お試しあれ。
一服の茶を通じて亭主と客が心を通わせる茶の湯。
亭主は茶を点てるために湯を沸かし湯加減を整えるために炭をつぎます。
炉の中に炭をつぐ所作を「炭手前」と言います。
今回はおいしいお茶を点てるために欠かせない「炭手前」を学びます。
「茶の湯裏千家茶の湯と出会う」。
第6回の今日は「炭手前」がテーマです。
教えて下さるのは裏千家業躰の奈良宗久さんです。
(2人)よろしくお願いします。
私今回茶の湯の世界でお茶を点てる点前ではなくて炭をつぐための作法があるという事を初めて知りました。
テーマにありますように「茶の湯」という事で茶の湯の「湯」が主体の一つにもなってまいります。
その中で「炭は湯の沸くように」という昔からの言葉がありますように主体は炭をする事によってお湯を沸かすという事が大事な事になってまいります。
お茶の場合は「点」という点てるという字なんですが炭の場合は「手」という字になります。
要するに手業。
それをする事によって次の段階があるという事になるわけです。
冬から春にかけてのこの寒い炉の時期になりますと客と亭主が炭手前の時に炉の近くに寄ると。
火の近くに寄るという事が大変魅力ある世界になってくるわけですね。
それだけ炭のつぐ作法というのは大事であってそしてお客にとって魅力的な事であるんですね。
そうですね。
茶事では炭をつぐ手前が2回行われます。
濃茶を頂く前の初炭と薄茶を頂く前の後炭です。
今回は茶事の中心である濃茶の頃にちょうどよい湯加減となるよう炭をつぐ「初炭手前」を学びます。
炭手前をする時はあらかじめ炭斗の中に使う炭と道具を仕組んでおきます。
炭手前に用いる炭です。
最も適した火をおこすためさまざまな種類の炭を使います。
胴炭は炉の火の中心となる炭。
丸ぎっちょや割ぎっちょと呼ばれる炭は火力をつけるために用います。
白い炭はツツジの枝に胡粉や石灰などを塗った枝炭。
丸管炭と割管炭と共に導火線の役割を果たします。
最後に用いるのが点炭です。
これらの炭は炭手前の段取りを考えて炉につぎやすい順番で炭斗の中に組み入れます。
最後に香合や羽箒火箸鐶を仕組み準備が整います。
ここに今ありますのが炭手前の時に使う道具を仕組んであるわけなんですがこの一番上にあるのが胴炭と言います。
一番炭をつぐ時に太い芯になるものになりますがここの断面を見て頂くと放射状にこういう模様があります。
これを昔から「菊炭」というふうに言います。
菊の花の模様のような感じなんですがこういう炭の切り口まで四季の花に例えるというのがお茶ならでは日本人ならではの表現のしかたかなという気がします。
燃やしてしまうのがもったいないくらいきれいですけどでもそれがお茶の世界ならではという感じがしますね。
魅力にもつながっていくわけですね。
それでは初炭手前の作法を紹介します。
まず炭道具を運び出します。
続いて湿らせた灰をまき炉の中を整えます。
取りそろえた炭を順についでいきます。
香をたき席中を清めます。
炉の中に炭がつがれたら釜をかけます。
最後に道具を下げます。
まず道具を運び出すところからご覧下さい。
炭斗を茶道口建付に置いて一礼します。
炭斗を持って席に入ります。
炉の右横に炭斗を置きます。
続いて灰器を持って席に入ります。
灰器を置きます。
炉の正面に回り羽箒を炉と炭斗の間に置きます。
鐶を下ろし火箸を羽箒と炭斗の間に置きます。
香合を取り一度左手に載せ鐶の右横に置きます。
素手で釜の蓋を閉めます。
鐶を取り両手で左右に割って釜にかけます。
懐中から右手で紙釜敷を取り出し左手に持ち替えて置きます。
ひと膝前に進み釜を上げて紙釜敷に載せます。
釜の正面に向き両手で鐶を持ち釜を引きます。
鐶を外し体の正面で合わせ釜の左側に置きます。
拝見してますと鐶を付ける所作やその他の所作一つ一つが本当に美しいですね。
そうですね。
無駄のない扱いやすい所作。
その中にも美しさを兼ね備えてるという事になりますね。
