ハートネットTV シリーズ 増える20代の自殺(1)わたしたちが死にたいわけ 2014.03.24

「自殺を考えてます。
抜け出せていません」。
「死にたい」。
「生きていたくない」。
今回「ハートネットTV」では20代の自殺をテーマに視聴者の皆さんからご意見を募集しました。
その数およそ300件。
自分も死にたいと訴える若者たちの声で埋め尽くされました。
今20代の自殺が深刻さを増しています。
1年間に自殺で亡くなる人はおよそ3,000人。
自殺が20代の死因の半数近くを占めています。
ほかの世代の自殺死亡率が減る中で増加傾向にある20代の自殺。
なぜ死にたいという気持ちを彼らは抱くのか。
番組にメールをくれた人たちに会ってその訳を聞く事にしました。
私が最初に連絡を取ったのは「人生がしんどいしつらい。
毎日死にたいと思う」という女性でした。
彼女と会ったのは1月中旬。
一見深刻な悩みを抱えているようには見えませんでした。
今回初めてですか?こうやって話してくれたの。
そうですね初めて話しました。
あんまり情けない自分は見せられない。
見せられないっていうか情けないんですけどね…。
があ子さんは大学を卒業後非常勤で教育関係の仕事をしています。
月収は13万円。
実家暮らしで生活に不自由はありません。
しかし自立できていない自分にふがいなさを感じ死にたいと思うようになったと言います。
(があ子)もう未来が見えないから死にたいですね。
もうこんなんだったら自分は生きている価値がないなっていうふうに考えてしまう事があります。
やっぱり社会に出たからには…っていうのに自分はまだ到達できていないしこれからできるのかって言われるとすごく不安ですね。
冷たいし暗いし先分からないしここはどこだか分からないし…。
どっちに向かってったらいいのか分からないし。
必死にもがくんですけど結局それがいいのか悪いのかも分からずに。
だったらもう…こうありたいと願う生き方ができずもがく中でがあ子さんは今の自分を否定し生きる意欲を失っているように感じました。
次に訪ねたのは人間関係の悩みから死にたいとメールをくれた男性です。
こんにちは。
あこんにちは。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
1人暮らしの大学3年生です。
教師を目指しています。
もものふさんが番組にくれたメールです。
「主に人間関係で悩んでいます。
周りの人たちはみんな優しくひとりぼっちというわけではありませんが気持ちの浮き沈みが激しいこともありいつも自分から関係を悪くしてしまいます」。
この先またほかの人と仲良くなったりするかもしれないですけどそうなった時も…そのままけんかしたりして…ずっとつらい思いするくらいならもう正直早く死んでというか…基本的にはその将来の夢と希望…頑張ろうっていう気持ちがいつも上にはあるんですけど何かふとしたきっかけがあると…。
人間関係うまくいかない事が続くとだんだんだんだんその差がなくなっていってある時にがたんと…私が会った20代の2人は深く傷つき悩んでいました。
しかしその原因は一見ささいなことのようにも感じられます。
なぜ彼らは死にたいとまで思い詰めてしまうのでしょうか。
若者と自殺について研究している医師に話を聞く事にしました。
一見ささいなことで死にたいという方たちの多くが小さい時から家族の中であるいは友達の中でいろんな心の傷つきを体験しそれが積もり積もってるなっていう気がするんですよ。
何かものすごい事が一回あったというよりは本当に積もり積もってるんです。
その度にやっぱり自分は駄目なんだ。
やっぱりいない方がいいんだ。
消えた方がいいんだっていう確信を強めていく。
彼らの心はいわばもう水がいっぱい入ってるコップ。
表面張力で辛うじてコップから水がこぼれないでいる状況。
だから上から目薬一滴たれてもこぼれちゃうんですね。
自殺対策に取り組むNPO法人ライフリンク。
若者の自殺の背景を明らかにしようと東京都の委託で実態調査に乗り出しています。
自殺の背景には生い立ちの問題が深く関わっているのではないか。
ライフリンクは実際に自殺未遂をした人たちや遺族に聞き取りをする事にしました。
1月末二十歳の女性が調査に応じてくれました。
女性はこれまでに2度大量の薬をのんで自殺を試みました。
(清水)実際にその…自殺を試みたっていうのは?卒業してからなんだ。
自分は独りぼっちだと話す女性の生い立ちに何があったのか。
幼い頃の親子の関係にまで遡って話を聞いていきます。
帰ってこない?9歳の頃?はい。
その首絞められてっていうのはどういう事?子どもの頃から親に大切にされていないという気持ちを積み重ねて女性は育ってきました。
その体験がその後の人生にどう影響しているのか更に質問を重ねます。
有用感ご自分が何か役に立っているとか必要にされてるっていうような感覚が全くないのがゼロです。
満たされてるっていうのが10とするとどんな感じなの?高校生の時?…だけ。
…だけ何?5ぐらい。
後はゼロ。
その高校生の時っていうのは?なるほど。
生徒会長やってたんだもんね。
はい。
その時は?それ何年生?じゃあ高2の時が5?はい。
後は?ずっと?今も?はい。
自分を大切にしたいなっていう感情はどう?
