(テーマ音楽)正しい健康情報を分かりやすくお伝えする「きょうの健康」です。
今週のテーマは…という事で4日間胃や食道に起こるご覧のような病気を取り上げています。
2日目の今日はこちら…胃潰瘍って聞くとストレスがたまってるんだなと思ってしまいますが…。
そう思う人多いと思うんですが実は胃潰瘍のほとんどの原因は別にあるという事なんです。
詳しく聞いていきましょう。
今日お話を聞く方をご紹介します。
内科医で特に胃や食道など上部の消化管の診断治療がご専門です。
どうぞよろしくお願いします。
よろしくお願い致します。
胃潰瘍はよく耳にしますがどういう病気なんですか?胃潰瘍とは胃の壁の一部に穴が掘られてしまうような病気なんです。
胃の中には消化を助けたり食べ物と一緒に口から入った細菌を殺菌してくれる胃液があります。
この胃液は非常に強い酸なんです。
胃が溶けずに保たれているのはこの胃粘膜が胃液に対する抵抗性を持っているからなんです。
溶けない仕組みを持っています。
しかしながらその抵抗性が弱くなると少ない酸でも胃粘膜が傷ついて穴が掘られて胃潰瘍になってしまうという訳です。
潰瘍が出来ると胃の中はどんなふうになってるんですか?こちらの写真をご覧頂きたいと思います。
これは異常なしのきれいな胃です。
胃の表面は非常にツルツルしてきれいなんです。
こちらが胃潰瘍の人の胃の中です。
これ胃潰瘍なんですが真ん中に穴が掘られていまして周りが少しむくんでいると。
真ん中は組織が死んだあとのうみが白い状態でたまっていますので…白苔と呼ばれています。
こちらの方はかなり重症の胃潰瘍で出血しているところです。
ここに赤い糸のような筋が見えますがこれは血が勢いよく飛び出しているところがたまたま写っているんです。
見ただけでも痛そうですがどんな症状が起こるんでしょうか?では今ご覧頂いた胃潰瘍の写真の方57歳男性Bさんの例で見ていきましょう。
Bさんは3年前にみぞおちの痛みを度々感じるようになりました。
その半月後には黒い色の便が出るようになりどうき・息切れも出てきてつらくなり受診しました。
そして病院の待合室で診察を待っていた時の事突然黒っぽい色の血を吐いてショック状態に陥ってしまったんです。
すぐに内視鏡で検査をしたところおよそ3cmの大きな潰瘍が出来ていました。
Bさんは内視鏡治療で出血を止める処置をして緊急入院となりました。
やはり重症なんですね。
この方の場合は重症ですね。
胃潰瘍自覚症状としてはどういったものがあるんですか?代表的な自覚症状としてはむかつき胃の痛みがあります。
重症になると吐血黒かったり赤かったりした便を出す下血それらによる貧血などが起こってきます。
また穴が掘られるだけじゃなくて貫通して穴が開いてしまう。
せん孔といいますがその場合には激しい痛みを来してくる事があります。
先ほどのBさんの場合でいうとどうき・息切れというのもあったと思うんですがこれは胃潰瘍とは少し関係ないのかなと思うんですが…。
胃潰瘍の出血による貧血によってどうき・息切れが起こってきたという訳です。
原因について伺っていこうと思うんですが胃潰瘍はストレスが一番の原因だと思っていたんですが違うんですね?そうですね。
ストレスだけで胃潰瘍が起こるという考えは今ではないんですね。
胃潰瘍の原因は主に2つあるといわれています。
1つはピロリ菌です。
これが一番大きな原因で胃潰瘍の7割から8割ぐらいはピロリ菌によるものだと思います。
ただピロリ菌がいるからすぐに胃潰瘍という訳じゃなくてピロリ菌がいる人にストレスが起こった時に胃潰瘍になりやすいという訳です。
そしてもう一つの原因というのが…。
これは実は病気の治療に使う薬によるものなんです。
2〜3割は治療に使う薬非ステロイド性抗炎症薬NSAIDsと略しておりますがこの薬によるものだといわれています。