こちらにありますのが湿し灰というものなんですね。
湿し灰というとどういったものでしょうか?字のとおり湿した灰…まあぬらした灰と。
ですから水分を少し含んでる灰という事になります。
どうやって作ってらっしゃるんですか?前の年の夏の土用の頃にこういう灰を広げまして手でもみながら作っていくわけなんですがその中には番茶などをかけまして湿らすという事になります。
水じゃないんですね。
そうですね。
それで天日にそれを乾かしてもんで瓶の中に入れるとそういう順序があるわけなんです。
実際はどのように使うんでしょうか?炭手前の時に最初に下火というのを入れるんですがその前にこれをまいて炉の中の灰を少し整える湿らす姿という事になります。
炭をおこしやすいというか対流を起こさせるという意味もありますしあとは火を扱うという事に対する水というものを扱うという事とつながっていくわけなんですね。
いろんな意味が込められているんですね。
では炭手前続きをご覧下さい。
羽箒を取り初掃きをし炉を清めます。
まず炉縁続いて内側の炉壇を掃き清めます。
このころから客が炉のそばに寄ります。
火箸を持ち直します。
あらかじめ炉に準備されていた下火を直します。
炭斗を向こうへ置き斜めに回ります。
灰器を取って左手に扱い右手に持ち直して炉の正面に戻ります。
ここから湿し灰を使います。
灰さじで灰をすくいます。
まず向こうから左へ。
左から手前へ。
そして向こうから右へとまきます。
次に灰さじを持ち直し逆手にして右から手前へとまきます。
最後に五徳の爪と爪の間へまきます。
灰を灰さじで整えます。
灰器を取り右斜めに回り元の位置に戻します。
次に中掃きをします。
手順は初掃きと同様です。
更に五徳の爪も掃きます。
客は亭主の炭手前を拝見するんですよね。
そうですね。
炭手前をする事によって亭主の手前所作の美しさを拝見するとともに客は炉辺に寄りまして火を介する…火を介して客と亭主がそばに寄る。
自然の太古の火のぬくもりそういうものを感じながら心がつながっていくという事になると思いますね。
時とともにこうやって移ろっていく炭それから灰という事になります。
それを感じながら客亭主それぞれが今自分がここにいるという時間を体感するという事につながっていくんだと思います。
なるほど。
では実際に炭をついでいくところをご覧下さい。
火箸を左手に預けまず胴炭を取り五徳の爪の間に置きます。
指先を懐の懐紙で清めます。
火箸を持ち直し更に炭をつぎます。
丸ぎっちょ割ぎっちょ丸ぎっちょの順についでいきます。
丸管炭と割管炭は2本一緒にしてつぎます。
枝炭を適当な数だけ取り丸管炭と割管炭に添わせるようにしてつぎます。
最後に点炭をつぎます。
点炭をつぎ終わると客は席に戻ります。
後掃きをします。
手順は初掃きと同様です。
ここまで炭のつぎ方を見てきました。
このあとはどんな事があるんでしょうか?ここからは香をたくという所作になります。
ここに香合の中にお香が入ってる状態になってます。
そういう形をしてるんですね。
さまざまな香木を練り合わせた形が練り香と申しましてこの炉の時期に使う香になります。
今部屋の中にほのかに漂ってるのはそのお香ですか?そうです。
このお香の香りが部屋の中に漂ってるわけですね。
すごく落ち着くといいますか心が安らぐいい香りですね。
そうですね。
これはどうしてお茶の席でたくんでしょうか?香をたく事によってその前に炭をたいてますのでその炭のにおいですねそういうものを消す効果とあとはこの部屋全体を清めるという効用があります。
ただ匂いだけではなくて場を清めるという意味もあるという事なんですね。
そういう事ですね。
では香をたく所作を見ていきましょう。
香合を左の手のひらに載せ蓋を取ります。
火箸を持ち直し香を炉の中に入れます。
火箸を持ち替えて炭斗に戻し香合の蓋を閉めます。
正客から香合拝見の挨拶を受けます。