(はるな)う〜ん…すごく深刻に悩んでるな彼女。
でも私すごい気持ちが分かる事がいっぱいありましたね何か…。
いやでもねえ一見何かささいなことっていうナレーションあったけど本当に本人にとったら全然ささいじゃなくてやっぱり本当にそこが苦しくて苦しくてしょうがなくて逃れなくて…。
う〜ん私も本当悩んでたなとかうん…今すごい考えました。
私も20代の時に自分が大っ嫌いであまりにも自分が大っ嫌いすぎて。
あの…摂食障害だったんですけどその摂食障害な自分も嫌いで。
嫌いで…自分が嫌いすぎて摂食障害になったけど摂食障害になった自分も更に嫌いで。
でもね一見ささいなことってあったの。
本当に人が聞いたら多分何か「甘えてる」とか「あなた恵まれてるのにあなたより大変な人はもっといっぱいいるのよ」って。
言われる。
言われちゃう事だったと思う。
だから言えなかったし悩む自分が悪いんだって思ってたんですね。
清水さんVTRの中でああやって若い人にすごく親身にお話を聞いていらっしゃるんですけど20代の方が自殺を考えるまで追い込まれてしまうのは一体なぜなんでしょう?図にするとこういう形になると思うんですけれども。
人は生きていく上で生きる事の促進要因と我々呼んでるんですけれども自分自身を大切にする気持ちであったりあるいは信頼できる人間関係やあるいは将来の夢だったりやりがいのある仕事だったりってこうした支えが…生きる事を支えるものがある訳ですけどそれよりも上回る阻害要因を抱えてしまった時に自殺のリスクが高まるんだと。
若年世代の場合はただこの阻害要因がそれほど大きくない。
まあはたから見ると。
(山田)はたから見るとですね。
多額の借金を抱えているとかあるいは失業して生活苦に陥っているとか。
確かにそういう若者もいるんですがそうではない若者の自殺も増えている。
なぜだろうといった時にこの促進要因が実はものすごく小さくなってしまっていると。
削られてしまっているという事があるんじゃないかと思います。
実際にもメールで死ぬ理由があるないではなくて生きる理由がないっていうメールが結構来たんですよね。
何かよく夢がないとか夢が持てないとか生きてても楽しくないとかって本当若い世代が言ってるのをよく聞きますけどね。
若い人たち話聞いてて感じるのは夢がないというだけでなくってなんとか自分が排除されないように仲間外れにされないようにするので必死。
(小島)もしかしたら大人からのメッセージが…それは親なのか学校なのか分かりません。
メディアかもしれませんけど聞き分けがよくてよい子でなければ受け入れませんよっていういろんな有形無形のメッセージがあって絶対に受け入れてもらえるポジションに自分をなんとか当てはめないと見捨てられちゃうっていう事で手いっぱいなのかなって。
その促進要因が小さいのっていうのは調査で何か見えてきたものってあるんですか?小さい頃にやはり虐待を受けていたとかあるいはいじめを受けていた。
そうする中で最初はやはりつらい思いをする訳なので最初は助けを求めたりもするんですね。
学校の先生であったりあるいは保護者親であったり。
ただ助けを求めたにもかかわらず「それはあなたが悪いんじゃないの」とかあるいは「気にし過ぎじゃないの」とかっていうふうにちゃんと受け止めてもらえなかった。
せっかく打ち明けたのにそれでも自分が悪いと言われてしまうのか。
自分は悪いのかと。
だったらこんな事を言われるぐらいだったらもう打ち明けない方がいいやと思って相談もなかなかできなくなるしづらくなる。
(小島)周りから見たら「そんなのどっか自分で相談に行きなさいよ」っていう事でも本人にはとてもその可能性が見えないって事ってきっとあるんだと思うんですよね。
