(め以子)「ふ久とお母さんの疎開先が無事決まりました。
お母さんは桜子の所。
ふ久は諸岡さんの親戚の所へ。
送別会は鶏鍋です」。
おおきにな。
・「突然偶然それとも必然?」・「始まりは気付かぬうちに」・「予報通りいかない模様」・「そんな時こそ微笑みを」
(静)ちょっと〜誰も来んのやけどどういう事?何かあったんですかねえ?・
(菊子)すいません諸岡の菊子ですけど。
来た来た。
いらっしゃい。
こんばんは。
お姉ちゃん産気づいてしもて。
(2人)ええっ!?
(菊子)ちょっと今日はおうかがいできそうにないて。
ふ久入るで。
(ふ久)3.1415926535…。
大丈夫か?
(ふ久)産まれたら呼ぶから向こう行っといて!
(泰介)予定より早ない?そういえばふ久もひとつき早う生まれてきたな思て。
大みそかでなあ。
にぎやかでしたよねえ…。
(警報音)
(警報音)
(勤)空襲警報や!落ち着いて落ち着いてね。
(警報音)・
(静)開けるで。
私が…。
(産婆)産まれましたで。
(産声)・
(産声)男の子や。
・
(爆発音)リヤカー用意したからみんな逃げるで!
(キヨ)向こうは火の海でこれ以上は行かれへん。
えっ?あっ!死んでしまう…。
(警報音)あっ!
(警報音)地下や。
えっ?地下鉄や。
すいませ〜ん!開けて下さい!開けて〜!開けろ!開けろ〜!開けろ〜!・
(駅員)おいやめんかい!空襲時は駅は開けられへんねや!危険なんや!この地下鉄造ったんはうちの人や。
何かあったら地下鉄に逃げ込めってここに書いてある!造った人がそう言うてるんや。
ホンマにお願いします。
大丈夫か?ふ久。
(駅員)梅田方面は火ぃが回ってませんからとりあえずそちらへ走らせます!
(歓声)ふ久さん。
お母ちゃん。
おおきに。
(トラ)
守ってくれたね悠太郎さん。
よかったね
翌日西門家へ戻ってきため以子たちですが…
これ…。
(赤ん坊の泣き声)とにかく落ち着けるとこどっか探さんと。
・
(源太)め以子!源ちゃん!
(泰介)源太おじさん。
(源太)よかった。
みんな無事か。
うん。
とりあえずふ久とこの子どっか避難できるとこってある?うま介は焼けてへんからあっこやったら。
(源太)これからどないすんねん?
(静)うちは桜子さんとこに。
和枝さんとこは受け入れてもらわれへんの?来るんやったら家屋敷渡せ言われてんねん。
焼けてしもたやん。
土地の権利はまだ残ってるんや。
そんなん渡してでも行った方がええと思うけどな。
そんな私の一存で渡すなんてありえへんわ。
赤ん坊を抱えたふ久は諸岡家の人たちと疎開する事に
あんたもしっかり食べんねんで。
お母ちゃん倒れたら終わりやからな。
うん。
よろしゅうお願いします。
よしほなお母さんも行くで。
えっ?僕がうまい事やるから伯母さんのとこ行くで。
(和枝)それは難儀でしたなあ。
(泰介)母の受け入れを何とかお願いできないでしょうか。
(和枝)わては一度も受け入れんなんて言うてまへんで。
条件のみはらへんのはそちらの方で。
これの事ですよね。
(和枝)何やこれ?
(泰介)土地の権利書と印鑑です。
ふざけてはる?
(泰介)いえ。
ホンマにこれが権利書でこれが印鑑なんです。
悠太郎さんがそんな大事なもん燃えるようなとこに入れとく訳ないやろう。
(泰介)ホンマなんです。
燃えへんとこなんてないような空襲やったんですよ。
何なら一緒に見に行ってもええですよ。
とりあえず置いてもらえたからええやない。
・
(和枝)め以子はん?はい。
あ〜!お台所手伝うてくれはる?うわおいしそう〜!ねえ。
久しぶりやんねえ。
こんなちゃんとした御飯。
(和枝)何で3膳なん?ハナちゃん通いやないんですか?あんさんらこれ食べはるつもりでっか?せやかて一緒に作ろうて。
ひゃ〜いきなり押しかけてきはって白いおまんままで食べはるつもりでっか?
和枝のいけずぶりは相変わらず
今日中にこれ全部…。
・
(ハナ)西門さ〜ん!追いかけ茶持ってきました!奥さんらがご主人が出たあとに炊いて追いかけて持ってくるから。
お茶がゆ?
(すする音とかじる音)にぎやかな音する御飯やねえ。
ずるずるばりばり。
家族多いともううるさいですよ。
この辺ではずるずるばりばりは家族の音いうんです。
ふ〜ん。
へえ〜。
ああっ!タイチ!よいしょ。
(くじく音)あ…。
何でいまだにお母さんにだけはしょうもないいけずしはるんやろなあ。
ずっといけずし合うて約束したからや。
あの…奥様が呼んではるんですけど。
あの〜何か?後ろ向いてかがんで。
ちょっと乗るさかいな。
えっえっ?えっ?
