ハートネットTV シリーズ 難病と向き合う 第1回「どう支える 難病医療」 2014.02.10

モハメド・アリです!
(拍手と歓声)元ボクシング世界チャンピオン…手足が震える難病パーキンソン病の患者です。
落語家の林家こん平さんも難病を患っています。
体のあちこちに麻痺などが起きる…私もやりますんでよろしゅうお願いしま〜す。
国内には500種類以上あるといわれる難病。
しかしそのうち国による支援が受けられる病気は僅か56種類です。
ジストニアという難病を患う男性。
国の支援の対象外で長年病名すら分かりませんでした。
国は今40年ぶりに難病対策の抜本的な見直しを進めようとしています。
新たな制度は難病を患う人々の暮らしを改善できるのか。
患者たちは厳しい目で見守っています。
いつ誰に発症するか分からない難病。
その患者を社会でどう支えていくのか。
今日から2回シリーズで考えます。
実におよそ40年ぶりに国が大幅な見直しを行う難病対策。
既に新たな制度の方針が示され今国会で議論されます。
「シリーズ難病と向き合う」第1回の今日は医療費の助成について考えていきます。
まずは難病とはどういった病気を指すのかこちらご覧下さい。
その難病対策の見直し注目は国が医療費の助成を行う難病の数です。
これまで国の医療費助成の対象は56の病気に限られてきました。
例えば潰瘍性大腸炎やパーキンソン病などです。
それが今回このように300種類程度に大きく広がる見込みです。
この背景にはこれまでの難病対策では国の支援を十分に受ける事のできなかった人たちの存在がありました。
その実態からご覧頂きます。
奈良県に暮らす…ジストニアという病気を患っています。
左手がひきつって思うように動かす事ができません。
一日中力が入ったままの状態のため極度の疲労感を覚えると言います。
自動車の修理工として働いていた吉村さん。
7年前突然小指がつったような違和感に襲われました。
地元の病院を20か所回っても原因は分かりませんでした。
病気が国の支援の対象外であまり知られておらず正確な診断を下せる医師がいなかったのです。
2年後看護師だった姉の勧めで徳島大学病院の医師を訪ねます。
ここでようやくジストニアという難病だと診断。
片道5時間かけて通う事になりました。
グー。
パー。
パーがしにくいね。
はいグー。
はいパー。
しかし発症から既に2年。
症状は左手全体に広がり仕事にも支障が出ていました。
吉村さんの主治医梶龍兒さんです。
ジストニアの数少ない専門医として日本中から訪れる患者を診察しています。
手首の動きをコントロールできず字を書く事ができない女性。
首が左に向いたまま元に戻せない男性。
ジストニアは国の支援の対象に入っていませんが日常生活に大きな支障を来す病気です。
職業的もしくは社会的な生命が失われるというふうな危険がある病気であります。
まだいわゆる難病医療の救済制度としては確立していないのでなかなか一般の先生方もしくは社会に対する認知度は少ないと思います。
吉村さんは3か月に1度徳島に通い筋肉のこわばりを緩める注射をうっています。
一時的に症状は和らぎますが完治の見込みは立っていません。
国の本格的な難病対策が始まったのは1972年。
スモンという病気をきっかけに治療方法の研究と患者の医療費を助成する事業が始まりました。
国は医療費を助成する病気の数を年々増やし今では56の難病を対象としています。
しかし医学的に難病と認識される病気は国の対策を上回るペースで増加。
その結果医療費が助成されない難病が数多く生まれています。
ジストニアもその一つです。
制度の運用に当たる厚生労働省は40年ぶりに難病対策の見直しに乗り出しました。
56の疾患に限って現在医療費助成をしていますけれどもそういった56の医療費助成の対象疾患とそうでない同じように患者さんが悩んでいらっしゃる疾患が多くございますのでだんだん…ようやく治療を受けられるようになった吉村さん。
しかし国による医療費の助成を受けられず経済的な負担が重くのしかかりました。
親指だけ動かそうとしてもほかの指力入りますよね。
長期の入院に加え退院後は高額な注射が必要です。
医療費は年間100万円を超えました。
その後病気の影響で仕事を失います。
貯金も尽き治療を続けるためには生活保護を受けるしかありませんでした。
1人で苦しむ姿を見ますとなんとか支援ができないものかという思いを強くします。
ではゲストをご紹介します。
まずは作家の大野更紗さんです。
皮膚筋炎などの難病を患っていまして感染症を防ぐために常にマスクをつけて生活をされていらっしゃいます。
よろしくお願いします。
そしてもうお一方です。
よろしくお願い致します。
まずはこう見ますと大野さん。
なかなか正しい治療につながるというのは難しいようですね。
難病というのはそもそも適切に診断ができる専門医の数が非常に限られているという事が一つ大きな問題としてあって私自身も診断がつくまで実は1年以上かかっているんです。
そして医療費こう見ますとかなり患者さんにとっては大きいようですよね。
医療費に加えて交通費ですとか療養費ですとか働けなくなるような場合も多いですからホントにたくさんのお金がかかるのが患者さんの現状ですね。
医療費以外にも交通費も相当これはお医者さんが遠いとなおさらお金かかりますしね。
