っぱ。
これおばあちゃん作ってるの?はい。
これ水菜。
う〜ん私水菜大好き。
おいしいねこれ。
鍋にしたらおいしいよね。
ここの水は山から来てるのかな。
この水。
一番奥から来てます。
水が一番体に大切なものよね。
そうですね。
おばあちゃんも飲んでる?飲んでますずっと毎日。
毎日。
今いくつぐらいかな。
88。
うわ〜88歳。
そんな見えない。
子どもはいますか?5人います。
5人おお〜。
いいですね。
でも私空気がすごくいいと思うんで。
あっそうですか。
空気と水と羨ましい。
そうですか。
何もかもおいしいですよそんで。
やっぱり「住めば都我が里」いってやっぱり住んでたらよろしいんですよ。
「住めば都」。
自然に寄り添うここの暮らしは美しい。
果無集落から北へおよそ60km。
いくつもの山を越えた先には今日の目的地高野山がある。
ベニシアさんがここを訪れるのは2回目。
特に宗教を持たないベニシアさん。
でもここにはまた来たかった。
イギリスの貴族社会で生まれ育ったベニシアさん。
日々の暮らしに疑問を持ち続けていた。
19歳の時家を飛び出しインドへ。
そこで仏教の奥深さを知り祈る事の大切さを学んだ。
ベニシアさん旅の最後にこの地を選んだ理由がある。
いろんな国で地震とか天気が…。
ほんで今の祈りはホント地球のために祈りたいと思って祈ったらそのパワーが自然に入ると思うのね。
ホントに気持ちが大切。
ただ思うだけじゃなくて自分の心から願う事が大事だと思います。
ベニシアさんがやって来たのは無量光院という900年以上の歴史を持つ真言宗のお寺。
ああ〜覚えてるここやね。
こんにちは〜。
あのベニシアです。
お待ちしておりました。
お願いします。
ベニシアさん4年前ここで忘れられない体験をした。
毎日行われる勤行には国籍や宗教を問わず祈りたい気持ちがあれば誰でも自由に入る事ができる。
目を閉じていると不思議と心が落ち着く。
(読経)
(磬の音)日常では味わえない特別な時間。
(読経)60年近くこの寺で住職を務める土生川さんは宗教の枠を超えキリスト教やイスラム教との交流も積極的に行っている。
(読経)初めて会った時土生川さんを心の友と感じたというベニシアさん。
(読経)やっぱりお互いの宗教を勉強しないといけない…。
お勤めのあと土生川住職と対話。
今日も私すごく感じたよね。
今日朝すごいやっぱりバイブレーションがよかったから何か涙が出たんですよ。
(土生川)そう全てリズムサウンド。
ゆっくり呼吸したら何か自分の心を磨くっていうか穏やかな気持ちになったらすごく一日は幸せやね。
そういう意味でねコントローリングをしてね。
それが仏教が教えると思うのね。
私どっちかといったらその感じかもしれない。
キリスト教も大好きで仏教も好きで同じです。
ああ〜。
同じです。
ヨーロッパ人が東洋人の好みを持っても構わないし東洋人がヨーロッパの好みを持っても構わない。
自由です。
そういうふうになったらすごくすてきでしょう?ホントに神を感じる場所は私は心の中に感じる。
それが本来です。
ですね。
でも私たちは問題の方を考えるのね。
だから例えば今経済の問題心配するか人間関係の問題心配するとか。
やはり資本主義というのはこの人間が自己本位資本本意こうなってきたのはこれは一つのやっぱり時代。
ですけれども自身でつらいを思いをした事によって助け合うという事が出てくるために自分と他というもののある種の一体感が出てくる。
人を助けるという事はいわば自分を大きくするという。
自分がだんだん大きくなると宇宙大になるという。
「情けは人の為ならず」。
自分の好きな言葉をベニシアさんは思い出した。
熊野古道から高野山へ。
祈りながら歩いたベニシアさんの旅。
Dialogue:0,02014/02/11(火) 10:25〜10:55
NHKEテレ1大阪
猫のしっぽ カエルの手 京都大原 ベニシアの手づくり暮らし▽熊野古道・高野山[字][再]

紀伊山地の熊野古道を訪れたベニシアさん。時を経ても変わらない神秘的な自然の中をゆっくりと歩く。高野山の無量光院を訪ね、勤行に参加し、住職と祈りについて語り合う。

詳細情報
番組内容
紀伊山地・熊野地方。自然信仰が強いこの地を、かねて訪れてみたいと思っていたベニシアさん。熊野古道の古びた石畳や石の階段、露出した木々の根、時を経ても変わらない神秘的な自然に心を癒やされる。古道の途中、近露集落では、熊野の郷土料理を頂き、果無集落では自然と寄り添った暮らしを送るおばあちゃんの「自然は厳しくて優しい」という言葉に共感。高野山の無量光院を訪ね、勤行に参加し、住職と祈りについて語リ合う。
出演者
【出演】ベニシア・スタンリー・スミス,【語り】山崎樹範

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 園芸・ペット・手芸
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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