(瑠璃子)奈緒子さんはもうすでにかぐらやの女将の器です。
(照子)ほれは私も認めてはいます。
(瑠璃子)奈緒子さんは女将としても嫁としてもホント頼もしいと思っているんです。
(照子)ほうやね。
これでよかったんかもしれんね。
そんな折照子に娘家族との同居話が持ち上がったのでございました
(照子)娘のゆかりが今度富山に家を探しに来るんで一緒に見て回ろうかと。
(奈緒子)じゃあ娘さんとの同居を?
(照子)はい。
考えてみようかと思うとります。
(志乃)照子さんにも加賀てまりには思い出があるんやろ?お嬢さんとの。
あっ。
はい。
よき思い出は心の宝。
ほの思い出が今ようやく形になってかなおうとしとるんやないかいね。
何十年もかけた思いが。
もうここらで自分の幸せを考えてもいいんと違うか?大女将。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
(すすり泣く声)
(照子)申し訳ありませんが後のことよろしくお願いします。
(瑠璃子)はい。
分かりました。
ですが照子のいない間にかぐらやでは究極のおもてなしにまつわる出来事が起こっていたのでございます
いいときにいいお客さまに来ていただいたかもしれんね。
奈緒子さんが究極のおもてなしを知るために。
(瑠璃子)究極のおもてなし?伊川さま。
お風呂の方はいかがでございましたか?お体はじゅうぶん温まれましたか?ああ…。
わぁ。
ずいぶんたくさんスケッチしてこられたんですね。
あっ。
では私は失礼させていただきます。
こちらのシャツとズボンはお洗濯をしてあしたの朝お届けに参りますので。
では。
ハァー。
うわぁ。
まだ付いてた。
ハァ。
あっ。
ごめん。
ちょっと使わせてね。
(幸)うん。
どうしたの?うん?お客さまの服なんだけどね絵の具がまだ付いてたのよ。
(幸)絵の具?今絵描きのお客さまがお泊まりになってるの。
(幸)ふーん。
風景画を描いてるお客さまよ。
今日は卯辰山をスケッチしに行かれたみたい。
(幸)へえー。
なじみのお客さま?うん。
そうみたい。
私がお会いしたのは初めてなんだけどね。
2〜3年に一度ぐらいお泊まりにみえるんだって。
今まではずっと照子さんが担当でお世話をしてきたんだけど。
あっ。
すいません。
照子さんには私がお世話するから安心して富山に行ってくださいって言ったのに。
奈緒子さんに代わってもらうことになって。
(幸)うん?どうして?
(瑠璃子)それが…。
あんまりお話ししてくださらないお客さまなのよ。
自分からはもちろんこちらからお尋ねしてもね。
(幸)ふーん。
(瑠璃子)何か私のおもてなしに気に入らないところでもあるのかなって。
そうじゃないと思う。
私にもまだ何にもお話ししてくださらないし。
(幸)えっ?奈緒子さんにも?うん。
珍しいねそのお客さま。
奈緒子さんに口も利かないなんて。
フフッ。
うん。
瑠璃子や奈緒子さんだけやない。
私がご挨拶にお伺いしても同じことやさかい。
(辰夫)ほういう気質のお客さまなんやろ?うん。
けれど泥で汚れた足のまま廊下をお歩きになったりして。
あれには驚きました。
(瑠璃子)《あっ》
(俊平)《その足は…》
(瑠璃子)《あっ。
あのう。
伊川さま?》
(翔太・幸)えーっ?
(翔太)泥が付いたまま上がるっていうのはちょっと常識ないんじゃないの?その客。
(幸)奈緒子さん。
いくらお客さまでも注意するところは注意した方がいいと思う。
絵に集中されとるだけやろ。
他のことは目に入らんがやないか?
(翔太)他が見えなくなるなんてよほどの絵描きさんなのかな?さあ。
絵のことは私もよく分からないから。
(翔太)うん。
(幸)ネットで調べてみようか?幸。
こちらからお客さまのことをあれこれ詮索するのはようないことや。
失礼や。
(辰夫)ほうや。
どんな方にも分け隔てなくお客さまには誠心誠意おもてなしをする。
(辰夫)それがかぐらやのおもてなしの心や。
そうでした。
すみません。
(翔太)けどそんなお客の世話するの大変じゃない?大丈夫なの?大丈夫。
まだなかなか口は利いてはもらえないけど心のこもったおもてなしをすれば通じるものだし。
私も奈緒子さんなら安心です。
(幸)最近奈緒子さんますますかぐらやの女将らしくなってきたって仲居さんたちもみんな言ってるよ。
(辰夫)うん。
板場の哲と健太もほうや。
頼りがいがあるて。
フフフ。
(辰夫)照子さんもや。
えっ?
