(テーマ曲)あなたは他人の心をのぞいてみたいと思った事ありませんか?人の頭の中をのぞき見る。
そんなの所詮は夢物語って思いますよね。
ところが実は今まさに最新科学でそれが現実になりつつあるんです。
頭の中をのぞく秘密兵器が…脳の活動をつぶさに捉える最新装置です。
これで撮影した立体的な脳画像をコンピューターで分析すると…。
なんと眠っている時にどんな夢を見ているかさえ当てられちゃうっていうんです!脳をのぞけばあなたの心の中も丸見えに!?気になる脳内イメージ研究の最前線に迫ります!
(南沢)え〜?どんな夢を見てるかも分かっちゃうってちょっと何か恥ずかしいような気がしますね。
怖い気もしますよね。
怖いですね。
でも今脳の活動を分析する研究ってすごく進んでいて今や…え〜ホントにそんな事ができるんですか?例えばですが僕と奈央ちゃんがじゃんけんをするとします。
奈央ちゃんに僕が出す手が分かったらすごくないですか?それはもちろんすごいですよ。
えっそれがまさかできるんですか?
(中村)実は既にそういう実験が行われているんです。
まず脳の活動を捉えるfMRIという装置に人が入ります。
そしてグーチョキパーの手を出す時の脳活動を計測するんです。
隣の部屋にはこのようなロボットハンドがあります。
脳活動のデータからさっきの人が何の手を出しているのかを推測してこのロボットハンドが同じ手を出すという実験です。
人がグーだとロボットハンドもグー。
グーだ!人がチョキだとロボットハンドもチョキ。
パーでも同じですね。
すごい不思議ですね!ホントに超能力みたいな。
そうなんですよね!じゃあ一体これがどんなからくりなのかこの不思議なロボットハンドの開発者を訪ねました。
関西の学園都市にある研究所。
じゃんけんの手を読むロボットハンドを開発したのはこの方。
脳神経科学が専門の…そもそもなぜこんな不思議なロボットを作ったの?脳の中をのぞき見るのに欠かせないのがこのドーナツ型の装置fMRI。
穴の中に人が入ると…。
こんなふうに脳の内部をくまなく画像で捉える事ができます。
この装置の特徴は脳の特定の部分の血流の変化を計測できる事。
赤い丸の中の血流の時間変化を測ったのが右側のグラフです。
グラフの山が高いほど血流量が多く活発に働いている事を示しています。
じゃんけんをする時人間はグーチョキパーの3種類の手を出します。
この時脳の中で主に働くのが運動野と呼ばれる領域です。
実験ではこの運動野を500個のブロックで区切って脳の血流を計測します。
1つのブロックは3ミリ四方です。
ブロック内の血流量が多いほど白く少ないほど黒く表すとこんな感じ。
刻々と血流のパターンが変化するのが分かります。
実験ではfMRIの中の人に力を抜いた状態からチョキならチョキを10秒間繰り返し出してもらいその間の平均的な血流のパターンを調べます。
こうして…解析の結果500個のブロックの中からグーチョキパーで異なる血流パターンを示すブロックが見つかりました。
例えばこの2つのブロックで見た場合横軸はブロック1縦軸はブロック2の血流量を色で示したもの。
色が黒から白に近づくほど血流が強い事を表します。
最初にグーを出した時ブロック1の血流は弱く黒に近い色。
一方ブロック2の血流は強く白っぽい色でした。
つまりグラフのこの位置に点が打てます。
繰り返しグーを出しても2つのブロックの血流の変化は同じ辺りにまとまる事が分かりました。
次にチョキを出すと…。
今度はグーとは違う領域に血流の変化がまとまります。
そしてパーも同様。
つまりこの2つのブロックで見た場合血流のパターンがグーチョキパー3つの領域に分けられる事が分かります。
ここで人間がある手を出した時ブロック1の血流がこの辺りブロック2がこの辺りだったとすると出した手はチョキだと推定できる訳です。
こうした推定をたくさんのブロックの血流を比較しながら行った結果…うわ〜9割の確率で当たるってすごいですね。
人間が見ても分からないような微妙な血流パターンをコンピューターで読み解く事によって頭の中にどんな手を思い描いているかが当たってしまうってね〜。
