ポロポロの食感がたまらない一品ですよ。
一服の茶を通じて亭主と客が心を通わせる茶の湯。
そのもてなしの舞台が茶室です。
小さな空間の随所に凝らされたさまざまな意匠。
客をもてなす亭主の思いが込められています。
その茶室をつくってきたのが数寄屋大工と呼ばれる職人たちです。
木を知り尽くす匠たちが二つと無い空間をつくり出してきました。
今回は茶室建築の匠の目を通して茶室の魅力を学びます。
「茶の湯裏千家茶の湯と出会う」。
第5回は茶室の魅力です。
裏千家業躰の奈良宗久さんに案内して頂きます。
(2人)よろしくお願いします。
今回は茶室からではなくて外からですね。
そうですね。
今日は全国のいろいろな有名な建築などを手がけておられます棟梁のところに参りたいと思います。
いろんな経験のお話そういう深いお話を聞いて体験していきたいと思いますので。
では参りましょうか。
よろしくお願いします。
お願いいたします。
京都市北区。
ここに数々の茶室建築を手がけてきた工務店があります。
作業中ですね。
そうですね。
あっ中村棟梁。
今日はよろしくお願いします。
中村でございます。
よろしく。
中村です。
今作業中でございますか?今何をやってらっしゃるんですか?
(中村)これは広島の方の住宅と茶室それをつなぐ渡り廊下。
全部を今工事中で…現場の方でまたやってるんですけど。
数寄屋とは茶室をはじめとする日本の伝統的な木造建築です。
その特徴は使用する木材。
曲がった木や丸太など自然の素材の持ち味を最大限に生かし材料を取り合わせます。
職人の長年の経験と勘が要求されます。
ちょうどここで今丸みを合わせてるんですね。
我々使ってる材料というのはこういう自然な木ですから一本一本丸みが違うわけです。
それを丸太に丸みを合わせたもので付けていく。
結構単純なようですけれども一つ一つが全く違うんですね。
加工された角材とは違い一本一本寸法の違う丸太。
丸太の曲面に合わせて溝を彫り木材同士をピタリと接合させなければいけません。
何度も微調整を繰り返す手間ひまのかかる作業です。
職人一人一人の腕に託された仕事は図面では到底表現できません。
柱を立てる礎石は表面が凸凹しています。
接合面をピタリと合わせるため石の凹凸に合わせ柱の底を少しずつ削る作業が必要です。
柱一本立てるにも職人の鋭い感覚が欠かせないのです。
(中村)私は答えは一つじゃないと思う。
だから図面でこう描いてあってもお客さんがこういうのつくりたいって言っても我々は我々の経験と体験でいい事があったらこういうのはどうでしょうかとやっぱりいろいろ言いますし。
一つとして同じものはない。
ありませんね。
それは絶対ないですね。
まあそんなん面白ないよね。
中村さんがこの世界に足を踏み入れたのは50年近く前。
大学を卒業してすぐ父親の設立した工務店で働き始めます。
数寄屋建築を教えてくれたのは亡き父…木材の全てを知り尽くす名棟梁でした。
中村さんが外二さんと共に手がけた伊勢神宮の茶室です。
目に飛び込んでくるのは18mもの軒を支える1本の丸太。
国内外の賓客をもてなすためすがすがしく品格ある空間づくりに心を砕きました。
木を一本一本見極め使いこなす父の仕事から木の持ち味を最大限に引き出す目を養いました。
(中村)ここは木材倉庫の一つなんですけど。
中村さんが父の外二さんからもう一つ受け継いだものがあります。
(中村)はいどうぞ。
お〜すごいですね!すごくたくさん置いてあるんですね。
これはどういった状態のものなんでしょう?
