(テーマ音楽)これ何だか分かります?チョコレートなんです。
実はね今朝妻のご機嫌を損ねちゃいまして。
最近近所にできたチョコレートの専門店で買ってきたんです。
妻がね甘い物大好きなんです。
それにしても最近チョコレートの種類がいっぱいあるんですね。
僕も昔はねバレンタインデーでチョコレートをいっぱいもらう方だったんで詳しいと思ってたんですよ。
朝学校に行くと僕のゲタ箱にチョコレートがいっぱい入ってるんです。
大変だったんです。
草刈さんそんなこと言っていると奥様のご機嫌直りませんよ。
まあでも昔の話だから。
それにしてもあのお店バレンタインでもないのに女の人がたくさんいましたね。
草刈さん女性たちのチョコレートの楽しみ方がずいぶん変わってきているんですよ。
へえ〜。
こんにちは。
こんにちは。
こんにちは。
東京都内。
この日小さな紙袋を手に女性たちが集まってきました。
持ち寄ったのは街で見つけたお気に入りのチョコレート。
皆さん時折集まっては自慢のチョコを披露し合っているんです。
わあ…。
きれいだね。
きれい。
これどうやって作るの?この一口サイズのチョコレート。
フランス語では…生チョコやナッツフルーツなどをチョコレートでコーティングしたものです。
19世紀のヨーロッパで上流階級の嗜好品として生まれました。
ボンボン・ショコラはショコラティエと呼ばれるチョコレート専門の職人が腕によりをかけて作るお菓子。
さまざまな色や形。
さらに中身の表情もそれぞれです。
詳しく調べて味わい尽くしたい。
ボンボン・ショコラはそんな魅力にあふれているんです。
ボンボン・ショコラってパクパク食べるものじゃないと思うんです。
何でかと言うと…わずか3〜4センチのチョコにショコラティエが込めた美と味わい。
多くの女性を引きつけプレゼントはもちろん自分へのご褒美として楽しむ人が増えているのです。
チョコレートで豊かな美を生み出すショコラティエたち。
絶妙の手さばきで繊細な造形を作り出していきます。
食べられる小さな芸術品とたたえられるボンボン・ショコラ。
ずらりと並ぶ姿は色とりどりの宝石のようです。
愛でて良し。
食べて良し。
まずはボンボン・ショコラの美の世界をご紹介しましょう。
たった1粒のチョコが見せる多彩な表情に注目。
チョコレート本来の色ブラウンカラーにこだわりボンボン・ショコラを作っています。
毎年パリで開かれる…2008年数少ない日本人のショコラティエとしてブースを出し注目を集めた気鋭の職人です。
宮原さんの作るボンボン・ショコラ。
基本はブラウン1色。
チョコレート本来の色の魅力を味わってもらうため形はシンプルです。
チョコレートの艶やかな肌。
甘い世界へといざないます。
今日最初の壺。
魅惑のチョコレート・カラーそれは原料のカカオから生まれます。
これが…この中におよそ50粒のカカオ豆が詰まっています。
これを発酵し乾燥させると茶褐色になります。
煎ってすり潰したものが…カカオマスからはカカオバターという脂肪分も取り出します。
カカオマスにさらにカカオバターや砂糖を入れ作られるのが…ダークチョコの材料に粉ミルクを混ぜると…ミルクの白が加わり明るいブラウンになります。
カカオマスを使わずにカカオバターと粉ミルクで作るのが…この3色のチョコのブレンドで微妙な色の違いが生まれます。
これをブレンドしたチョコでコーティングしていきます。
できるだけ薄くコーティングするのが宮原さんのこだわり。
出来上がったボンボン・ショコラ。
シンプルながら繊細でエレガントなたたずまいです。
フォークでつけたわずかな凹凸が陰影を生みまた違った表情が生まれます。
宮原さんが生み出す繊細なチョコレートの肌にはお化粧もほんの少し。
ナッツや金粉などナチュラルな物を使うように心掛けてカカオの色を引き立てるように考えています。
ナチュラルなカカオの色を限りなく大切にして生み出されたボンボン・ショコラです。
その一方で明るい色彩が目を引くカラフルなボンボン・ショコラがあります。
鮮やかな色使いでその名を知られているフランス人ショコラティエステファン・ヴューさん。
来日して今年で10年になります。
ステファンさんはさまざまなテクニックを駆使して華やかな彩りのボンボン・ショコラを生み出します。
チョコの一番外側を作るため型にスプレーしているのは赤く色を付けたカカオバターです。
次はその上に白をかけます。
今度は白いカカオバターを吹き付けます。