もっと詳しく知りたくなりますよね。
はい。
今日はあの不思議なロボットハンドの開発者お招きしています。
脳神経科学がご専門の神谷之康さんです。
9割っていうすごい正解率でグーチョキパー当ててましたけどちょっと気になったのが若干動きがロボットハンド後出し…っぽかったような気がするんですけど。
でも別に手を見て出している訳じゃないんですよね。
そうですね。
へえ〜すごい。
もしもここにfMRIがあったら私の出す手も全部当てられちゃったりするんですか?すぐにはできないんですね。
一人一人脳の活動パターンというのは違うんですね。
なるほど。
実は脳の中をのぞいてみたい…あっそうなんですね。
(竹内)これで説明してみましょうか。
これが僕の脳なんですけどもちょっと中村さんあれを出してみて下さい。
はい。
(竹内)僕がこのAという記号を見ている時の血流これをですねこのようにして測るんですね。
そしてその特徴的な血流パターンをコンピューターに送って覚え込ませる。
これが…ここで僕が何かあるものを見ている時の血流パターンを測ってみてそれがですね僕が…さあ僕が見ているものは何でしょう?そしたらそれはAですよね。
そうです。
Aなんですよ。
そう。
分からないんですよ。
でもそれじゃあ面白くないじゃないですか。
そこで神谷さんたちはすごい事を考えたんですね。
僕がBという記号を見た時は脳の中にBという記号が浮かんでるはずだ。
どんなものであっても頭の中にイメージが浮かんでるはずですよね。
だとしたら…えっ!?そんな事ができるんですか?まず驚くべき実験結果からご覧に入れましょう。
ある画像を見ている人の脳血流をfMRIで計測します。
注目するのは目で見た情報を処理する視覚野という領域です。
この部分の脳血流から人工頭脳が推定した脳内イメージがこちら。
ぼんやりと白い図形が見えます。
実際に見ていたのは…。
白い四角!かなり当たってます。
続いて人工頭脳が推定した脳内イメージは?十字のような形が見えますよね。
まさか見ていたのは…。
ホントだ!白い十字!更にはこんなアルファベットを見た時も…。
ぼんやりながら字の形は推定したとおり!まるで頭の中をのぞいているみたい!こんなすごい事ができる人工頭脳一体どうやって作ったの?秘密は事前に見せたある特別なもの。
それを見せた時の脳血流を計測し人工頭脳にパターン学習させたんです。
すると初めて見る文字や記号でもここまで当てられたという訳。
パターン学習で見た特別なものって一体何なの?こういうのなんですが…。
これ10×10ピクセルになってましてそれぞれ全部……というちょっと退屈な実験なんですが。
何の意味もないランダムな模様。
これらを見た時の脳活動を手がかりにどうやっていろんな文字や記号が当てられるのでしょうか?パターン学習では被験者に400種類のランダムな模様を見せて…でも注目したのはこの模様全体に対する血流の変化じゃないんです。
視野をこんなふうにマス目で区切りその中の1マスだけに注目します。
このマスの色模様によってある時は白ある時は黒になってますよね。
詳しく調べるとこのマスが白か黒かによって見ている人の脳血流パターンが僅かに違っていたんです。
そこでその違いを人工頭脳にパターン学習させました。
この人工頭脳を使えば被験者の視野のこの部分が白か黒かを推定できます。
こうした人工頭脳を100分割した視野のマス目それぞれに作り各マスごとに白か黒かを当てる事にしたんです。
このシステムを使っていよいよ脳内イメージの当てっこ実験!例えばこのeという文字を見た時の脳血流を100個の人工頭脳で分析。
各マスが黒である可能性が高いほど黒い色で塗るようにするとこのとおり。
こうしたからくりで人がものを見ている時の脳内イメージを見事に取り出しちゃったんです。
うわ〜。
すごく不思議な模様を見せて人工頭脳100個も作ってましたよね。
実際の解析では合計で300以上のプログラムを並行して走らせて解析するという事をやっています。
