趣味Do楽 落語でブッダ 第2回「笑福亭たま“猿後家”〜笑いとお説教の関係」 2014.02.25

復帰してもすぐには長時間できないのが現状ですね。
保育所不足だけではなくて育児の補助や介護などで、人手不足を補うために外国人を受け入れることも検討されています。
政府は軽く女性の実態を正確に把握してきめ細かく応えていく姿勢が求められています。
岩田明子解説委員でした。
落語と仏教のコラボレーションでブッダのありがた〜い教えをご案内!落語はもともとお坊さんの「お説教」がルーツともいわれる伝統芸能。
実はブッダの教えのエッセンスがちりばめられている。
そこでお寺の本堂に東西の噺家がそろい踏み。
仏教にまつわる古典落語を披露します。
今回の噺家さんは上方落語の風雲児!成駒屋〜!も〜うれしい事言うてくれるやないかい。
開演です!今回の舞台は…「落語でブッダ」へようこそのお越しです。
番組講師の釈徹宗です。
落語を通じて仏教的に深読みをしていくというそんなけったいな番組です。
第2回は上方落語でいきます。
演目は…「後家」というのは連れ合いを亡くされた奥さんの事ですよね。
それが一体猿とどんな関係があるんでしょうか。
「猿後家」の登場人物はとある商家の後家さん。
「お家はん」と呼ばれています。
お顔が猿にそっくりで「猿」という言葉が大っ嫌い。
その商家に出入りする太兵衛はおべんちゃらが得意なお調子者。
何かとアドバイスをする番頭が絡みます。
まずは聞いて頂きます。
笑福亭たまさん「猿後家」よろしくお願いします。
丁稚が番頭に太兵衛の悪口を言っているところから話は始まります。
ありがとうございます。
笑福亭たまと言います。
あの〜番頭はん番頭はん!またそろそろ太兵衛が来よるのと違いますか。
太兵衛が。
ああ太兵衛さんか。
そうでんがな!またねあのお家はんにわざとらしいべんちゃら言うてね小遣いせびりに来よりまんねがな。
ほんまに腹の立つ!腹の立つ言うたかてええやないかいな。
太兵衛さんが来てくれたらウチのお家は機嫌がええねんさかいに。
そうかてあの太兵衛のべんちゃらわざとらしいにもほどがおまっせ。
こないだかてそうでんがな。
お家はんを見るなり「えっ!お家さまでございましたか!京のお千代さんかと思いました」こんな事言うてまんねんで。
京のお千代さん言うたらお家はんのずっと下の姪でっしゃないか。
今年16でっせ。
お家はん今年64。
そんなんね三回りどころかちょうど四回りも違いまんねんで。
ちょうど四回り違う京のお千代さんとお家はんなんぞ一緒のとこおまっか!干支。
そりゃまあそうでっけど。
せやけどね〜。
お前がしょうもない事言うさかいやないかい。
話ししてたら太兵衛さんが来はったわ。
もう仕事せんかいな。
太兵衛さん!太兵衛さん久しぶりやな。
へっへっへっ!これはこれはご無沙汰いたしております。
ご番頭さま。
太兵衛でございます。
あのお家さまは…あっ奥でございますか。
失礼いたします。
へっへっへっ!これはこれは太兵衛でございます。
お家さま。
ま〜太兵衛やないかいな。
これ〜太兵衛が来てますやないか。
お酒をつけてうなぎを焼きにやっておくれ。
あんた山椒は多めやったな。
へぇおおきにありがとうさんでございます。
いや〜お家さま今日もお美しゅうございますな。
いや〜べっぴんでございまして今日もきれいにお化粧がおできあそばしまして…。
え?何?素顔?素顔でございますか!さようでございますかお美しゅうございますな。
その素顔でございましたらどこへ行きましても16で通ります。
まあうれしい事言うてくれるやないかいな。
あんたにな褒められたら心がウキウキするやないか。
こそばいこそばい。
せやけどな〜あんたそれべんちゃらやろな。
べんちゃらではございません!ほんちゃらでございまして。
まあせやけどうれしいな〜。
これは僅かやけどな。
小遣いとっときなはれ。
おおきにありがとうさんでございます。
太兵衛の歯の浮くようなおべんちゃらにお家はんはすっかり有頂天。
太兵衛はごちそうになりながら伊勢参りから奈良を回ってきた話をこれまた得意げに語り始めます。
そうかいなあんた長い間顔を見せなんだ思ってたらお伊勢さん行ってたんかいな。
わたい一遍もお伊勢参りした事ないねやわ〜。
あんた一遍連れてってくれるやろか。