(辰夫)奈緒子さんがおればホントに安心や。
ほう言っとった。
そんなことを照子さんが?
(辰夫)うん。
口には出さないけど照子さんも奈緒子さんのことちゃんと認めてるんですよ。
ねっ?おばあちゃん。
うん。
ほうやね。
(幸)よかったね。
奈緒子さん。
フフッ。
ありがとう。
・あっ。
私出ます。
はい。
(瑠璃子)あっ。
噂をすればもしかして。
照子さんか?もしもし?あっ。
照子さん?
(照子)無事娘と孫に会えました。
今富山のホテルに一緒にいると皆さんにお伝えください。
はい。
分かりました。
(照子)あっ。
ほれと伊川さまのことで1つ申し送りがありました。
伊川さまが朝からスケッチにお出掛けになるときはおむすびをお渡ししてください。
絵に夢中になるとお昼を食べるのもお忘れになるお人ですさかい。
あっ。
はい。
おむすびですね。
伊川さまはあんまりお話しになる方ではないんでご様子が分からんのではないかと思って。
いいえ。
ご心配なく。
照子さんは何にも気にせず娘さんと一緒に家探しをしてきてください。
伊川さまのことは本当に大丈夫ですからお任せを。
照子さん今ごろお嬢さんと同居の話をしとるかもしれんね。
ハァー。
照子さんがおらんようになったら寂しいのは寂しいけど照子さんの幸せを思うたらほれが一番やしね。
うん。
照子さんのことはほうやがお前何か気になることがあるんと違うか?えっ?さっき何か思うところがあるように奈緒子さんのこと見とったがな。
ハハッ。
ほやったかいね?別に何もありませんけど。
ふーん。
これでよしと。
こんなに奇麗に召し上がっていただいてありがとうございます。
板長も喜びます。
今日もこれからスケッチに出掛けられるんですか?今日はお天気もいいので少しは暖かいかと。
あっ。
あのう。
こちらにお洋服を置いときますので。
(哲)それフグの真子じゃないですか。
そうよ。
金沢の郷土料理のフグの子のぬか漬け。
板長が漬けてるのを少し分けてもらったの。
(健太)ずいぶんぜいたくなおむすびですね。
フッ。
まあ珍味やさかい。
いい味が出るまで2〜3年はかかる。
すいません。
板長に無理言って分けていただいて。
けれど何か話のきっかけになるおいしい具材が欲しくて。
(辰夫)うん。
伊川さまもこのおむすびを召し上がられたらあの中に入っていたのは何だったんだって聞いてくださるかもしれませんし。
(咲子)伊川さま。
どうぞ。
あっ。
伊川さま。
どうぞこれを。
おむすびです。
おなかがすいたらお召し上がりください。
(伊川)ああ。
あっ。
いってらっしゃいませ。
(咲子)いってらっしゃいませ。
おかしいな。
(咲子)何がですか?伊川さまの服。
洗ってアイロンまでかけたのに。
(美咲)えっ?あっ…。
(知子)あっ。
奈緒子さん。
はい。
(知子)伊川さまのお部屋は照子さんいつもこのままにされてましたよ。
えっ?こんなに散らかってるのに?あっ。
それとも伊川さまがこのままにしておくようにとおっしゃったのかしら?いえ。
あのう。
私が片付けようとしたときにきっとこのままがええやろって照子さんがそう言って。
えっ?でもこのままじゃね。
へえー。
大胆な風景画よね。
(今日子)よいしょ。
ああー。
気分転換に替えてみようと思ってね。
どう?あら。
これ兼六園の雪吊りじゃない。
(今日子)そう。
気に入ってんの。
何か似てる。
今うちにお泊まりになってる絵描きさんの絵に。
こんな感じの風景画よ。
そんなわけないじゃない。
この先生国際的にもすっごく有名な画家なんだから。
その辺の絵描きとは訳が違うのよ。
ふーん。
それはコピーだけどね。
本物ならうん千万。
えっ?そんなに?そう。
一生かかっても本物は手に入らないわよ。
で?うん?ねえ。
どうなってんの。
あっちは。
あっちって?嫁の意地を見せて新しい着物作るって言ってたでしょ。
女将襲名披露の。
ああ。
あれね。
着々と準備は進めてるわよ。
この前こっそり呉服屋さんにも行ってきたし。
今反物を取り寄せてもらってるところ。
ええ?でもいいの?勝手なことして。
大女将のお許しもらってないんでしょ?いいのいいの。
今まで嫁として耐えてやってきたんだから。
着物の1枚ぐらい作ったって罰は当たらないわよ。
知らないわよ。
後でこっぴどく大女将に叱られても。
最近じゃね私だってちゃんとお母さんに物申せるようになってきたんだから。
心配いらないって。
フフフ…。
ハァー。
照子さんがおらんとやっぱり何かいつもと違うね。
(瑠璃子)うん。
大女将のそばには旅館でも母屋でもいつも照子さんが付いていたから。
えっ?人形に座布団?ああ。
それは奈緒子さんが。
へえー。
自分に似とる人形に自分で座布団を敷くやなんて。
遠慮ってもんがないんや。
あの嫁は。
ああ。
ほやけどこのまま少し様子を見るかいね。
(俊平)よし。
よし。
(増岡)ボンチ。
何をされようと?