この薬は関節炎とかリウマチなどの治療に多く使われています。
ただ熱を下げる解熱あるいは痛みをとる鎮痛そして炎症をとる消炎などに効果のある薬なので広く使われています。
風邪で熱が出た時なんかはこの薬が使われる事も多いので一般の方も1度や2度はこの薬をのんだ事があると思います。
また市販薬ですね。
風邪薬では注意書きの所をよく読むと「胃潰瘍に注意しましょう」と書いてあるものも多いと思います。
この方が増えてきているんですか?ピロリ菌は減少していますのでピロリ菌による潰瘍は減っていると。
しかしながらNSAIDsによる潰瘍は増えているといわれています。
では詳しく伺っていきたいんですがまずピロリ菌ですね。
ピロリ菌がいるとどうして胃潰瘍になってしまうのでしょうか?ピロリ菌はヘリコバクター・ピロリという細菌です。
以前は強い酸がある胃の中にばい菌は住まないと思ったんですが自分の周りの尿素をアンモニアに変えて中和する事によってヘリコバクター・ピロリは胃の中で生き延びているという訳です。
ピロリ菌の感染によって胃の粘膜が障害されて炎症が起きます。
そして炎症が起きると胃の抵抗力が弱くなるので胃潰瘍になりやすいという訳です。
そうするとこのピロリ菌が胃にいる場合は取り除く事が大切になってきますよね?そうですね。
ピロリ菌に感染している人はピロリ菌の除菌治療をする事が大事です。
胃潰瘍にこれまでなった事のある人とかいつも調子の悪い人は一度ピロリ菌を調べてもしいれば除菌治療を行って頂きたいと思います。
除菌治療というのは具体的にはどのように行われるんですか?除菌治療はお薬を1週間のむ事です。
3種類のお薬を1週間継続してのむ事によって行います。
1つは2種類の抗菌薬です。
アモキシシリンという抗菌薬とクラリスロマイシンまたはメトロニダゾールという抗菌薬。
そして胃酸を抑えるプロトンポンプ阻害薬。
この3種類を1週間のむ事によって除菌が行える訳です。
一旦除菌してしまったら再発はないんですか?除菌してしまうとまず潰瘍は起こらないといわれていますのでどうぞ安心して頂きたいと思います。
そしてもう一つの原因が薬。
NSAIDsという事なんですがNSAIDsで胃潰瘍が起こるのはどういう事なんでしょうか?NSAIDsをずっと使い続けている人の調査をしたんですがずっと使い続けている人ではなんと15.2%の人に胃潰瘍がある事が我々の調査で分かっています。
使ってない人は1.6%なのでNSAIDsを使い続ける事によって約10倍の危険性があると考えられています。
NSAIDsは胃粘膜を守る働きを抑えてしまう作用があって胃潰瘍が起こりやすいと考えられています。
実はBさんもNSAIDsが原因で潰瘍を起こした事が分かっています。
Bさんは胃潰瘍を発症する前に約5か月前から脊柱管狭さく症という病気で痛み止めのためにNSAIDsを毎日のんでいた事が分かっています。
とは言っても…NSAIDsが原因だと分かったとしても治療に使っている場合って治療をやめる訳にはいかないですよね?そのとおりなんです。
実は消炎鎮痛剤として有名なアスピリンもNSAIDsの一つなんですがアスピリンの量を少なくする低用量アスピリンというのが今広く使われています。
この低用量アスピリンでも胃潰瘍になりやすい事が分かっているんです。
この低用量アスピリンは脳梗塞とか心筋梗塞などをやった人に使われる訳ですが低用量アスピリンを使うと血小板の機能が落ちて血が固まりにくくなると。
つまり血をサラサラにする効果をねらって低用量アスピリンを使い続けなければいけないという訳です。
そのためにNSAIDsとか低用量アスピリンを使い続けないといけない人は胃潰瘍を予防する薬を併せて服用する事が大切だと考えられています。