だからどうにかしてその人にうまく何か助けの手がたどりつけば伸びてくればいいのになとは思う。
はい。
そういう20代の皆さんにとってもこういう相談窓口はあるんです。
でも支援を受けるには基本的には本人が相談に行かないとつながらないのが現状です。
そうした中インターネットを使って声を上げにくい若者たちが自ら働きかけて具体的な支援につなげようという試みがあります。
沖縄に暮らす…去年の夏偶然インターネットであるサイトと出会い自殺を思いとどまりました。
死んでたと思う?うん…。
以前から友人とのつきあい方に悩んでいたユキさん。
大学時代公務員の採用試験に失敗し卒業後死ぬ事ばかり考えるようになりました。
毎日のようにインターネットで「死にたい」と検索していたと言います。
その時たまたま目にした広告であるサイトとつながったのです。
それはインターネットを介しての無料相談…この活動を始めた伊藤次郎さんは精神保健福祉士の資格を持ちこれまで精神科クリニックなどでうつ病の人たちの支援をしてきました。
すごいですね。
うん。
これはやっぱり…伊藤さんは声を上げて助けを求められない若者とつながるためにこれまでにない方法を考えました。
それが…「死にたい」「自殺方法」など自殺に関連する単語を検索すると伊藤さんのサイトの広告「死にたくなったあなたへ」が自動的に表示されるようにしたのです。
この広告をクリックすると伊藤さんのサイトに誘導され相談のメールが送れます。
人に直接相談をする気力を失っていた沖縄のユキさんはこの仕組みで伊藤さんとつながりが生まれました。
「Jiroさん初めまして。
今年の3月に大学を卒業して今まで引きこもっています。
将来になんの希望もありません。
私はやっぱり死んだ方がいいのでしょうか」。
メールを受け取った伊藤さんはまずユキさんの気持ちを受け止めその上でユキさんの状況を判断するための質問をします。
何度もメールを交換し伊藤さんはユキさんが医療機関を受診した方がよいと判断。
不安に答えながらゆっくりと受診を勧めます。
「男性の先生ばかりで少し怖いです」。
伊藤さんはメールでの心の相談だけで終わらせずその人に必要な支援が何かを考え行政や専門家医療機関など現実の支援へとつなげる事が重要だと考えています。
伊藤さんのアドバイスで心療内科を受診したユキさん。
それ以来メールの内容にも変化が表れてきました。
夜回り2.0の活動に心理学の専門家として協力する末木新さんです。
伊藤さんの活動がこれまで支援につながらなかった人たちを救う有効な手段になると考えています。
インターネットを使って何がよかったかっていうとそういう状態にある人をこちらから情報テクノロジーを使って特定する事ができるという事ですね。
そしてこちらからその人たちに近づいて支援を届けようというふうなアクションを起こす事ができると。
今までつながれてなかった相談できていなかったそういう人たちと新しくつながってそういう今まで防げなかったものを防ごうって思った時にはやっぱり重要な工夫なのかなっていうふうに思いますね。
う〜ん…先生の言ってた「死にたい死にたい死にたい」が「助けて助けて助けて」って…。
本当にインターネットってすごく便利だけど死にたい方法とか入れればそれも出ちゃうし…。
そうですよね。
多分だからこそ価値があるというか。
ネットで「死にたい」とか「自殺の方法」って検索した時に検索した人がまさに死ぬ方法に早くたどりつけちゃったとしたら多分そっちの方にこう引きずられていく。
でも生きる道を選ぶための情報に先に触れる事ができたらそちらの方を選ぶかもしれない。
