(トラ)
いきなりでございますが当時の市民には防空義務というものがございました
(ラジオ・アナウンサー)「では空襲はさほど恐ろしいものではないと」。
(ラジオ・識者)「そうです。
爆弾というのはそれほど当たるものではありませんしむしろ防空活動をおろそかにして街を焼けるに任せる事の方が恐ろしい。
敵の思うつぼですから」。
要するに空襲時には市民は一丸となってまず街の火消しに当たれ。
一方で建物を疎開する作業も続けられておりました。
空襲の被害を少しでも軽くするためです
(悠太郎)空襲の際の延焼を防ぐためには空き地を設ける事が必要不可欠となります。
皆さんの安全を守るためです。
お国の勝利のためにも何とぞご理解とご協力をお願いします。
あかんて。
わしはな誰が何と言おうと絶対立ち退かん言うとるやろう!結構です。
…え?どうしても立ち退かないとあらばあなたごと引き倒すまでです。
かかって下さい。
その迷いのないやり口に悠太郎は疎開の鬼と異名をとっておりました
・「突然偶然それとも必然?」・「始まりは気付かぬうちに」・「予報通りいかない模様」・「そんな時こそ微笑みを」・「ポツリポツリと町の色変わってゆけば」・「傘はなくとも雨空に唄うよ」・「どんな君でもアイシテイル」・「顔を上げてごらん光が照らす」・「涙の河も海へと帰る」・「誰の心も雨のち晴レルヤ」・「雨のち晴レルヤ」
(め以子)はいお弁当。
今日何ですか?な〜んでしょ?もうおむすびでもないですし。
…え?ああ。
旦那それを言ったらおしまいやないですか。
そうですね。
ほな行ってきます。
い…行ってらっしゃい。
疲れてるな。
(静)まあ仕事がきついんやろう。
なんぼ安全のためやかて人様の家引き倒すんは気持ちええもんちゃうやろし。
夜もものすごう遅いですもんね。
ほら。
食事ももう少し頑張ってあげたいんやけどな。
この子卵産まんようになったな。
まあ「そんなに長うは産まれへんよ」っては言われてはいたんですけど。
あっ今日畑のあとうま介手伝いに行ってきますね。
えらい人気らしいなあんなもんが。
(タネ)せやけど体にええんよねこれ。
(トミ)わて肌がツルツルしてきた気ぃがすんねん。
(銀次)けど何であんな名前になったんや。
あああの〜確か何やった…。
(室井)いや〜これね材料がその時ある野菜の草やら葉っぱやらでしょ?つまりつれづれの草。
「徒然草」。
「徒然草」といえば?そう吉田兼好。
もうよしだ汁以外にないでしょう!いや「徒然草」でよかったんちゃうんか?ねえ?桜子がよう許したわよねえ。
(桜子)あっごめんごめん遅くなっちゃって。
ありがとうめ以子。
どこ行ってたの?うん。
実はね。
うん。
・
(中西)引き倒しても引き倒しても終わりませんなあ。
これ全部ですわ。
これ全部。
空襲来んでも街無くなりそうですよね。
(中西)ホンマですわ。
(ドアが開く音)
(恩田)西門君ちょっとええかな?何でしょう?
(恩田)実はな防火改修課の方でも民間の防空指導に当たってくれへんかて上の方から要請が来てるんや。
防空指導て…?まあ要は建物から火が出た時に怖がらんと消火できるように指導しろいうこっちゃ。
いえそれは分かりますがうち全く人足りてないんですよ。
まあまあこれ読んでちゃっちゃと済ましたらそれでええから。
ちゃっちゃとて…。
(ドアが開く音)防火改修課いうんはここか?何か?わしな5月にな建物疎開に協力して自分の家引き払うて喜多川町の方へ移ったんや!そしたら今度はそこが防空陣地に指定されるいうんや!
(中西)あ…。
どないなってんねん?どないなってんねん!中西さん。
疎開地域の策定は内務省の管轄で私どもに権限はないのでそちらへ行って頂けますでしょうか?以上。
ご質問は?
(ドアの開閉音)これカボチャの種煎ってすり潰してみたんです。
ゴマみたいでしょう?へえ〜。
カボチャはわたも種も茎も捨てるとこないから助かります。
悠太郎さんもかっちゃんの無事を祈ってかっちゃんの分も召し上がって下さいね。
(静)大丈夫かいな?悠太郎さん。
啓司君ほどやないですよ。
泊まり込みばっかりやもんなあ。
(希子)警戒警報出す担当になってしもうたからね。
何やもうみんなぐったりやな。
ああ。
あああのそういえば桜子のとこ疎開が認められたらしいんです。
(静)えっ?よう認めてもらえたな。
お父様がうまい事計らってくれはったみたいで。
いや…お父さんてまだ怒ってはったんと違たん?この事態になってもうみんなまとめて別荘地に来いって言ってくれはったみたいで。
まあ何はともあれよかったですよね。
うんうん。
ねえ?