予防で使う薬はどういう薬になるんですか?基本的にはプロトンポンプ阻害剤という胃酸を抑える薬を使うんです。
特にこれまで1回胃潰瘍をやった事のある人あるいはお年を召した人は潰瘍になりやすい事が分かっているのでこの薬で予防する事が大事だと考えられています。
実際に胃潰瘍と診断された場合なんですがどんな治療になるんでしょうか?ではこちらで先ほどのBさんの例を見ていきましょう。
Bさんは胃の中で出血していたためまず内視鏡で出血を止める治療を行い再び出血するのを防ぐため絶食しました。
また胃潰瘍を治療する薬も使いました。
そして入院3日目出血は完全に止まり食事を開始。
10日後には退院しました。
Bさんは脊柱管狭さく症の痛み止めとしてNSAIDsを使い続けていましたので退院後も胃潰瘍の予防薬をのみ続けています。
出血がある場合はまず出血を止めるというところからスタートだったんですね。
出血がある場合にはまず内視鏡で出血を止めると。
ほとんどの場合成功するんですがどうしても成功しない場合には手術に移行する事があります。
また穴が開いてしまうせん孔という状態は緊急手術になると…そうやって対処しないといけません。
胃潰瘍を薬で治す場合なんですがどんな薬を使うんですか?まず胃酸を強力に抑えるプロトンポンプ阻害剤。
これはPPIといってますがこの薬。
あるいはH受容体拮抗薬Hブロッカーという薬を基本的に使います。
これに加えて胃の防御機能を高めるプロスタグランジン製剤とか胃粘膜保護薬を使う事もあります。
期間としてはどのくらい使い続けるものなんですか?基本的には症状がなくなるのは結構すぐなんですね。
3日4日1週間ぐらいで症状がなくなるんですが大体潰瘍が治るのは2か月ぐらいかかるといわれていますので勝手にやめずに継続して内服する事が重要です。
先ほどの写真にあったようなあの方でも大体2か月ぐらいかけると…。
ほとんどあれがちっちゃくなって潰瘍がはん痕化するといわれています。
では今日のまとめをお願い致します。
胃潰瘍の原因はほとんどがピロリ菌とNSAIDsであります。
まず胃の痛みがあったり調子が悪かったり潰瘍をやった事がある人は一度ピロリ菌を検査してもし感染していたら除菌して頂く事が非常に重要です。
またNSAIDsとか低用量アスピリンも非常に危ないんです。
ですから特に注意して頂いて高齢の人とかこれまで胃潰瘍をやった事のある人は特に注意して予防薬を内服する事が必要です。
ピロリ菌とNSAIDs。
これはしっかり覚えておく事が大事ですね。
どうもありがとうございました。
明日も是非ご覧になって下さい。
2014/03/11(火) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 胃と食道の病気 最新情報「胃潰瘍」[解][字]
かつてはストレスが大きな原因と思われていた胃潰瘍だが、原因の7〜8割はピロリ菌、2〜3割は痛み止めなどに使う薬と判明。原因によって治療が異なり、再発予防も大切。
詳細情報
番組内容
かつてはストレスが大きな原因と思われていた胃潰瘍だが、ストレスだけで起こることは少なく、主な原因はピロリ菌感染と、解熱や鎮痛に使う非ステロイド性抗炎症薬だとわかってきた。ピロリ菌感染が原因の場合は除菌することが大切。また薬が原因の場合は、可能なら薬をやめたり、胃酸を抑える薬を併用したりと、状況に応じて対処を行う。ときには手術も必要。症状が治まっても再発予防として薬物療法を継続することが大切。
出演者
【講師】兵庫医科大学教授…三輪洋人,【キャスター】久田直子,古賀一
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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