でもこうやってネットしかり直接しかりそういう20代の若者から例えば「死にたいんです」という相談を受けたら大人って我々って何て答えたらいいんでしょうね?死ぬっていう選択はやっぱり私も何度も頭を打ちつけて…何度目かに死にたい死にたい死にたいもっと血がにじむまで打ちつけたりとか何かいっぱいしてきたけど死にたいって思う一瞬とあ生きないとっていう一瞬って本当一瞬なんですよ。
だからもう一日生きてみようっていう一瞬の事の切り替えしの一瞬でこんなに何か楽しくて…。
つらい事ももちろん生きてるといっぱいあるけどでも楽しくて…。
うれしい幸せな時間が増えると思わなかったからあの時は。
その時はね。
(はるな)そう…。
どうしても子どもや若者たちから死にたいって事を言われると我々もショックが大きくて「そんな事考えないで」とか言ってしまいがちなんですけど。
ただ死にたい消えたいっていう言葉の裏にはどこか生きたいっていう気持ちも恐らくあるはずなので100%死にたいっていうような事ではなくてこれはまさに揺れ動いている。
その時の生きたいっていう気持ちが本人のどこにあるのかそれを一緒に話を聞きながら探してあげて支えてあげられるようなそういう構え方が大事なんじゃないかなと感じてますね。
自分が摂食障害のあと不安障害になってカウンセラーの先生のところに行ってどうやら家族との関係が…自分が生まれ育った…。
原因なのかもしれないとか話を聞いてもらってる途中でそのカウンセラーの方が「あの…慶子さんそれあなたが苦しいなら苦しんでいいんですよ」って言ってくれて。
それを言われたのは初めてだったんです。
でスタートって「あなたが苦しいなら痛いなら痛くていい苦しくていい。
一緒に考えよう」って言ってくれる誰かが現れる事なのかなって。
本人の状況によっては訴えやすいというかSOSを出しやすい受け皿というのは違う訳なのでだからそういう受け皿をたくさん作ってしかもそういう受け皿があるよという事をちゃんと子どもたちに伝えていかないと受け皿にたまたま出会えた人はよかったけれども出会えなかった人は支援を受けられずに追い込まれて自殺で亡くなるというような事に今なりかねない状況なので。
本人がメッセージをSOSを発しやすい環境をちゃんと大人がつくっていくっていう事が大事なんじゃないかと思いますね。
選べるっていう。
では明日は20代の人たちもスタジオに出演して一体どうすれば自殺に追い込まれずに若い人が希望を持って生きていける社会にできるのか。
引き続き考えます。
今日はどうもありがとうございました。
2014/03/24(月) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV シリーズ 増える20代の自殺(1)わたしたちが死にたいわけ[字]

近年、増加傾向にある20代の自殺。20代の死因のおよそ半数を占める。番組に「死にたい」とメールを寄せた若者たちの声やNPOの実態調査をたどり、自殺の背景を探る。

詳細情報
番組内容
近年、増加傾向にある「20代の自殺」。20代の死因のおよそ半数を占める。なぜ若者たちは自殺に追い詰められるのか、その背景は未だにはっきりと分かっていない。番組でメールを募集したところ、「死にたい」「生きるのがつらい」という若者たちの声が500件以上寄せられた。番組ディレクターが声を寄せた人たちを訪ね、NPOが行う実態調査にも同行取材。20代の自殺の背景とその処方箋を考える。
出演者
【出演】小島慶子,はるな愛,清水康之,【キャスター】山田賢治

ジャンル :
福祉 – その他
福祉 – 高齢者
福祉 – 障害者

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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