(和枝)足首やったんや。
村の寄り合いに出なあかんさかいはよ。
いやいやちょっと…。
ええんですか?私わざと落とすかもしれませんよ。
何やわての事好きや言い続ける言いはったあれはほごでっかいな。
僕やりましょうか?どうぞお姉様。
うん。
(和枝)あんさん大きいだけで乗り心地悪おますなあ。
・
(泰介)伯母さん足だいぶようなりはったな。
明日からもう私はお役御免やて。
あのなお母さん。
うん?僕そろそろ京都戻ろかな思うんやけど。
そろそろ学校始まるもんねえ。
明日の昼まではおるさかい。
うん。
そうでっか。
明日帰りはるんでっか。
はい。
一つお願いがあるんですが。
何でっしゃろ?時々母と一緒に食事をとってやって頂けないでしょうか。
食卓を囲む事に全てを懸けてきたような人ですからとうとう1人になってしもうてかなりこたえる思うんです。
女は一人で御飯食べられるようにならんと。
(泰介)えっ?まっ考えときますわ。
あっついでにそれ持ってって。
これですか?種芋と二十日大根の種だす。
明日植えてから行きはったらどないだす?かわいい息子と植えた思たらあの人も大事に世話しはりますやろ。
これどないするんですか?お母さん。
うん?これ出来たら送ってな。
ほな頑張って育てんとな。
・
(ハナ)西門さ〜ん!あっ。
奥様がすぐにうちに戻ってこいて。
何か用事で呼んでるだけかもしれへんし。
とりあえず行ってくるわ。
うん。
ほな。
(配達人)おめでとうございます。
(泰介)ありがとうございます。
来てしもうたわお母さん。
そうか。
何食べたい?何でもええの?何でもええよ。
泰介がお姉様の作ってくれはった柿の葉ずしをもう一度食べたいと申しておりまして。
米も魚も手配できゃしませんやろ。
材料はわてがそろえますさかい。
ホンマですか?行かはるんやったらもうあんさんの息子やないさかいな。
お国の人になるいう事やろ?ありがとうございます。
あと5日や。
頭上げてなはれ。
はい。
(和枝)柿の葉はまだ若すぎてな。
どうにも包めんから笹の葉ずしで堪忍や。
お姉さんが縁起担いでくれはったんよ。
いぐさは邪気をはらってくれる。
転じて難を逃れるいう事だすわ。
うん。
頂きます。
お母ちゃんあんたに何かしてやれたんかいなあ。
お母さんは一番大事な事教えてくれたで。
生きてるいう事は生かされてきとるいう事なんやて。
僕は命の犠牲の上に成り立った命の塊なんやて。
せやから僕の命は擦り切れるまで使いたいて。
僕やりたい事いっぱいあるんや。
僕は僕にそれを許さんかったこの時代を…。
絶対に許さへん。
僕は…この国を変えてやりたい。
せやからはってでも帰ってくるさかい。
生き返らせてや。
あそこでまたみんなで…御飯食べさせてな。
任せとき。
そうして泰介が出征した日の夕方
・ごめんください。
あっはい!山下は今出かけておりまして。
ああいえ。
こちらに西門さんはいらっしゃいますか?私ですけど。
公報が届いています。
どないしはったんですか?・これホンマなんかいなあ?希子ちゃん。
分かれへんよなぁそんなん。
(希子)間違いいう事もありますから。
し…信じる事ない思います。
・そうやんねえ。
ごめんね。
(かじる音)
(すする音)
(かじる音)
(茶わんと箸を置く音)
(たたく音)こんな事のために…。
御飯作ってきたんと違う!開けまっせ。
(ハナ)うち捜してきましょか?行かんでええ。
けど変な気ぃ起こしはったり…。
死ねんかった。
このくらいではわては死ねんかった。
(折れる音)あっ!かっちゃん。
お母ちゃんなあかっちゃんおったとしてもそっちには…行けそうにないわ。
おなかのすかん国には行かれへん。
かっちゃんもなあ!戻ってきた方がなんぼかええんとちゃうかいなあ!大丈夫ですか!?
(武夫)山ん中で道に迷いはったらしい。
(ハナ)ええっ!?武夫さんおおきに。
お茶でも飲んでって。
奥様!枯れてるやろ!せっかく出てきた芽ぇが!あんさんが放り出したからやで。
あんさんがやる事やったらへんから死んでもうたんやで!あんさんが殺したんや!その…とおりです。
あっあの子を殺したんは私です。
(泣き声)御飯一緒に食べて下さい。
私…。
あんさんは見送るお人やろう。
心も体も生きる力が強うて。
恐らく見送って見送って最後は一人で生きるお人や。
一人に慣れはった方がええ。
(セミの声)
(玉音放送)「米英支蘇四国に対し其の共同宣言を受諾する旨通告せしめたり」。
終わった。
2014/03/10(月) 01:10〜01:30
NHK総合1・神戸
ごちそうさん一週間 第22週「い草の味」[字]
大阪空襲の夜、ふ久(松浦雅)に男の子が生まれる。め以子(杏)たちはふ久らとともに難し地下鉄が動いたことで助かる。め以子は和枝(キムラ緑子)のもとに身を寄せる。
詳細情報
番組内容
大阪空襲の夜、ふ久(松浦雅)が産気づき、男の子が生まれる。め以子(杏)たちは、ふ久と赤ん坊を連れて避難する。め以子は悠太郎の言葉を思い出して地下鉄の駅に逃げ込み、地下鉄が動いたことで大勢の命が助かる。西門家は蔵を残して焼失し、め以子と泰介(菅田将暉)は和枝(キムラ緑子)のもとに身を寄せる。徹底的にこき使われる二人。赤紙を受け取り出征する泰介を送り出した日、め以子のもとにある知らせがもたらされる。
出演者
【出演】杏,宮崎美子,キムラ緑子,高畑充希,菅田将暉,松浦雅,茂山逸平
原作・脚本
【作】森下佳子
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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