(中村)いわゆる木を乾かすっていう事ですね。
普通の工務店ですと先に図面があってそれから材木屋さんに注文するんですけどそれではなかなかいいもんが出来ないのでできるだけ残して。
父から受け継いだ木材倉庫。
中村さんは木一本一本に違う個性がある事を肌で感じ取ってきました。
(中村)これは九州の市房っていう神社の杉です。
大体450〜500年たった。
樹齢がですか?はい樹齢が。
やさしい感じ。
すごく木目が細かいですね。
(中村)細かい。
これは女っぽい。
柔らかい感じですね。
(中村)そう柔らかい感じ。
これらは春日って言ってこれ春日杉。
奈良の春日神社の木です。
これもう本当に20年以上前からの木ですけれどもこれちゃんと張ったら全然男っぽくなりますよ。
すごいガーンときますよ。
こんなん寝室に張ったら最悪ですわ。
寝られへん。
一個一個個性が全然違ってて面白いですね。
(中村)そうそう。
それが部屋の形をつくっていって皆さん方のお茶室とか建物を表すわけです。
あくまでも我々は皆さん方の器をつくるわけですからそういう面で材料の選定いうのは大事やと思います。
中村さんが手がけた茶室がこちら。
天井に使われているのは巨大な欅の板。
300年以上地中に埋まっていたものだといいます。
普通なら土の中で朽ちてしまいますが奇跡的な温度条件のもとそのままの姿で出てきました。
年月を経た欅を用いる事で部屋全体の重厚感を醸し出しています。
こちらは30年以上前に手がけた日本画家の自宅の床の間。
床柱に用いているのは樹齢300年の赤松です。
表面を削り中から出てきた複雑な木目。
木の表情を生かした個性あふれる柱です。
これは古材です。
いわゆるどっかのお寺の垂木。
屋根の垂木なんです。
これが床柱にもなるんですか?
(中村)床柱になったり床かまちになったりいろいろします。
それからこれはもっと太いもんもありますけどこれは中柱用の椿です。
だからこういう雑木ももちろんよく使います。
これはみんな好みで。
だからどれがお好きかそれによって。
これでも選ぶの大変ですね。
そうですね。
いかがですか?先生は?私やっぱりちょっとおとなしい…。
好きですね。
まあお部屋にもよりますけどね。
(中村)そうですね。
それともう一つは柱の太さにもよりますね。
いやその木の力がねその木に我々は見てるものに力があるないというのがあるわけですね。
そこが一番大事なところで50年の木は50年の力です。
100年の木は100年の力。
500年の木は500年の力があるんですよ。
それも大抵500年の名木というのは全て競争原理で自然にできてるわけですね。
何十万本の中で一本残ったわけですから。
…種。
何十万個の種から一本残ったわけですね。
バーッと競争してきてそれで急に上がったやつがあとのもんを全部枯らすわけですよ。
葉っぱを出すために。
そうやって木っていうのは大きくなっていってるわけですからそういう事を考えれば木の力ってすごいと思いますね。
茶室に用いられる表情豊かな木々。
木の持つ力まで見極め選び出したものです。
ふだんではなかなか気付かないお話を今回棟梁にお伺いして大変興味深いお話でした。
これからは棟梁とご一緒にまた更に茶室のいろんなお話をお聞き下さい。
ではよろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。
こちらこそ。
茶の湯の文化を育んできた京都の禅寺…塔頭の一つ真珠庵に中村さんが千回以上も足を運んだ茶室があります。
失礼します。
あ〜すてきなお庭ですね。
今日もまた雪が舞ってるので。
そうですね。
本当にこれが雪真珠でこのお寺のコンセプトの雪っていうのが合っていいですね。
雪からきてるんですかお名前が?はい。
今日はまさにそのとおりの形になったわけですね。
真珠庵に付随する茶室…「庭玉」の玉とは雪の事。
庭の雪を意味します。
茶室をつくったのは千利休の孫宗旦と同時代の茶人金森宗和です。
公家との交友も深く優美で上品な茶風で知られました。
足を気をつけて下さいね。
はい。
露地に配された大小さまざまな飛び石。
先に進むにつれこんもりと丸みを帯びてきます。
歩きにくくする事で山里を歩く感覚を与え茶室に向かう緊張感を高めます。
中には雪国で生まれ育った宗和ならではの工夫が。
屋根があって飛び石があって…ここどういう空間なんですか?ちょうど今入られた所からが外露地から内露地に入るわけです。
ここが内露地なんですね。
「内蹲踞」と別名言いますが蹲踞があるわけです。
役石なんかが配置されてこのようにしてあるわけです。
ここで手と口を清めると。
(中村)まあ雪国なんかで雪で外では蹲踞が使えない場合にこういうものをつくったという…。
まあ宗和の考案ですね。
茶室はたった2畳余りの小さな空間。
しかし身を置けば広さすら感じさせてしまう工夫が随所にあります。
床の間奥の両隅にはよく見ると柱がありません。
柱を土壁に塗り込め境界線をなくす事によってより奥深く見えるようにしています。
更に閉ざされた空間に開放感を与えてくれるいくつもの窓。
どれも絶妙に配置されていると中村さんは言います。
この窓の位置関係というか高さというのは一つは後ろのお客さんの方から見た時にやはりゆったり感っていうのか和らぎを感じさせるようなそしてまた緊張感も一緒につくっていくわけですね。
そういう時に畳からの高さによって全然形が変わってくると思うんですね。
ちょうどこの目の高さで全部感じる事ができますよね。
それも見上げるんじゃなくて見下げるんでもなくてちょうどいい高さでつくられてるっていう。
そしてもう一つ中村さんが感銘を受けたという仕掛けがありました。
普通お茶室ではこういう障子は開けないんですけれども一度見て下さい。
屋根が連なってるようなとても不思議な感じがします。
これは?
