お試しあれ。
一服の茶を通じて亭主と客が心を通わせる茶の湯。
番組ではこれまで7回にわたり客としての作法や亭主の所作などを通して茶の湯の心を学んできました。
その集大成が正式な茶会「茶事」です。
「裏千家茶の湯と出会う」。
最終回の今日は一連の茶事を体験します。
ここは京都市北部の上七軒という地域です。
北野天満宮のほど近くにあります。
古くから花街として知られていて石畳や風情ある町並みが今も多く残っています。
「裏千家茶の湯と出会う」。
最終回第8回の今日はこの上七軒にあるお寺の茶事にお招き頂いています。
今回も裏千家業躰の奈良宗久さんに教えて頂きます。
(2人)よろしくお願いします。
今回は先生が正客私が次客という形でお招き頂いてますがこの茶事というのはどういったものなんでしょうか?今日はお招き頂いてますのは「正午の茶事」と申しまして正午前くらいからお招き頂きまして約4時間くらいかかるものになりますね。
まず最初は初炭から始まりましてそれから懐石中立のあとに濃茶薄茶というふうな流れになります。
これまで学んできた事が全部詰まっているわけですね。
招かれた側はどんな事を気をつければいいでしょうか?招かれた側はまず亭主はその客の事を思いながらその季節感の事を考える。
または客組それから当日の趣向そういうものを思います。
ですから客は亭主の思いを思いながら当日はお互いの心を通わせるという事が大事になってくると思いますね。
茶事の前に亭主はどのような準備をするのでしょうか?今日訪ねます亭主の準備の様子を御覧下さい。
今回の茶事の舞台は…500年以上続く由緒ある尼寺です。
この寺には千利休が掘らせたという井戸があります。
この井戸の水で秀吉に茶を振る舞ったといわれています。
また庭には利休が自ら植えたと伝えられる椿もあります。
花びらが一枚ずつ地面に散る珍しい種類の椿です。
茶事に向けての亭主の準備です。
当日使う道具を選びます。
今回亭主を務めるのは寺の住職藤原宗順さん。
お茶の先生を長年務め多くの弟子たちに茶事の楽しみを教えてきました。
どういう方が来られるかという事とそれから連客がどういう方が来られるかという事を考えて。
相手本位に考えるという事と…そういう事を基本に考えております。
客の事を思いまた季節も考えながら道具を取り合わせていくのが亭主の大きな楽しみだと藤原さんは言います。
茶事の前日になると亭主は茶室や露地を隅々まで清めます。
更に草木のみずみずしさを保つため打ち水をします。
客の着物が触れそうなところは葉の一枚一枚まで拭き清めます。
茶事の前半の流れです。
客は茶事の席に入る前に準備をし案内を待ちます。
蹲踞を使ったあと席に入りしつらえを拝見します。
炉の季節にはここで初炭といって亭主の炭手前を拝見。
続いて懐石を頂きます。
更に主菓子を頂きます。
ここまでの茶事前半を初座といいます。
まずは待合からです。
招かれた客は身支度を整え露地の腰掛待合で案内を待ちます。
第1回では今日庵の露地にご一緒しましたけどもここでは気持ちを静めて案内を待つんですよね。
はい。
まず四季の移ろいであるとかあとは亭主が当日を迎えるにあたって露地を掃き清めておられます。
ですからそういった亭主の心遣いを感じながらここに待機すると。
そして茶席に行く期待を高めながらこちらに待っているという姿になりますね。
亭主は露地の中ほどにある枝折戸を開けてやって来ます。
客も亭主の方に進み双方無言で礼をします。
一旦待合に戻ったあと客は再び出て蹲踞に進みます。
手や口を清め茶室に入ります。
今回はここで床の拝見のしかたを学びます。
まずは床の拝見ですね。
はい。
まず最初に床の前に座りましたら扇子をこのように前に置きまして掛け物に対して一礼をします。
それから体をす〜っと起こしまして今日書いてある語句を拝見して。
この掛け物というのは結局今日のテーマになる言葉であるとかそういうものを亭主は考えながら置いてあるわけですからそれをきちっと拝見するという事になります。