香合の正面を客の方に向けて出します。
体を左斜めに向け鐶を取ります。
左右に割って釜にかけ引き寄せます。
炉の正面に向き直り釜をかけます。
鐶を釜に預け紙釜敷を取って炭斗の上で塵を払い懐中に戻します。
釜の歪みを正し鐶を外します。
鐶を合わせ炭斗に戻します。
ひと膝下がって羽箒で釜の蓋をカタカナの「ア」の字を書くように掃きます。
釜の蓋を少し開けその後道具を下げて退席します。
今日は炭手前について茶道資料館副館長の筒井紘一さんにお話を伺います。
(2人)よろしくお願いします。
昔は炭のつぎ方にもいろいろな方法があったと伺ってますがどんな方法があったんですか?たくさんのやり方がありましてね一つ紹介したいのがこの本なんですがこれは「茶之湯古今或門」と言いまして元禄5年に出版された本なんですがまだ炭のしかたですね炭の手前がこういうふうに十何種類も出てくるわけです。
全部違いますね。
(筒井)例えばこれが多分最も重い炭の形だと思うんですね。
「真の炭形」となってますので。
胴炭からぎっちょ炭から割ぎっちょから全部整えている炭手前だと思います。
今日は寒いなという冷気の激しい時ですと炭たくさんつがないと濃茶を飲む時までにおきてきませんよね。
ですからそういうものを全部置くという感じですね。
一つ一つ全然違いますね。
それはどうしてかといいますとお茶事のお茶の亭主になる人はその日の天気の寒暖であるとかそれから天気がいいか悪いかというそういう事を思いながら炭手前をしていかなければいけなかったんです。
ですからその日の主人の炭の手前を見まして今日のこの手前だったら濃茶の時にはもうお湯が冷めてるよとか沸き上がりすぎてるんじゃないかとか考えながらお客さまは…。
客側もそれが分かるわけですか?分からない客ではつまらないんですね。
最も大事な亭主側の腕の見せどころだったと思います。
おもてなしのあれが分かるという事ですね。
亭主の気持ちいわゆるいかにもてなすかという事を炭で表現したかったんじゃないかなと思うんですけどね。
今回炭手前を見てきましてただ炭をついで火をおこすという事だけではなくて亭主のいろいろな思いが込められてるんだなという事を感じる事ができました。
例えば今の世の中ボタン一つで火がつく熱くなるいろんな機械…そういう世の中ですけれど人前で自ら下火の所に炭を入れて気候であるとかそういう状況を考えながら炭をつぐわけですがその中に自分の心も込めて炭をつぐ。
客もそれを見ながら心のこもった炭ぬくもりを肌で感じていくという事が今の世の中逆にないお茶にあるこういう世界ですから炭のそういう部分が大事な部分かなという気がしますね。
本日はありがとうございました。
ありがとうございました。
2014/03/10(月) 21:30〜21:55
NHKEテレ1大阪
趣味Do楽 茶の湯 裏千家“茶の湯と出会う” 第6回「炭手前」[解][字]
千利休以来、受けつがれてきた裏千家の茶の湯を学ぶ8回シリーズ。第6回「炭手前」では釜の湯をわかすための炭をつぐ作法を学ぶ。さらに江戸時代の本に描かれた作法も紹介
詳細情報
番組内容
一服の茶に「もてなし」の心をこめる、400年あまり受け継がれてきた茶の湯。8回シリーズで、千利休以来の伝統を受け継ぐ裏千家の茶の湯を学ぶ。第6回は釜の湯をわかすための炭をつぐ所作を学ぶ「炭手前」。断面が菊の花のように美しい「菊炭」を使い、「胴炭」「丸ぎっちょ」「枝炭」など、名前、大きさや役目の異なる炭を使い、火をうまくおこすための所作を学ぶ。また江戸時代の本に描かれた、今と異なる炭のつぎ方を紹介。
出演者
【出演】裏千家業躰…奈良宗久,茶道資料館副館長…筒井紘一,牛田茉友
ジャンル :
趣味/教育 – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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