へぇ!お伊勢参りでしたらお家さまの手を引きましてあちらこちら詳しゅうにあないさせて頂きます。
初めは奈良で1泊でございます。
それやったらまあちょっと話しさせて頂きますと…。
ここら辺り一帯が興福寺の境内になっておりますねやがもうどうしても古い建物でございますんでホコリっぽうございまして。
わ〜ホコリっぽいな!まあそれはしゃあないで!ここは粉を…ふく…寺。
(笑い)
(拍手)いかがでございます?それからもうちょっと上へあがりますと東大寺。
ここは奈良一番の大きなお寺でございまして南大門という仁王門金剛力士像が2体東が湛慶西が運慶の作なんやそうで正面が大仏殿お身丈五丈三尺五寸という立派な大仏さんが鎮座ましましてございます。
この大仏さん昔から見るものにして尊ばずと言いましてあまりの大きさに拝むのを忘れてしまうんやそうでしてな。
うわ〜大きいな〜!立派やな〜!は〜!ほな次行こか。
ちょちょっと!あいつらそのまま行きよったで。
手合わしてへんで。
ああ…ほっとけ〜。
(拍手と笑い)いかがでございます?いよいよ興福寺の五重の塔を水面に映しまして「の」という字の形をいたしまして魚半分水半分竜宮まで届くという猿沢池。
それから…。
ちょちょちょっと待ちなはれ。
ちょっと待ちなはれ。
あんた今何を言うたんや。
…何でございます?池の名前何や言うたな。
池の名前は?あっ池の名前でございますか。
魚半分水半分竜宮まで届くという猿沢池…あ〜!何を言うてまんねん。
ウキー!頭から煮え茶を浴びせておくれ!ふえ〜!番頭はんしくじりました!番頭はんしくじりました!どないしたんばたばたと。
お家はんをしくじりました!太兵衛は番頭に「この店を出入り禁止になったら一家が路頭に迷ってしまう」と泣きつきます。
番頭は同じ失敗でお家はんの逆鱗に触れた又兵衛の事を話してくれました。
やつれきった又兵衛は美人の錦絵を持ってお家はんの前に行きおべんちゃらで機嫌を取り戻したといいます。
西国巡礼の守り本尊にいたしとうございます。
どうぞこの錦絵にお性根をお入れ下さいませ。
が〜っと突き出したその錦絵のきれいな事!お家はんとは似ても似つかんべっぴんや。
さすがにこれはやりすぎやわざとらしいにもほどがあるとわしは思うたな。
もうそのべっぴんの錦絵見るなりお家はん大きい声出してこれ〜又兵衛が来てますやないか!お酒をつけてうなぎを焼きにやっておくれ!機嫌直ったんでっか?また困った事があったらいつでもうちに寄りなはれ。
今までえらい苦労かけたやろな。
さあさあこれだけ小遣いとっときなはれ。
少ないけども。
財布をど〜っと渡しはったんや。
へえ!おおきにありがとうさんでございます!お家さまの機嫌が直りまして私こんなうれしい事はございません。
我々親子3人のもんはお家さまをしくじりましたら陸に上がった河童木から落ちた猿の…また猿が出てきたんや…。
せやけど番頭はんよう教えてくんなはった。
お家を喜ばすのには「べっぴんに似てる」これが一番効きますな。
昔からいてる有名なべっぴんの名前教えとくんなはれ。
昔からのべっぴんで有名言うたら小野小町か照手姫か衣通姫や。
他には?…中国唐土の方では玄宗皇帝の思い者楊貴妃てなとこか。
よう教えとくんなはった。
ほな行ってさんじます。
え〜お邪魔いたします!へっへっへっお家さま!何を白々しい事言うてんねや。
あんたほな池の名前何や言うたんや。
え?池の名前でございますか?魚半分水半分竜宮まで届くという深い池でございましてここへはまりますとさぞ命はないやろ思いますと皆ゾッゾーっと寒気がいたしますので誰言うとなしに「寒そぉの池」。
え?「寒そぉの池」!この「寒そぉの池」というのがお気に障りましたやろかな?聞き違いか?それからお家さまを昔からのべっぴんに例えますと!あんたいきなり何を言うねん。
どないしてん急に。
今ふと思いついたんでございます。
お家さまは小野小町か照手姫か衣通姫に似てございますな〜!まあうれしい事言うてくれるやないかいな。
それからまだございます。
中国唐土の方では玄宗皇帝の思い者によう似てございますな。
玄宗皇帝の思い者。
誰に似てんねや?「ようヒヒ」に似ております。
またしくじりおった。
(拍手)ハッハッハ!面白いですね〜。
さてこれがどのような仏教話に展開するのやら。