掛け軸の内容を亭主に後ほど伺うのも客の楽しみの一つです。
次に釜を拝見します。
釜は元禄時代の雲龍釜。
この日は天井から吊る「吊り釜」にしています。
点前座も拝見。
亭主心づくしの道具の取り合わせを楽しみます。
この日亭主が選んだ棚は蛤を模したもの。
ひな祭りの「貝合わせ」に使う蛤は3月だからこその道具です。
客が席に着くと亭主が茶道口を開け一礼します。
客も一礼。
主客総礼となります。
どうぞお入り下さい。
ここで初めて言葉を交わします。
本日はお招き頂きましてありがとうございます。
本日はようこそお越し頂きましてありがとうございます。
どうぞ今日はごゆっくりとお過ごし下さいませ。
楽しみにしてやってまいりました。
よろしくお願いいたします。
本日はお招き頂きましてありがとうございます。
(藤原)お越し頂きましてありがとうございます。
ごゆっくりとお過ごし下さいませ。
私今回の茶事が初めてでして今日はたくさん経験を積んで帰りたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
早速ですが待合から露地を通らせて頂きまして大変お手入れの行き届いた風情でございました。
ありがとうございます。
(藤原)恐れ入ります。
席に入りますとこちらの掛け物がかかっておりまして。
桃花春風に綻ぶ。
よく春風に笑うとか笑むとか言いますけれども私はこの言い回しがとても好きで掛けさせて頂きました。
まさに時節にぴったりと合った掛け物ですね。
亭主は炭手前を行います。
初掃きが始まると客は炉に近づきます。
亭主は濃茶の時にちょうどよく湯が沸くように気温や湿度を考えて炭をつぎます。
客においしい茶を差し上げるためのもてなしです。
更に香をたき場を清めます。
湯を沸かすだけでなく炭の明るい火を見る事で客は心も体も温まっていきます。
続いて懐石を頂きます。
亭主は膳を運び出しまず正客に手渡します。
膳には一汁一菜が載っています。
ご飯は一文字の形に盛りつけたもの。
汁は春らしく手まり麩の上につくしを載せたみそ汁です。
向付は主に刺身などの魚料理。
この日は春が旬のさよりです。
まず御飯と汁を頂きます。
ゆっくり味わいます。
頃合いを見て亭主は酒を勧めます。
(藤原)どうぞ一献。
ありがとうございます。
次客以下も同様に盃を受けます。
ここで初めて向付に箸を付けます。
このあと煮物や焼き物などが続きます。
茶事では御飯もはい。
お酒も頂くんですね。
全てはそのあとの濃茶のためにおなかを整えるという事になります。
炭手前もそうですけどもこの懐石も濃茶をおいしく頂くためにあるんですね。
そうですね。
懐石を終えると主菓子を頂きます。
この日のために亭主が選んだのは春を思わせる色鮮やかなきんとんでした。
茶事後半の流れです。
客は一旦露地に出て亭主はその間に後座の準備をします。
後座の席入。
続いて濃茶。
茶事全体の中心で一碗の茶を飲み回します。
後炭といって炭を直したあとは薄茶。
濃茶のあとの雰囲気を楽しみます。
薄茶を終えると客は退席します。
亭主は送り礼で見送り茶事は終わります。
それでは中立からです。
初座を終えると客は再び露地の腰掛待合に出ます。
中立です。
この中立にはどういう意味があるんでしょうか?いま一度中立する事によりまして亭主は次の後入りのための準備を整えると。
それから客はいま一度自分の気持ちを整えるという意味で一旦腰掛待合に再び出るという事になります。
中立の間に亭主は床の掛け軸を巻き上げ代わりに花を入れるなど後座の準備をします。
(銅鑼)用意が整うと亭主は銅鑼を打って客に知らせます。
客は露地につくばって銅鑼の音を聞きます。
再び席入をして中立の間に趣が変わったしつらえを拝見します。
花の選び方にも亭主のもてなしの心が表れます。
この日選んだのは檀香梅のつぼみ。
山あいでいち早く咲き春の訪れを告げる花です。
椿の一種西王母が華やかさを添えます。