300以上ってすっごい計算量ですよね。
でもこうやって視野を分割する事で脳内イメージが取り出せるって事は例えば僕がこんな風景を見てる時も意識はしてませんが実際にはマス目になっていて真ん中の木の部分とそれから端っこのチューリップの部分これが…そうですね。
実際にはこのようにきっちりと均一にマス目になっている訳ではないんですけれども視野のあるこの部分は脳のこの場所。
別の部分はこの場所というふうにある程度…へえ〜。
ふだん全く意識してないですよね。
そんな事が行われていたとは全然分からないですよね。
だけど単純な記号を読み取るというのもすごいんですけどもうちょっと複雑なイメージを読み取るって事ってできないんですかね?実は文字や記号よりもはるかに複雑な映像を見ている時の脳内イメージを読み取る挑戦始まっています。
人間の脳の機能をコンピューターで再現する研究に取り組んでいる…3年前アメリカで研究している時に神谷さんの研究に触発されある実験を思い立ちました。
文字や記号よりはるかに複雑な…そこで西本さんまず動物や人風景などの短い映像をインターネットで2時間分集めました。
それをfMRIの中の被験者に見せどんな映像を見た時に脳の視覚野がどんな脳血流を示すか人工頭脳にパターン学習させました。
これで準備完了…と思いきや実はここからが西本さんのユニークな発想なんです。
西本さん更に5000時間分およそ1800万種類もの映像を無作為にかき集めました。
それを人間ではなく既にパターン学習した人工頭脳に見せたのです。
そして各映像を見た時に人間の脳がどんな血流を示すか人工頭脳で予測。
1800万種類の映像全てに対して予測した血流パターンをデータベースに蓄積しました。
これで脳内イメージ予測システムの完成です。
さあいよいよ当てっこ実験。
被験者にはこれまで見せていない新しい映像を見せます。
人や動物などが短い間隔でランダムに映し出されます。
これを見ている時の視覚野の脳血流をfMRIで計測します。
更に…。
ここで西本さん人工頭脳にある魔法の命令を与えます。
すると…ほら!ぼんやりとはしていますが映像の輪郭や雰囲気が見事に再現されています。
一体何をやったの?うわ〜。
かなりいい線きてますね!でも気になるのが魔法の命令。
あれ何なんですかね?そこを西本さんに聞いてきました。
例えば被験者にこんな女性の映像を見せた時の視覚野の脳活動がこんな感じだったとします。
人工頭脳はデータベースに蓄積された中からこれとよく似た脳活動パターンを上位100個選び出します。
それぞれの脳活動パターンに対応する映像がこちらです。
ちゃんと人の顔がずらりと並んでますね。
(竹内)驚きですね。
しかも人の顔が同じように右側に寄ってて位置も正確ですよね。
さあここからがいよいよ映像の平均値をとる作業です。
脳活動パターンが近い順に映像を次々と重ねていくんです。
すると…。
(竹内南沢)え〜?ぼんやりしてるけどでもちゃんと人の顔の輪郭とか目とかも位置とかも…。
(竹内)下の字まで何かぼやっと出てますよね。
ちゃんと再現されてますよね。
不思議〜。
神谷さんはこの実験どうご覧になりますか?そうですね我々の先ほどの再構成の場合は脳の情報だけを使って画像をゼロから生成するという事にチャレンジしたんですけれども西本さんのアプローチでは脳だけでは分からない部分をインターネットにあるいろんな画像の素材を使って補ってすごくリアルな出力をしているという点で非常に面白いアプローチだと思います。
そうですね。
実際に画像がそこにある訳なのでわざわざ脳を見なくてもいいんですけれども…。
ですが最近…夢!?夢の場合は完全に目つむってるんで他人には絶対分かんないですもんね。
眠っている間に見る夢。
でも見るとはいうけど夢のイメージって大体はとても曖昧。
映像みたいに取り出すのは難しそうですよね。
…というアプローチもとってみました。
実は脳の視覚野を詳しく見ると低次視覚野と高次視覚野の2つに分けられます。
低次視覚野は目で見たものを画像で捉える所。
例えばいろんなクルマを見たらこんな感じ。