お疲れさまでございました。
ありがとうございました。
随分ウケてましたね。
めちゃめちゃウケてましたね。
温かいお客さんやったんで助かりました。
このお噺をやっててのってくるところってありますか?のってくる…覚える前は好きやなかったんですけど暇やから覚えたらものすごい好きな噺やった。
どの辺がお気に入りなんですか?好きというか逆にこの話によって現実を見た時に楽しくなったりしますね。
どういう事ですか?べんちゃらを言われてる側はどんだけわざとらしいべんちゃらでも分からないものなんですよ。
だから自分も年いくにつれて気つけなあかんなと思って。
横で見てたら「明らかに」というのんでも本人は気が付かないんですかね。
必ずこうやってますから。
ここに居てる時は。
アッハッハッハ!こっちを向いた時はこうやっててワーワーってやってて「ベー」やってんねんけどここ向く時は必ずこれになってたらみんながベロ出してる時も気付かないですよね。
こういう楽しみが「猿後家」には。
「猿後家」には!これ人間の…何て言うんですかね現代社会に通じる噺。
別に猿は記号みたいなもんで根底はべんちゃらを言うのとべんちゃらを人間はどこまでわざとらしくても受け入れてしまうという…。
見え見えでも。
見え見えでも受け入れてしまうんかなぁという笑いですかね。
それが現代的やなぁと思います。
「23」て。
も〜そんなべんちゃら言うてってそれはウソでしかないのにうれしいもんなんやなというのはやってて生きてきてそれは思いますね。
おべんちゃら一つで現代を見る!さすがたまさん!これおべんちゃらじゃありませんよ。
それべんちゃらやろな。
べんちゃらではございません!ほんちゃらでございまして。
今回「猿」というキーワードで巻き起こるドタバタですがこのお話の登場人物はおべんちゃら言うて結局はうまくいかないとか相手気持ちよくさせて飯食うていったろかという。
まあこの人もある種…そうそう。
べんちゃらだけで飯食うてますからね。
なかなかしたたかなすごい人なんですよね。
この人にとってはちょっとした失言は大きな日常生活壊すだけの破壊力を持ってしまうんですが仏教ほど言葉に対して警戒する宗教はなかなか珍しいんじゃないかなと私は思ってるんですよ。
これは日常生活を守っていきましょうねという仏教徒の十の心得ごとといいますか生活規範みたいなものがあるんですよ。
これを「十善戒」というんですがこの十のうち四つまでが言葉に関する事なんですよね。
「十善戒」とは仏教徒が日常生活で守るべき戒めの事。
「殺さない盗まない」など十の戒めがありますがそのうちの四つが言葉に関する戒めです。
仏教がいかに「言葉」というものを慎重に扱おうとしているか分かりますね。
仏教は古来から相手の気持ちになって慈しみの言葉をかける事を説いてきました。
ではどうすれば言葉は相手の心にしっかり届くのでしょうか?日本仏教ではブッダの教えを伝える説法の技術を師匠から弟子へと受け継いできました。
その中に「節談説教」と呼ばれる浄土真宗独特の技術があります。
一段高い高座に座り門徒衆に語るがごとく歌うがごとく情緒に訴えるお説教です。
指をくわえて軒に〜立つとね私子供の時分ね大体家で勉強した事ない。
観無量寿経様には観無量寿経様には称南無阿弥陀仏と下品下生の者におすすめられ汝この語をたもてこの語と申すは無量寿仏の御名ですぞとお釈迦様おっしゃって下さり…。
基本的には仏教ですから仏教の教えを説かなあかんのですけれどもそれを物語として語りますので宗教的な情感が高まってきたところでは抑揚が激しくなっていわゆる節がつく。
節と語りなので節談と呼ばれてるように思いますけど。
子供の時にこういうお説教を聞いてたもんですからこの節でずっとお話しされたらちょっとありがた感が…。
たまさん節談聞かれた事はあるんですか?いやお坊さんがやってるやつは聞いた事ないですね。
偽物しか聞いた事ないです。
今のお説教というのは割と講義のように理解してもらうというタイプが主流ですが明らかに情緒に訴えるといったそういう技術ですよね。
高座でお説教させて頂くと全員の顔が見えますから噺家さんも一緒やと思いますが前にいてる聴衆と語りながらコミュニケーションしてるんですよ。