(3人)そうですね。
「空襲は恐るるに足りません。
防空壕に一時避難したら素早く消火活動にいそしむ事」。
世間ではそういうふうにいわれてますけどねえ?爆弾は思うほど当たらんもんとか。
当たらん訳ないでしょう。
とにかく怖がるほどのもんやないっていわれてるんです。
悠太郎さんから前聞いたのとは感じが随分違ういうか。
ええ加減な事を。
信じたらあきませんよ。
…はあ。
せやあれどないなったんですか?うん?ああふ久の疎開先。
結局どないなったんですか?ああ…今諸岡さんとこが受け入れ先探してくれてはりますけど。
どうにもならんかったら姉さんとこっていうのはありえないですかね?
(め以子が息をのむ音)
(和枝)何?ないですよね。
すいません。
いや…。
お姉さん昔よりはまるなってはる気はしますけど行くのはふ久ですからね。
ちょっとどうなる事か怖いいうか。
まあそうですよね。
どや?具合。
(ふ久)うん普通。
うん。
さよか。
ほなごゆっくり。
(キヨ)どうぞ。
あ…。
もうありがとうて。
ふ久さんに工場の経理やら帳簿やら手伝うてもろてるんです。
機械の故障も直してくれますしうちの人もう「三国一の嫁や〜!」て。
(笑い声)あ…疎開の話ですよね。
あ…はい。
ああ〜決まりかけてたんですけどねそこの家にもう一件別の妊婦さんからの申し出があって。
ふ久さん譲ってしまいはったんです。
えっ?自分は丈夫やからて言わはって。
ごちそうさん!ごめんな。
これはおばちゃんとこの人らの分やさかい。
あっ分かってる分かってる!ごちそうさんでした!ごちそうさんでした!はい。
ごちそうさんでした!はい。
ごちそうさんでした!はいまたね。
(静)さぶ〜さぶ〜。
あっお帰りなさい。
ただいま。
何や子どもら痩せたな。
お母さん私お姉さんとこ行ってきます。
和枝ちゃんとこ?もしもの時のふ久の疎開のお願いに。
背ぇに腹は代えられませんから。
(静)行くん?はい。
つきましては…ですね。
せやけど何でうちの着物やないとあかんの?最後の一張羅なんやで?私なんてもう一枚もないんですよ。
西門の古道具あるやろ。
ほれ掛け軸とかほこりかぶった重箱とか。
そんなんすっからかんです。
ホンマに?ないですよ。
とっくにお米やらみそやらにかわってます。
あんたがごちそうさんやごちそうさんやって振る舞うから。
お願いします。
ふ久のためなんですよ。
ひ孫のためなんです。
ひ孫?そうです。
ほなうちも行く。
ええ?あんたに任したら和枝ちゃんに手玉に取られるだけやないの。
うちは疎開認められるんやしふ久預けるんやったらうちも一緒におった方がええやろ。
まあそうなんですかねえ?何や気に入らんのかいな。
いいえ。
まっ黙って見とき。
うちのお上手見せたるから。
(静の笑い声)ほんで2人で姉さんとこ行ってしもたん?そういう事みたいやねえ。
うまい事いくんやろうか?う〜ん…どうやろなあ?2014/02/24(月) 08:00〜08:15
NHK総合1・神戸
連続テレビ小説 ごちそうさん(121)「悠太郎の卵(らん)」[解][字][デ]
め以子(杏)は妊娠中のふ久(松浦雅)の疎開先に悩んだ末、和枝(キムラ緑子)を頼ろうと考える。着物を差し出すことに抵抗していた静(宮崎美子)から思いがけない提案が
詳細情報
番組内容
め以子(杏)は、空襲に備えての建物疎開を強行している悠太郎(東出昌大)の激務を心配する。しかし、空襲時の消火の指導まで担当することに。桜子(前田亜季)が父親と和解して疎開することになり、め以子も妊娠中のふ久(松浦雅)の疎開先に悩む。め以子は、農家に嫁いだ和枝(キムラ緑子)を頼るしかないと考え、静(宮崎美子)の一張羅を持ち込もうとする。着物を差し出すことに抵抗していた静が、思いがけない提案をする。
出演者
【出演】杏,東出昌大,宮崎美子,高畑充希,和田正人,松浦雅,茂山逸平,前田亜季,山中崇,中村靖日,【語り】吉行和子
原作・脚本
【作】森下佳子
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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