そういった難病患者の皆さんにのしかかる重い負担ですがこれに対応するために去年12月国は新たな制度の改革案をまとめました。
こちらご覧頂きましょう。
主な内容です。
これは患者さんが専門的な知識を持った医師にたどりつけるようにして早期診断早期治療につなげるのがねらいです。
次にこちら。
難病患者のデータベースを全国規模で構築するというものなんですが金谷さんこれは患者さんの皆さんにとってはどのようなメリットがあるんでしょうか?もともと数の少ない病気ですので全国規模で集めるという事で患者さんの病状が明らかになる。
あるいは現在の治療法が効いてるのか効いてないのかその辺りも把握できる。
更には専門の先生とそれから掛かりつけの先生で病気の状況を共有化できると。
そういうメリットがあると思います。
それはホント大きいですよね。
そして医療費助成の見直しも今回の対象です。
こちら…。
現在国は56の病気に限って医療費の助成を行っていますがその対象が300程度に広がる見込みです。
これによって助成を受けられる患者の数もこのように今の78万人から150万人程度に広がると厚生労働省は試算しています。
更に自己負担の割合は現在の3割から2割に引き下げられます。
そして自己負担の限度額は世帯ごとの年収によって決まります。
このような改革なんですが大野さんどのようにご覧になってますか?これまで医療費助成の対象は56疾患のみでしたから助成の対象外だった患者さんたちにとっては一刻も早く助成を受けてそして医療機関を適切に受診してできる限り重症化を防ぐというような願いが患者さんたちの皆さんの願いだと思います。
これまで助成が受けられなかった患者さんにとっては待ち望んだ改革だと思いますが一方で現在医療費の助成を受けている患者さんに対してはいくつか課題があります。
およそ9割の人が負担増になるという厚生労働省の試算が先日発表されました。
更に医療費助成の対象を症状が一定より重い患者さんに限るという方針が国の資料の中で示されたんです。
それに対して現在助成を受けている軽症の患者さんの間では将来的に自分たちが助成から外されるのではないかという不安が広がっています。
8年前にパーキンソン病と診断された…筋肉が固まり自分の思ったとおりに体を動かす事ができなくなる病気です。
家事や食事など日常生活にも大きな支障があります。
現在症状を抑えるための薬を一日10錠のんでいます。
月々の医療費は4万円を超えます。
しかしパーキンソン病は国が医療費を助成する病気のため自己負担はその程度で済んでいます。
薬が効いている間は症状が安定しているあつみさん。
夫と2人で暮らす自宅で整体師の仕事を行っています。
でも硬いなあ。
凝っとるやろう?凝っとんは凝っとんね。
整体を施すのは一日3人が限度ですが仕事を続ける事で生活に張りが生まれています。
お世話になりました。
どうもありがとうございました。
ありがとう。
あつみさんは今国が進める難病の制度改革に大きな不安を感じています。
薬で体調が安定しているために軽症者と見なされ医療費助成の対象から外されるかもしれないのです。
夫は定年間近。
助成がなくなれば高額な治療をこの先も続けていけるかどうか分かりません。
この日あつみさんと同じパーキンソン病を患う人たちが集まりました。
あつみさんは2年前に患者会を結成。
病気や医療制度について情報交換をしています。
国の新たな方針に対する不安は多くの患者に広がっていました。
会のあとあつみさんの体に異変が起きました。
薬の効果が切れ体が固まって全く動く事ができなくなってしまったのです。
緊急の時に症状を和らげるための注射です。
1本2,200円。
あつみさんの生活に欠かす事ができない命綱です。
もし医療費の助成から外れ注射や薬が使えなくなるとあつみさんの病気は一気に重症化するおそれがあります。
ありがとう。
ありがとう。
すいません。
大丈夫です。
はい。
ありがとうございました。
新しい制度に対する不安は患者と接する現場の医師からも上がっています。
医師の梶龍兒さんは助成を受けられなくなった軽症患者が治療を控えてしまう事を懸念しています。
軽症患者の状況が把握できなくなると新たな治療方法の確立が難しくなるためです。
一番最初の状況というものをもし診られなかったらホントのきっかけが分からない。
予防法も分からないという事になります。
ですから研究の対象としては是非軽症の患者さんから診ていきたいしそういう患者さんに来て頂くためには助成もやはりあってしかるべしだと思います。
軽症患者さんへの対応についてですが大野さんどう考えていますか?軽症を医療を受ける事でなんとかコントロールしている人が経済的理由から受診を控えて症状が重症化してしまう。
重症化してから支援をするというのでは非常に制度として矛盾がありますよね。
今のVTRのあつみさんも注射を手に入れる事ができなくなってしまったらますます症状は悪化してしまうと…。
発症してすぐにその人を支えてできるだけその人の生活をよりよく支えていくというのが本来の制度の役割ではないかと思います。
それからそもそも難病の患者さんと自分も当事者としてそれから多く患者さんと接していて難病の患者さんたちに軽症の方っていうのはいらっしゃるのかなというのは常々感じますね。
軽いとか重いとか難病の患者さんにとってはどこで線引きをするのかその線引きすら意味がないんではないかというふうにホントに今VTR見てますと感じますよね。