この時高次視覚野ではトラックもパトカーも同じクルマという概念として認識しているといいます。
そこで神谷さん高次視覚野の活動を読み取って夢に何が出てきているかを当てようと考えたんです。
実験では被験者にfMRIの中で眠ってもらいます。
寝入りばな夢を見るような浅い睡眠状態に入りました。
この状態を確認したらすかさず声をかけて被験者を起こします。
ケーキ。
これは高次視覚野では食べ物という概念の夢に分類できそうです。
夢の内容を確認したらまた寝てもらい5分後…。
今度の夢はクルマという概念でくくれそうです。
こうやって寝たり起きたりを延べ200回も繰り返しこの人の夢によく出てきたものを18種類の概念に分類したんです。
でも一体どんなパターン学習をすれば夢の中身を当てられるのでしょうか。
ここで神谷さんは18種類の夢の概念に対応する写真を用意しました。
例えばクルマであれば見た目の違うさまざまなクルマの写真。
これらを繰り返し被験者に見せ…これをパターン学習し夢に「クルマ」が出てきているかどうかを推測する人工頭脳を作ったんです。
同じ事を全ての概念で行い18種類の人工頭脳を作りました。
そして出来たのがこのシステム。
18個の概念の英語表示が大きくなるほど夢にそれが現れている可能性が高い事を示します。
いよいよ夢当て実験です。
人工頭脳が眠っている人の高次視覚野の血流から夢の中身を探っています。
おっと!急に女性と男性の表示以外が小さくなりました。
男女が夢に出てきていると人工頭脳が推測したようです。
本人を起こして聞いてみると…。
(研究者)今何か見ていましたか?すごい!当たっています。
更に…。
今度は人工頭脳が文字の夢を見ていると推測しています。
どうでしょう?
(研究者)今何か見ていましたか?またまた正解!なんとおよそ7割の確率で夢の内容を当てられたんです!いや〜すごい!これは驚きですね!しかも7割の確率でって結構高いですよね。
人に関連する概念とか文字とかクルマとかそういったものに関してはかなり高い確率で夢に現れるかどうかっていうのは判断する事ができました。
こうやって全部調べていくと夢の物語が推測できそうですね。
そうですね。
そういう事を主張している研究もあります。
ただ我々の研究でも…
(神谷)それ以前の脳活動というのはあまり報告した内容と関係ないんですよね。
だからといって…そういうのを詳しく調べていって…よく作家の人が夢を作品にするなんていうのは結構ありますけど夢とかで見た気がしてでも忘れちゃうんですよ。
うん。
忘れちゃう。
あれ書きたいのに忘れちゃったみたいな…。
でもそれが今後は取り出せるかもしれないですね。
神谷さんありがとうございました。
ありがとうございました。
それでは「サイエンスZERO」。
次回もお楽しみに。
2014/02/09(日) 23:30〜00:00
NHKEテレ1大阪
サイエンスZERO「心の中が丸見えに!?脳内イメージ研究最前線」[字]
人の心の中をのぞき見ることができる!?そんな超能力のような技術が最新の脳科学によって現実のものになろうとしている。夢の中身まで当ててしまう驚きの最新研究に迫る。
詳細情報
番組内容
人の心の中をのぞき見ることができる!? 超能力のような技術が、最新の脳科学によって現実のものになろうとしている。鍵となるのが、脳の活動を血流の変化で画像化するfMRI技術。その飛躍的な進歩によって、脳の血流パターンの分析から、その人が頭に浮かべているイメージや、眠っている時の夢の中身まで読み取れるようになってきたのだ。あなたの心の中も丸見えに? 世界に先駆ける日本の脳内イメージ研究の最前線に迫る。
出演者
【ゲスト】ATR脳情報研究所・神経情報学研究室…神谷之康,【司会】南沢奈央,竹内薫,中村慶子,【語り】土田大
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
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