先に上まで入れます。
そしてダークチョコを流し冷やして固めると外側の完成。
少しぷんっと押したらきれいに取れるね。
赤と白のグラデーションがチョコレートのブラウンの地に浮かび独特の味わいを生み出しています。
赤と白はイチゴをイメージしています。
中身にも乾燥イチゴとココナッツミルクを使い色が中と外で響き合う工夫を凝らしました。
すごく艶があるでしょう?ステファンさんが日本に来て10年。
日本人の好みを探求する中で生まれたボンボン・ショコラです。
こちらは緑と白のグラデーション。
中身にも抹茶やホワイトチョコを使い色と味のハーモニーを楽しみます。
ゴツゴツしてワイルドな雰囲気。
それが中は白とブラウンのすっきりシンプルなデザイン。
外と中のギャップを狙った演出です。
外と中のデザインの妙。
そして味の驚き。
ボンボン・ショコラの小さな1粒には尽きることのない楽しみがあふれています。
ちょっと見て下さい豪華な箱でしょう?あれ?箱もチョコレートになってる。
ああちょっと見てくださいかわいいでしょう?これなら妻も機嫌直してくれます。
へえかわいい!きっと機嫌直してくれますよ。
でもこれホントにチョコレートなのかな。
続いてはショコラティエの驚きの技に迫ります。
フランス人のサントス・アントワーヌさん。
フランスに古くから伝わるエヴァンタイユというデコレーションの技を見せてもらいました。
チョコを薄く伸ばし固まった時にヘラを入れます。
スピードとヘラの角度に集中して繊細なチョコの花びらを作り出します。
粉砂糖を振りかけてチョコの花の完成です。
ショコラティエはチョコレートの性質を利用して巧みな技術で華麗な飾りを作ります。
今日二つ目の壺は…溶けては固まるチョコレート。
日本人ショコラティエのパイオニア土屋公二さんはチョコレートのこの特性を生かしてさまざまなデコレーションを作り上げる達人です。
草刈さんも驚いたこの作品。
土屋さんが作りました。
どのようにして生み出されるのでしょうか。
熊を包むシーツのようなデコレーション。
柔らかな曲線は熟練の技のたまものです。
まず溶かしたチョコレートを0.1ミリほどの厚さに均一に伸ばします。
固まる瞬間を見極め一気にヘラを入れ薄いチョコのひだを作ります。
ひだひだ〜ってやるときとこうするときとロールにするとき。
くるくる巻くときと…土屋さんの手元。
ヘラに添えた指先にチョコが当たりひだが作られていきます。
柔らかく波打つこうしたひだを作るにはヘラさばきにもチョコの固さの見極めにも深い経験が必要なのです。
次はこの鳥の巣のようなデコレーション。
土屋さんが取り出したのは冷凍庫でマイナス20度まで冷やした大理石の板。
ここに先端を細く切った紙の筒からチョコレートを絞り出していきます。
直径1ミリのチョコレートの糸は急激に冷やされ固まります。
しかしなぜか軟らかく自由に手でまとめ形を作ることができます。
一体どうしてなのでしょうか。
通常チョコレートを扱うときはこのように台の上に広げ温度をいったん下げます。
27度まで下がったところでボウルに戻し温めて再び温度を上げます。
かき混ぜながら32度まで温度を上げるとチョコに含まれる脂肪分に大きな変化が生まれます。
青く染まっているのが脂肪分。
その中に散らばる白い点は脂肪が固まった結晶です。
一方温度調整をしないチョコでは白い結晶が大きくなり散らばり方も不規則になっています。
チョコは脂肪の結晶が大きく不規則になるほど固まりにくくなる性質があります。
温度調整をしたチョコとしないチョコで比べてみました。
もう固まってます。
こちらは同じ時間が経っていますが持ち上げることすらできません。
この繊細なデコレーションはチョコレートの固まる早さを遅くする温度調整のテクニックを駆使して作られていたのです。
次はこの蓋に描かれた見事な木目。
こちらの道具を使って描きます。
溝がいくつも刻まれているのが分かります。
この道具を薄く伸ばしたチョコの上で滑らせていきます。
角度を微妙に変えながら動かすことできれいな木目の模様が現れます。
この上に色の違うミルクチョコレートを塗り厚みをつけ冷やして固めます。
本物と見まごうばかりのチョコの「板」の出来上がりです。
白い熊はモールドという型にチョコレートを流し込み固めて作ったものです。
土屋さんはそのモールドのコレクター。
お気に入りは19世紀のヨーロッパで盛んに使われた鉄のモールドです。