(中村)この窓を開けますとまるで2階にいるようなあるいは舟の上に乗ってるような何か浮遊感っていうのか浮いた感じに出来てますね。
これはやはり日本建築の一番大事なポイントで我々こういう日本建築つくる時は目線にしろ何にしろこういうふうに浮いた感じにつくるんですね。
やっぱり浮世に我々は生きてるというのか自然の中に生きてるというそういうものを表してると思うんですね。
やっぱりヨーロッパの建築と違って自然と共生してるというものを表してるような気がしますね。
そういう大事なポイントをここはちゃんと持ってるっていう。
まあそれが私自身大好きな場所でもあるわけですね。
お茶室だから見えないのにそこまで気を配られてるっていう。
場合によると自分でお茶を点てて自分でお茶を頂くというほんとに自分だけの楽しみでもできるお茶室ですのでそういう時に点前座からこの窓を開けて見ると何か「日本人だな〜」という感じがするんじゃないですかね。
細部に至るまで考え抜いてつくり上げられた茶室。
小さな空間にちりばめられた先人の意匠を現代の匠の目を通して学ぶ事ができました。
晴れ着姿の少女たちが向かう一軒の町家。
ここで年に一度彼女たちが楽しみにしているお茶会が開かれます。
小さなお膳にかわいらしいお菓子を盛りつけます。
どうぞ。
ちょうだいいたします。
ひな祭りの前日に開かれる…お点前をするのはお茶を習う近所の小学生です。
お点前ちょうだいいたします。
どうぞ。
(取材者)お茶のお稽古ってどんな感じ?うまくは点てられないけど楽しい。
お点前を覚えられてみんなから褒めてもらったりみんなと一緒にお稽古するのが楽しいです。
お茶は楽しいし点てておいしいって言ってもらえたらすごくうれしいし何か…茶道が楽しいです。
毎年3月2日に行われるこの茶会は予約すれば誰でも参加できます。
今回経験されていかがでしたか?今回教えて頂くまで私お茶室の事を全然知らなかったんですね。
床の間であったり床柱であったり壁に至るまでつくり手の方が一生懸命いろんな事を考えてつくってらっしゃるんだなという事を感じる事ができました。
これからお茶室を見る目が変わってきそうです。
茶室一つ露地一つにしても先人たちの思いそれからそれを受け継ぐ現代の職人の方々そういう事がいろいろ伝わってこられたと思います。
そういう事をまた学んだうえで次に続けて頂けるとなおよりよく学べると思いますね。
またよろしくお願いいたします。
今回はありがとうございました。
ありがとうございました。
2014/03/10(月) 11:30〜11:55
NHKEテレ1大阪
趣味Do楽 茶の湯 裏千家“茶の湯と出会う” 第5回「茶室の魅力」[解][字]
千利休以来、受けつがれてきた裏千家の茶の湯を学ぶシリーズ。第5回「茶室の魅力」では、数寄屋建築の棟梁の案内で大徳寺真珠庵などを訪問。ミニコーナーはひな祭りの茶会
詳細情報
番組内容
一服の茶に「もてなし」の心をこめる茶の湯。8回シリーズで千利休以来の伝統を受け継ぐ裏千家の茶の湯を学ぶ。第5回は「茶室の魅力」。数々の茶室を手がけてきた数寄屋建築の棟りょう・中村義明さんに、一本一本異なる丸太の魅力を教えてもらう。また大徳寺真珠庵(重要文化財)を訪問、江戸時代の茶室のさまざまなしつらえにこめられた「もてなしの心」を学ぶ。ミニコーナーは、晴れ着の少女たちがお点前をするひな祭りの茶会。
出演者
【出演】数寄屋建築棟梁…中村義明,裏千家業躰…奈良宗久,牛田茉友
ジャンル :
趣味/教育 – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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