(大野)伝わってきますね。
こういうような重症にならないと支援がないという事になるとじゃあ重症化すればいいのかと。
そういう事ではないですもんね。
それだと全く社会の制度としての意味がなくなってしまうような気もします。
金谷さんは今のこの軽症患者さんへの対応どのようにご覧になりますか?今のビデオでもありましたけれども薬は治してくれてるものではないと。
恐らくこれは薬を投与する事によって症状が軽減されてるだけという事ですのでそこはやはり継続的に患者さんがドロップアウトしないように診ていく必要があると。
…で薬の治療法が効いてるのかどうなのかという事を知るためにもやはり軽い症状が出たところから継続的に診ていく。
そういう体制が必要なんだろうというふうに考えます。
しかも難病というのは波がある訳ですからそこもしっかり見極めて難病というのはこういうものだとしっかり特質を見極めていく必要があると思うんですよね。
症状に波がありますしそれからそれにかかる医療費の負担は患者さんたち生涯にわたりますので非常に重い負担になります。
その辺の理解というのはどうなんでしょう?まだまだこれからというところなんでしょうか?恐らくそうでしょうね。
まだこれからスタートという形ではないかなと思います。
そういう議論もこれから国が中心になって行われていくという事なんでしょうか?そういう事で指導していかなければいけないんだろうと思います。
それから社会の難病とはふだん関わりがない人たちにどうやって伝えていくかという事もすごく大きな課題ですね。
大野さんもそういう活動をしていますけれども心掛けている事ってどういう事ですか?なかなか症状の変動とか重い軽いとかというのは目に見えない事ですのでそれをどうやって言葉で伝えるかっていうのはすごく大きな課題だなと思ってます。
先ほどVTRのあつみさんも元気で仕事されてる時は大丈夫ではないかと…。
見た目になかなか分かりにくいですけどもその辺もしっかり理解していく必要があるという事なんでしょうかね。
これからその改革については更に本格的に議論されていくんでしょうけどそういった制度を作ると枠を作ると必ずこぼれ落ちてしまうという事が出てきてしまうと。
これについてどういうふうに考えていけばいいのかまず大野さんからお願いできますか?今回56疾患から約300疾患に疾患の対象の数は広がりましたけれどもそれでもまだ対象にならない難病患者さんはいらっしゃいます。
それから症状の程度によっても線が引かれる事があるかもしれない。
こういう線引きをずっとしていくのではどこまでもこぼれ落ちてしまう患者さんというのは支えていく事っていうのはできないのかなと感じる事もあるんですね。
もっと慢性疾患や難病の患者さんたちが実際にどういう特性があるのかというのをしっかり捉えた上で制度を作った上で更にもっと社会全体の問題として考えていく事も必要なのかなと思います。
今現行皆さん病気にかかった時に窓口で3割負担すると思うんですが難病や慢性疾患の患者さんたち負担が生涯にわたる患者さんたちにとってはもしかしたらそれは命を削るような極めて重い負担かもしれないですよね。
長いですもんね。
はい。
こういったとこもしっかり私たち考えていかなくてはいけないという事ですよね。
金谷さんどう考えますか?先ほどのVTRにもありましたがなかなかこういう患者さんが適切な医療を受けられないという視点もありますのでこれから掛かりつけの先生から専門医につなぐところここはやはり強化していく必要があるのだろうと考えます。
つなぐところというのはネットワーク…?ネットワークであり先ほどのデータベースの活用でありというふうに考えます。
それはもうそれこそ私たちもそういうものが必要だというような考え方という社会のベースというのをもっと上げていかないと孤立してしまうのではますます重症化してしまう人も多くなるでしょうからその辺もホントにしっかり難病患者の皆さんの声に耳を傾けた政策が必要になってくるのではないでしょうか。
明日は就労について考えていきます。
今日はどうもありがとうございました。
2014/02/10(月) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV シリーズ 難病と向き合う 第1回「どう支える 難病医療」[字]

原因不明で治療法が未確立な「難病」。40年ぶりに難病対策の抜本的な見直しが進み、大きな転換点を迎えている。難病の医療はどうあるべきか、患者の生の声をもとに考える

詳細情報
番組内容
原因不明で治療法が未確立な「難病」。誰でも突然発症するかもしれない難病について考える「シリーズ難病と向き合う」。1回目は、難病の医療について考える。昨年末まとまった新たな難病対策案では医療費助成の対象が拡大、今まで支援を受けられなかった病気も対象になる方針だ。一方で、軽症の患者を対象から外す方向で、患者の間に不安が広がっている。難病の医療はどうあるべきか、対策の最新情報と、患者の声をもとに考える。
出演者
【出演】作家…大野更紗,国立保健医療科学院…金谷泰宏,【キャスター】山田賢治

ジャンル :
福祉 – その他
福祉 – 高齢者
福祉 – 障害者

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