フランスで修行した30年以上前から古道具屋を訪ねては集めてきました。
味があるんですよね。
これと今の型とを比べるときれいにできるのは今の型なんですけれど古い物の方が飾っておいても絵になるというか。
そういう点ではとても面白いです。
これはキリスト教の聖人をかたどったモールド。
自動車やテレビなど当時ヨーロッパに登場した新製品も次々とモールドになりました。
職人たちはモールドで作るチョコレートでその土地の文化や時代の流行を表現し人々を楽しませてきたのです。
う〜ん…妻にただチョコレートを出すだけじゃ味気ないよな。
何かもうひとひねり欲しいよな。
ろうそくを用意しました。
明かりを落としてミュージック。
ちょっと違うなこれ。
ああそうそうこれこれ。
あとはこれも一緒。
最後にチョコレートが演出するゴージャスな世界にご案内しましょう。
チョコレートの専門店で出される人気の飲み物があります。
チョコレートを温めたミルクで溶かした…実はチョコレートはもともと飲み物として珍重されていました。
18世紀スイスの画家リオタールが描いた…若いメイドが運ぶのはカップに入った飲むチョコレート。
当時ヨーロッパの上流階級の人々に親しまれていました。
そもそもチョコレートの原料カカオは原産地の中南米では古くから薬として使われていました。
カカオには滋養強壮の効果があります。
水に溶かしトウガラシやトウモロコシを混ぜ盛んに飲まれていました。
16世紀の大航海時代このカカオをヨーロッパにもたらしたのがスペインの貴族の…18世紀になると富裕層にカカオを砂糖と混ぜチョコレートとして楽しむ文化が生まれます。
チョコレートには優雅な時間を楽しんだ人々の歴史が刻まれているのです。
今日最後の壺。
フランスで修行を積んだシェフの鎌田昭男さん。
フランス料理にはチョコレートを使ったユニークな料理の伝統が受け継がれていると言います。
それがカカオの味わいを生かしたソース。
まずカカオの粉にアーモンドやサフランを合わせてカカオのペーストを作ります。
これを炒めたタマネギなどをワインで煮たソースに加えさらに煮詰めていきます。
赤ワインだと刺すような味になるんですけど…このソース味はもちろん料理の彩りにも一役かっています。
ソースが命のフランス料理に見事な花を添えています。
食後の満ち足りたひととき。
ここでもチョコレートは名脇役を演じています。
フランスなどではフルコースの最後で向こうでは3Cとか4Cとか言われてますがチョコレートコニャックシガー。
チーズを入れる所もあると思います。
そういう形で食後歓談しながら余韻を楽しむということが歴史的にあったようです。
ブランデーやウィスキーは長期間樽で熟成した芳醇な香りが特徴です。
チョコレートの持つ苦みがその香りを上手に引き立ててくれます。
濃厚な味わいのブランデーにはカカオを多く含み苦みの強いダークチョコを。
ウィスキーには苦みがほのかなミルクチョコを。
チョコレートは種類に応じてお酒の味わいをより豊かにしてくれるのです。
チョコレートとともにちょっと贅沢な時間を味わってみてはいかがですか。
さてこれで準備万端。
あとは妻の帰りを待つだけ。
・ただいま!ああ疲れた。
のど乾いちゃった。
冷蔵庫の中を見てごらん!下から2段目!・え?何?・すご〜い。
これチョコレート?どうしたの?それを持ってこっちに来なさい。
・は〜い。
(テーマ曲)2014/02/09(日) 23:00〜23:30
NHKEテレ1大阪
美の壺・選「チョコレート」[字]
身近なテーマを中心に、美術鑑賞を3つのツボでわかりやすく指南する新感覚美術番組。今回は「チョコレート」。案内役:草刈正雄
詳細情報
番組内容
“食べられる小さな宝石”といわれ、女性の間で人気の一口サイズのチョコレート菓子「ボンボン・ショコラ」。小さな一粒が見せる多彩な表情やデザインを味わい尽くす。チョコレート専門の職人「ショコラティエ」が、見事な手さばきで生み出す、華麗で繊細なチョコレートのデコレーションを、貴重な映像で堪能する。ヨーロッパなどで育まれてきた、チョコレートを飲み物や料理、お酒と合わせて楽しむ奥深い文化も紹介。
出演者
【出演】草刈正雄,【語り】礒野佑子
ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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