人間のええとこも悪いとこも含めてせきららに描いて笑って終わるのが落語やとしたら我々はせきららに描いたうえで仏様のお救いを説くと。
そこが違うだけでやっぱり落語の世界と説教の世界というのは親戚のような。
先人たちが作り上げ伝承してきた「お説教」と「落語」。
2つはともに深いところで結び付きその伝える力を鍛え上げてきたのです。
釈の深読みコーナー。
ここは奈良・興福寺の前にある猿沢池。
あのお家はんを怒らせた池です。
釈先生は興福寺の高僧が作ったともいわれるある歌を取り上げました。
この猿沢池を題材にした歌がありまして……というのがあるんですよ。
猿沢池でポンポンと手を打てばそしたら鳥は驚いて「人が来た!」とダーッと逃げる。
鯉は餌もらえると思って集まってくる。
お茶屋の働いてる人は呼ばれたと思ってお茶を持ってくる。
なるほど。
この歌は一つの事でも受け手によってさまざまな解釈がある事を説いています。
言葉の受け取り方もまた同じ。
今回ね猿というキーワードでいろいろな思惑が動くわけでしょ。
「猿」って言ったらあかんてすごいこだわりありますからね。
「猿」言うたらあかんあかんと思ってるがゆえに言ってしまうとか。
これ言うたらあかんと思えば思うほど自分の中で大きくなる。
だから「楊貴妃」が「ヒヒ」なってしまったりとか「この場を去る」というのも動物の猿に結び付いてしまうという。
これはかなり具合の悪い事態だというふうに仏教では考えます。
仏教のお経って主なものだけで5,000以上あるんですがその中で最も古いと思われる「スッタニパータ」というお経があるんですがこの中に…おの…お能…「人生〜五十年」ではなしに?いやいや違うんですよ。
違うんですか?まき割りの。
つまり使い方を間違えたら人も傷つけるし自分も傷つけてしまうというそういう事なんですよね。
だから割と思った事をパーンと出すというのはあまりいい事とは考えないんです。
この言葉を言うべき人に言うというふうなそういうトレーニングを日々送る。
それが仏教の大きな特徴ですので。
これをしないとこの「猿後家」みたいにどんどんとドタバタへと進んでいくというふうに考えるんですね。
とりあえずポイントは…言葉は整えるんですができるだけ思いと大きくずれた言葉は使わないようにするというのをここのご一家に勧めたいと思います。
「猿後家」の…。
「猿後家」のご一家に!良かろうと思って言った言葉が相手を怒らせてしまったり何気ない発言で相手を傷つけてしまう。
受け手の性格や人生観によって解釈は全く違ってくるのです。
「猿後家」は慈しみの言葉からやや遠ざかりつつある現代に「口の中にある斧」の意味をかみしめよと教えています。
今回の内容はこちらのテキストに詳しく紹介されています。
今後の放送予定も掲載されています。
「もしも織田信長がひげをそろうとしていたら」。
猿猿!かみそりは?はっ!懐に当た…どぇ〜っ血だらけです。
よく晴れた日庭のテラスに出ていたソニャちゃん。
2014/02/25(火) 10:15〜10:40
NHK総合1・神戸
趣味Do楽 落語でブッダ 第2回「笑福亭たま“猿後家”〜笑いとお説教の関係」[解][字]

落語を通してブッダの教えを学ぶ教養エンタメ番組「落語でブッダ」。第2回は人気実力うなぎ昇りの落語家・笑福亭たまが落語「猿後家」を披露。釈徹宗の名解釈やいかに?

詳細情報
番組内容
落語を通してブッダの教えを学ぶ教養エンタテインメント番組。第2回は、上方落語家・笑福亭たまが古典落語「猿後家(さるごけ)」を披露する。猿に似た商家の後家さんは「猿」のつく言葉を聞くと激怒する。そこに歯の浮くようなおべんちゃらで小遣いをせびる太兵衛が現れて…。仏教の名解説者・釈徹宗は、この爆笑落語を仏教的にどう解説するのか? キーワードは「人は口の中に斧(おの)を持って生まれてくる」。
出演者
【出演】落語家…笑福亭たま,【講師】如来寺住職・相愛大学教授…釈徹宗,【語り】三宅民夫

ジャンル :
趣味/教育 – 生涯教育・資格
ドキュメンタリー/教養 – 文学・文芸
劇場/公演 – 落語・演芸

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

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