お花が入って最初とは随分違った雰囲気になりましたね。
そうですね。
初入りの場合は掛け物後入りが今お入りになられましたようにこのように花という具合になります。
初めはよく「陰」というふうにいいまして後入りは「陽」というようにこのような生きた花というのが中に入りましてガラッと席中の雰囲気が変わるという事になりますね。
ここですだれが巻き上げられ茶室は明るさを増します。
いよいよ茶事が最高潮に達する瞬間濃茶です。
亭主がこの日のために選び客の人数分用意した抹茶を入れます。
客のための一碗を練ります。
正客から順に頂きます。
茶碗を隣の客に手渡します。
厳粛な雰囲気の中無言で一碗を飲み回します。
一体感が高まります。
濃茶が終わると亭主が一旦炭を直してから薄茶となります。
客が干菓子を頂いている間に亭主は薄茶を点てます。
和やかな雰囲気を楽しむ薄茶。
正客を中心に道具についての会話も弾みます。
本当に華やかできれいですね。
そうですね。
このお茶碗は?妙全のお作でございます。
柳に桃の絵付けがしてございます。
桃は珍しいですね。
(藤原)そうでございますね。
本当に3月だけの限定のものですから春らしく次客さまのためにこの茶碗を選ばせて頂きました。
ありがとうございます。
とても見ているだけで気分も明るくなりますよね。
形の方も女性らしい形ですよね。
色といい絵付けといいすごくいい感じだと思います。
そうですね。
まさに先ほどの掛け物のようにぴったりの今の季節のお茶碗ですね。
(藤原)恐れ入ります。
このあと亭主が客の帰りを見送って茶事は終了となります。
正式な茶事の中では薄茶はあんなに和やかな雰囲気で進んでいくんですね。
そうですね。
主である濃茶がその前に終わっておりますので薄茶に移りますとあのような和やかな雰囲気になります。
ですから会話としては…今回懐石を頂きまして厳かな雰囲気の濃茶そして和やかな雰囲気の薄茶と経験させて頂きましてこれまで学んできた一つ一つのお稽古がこのような形につながるんだなという事を感じる事ができました。
始めた時は型を覚える事に必死になっていたんですがやっていくうちに亭主のおもてなしであるという気持ちが分かってきたような気がします。
今回いろいろ学ばれた事と思います。
その中でこの学んだ上で今回の茶事茶の湯というものを経験されたという事がすごく大事だと思います。
そうする事によって…そこが一座建立という一つの茶事茶の湯という事が成立する事だと思いますね。
今回は本当に短い期間でしたけどもお茶の世界の深さというものを感じる事ができました。
これからもっと学んでいけばもっと深い世界が見えてくるんだなという事を感じました。
今回はありがとうございました。
ありがとうございました。
2014/03/24(月) 21:30〜21:55
NHKEテレ1大阪
趣味Do楽 茶の湯 裏千家“茶の湯と出会う”[終] 第8回「茶事を楽しむ」[解][字]
千利休以来、400年あまり受けつがれてきた裏千家の茶の湯を学ぶ8回のシリーズ。最終回は、正式な茶会である「茶事」を経験。茶の湯のもてなしの心の集大成を学ぶ。
詳細情報
番組内容
一服の茶に「もてなし」の心をこめるという、400年あまりにわたって受け継がれてきた茶の湯。8回シリーズで、千利休の伝統を受け継ぐ裏千家の茶の湯を学ぶ。最終回は、正式な茶会である「茶事」を経験する。正式な場合は、4時間近くかかる。茶室に入る前から、炭手前の拝見、懐石、さらに濃茶や薄茶といった一連の流れにおける客の作法を学びながら、茶の湯のもてなしの心の集大成である茶事を楽しむ。
出演者
【出演】裏千家業躰…奈良宗久,西方尼寺住職…藤原宗順,牛田茉友
ジャンル :
趣味/教育 – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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