(俊平)今日はここで食い止める。
(増岡)食い止める?何を?
(増岡)あっ。
おかえりなさいませ。
(俊平)おかえりなさいませ。
伊川さま。
どうぞこれを。
あっ。
ちょっ…。
(俊平)あのう。
お客さま…。
ああー。
(俊平の舌打ち)あっ。
伊川さま。
おかえりなさいませ。
スケッチはいかがでございましたか?
(伊川)ほら。
あっ。
ああー。
何がお気に召さなかったんでしょう?
(辰夫)中の具を見てやめたみたいやな。
(哲)じゃあフグの真子がお嫌いだったとか?
(辰夫)まあ珍味やけど嫌いな方もいらっしゃるから。
お気に召さんかったんやろ。
(俊平)何で普通の礼儀もわきまえてないどこの誰かも分からない人間がこのかぐらやに泊まるんだ?おかしいだろ。
(増岡)あのお客さまどこかで見たような。
あっ。
(俊平)あっ?あっ。
違うんか。
(俊平)あっ。
(増岡)うん?
(俊平)うん?あっいや。
(俊平)あっ。
・失礼します。
伊川さま。
手拭いをお持ちいたしました。
ここに置いときますのでよろしければ後でお使いくださいませ。
それとおむすびなんですがお気に召されませんでしたか?照子さんからスケッチに行かれるときはおむすびをお渡しするように言われていたんですが。
(伊川)あっ。
はい。
(伊川)ここ触ったか?あっ?あっ。
はい。
あのう。
少し。
あっ。
申し訳ありません。
何か不都合がございましたか?ハァー。
ハァー。
どうかされたんですか?ああ。
咲子さん。
奈緒子さんがため息つかれるなんて。
あっ。
伊川さまのことですか?まあね。
どうしてさしあげたらいいのかなと思って。
松の間次のお料理お願いします。
(辰夫)できてるぞ。
あっ。
はい。
(哲)お願いします。
こちらはやきなすのにしん巻きでございます。
けさ日本海で取れたニシンと加賀ナスを使ったものなんです。
伊川さまはこういうお魚料理はお好きですか?それとも昨日のじぶ煮のカモのようなコクのある鶏肉料理の方がお好きだとか?あっ。
そのお漬物は私が漬けたものなんです。
お口に合うといいんですが。
伊川さまはお漬物はお好きで?
(伊川)あのう。
はい。
何でしょう?
(伊川)静かに食べさしてもらえないかな。
あっ。
はい。
あっ。
申し訳ありません。
ハァー。
奈緒子さんめげてるね。
(瑠璃子)そうね。
ハァー。
何かアドバイスしてやったらどうや?えっ?
(辰夫)お前には原因が分かっとるんやろ?さあ。
どうやろ。
あっ。
ほうや。
(辰夫)うん?照子さんから電話があって。
(辰夫)うん。
あした帰ってくるそうや。
ああ。
ほうか。
ほんであのうお嬢さんのゆかりさんも赤ちゃん連れて挨拶に立ち寄ってくれるそうや。
ハハハ。
ほうか。
楽しみやね。
(瑠璃子)奈緒子さんのせいじゃないですよ。
やっぱり変わってるお客さまなんですよ。
そうだとしてももう分からないことだらけで。
けさもね洗ってアイロンがけした服が出掛けるときにはもうしわくちゃになって絵の具まで付いてるし。
おむすびは食べていただけないし。
じゃあどんな具がお好きなのかなと遠回しにお聞きしても教えてはくださらないし。
もうホントにどうしたらいいのかなって。
あっ。
照子さんに電話して聞いてみるのはどうです?けれどお任せくださいなんて言っちゃったし。
それにあしたには戻ってこられるから。
取りあえずもう一度具材を変えておむすび握ってみるつもり。
うん。
ちょっとこのおむすび食べてみてください。
(辰夫)ああ。
ヘヘヘ…。
(一同)いただきます。
うん。
どう?
(翔太)イケる。
これ何が入ってんの?
(幸)タラコと何か合わせてるね。
おふ?
(辰夫)うん。
すだれ麩やな?金沢特産の。
そうなんです。
伊川さまおとといの夜お出ししたじぶ煮は召し上がってらしたのでそのじぶ煮に使っていたすだれ麩ならお気に召すかなって。
それをタラコとあえて具材にしてみました。
(一同)ふーん。
(幸)おいしい。
(翔太)アイデアもいいけど手も込んでるよな。
(辰夫)うん。
(瑠璃子)さすが奈緒子さん。
(辰夫)これは大丈夫やろ。
わしが保証する。
あっ。
ありがとうございます。
これで自信を持ってお渡しすることができます。
あっ。
おはよう。
(一同)おはよう。
(幸)あっ。
おばあちゃん。
うん?
(幸)今みんなで奈緒子さんの作ったおむすびの味見してるところ。
えっ?
(翔太)おばあちゃんも食べてみなよ。
うまいよ。
ほうか?ほなら一つ。
うん。
おいしいわ。
失礼します。
伊川さま。
お洗濯したお洋服でございます。
それと今日もおむすびをお作りしましたのでよければお持ちください。
今日のおむすびはお口に合うかと。
はい。
あっ。
伊川さま?ああー。
ハァー。
(瑠璃子)どうかしたんですか?
(咲子)瑠璃子さん。
伊川さまのことだと思います。
(瑠璃子)あっ。
伊川さまと何か?先ほどスケッチにお出掛けになられたのですが奈緒子さんが洗濯した服をその場でご自分で汚されたみたいで。
(瑠璃子)えっ?どうしてそんなことを?それが奈緒子さんにも分からなくて。
それで。
ハァー。
2014/02/24(月) 13:30〜14:00
関西テレビ1
花嫁のれん #36[字][デ]【無愛想 出演:羽田美智子 野際陽子】
照子(烏丸せつこ)の代わりに奈緒子(羽田美智子)が担当になった風変りな客は、なかなか心を開こうとしない。自信喪失する奈緒子だが志乃(野際陽子)にはある思惑が…。
詳細情報
番組内容
照子(烏丸せつこ)が、部屋付きとして長年世話をしてきた客の伊川(増本庄一郎)は無口な上、奈緒子(羽田美智子)が懸命に世話をしても無反応に近い態度を取る。
照子からの電話で、伊川が出かける際はおにぎりを持たせるよう教えられた奈緒子は、心を込めて金沢名物の食材入りのおにぎりを作る。ところが伊川は奈緒子のおにぎりにほとんど手をつけず、客への接客に自信のあった奈緒子もほとほと困ってしまう。
番組内容2
見かねた瑠璃子(里久鳴祐果)が照子に電話をしてみては、と進言するが、照子に心配をかけたくない奈緒子は何とか自分一人の力で頑張ろうとする。
そんな奈緒子をどこか思惑ありげな表情で見つめる志乃(野際陽子)。辰夫(山本圭)から「奈緒子さんに何が足りないか、気づいているやないか?」と尋ねられても、はぐらかす志乃だった。
出演者
神楽奈緒子:羽田美智子
神楽志乃:野際陽子
松本咲子:田中こなつ
柿沼俊平:鈴之助
藤沢瑠璃子:里久鳴祐果
神楽翔太:草川拓弥
神楽 幸:木村真那月
・
神楽宗佑:津田寛治
谷本照子:烏丸せつこ
神楽辰夫:山本 圭 ほか
スタッフ
原作・脚本:小松江里子
演出:村田忍
プロデュース:市野直親(東海テレビ)
伊藤一尋(テレパック)
沼田通嗣(テレパック)
東田陽介(テレパック)
音楽:富貴晴美
主題歌:Do As Infinity「風花便り」(avex trax)
エンディングテーマ:SOLIDEMO「Next to you」(avex trax)
制作著作:テレパック
制作:東海テレビ
ご案内
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【公式サイトURL】http://tokai−tv.com/hanayome3/、昼ドラ公式ツイッターアカウント@hirudoraTokaitv、LINEアカウント@hirudora、YouTube東海テレビ公式チャンネルも好評配信中!
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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